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第1話
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伯爵令嬢の私ルカは、婚約者ダウロスの命令で迷いの森の中を歩いていた。
迷いの森はその名の通り危険な場所で、林ばかりでどこに行っても似た景色だから、奥に行き過ぎると抜け出せないとされている。
ダウロスが持つ魔法道具で位置がわかるから問題ないけど……もし、その効力が切れたら私達は終わりだ。
歩きながら不安になった私は、隣を歩くダウロスに進言する。
「ダウロス様、探索はもう十分のはず……馬車の元まで戻りましょう」
「いや、まだ先に行く! お前は俺の命令が聞けないというのか!」
「……わかりました」
私は侯爵家の令息ダウロスの怒鳴り声を聞き、何も言えなくなってしまう。
家の立場から私を見下して、命令してくることが嫌だった。
ここには護衛をする騎士の他にもダウロスの妹クラリィが同行していて、クラリィは私を嘲笑するように話す。
「お兄様から聞いたけど、ルカは学園で成績が悪いみたいね。私としてはミテラ様がお姉様になって欲しいわ!」
ダウロスと最近仲がいい伯爵令嬢ミテラの名前が出たけど、クラリィとも仲がいいようだ。
私が魔法学園で成績が悪いのは理由があるも、話してもダウロスは信じてくれない。
立場の差から何も言えず……数時間ぐらい歩かされて、目的地に到着したようだ。
周囲は林ばかりで、どこまで歩いたのかも私にはわからない。
魔法道具で森全体から自分の位置を把握できるダウロスに不安はないようで、腕時計の形をした魔法道具を眺めて言う。
「よし。ここでいいだろう」
「ダウロス様は今までここに来た理由を教えてくれませんでしたけど、何をするつもりですか?」
行きたい場所があるとしか言わなかったけど、ここには大量の木しか見えない。
到着したのなら理由も教えてくれると思っていた時――私は、ダウロスの魔法により大量の水を浴びせられてしまう。
「うぅっ!? ダウロス様!? なにをして――」
「――ミテラを好きになったから、お前が邪魔だ」
「……えっ?」
「まだわからないの? ルカを捨てるために、私達はここまで来たのよ!」
水魔法の攻撃を受けて倒れた私に対して、ダウロスとクラリィが叫ぶ。
同行している人は他にも1人、護衛をしている騎士がいる。
その人はダウロスの家に仕えている人だからか、何も言わずダウロスの傍にいた。
ダウロスは魔法で水を浴びせた後に霧を発生させたみたいで、この場から消えようとしている。
位置がわかる魔法道具がなければ、この迷いの森から出ることは不可能だ。
「待ってください! 私の強化魔法があったからダウロス様は活躍できて、クラリィは病が治ろうとしています!」
今まで信じてくれなかったけど、生きるために再び話す。
私は強化魔法の才能があって――今までずっと強化魔法を、ダウロスとクラリィに使っていた。
強化魔法の力を受けたダウロスは魔法学園で活躍し、病弱だったクラリィは動けるようになっている。
クラリィの病はまだ完治していないから、ここで私が亡くなれば後悔するのは間違いない。
それは間違いないのに、ダウロスとクラリィの笑い声が森に響く。
「はっ! 生きたくて必死か、嘘をつくな!」
「まったくです。私を治したのはミテラ様なのに、それをルカは自分の功績にしようとするなんて信じられないわ!」
どうやらミテラは自分が治したとクラリィに話したみたいだけど、それこそ私の力をミテラは自分の功績にしている。
やっぱり信じてくれないようで……霧で何も見えず、遠くからダウロスの声が聞こえた。
「学園にはお前の悪評を広めておいた。お前の末路は「迷いの森に行けば膨大な魔力が手に入る」という迷信を信じ、誰にも伝えず行って消えた憐れな奴となるだろう」
「これでお兄様の婚約者はミテラ様になりますね!」
2人の笑い声が消えて私が起き上がった時には、霧が消えて私以外は誰もいなくなっていた。
私は迷いの森に捨てられたようで……位置を知る魔法道具がないから、森を出ることは不可能とされている。
今までの出来事を思い返すと怒りが湧き上がり、私は決意した。
もし、迷いの森から出られたら――ダウロス達を、必ず後悔させてみせます。
迷いの森はその名の通り危険な場所で、林ばかりでどこに行っても似た景色だから、奥に行き過ぎると抜け出せないとされている。
ダウロスが持つ魔法道具で位置がわかるから問題ないけど……もし、その効力が切れたら私達は終わりだ。
歩きながら不安になった私は、隣を歩くダウロスに進言する。
「ダウロス様、探索はもう十分のはず……馬車の元まで戻りましょう」
「いや、まだ先に行く! お前は俺の命令が聞けないというのか!」
「……わかりました」
私は侯爵家の令息ダウロスの怒鳴り声を聞き、何も言えなくなってしまう。
家の立場から私を見下して、命令してくることが嫌だった。
ここには護衛をする騎士の他にもダウロスの妹クラリィが同行していて、クラリィは私を嘲笑するように話す。
「お兄様から聞いたけど、ルカは学園で成績が悪いみたいね。私としてはミテラ様がお姉様になって欲しいわ!」
ダウロスと最近仲がいい伯爵令嬢ミテラの名前が出たけど、クラリィとも仲がいいようだ。
私が魔法学園で成績が悪いのは理由があるも、話してもダウロスは信じてくれない。
立場の差から何も言えず……数時間ぐらい歩かされて、目的地に到着したようだ。
周囲は林ばかりで、どこまで歩いたのかも私にはわからない。
魔法道具で森全体から自分の位置を把握できるダウロスに不安はないようで、腕時計の形をした魔法道具を眺めて言う。
「よし。ここでいいだろう」
「ダウロス様は今までここに来た理由を教えてくれませんでしたけど、何をするつもりですか?」
行きたい場所があるとしか言わなかったけど、ここには大量の木しか見えない。
到着したのなら理由も教えてくれると思っていた時――私は、ダウロスの魔法により大量の水を浴びせられてしまう。
「うぅっ!? ダウロス様!? なにをして――」
「――ミテラを好きになったから、お前が邪魔だ」
「……えっ?」
「まだわからないの? ルカを捨てるために、私達はここまで来たのよ!」
水魔法の攻撃を受けて倒れた私に対して、ダウロスとクラリィが叫ぶ。
同行している人は他にも1人、護衛をしている騎士がいる。
その人はダウロスの家に仕えている人だからか、何も言わずダウロスの傍にいた。
ダウロスは魔法で水を浴びせた後に霧を発生させたみたいで、この場から消えようとしている。
位置がわかる魔法道具がなければ、この迷いの森から出ることは不可能だ。
「待ってください! 私の強化魔法があったからダウロス様は活躍できて、クラリィは病が治ろうとしています!」
今まで信じてくれなかったけど、生きるために再び話す。
私は強化魔法の才能があって――今までずっと強化魔法を、ダウロスとクラリィに使っていた。
強化魔法の力を受けたダウロスは魔法学園で活躍し、病弱だったクラリィは動けるようになっている。
クラリィの病はまだ完治していないから、ここで私が亡くなれば後悔するのは間違いない。
それは間違いないのに、ダウロスとクラリィの笑い声が森に響く。
「はっ! 生きたくて必死か、嘘をつくな!」
「まったくです。私を治したのはミテラ様なのに、それをルカは自分の功績にしようとするなんて信じられないわ!」
どうやらミテラは自分が治したとクラリィに話したみたいだけど、それこそ私の力をミテラは自分の功績にしている。
やっぱり信じてくれないようで……霧で何も見えず、遠くからダウロスの声が聞こえた。
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