君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

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2章

第17話Side川野陽菜

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Side川野陽菜

今日から私にも家庭教師がつくことになりました!

 家庭教師はおにぃの友達で髪をしっかり整えたらイケメンの神楽先輩です!おにぃは先輩のことをよく家でも話すのでどんな人なのか凄く気になります!

 でも、何となく先輩って初めて会った気がしないんですよね。

 昨日おにぃの部屋に入った時の神楽先輩は確かに別人のように見えましたがどこかであったような気がしたんでよねー。だから、ちょっと失礼なことを言ってしまった気がします。

 ピンポーン。

 あっ!先輩が来たようですね。

「んで、家庭教師って何したらいいんだ?」

 家庭教師である先輩がそれを言いますか…?私も家庭教師を雇ったことないですし。

「そんなの私も知らないですよ~。先輩のやり方でやったらいいんじゃないですか?」

 とりあえず無難?な回答でも答えておきましょう。

「改めて、俺は荒木神楽。佐倉高校の2年生だ。得意な科目は…数学だな。苦手な科目は英語。3ヶ月だが、よろしく頼む。」

 やっぱり先輩ってどこかで会った気がします。う~ん。先輩も覚えてなさそうですし気の所為ですかね?

 それにしても文化祭で見た先輩と今の先輩って結構違いますね。見ただけではあの時の先輩だって分かりません。

「よろしくお願いしま~す!私は川野陽菜!甲陽中学の3年生で~す!得意な科目は国語!苦手な科目は数学です!」

 その後私は先輩に言われて模試の結果を見せました!家族以外に見せるのって初めてな気がします。

「これで受かりそうですかね…?」

 第1志望校である佐倉高校には偏差値は届いていない。この時のおにぃの成績はもっと良かったはずです。だから、少し心配なんですよね…。

「大丈夫だ。佐倉高校に陽菜ちゃんが行けるようにするために家庭教師である俺がいるんだ。任せろ!」

 そう言われてとても安心しました。この人なら任せられると心から思いました!

「はい!よろしくお願いしますね?」

「もちろんだ!」

 そこからは勉強の時間でした。

 先輩は私が分からないところを聞くと丁寧に説明してくれて、実際に図とか書いてくれたりしてその説明がすごく分かりやすいです!

 先輩も問題は一緒に解いていました。先輩と私ってあまり歳も近いので、同級生と勉強会してるって感じがしますね。教え方が上手くて私より断然頭がいいので頼りになります!

「正解だ!」
 これで今日の最後の問題でしたが、先輩と同じ答えだったので何となく正解かな…?とは思っていました。

「はい!」

 私は手を挙げてハイタッチの用意をする。たま~に部活の友達と勉強会をした時に友達と一緒に解いたら「イェーイ!」ってお互ハイタッチしたりするんですよね~。そのくせがでやっちゃいました。まぁ、先輩は流行とか絶対に気にしないということはおにぃから聞いてからこのまま流れでやっちゃいましょう!

 意外と先輩の手ってがっちりしてるんですね。同級生の男子の手より大きく、少し厚く感じました。

「おにぃならあと5分ぐらいで帰ってくると思いますよ。それまで私とこの部屋でお話でもしませんか~?」

 いつもおにぃはこのぐらいの時間に帰って来ます。ならばあと5分もすれば帰ってくるのは何となく分かります。

 私も先輩のこと知りたかったのでちょうどいい感じです!

「ではでは恋バナをしましょう!」

 私も1度ぐらい何も気にせず恋バナをしてみたかったのです!女子同士の恋バナって発言に気をつけないとちょっと大変なことになりますからね!

「先輩って彼女とかいるんですか?」

「いや、いないな。というかいたことないな。」

「えっ!?いないんですか!?」

「あぁ。年齢=彼女いない歴ってやつだ。」

「……意外……ですね。」

 本当に意外です。おにぃから聞いてたらすごくモテそうな人なのに。私も実際にこうして話してそこまでモテないことは無いと思ったんですけどね。

「今、好きな人とか…いないんですか?」

「……いないな。」

「そうなんですかー!」

 おぉ!なんか私だけ先輩のいい所を知ってるって思うと気分がいいですね~!

「俺の恋バナ、なんもないだろ?」

「そんなことないですよー!こうやって会話するだけでも楽しいですし!」

 何となく先輩とは話が合うというか、話のリズムが合うと言うか聞いてて飽きない感じがしますね。

「陽菜ちゃんは彼氏とか居ないのか?」

「いませんねー。私も先輩と同じく年齢=彼氏いない歴です。」

 まぁ、初恋ぐらいはしたことあるんですけどね。中学2年生の時に私が交通事故になりそうになっていた時に助けてくれた人…。自分は怪我をしているのに、私の心配をしてくれて…。自分の怪我をも私を助けた時にしたのではなく、『石につまずいた』って。多分私に気を使わせないようにしたんだと思います。名前だけでも聞きたかったんですけど、すぐにどこかに走り去ってしまって…。私にとってヒーローみたいな人でした。それが初恋でしたね~。そんなことはさすがに先輩にも言えませんけど。

 今でもその人のことを思っています。会ったらまずお礼を言いたいですけど。

「ま、高校に入ったら作れるだろうな。」

「だといいんですけどね~。でも高校入ったら緊張しません?」

 私、こう見えて結構人見知りなんですよね~。おにぃはそんなことないと思うんですけど。

「今はしてないけど…。入ってすぐの時はどうだったんだろうな。いや、確かに緊張してたかも。」

「へぇ~。そうなんですね~。そう言えばおにぃとはどうやって知り合ったんですか?」

 おにぃは先輩のことをよく話すんですけど、どうやって出会ったのかは頑なに話さないんですよね。おにぃって友達が多いから特定の友達について語るなんて珍しいから気になってたんです。

「陽とは入学初日に知り合ったんだよ。」
 
「えっ?おにぃはあの日遅刻したはずですよ?」

 あの日はよく覚えてます。おにぃは寝坊して私と途中まで一緒に登校してました。そしておにぃと別れてから音楽でも聞こうかなって思ってスマホを操作してたら、車が来ていることに気づいず、危うく事故になりかけたところを私の初恋であるヒーローさんに救って貰ったんですよ。その後おにぃがすぐに私のところに来て…。それでおにぃはとんでもないほど遅刻したはずです。

「俺も遅刻したんだよ。そこで知り合った。」

「へぇ~。先輩が入学初日に遅刻ですか。なんか想像つきませんね。でも、先輩は何で遅刻したんですか?」

 おにぃと同じく寝坊したんですね。だから同族だと感じておにぃと仲良くなったんですかね?

「前日に楽しみで寝れなかったら寝坊した。」

「アハハハハ!小学校の遠足じゃないですか!」

「笑うなって。それ以外にも遅刻した原因あるからな!」

「へぇ。何があったんですかー?」

「……石につまずいて怪我した……。」

「えっ………?」

 確かあのときの私を助けてくれた人も同じことを言ってたような――。まさかっ!先輩ってあの時のヒーローなんじゃ!

「せ…先輩、それって―――」

「ただいまぁ!」

おにぃ!!タイミングが悪すぎる!!

「陽も帰ってきたみたいだし、俺も帰るわ。」

「えっ…あっ…そ、そうですね!」

 とりあえず心を落ちつけましょう。聞きたいのは山々ですが明日も会える訳ですし。それにおにぃなら知っているかもしれません。

 おにぃが自分の部屋に取りに行くのについて行って、あの時の事を聞かなくちゃ!

「お、おにぃ!私を交通事故から助けてくれたのって神楽先輩なの!?」

「うん?あれ?神楽が何か言ったのか?」

 おにぃは少し驚いたような顔をしました。やっぱりあの時のヒーローは神楽先輩だったんだ!

「いや、直接聞いたわけじゃないけど何となくそうじゃないかなって思って!」

「あー。そうだけど、あの時助けてもらったのは陽菜だって名乗り出てお礼とか言わない方がいいと思うぞ?」  

「えっ!?なんでよ!」

 今からちょうどそうしようと思っていたのに!

「そうしたところで神楽は余計に気ぃ遣うだけだ。あいつもお礼なんか求めてないし。お礼なんか言っても自分のためだからみたいなこと言うぞ。」

 ……言われてみれば神楽先輩なら余計に気を遣いそうです。私より長く友達付き合いしてるおにぃが言うならそうなんでしょう。

おにぃは先輩にノート渡したら部屋に戻ってしまった。

 でも、改めて先輩を見ると確かにあの時のヒーローに似てる気がする。だからおにぃの部屋で先輩を見た時に既視感を覚えたんだ!

 でも、それってつまり…私の初恋の相手は神楽先輩ってことだ!!あっ、やばい!そう思ったら急に心拍が早くなった気がする。顔も少し赤くなってるような…。体温も絶対に上がってる!

 私の予想通りというかあの時私を救ってくれたヒーローはカッコよくて、優しい人だった。

そんなことを思っていると…。

「陽菜ちゃん、俺が帰っても勉強するんだぞ!社会は暗記が多いから自分で勉強できるし!」

「ち…違いますよ!」

 もう!私の事を心配してくれるのは嬉しいですけど、考えが筋違いです!

「それじゃあな、陽菜ちゃん。」

「はい、さようならです!」

バタンっ!

ドアがしまって先輩は帰ってしまいました。

 おにぃはお礼も何も伝えない方がいいと言っていました。実際にそうだと思います。でも…。このままでいいのかな…?って思ったらすぐに私は…

「神楽先輩っ!!」

ガタンっ!とドアを開けて、先輩を呼び止めます。さりげなくなら…。

「ありがとうございました!!」
 
 頭を下げてあの時のことを思いだし、助けてもらった感謝を精一杯伝えます。

「?おぅ!どういたしまして!また明日な!」

 どうせ先輩のことでしょうから勉強を教えたお礼とか思ってるんでしょうね。それでも先輩が助けてくれなったらその「明日」もなかったかもしれません。

「はいっ!」

私は笑顔で返事をします。心臓もすごくドキドキですけど。

『いないな。』

先輩は彼女も好きな人もいないと言っていました。

あれ?これって私にもチャンスがあるのでは?
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