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第七章
どのように言われようと迷いはない
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ハルムの暴言を浴び、ルカがしがみついてきた。
ユリウスはその細い背を安心させるようにしっかりと抱きしめ、水路を進んだ。が、気がつけばシミオンやラウ、ミヒルの姿が消えていた。
その時だ。足元から黒いもやが立ち込め、一気に辺りを包み込んだ。腕に抱いているルカの姿さえ見えなくなった。
「ユリウス。離さないでね」
そう言ってルカが首に回した腕に力を込めたのとほぼ同時だった。それまで羽のように軽かった腕の中のルカが重石のようにずしりと重量を増した。
ユリウスは思わず足を踏ん張り、腕に力を込めた。
「一体何が……」
ユリウスはもう片方の手を伸ばし、ルカの頭のある辺りに触れた。いつもならさらりとした質感の黒髪に触れるはずが、冷たく固い感触。まるで石のようだ。
「え?」
ユリウスの口から驚きの声が漏れた。確かに腕に抱いているはずのルカの姿を確かめようと、頭がだめなら背中はと手を下に滑らせる。けれど本来なら柔らかな曲線を描くはずのルカの背も、固く冷たい石のような無機質な感触をユリウスに伝えてくる。
「ルカ、ルカ」
ユリウスが必死になって呼びかけても全く反応がない。明らかに何かおかしい。
でも、腕の中からルカを離していないのは確かだ。ならばこの石のように重い腕の中のものは、ルカに違いない。何がどうなったのかはわからないが、これもフロールの体の見せるものなのかもしれない。
ユリウスは重石のようになったルカを抱え直した。たとえ困難なほど重くとも、ルカだという確証のある体を離しはしない。意地でも連れて行く。
重くなったルカは、両手でかかえる必要があり、さきほどのように暗闇の中を手探りで進むことができない。明かりを探してユリウスはすり足で慎重に進んだ。一歩進むたびにルカの重量は増していく。
「……置いていけ」
「重い荷物ならば置いていけ……」
「さすれば自由になれる……」
どこから聞こえるのか。耳元で重い荷物は置いていってしまえと悪魔の囁きが呼びかける。
「うるさいぞ。俺はルカを一度も離していない。どのような手を使おうとかすめ取るのは無理だ。腕の中の体は、ルカだ」
どこからともなく囁いてくる声へ、ユリウスは声を返し、より一層強く腕の中の重石を抱きしめた。
いやしかし、あまり力を入れすぎては逆にルカを壊しかねない。重石は本物ではなく、腕の中にあるのはルカの体なのだから。ルカの細い肢体を思い浮かべ、ユリウスはほうと息をつくとそっと、けれどしっかりと腕の中のルカを囲った。
そのとたん、水路の先に明かりか見えた。
ユリウスはすり足で足元を確かめながらその明かりに向かって歩いた。もやの中に明かりが浮かんでいる。その明かりに浮かび上がった顔を見て、ユリウスは思わず足を止めた。
「父上、母上……」
自分によく似た大柄な体躯の父と、自分と同じ金髪碧眼の母がこちらを見ている。
なぜ、こんなところに。
そう言いかけてやめた。モント領内にいるはずの両親が、王都の水路にいるはずがないことはわかりきったことだ。
しかしまいったな。ユリウスはまぼろしだとわかっていながらも両親の姿に困惑した。父とも母とも、もう長い間顔を合わせていない。別に喧嘩をしているわけでもないが、忙しさにかまけて長いこと会いに行くことをしていなかった。
当然、ルカのことも何も話してはいない。いつか報告に行かねばと思いながら、長年王都で生活してきた父母が、希少種をどのように思っているかは想像がつく。その辺りのややこしさ、煩わしさもあって先延ばしにしてきたことだ。
目の前の父母は本物ではないとわかってはいる。が、これではまるで予行演習のようではないか。
このまま踵を返すこともできたが、ユリウスは立ち止まり、腕の中のルカを抱え直した。腕の中のルカは変わらず重いが、明かりの中で見ると見かけはいつものルカに戻っていた。その黒髪に触れ、ユリウスは決然と父母に向き合った。フロールの体が仕掛けてきたことなら、おそらくここで逃げてもまた別の手を使ってユリウスを追い詰めに来るのだろう。
「父上、母上」
ユリウスが呼びかけると、父も母もユリウスの抱くルカを見て眉をしかめた。
「なんですユリウス。その希少種は」
とりわけ母は嫌悪感を露わにして眦を険しくした。父は希少種を飼うことはなかったが、貴族の婦人方の間では、性奴隷の希少種を夫が囲うことを嫌う者も多い。婦人方にとっては、希少種は忌むべき存在なのだ。母の態度も最もなものだ。
「ルカは俺の大事な人です。一生を共にできればと思っております。父上と母上にはきちんと報告するつもりでいました」
「冗談はよしなさい、ユリウス。何が一生を共にですか。それは妻になる人に使う言葉ですよ」
「そうだぞ、ユリウス。私はまぁ、性奴隷を側に置くのは反対しないが、所詮希少種は使い捨ての駒。そのように大事にするものではない」
「まぁあなたったら。これだから殿方は嫌なんです。何が性奴隷ですか。その存在のせいでどれだけ多くの女達が泣いてきたことか」
「それも貴族の嗜みだぞ」
「そんなお言葉聞きとうございませんわ。とにかくユリウス。私は認めませんよ。性奴隷だなんて。早く売却でも何でもしてしまいなさいな」
「まぁ妻の言うとおり、転売するのも悪くはないがな。その希少種なら高値で売れる」
「お待ち下さい、父上、母上」
実際の父と母も、ユリウスがルカを紹介すれば、このような反応を返すのだろうか。それはわからないが、例え幻に言われたのでも、ルカを貶める言葉は聞き捨てならない。
「ルカは俺の妻も同然の人です。商品のように言われたり、性奴隷だと貶めるようなことは言わないでいただきたい。それに、どのように言われようと俺の思いに迷いはありません。俺はルカの全てを受け入れ、全てを認めると決めています。ルカは俺の全てです。一生涯大事にしたいと心から思ったただ一人の女性です」
そうユリウスが言い切ると、驚きに満ちた父母の顔がもやの中に沈んでいき、雲散霧消した。真っ暗だった水路の排水溝から陽光が射し込み、ルカの黒髪にあたった。
***
湖面に映ったユリウスは、石のようになったルカを決して離さず、またユリウスの父母と思われる人達を前にしてもルカを大事に思っているときっぱりと言い放った。そこにいたのは、出会ってから一貫して変わらない誠実なユリウスの姿だった。
「あらあら。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうわね、全く」
フロールは優しくルカの黒髪を撫でると、にっこり笑んだ。
「これでもまだルカは何か不安なのかしら?」
ルカは無言で首を振った。何か言おうと思ったけれど胸がいっぱいで言葉が出てこない。
「ほら。何してるの。早く戻りなさいな。ユリウスが待ってるわよ」
「……うん」
ルカは湖面から足を出すと立ち上がった。その背をフロールはそっと押し出す。
「私の体を見つけたら、キスをしてね。口を伝って私は自分の体に戻るから」
「わかった」
ルカは駆け出した。小川を伝って城壁の外へと。二度とこの場所には戻らない。そんな気がした。
***
「……ユリウス…」
小さな声でルカが名を呼んだ。ルカの顔を見ると、真っ黒な瞳と目があった。
「離さないでいてくれたんだね、ユリウス」
ルカは少しぼうっとした眼差しをしている。ユリウスが幻を見たのと同じように、ルカもまた何かを見たのかもしれない。ルカの重みは、いつもの軽さに戻っていた。
「ルカ。愛してるよ、ルカ」
抱きしめるとルカはくすぐったそうな顔をして、でも嬉しそうに頬をほころばせた。
「わたしも。わたしもユリウスが好き」
その言葉に、以前のルカの好きよりももっと深く大きなものを含んでいることは間違いなかった。ユリウスの思いに、ルカの好きが追いついてきた。ユリウスは、こんな状況に関わらず目頭が熱くなった。
ユリウスはその細い背を安心させるようにしっかりと抱きしめ、水路を進んだ。が、気がつけばシミオンやラウ、ミヒルの姿が消えていた。
その時だ。足元から黒いもやが立ち込め、一気に辺りを包み込んだ。腕に抱いているルカの姿さえ見えなくなった。
「ユリウス。離さないでね」
そう言ってルカが首に回した腕に力を込めたのとほぼ同時だった。それまで羽のように軽かった腕の中のルカが重石のようにずしりと重量を増した。
ユリウスは思わず足を踏ん張り、腕に力を込めた。
「一体何が……」
ユリウスはもう片方の手を伸ばし、ルカの頭のある辺りに触れた。いつもならさらりとした質感の黒髪に触れるはずが、冷たく固い感触。まるで石のようだ。
「え?」
ユリウスの口から驚きの声が漏れた。確かに腕に抱いているはずのルカの姿を確かめようと、頭がだめなら背中はと手を下に滑らせる。けれど本来なら柔らかな曲線を描くはずのルカの背も、固く冷たい石のような無機質な感触をユリウスに伝えてくる。
「ルカ、ルカ」
ユリウスが必死になって呼びかけても全く反応がない。明らかに何かおかしい。
でも、腕の中からルカを離していないのは確かだ。ならばこの石のように重い腕の中のものは、ルカに違いない。何がどうなったのかはわからないが、これもフロールの体の見せるものなのかもしれない。
ユリウスは重石のようになったルカを抱え直した。たとえ困難なほど重くとも、ルカだという確証のある体を離しはしない。意地でも連れて行く。
重くなったルカは、両手でかかえる必要があり、さきほどのように暗闇の中を手探りで進むことができない。明かりを探してユリウスはすり足で慎重に進んだ。一歩進むたびにルカの重量は増していく。
「……置いていけ」
「重い荷物ならば置いていけ……」
「さすれば自由になれる……」
どこから聞こえるのか。耳元で重い荷物は置いていってしまえと悪魔の囁きが呼びかける。
「うるさいぞ。俺はルカを一度も離していない。どのような手を使おうとかすめ取るのは無理だ。腕の中の体は、ルカだ」
どこからともなく囁いてくる声へ、ユリウスは声を返し、より一層強く腕の中の重石を抱きしめた。
いやしかし、あまり力を入れすぎては逆にルカを壊しかねない。重石は本物ではなく、腕の中にあるのはルカの体なのだから。ルカの細い肢体を思い浮かべ、ユリウスはほうと息をつくとそっと、けれどしっかりと腕の中のルカを囲った。
そのとたん、水路の先に明かりか見えた。
ユリウスはすり足で足元を確かめながらその明かりに向かって歩いた。もやの中に明かりが浮かんでいる。その明かりに浮かび上がった顔を見て、ユリウスは思わず足を止めた。
「父上、母上……」
自分によく似た大柄な体躯の父と、自分と同じ金髪碧眼の母がこちらを見ている。
なぜ、こんなところに。
そう言いかけてやめた。モント領内にいるはずの両親が、王都の水路にいるはずがないことはわかりきったことだ。
しかしまいったな。ユリウスはまぼろしだとわかっていながらも両親の姿に困惑した。父とも母とも、もう長い間顔を合わせていない。別に喧嘩をしているわけでもないが、忙しさにかまけて長いこと会いに行くことをしていなかった。
当然、ルカのことも何も話してはいない。いつか報告に行かねばと思いながら、長年王都で生活してきた父母が、希少種をどのように思っているかは想像がつく。その辺りのややこしさ、煩わしさもあって先延ばしにしてきたことだ。
目の前の父母は本物ではないとわかってはいる。が、これではまるで予行演習のようではないか。
このまま踵を返すこともできたが、ユリウスは立ち止まり、腕の中のルカを抱え直した。腕の中のルカは変わらず重いが、明かりの中で見ると見かけはいつものルカに戻っていた。その黒髪に触れ、ユリウスは決然と父母に向き合った。フロールの体が仕掛けてきたことなら、おそらくここで逃げてもまた別の手を使ってユリウスを追い詰めに来るのだろう。
「父上、母上」
ユリウスが呼びかけると、父も母もユリウスの抱くルカを見て眉をしかめた。
「なんですユリウス。その希少種は」
とりわけ母は嫌悪感を露わにして眦を険しくした。父は希少種を飼うことはなかったが、貴族の婦人方の間では、性奴隷の希少種を夫が囲うことを嫌う者も多い。婦人方にとっては、希少種は忌むべき存在なのだ。母の態度も最もなものだ。
「ルカは俺の大事な人です。一生を共にできればと思っております。父上と母上にはきちんと報告するつもりでいました」
「冗談はよしなさい、ユリウス。何が一生を共にですか。それは妻になる人に使う言葉ですよ」
「そうだぞ、ユリウス。私はまぁ、性奴隷を側に置くのは反対しないが、所詮希少種は使い捨ての駒。そのように大事にするものではない」
「まぁあなたったら。これだから殿方は嫌なんです。何が性奴隷ですか。その存在のせいでどれだけ多くの女達が泣いてきたことか」
「それも貴族の嗜みだぞ」
「そんなお言葉聞きとうございませんわ。とにかくユリウス。私は認めませんよ。性奴隷だなんて。早く売却でも何でもしてしまいなさいな」
「まぁ妻の言うとおり、転売するのも悪くはないがな。その希少種なら高値で売れる」
「お待ち下さい、父上、母上」
実際の父と母も、ユリウスがルカを紹介すれば、このような反応を返すのだろうか。それはわからないが、例え幻に言われたのでも、ルカを貶める言葉は聞き捨てならない。
「ルカは俺の妻も同然の人です。商品のように言われたり、性奴隷だと貶めるようなことは言わないでいただきたい。それに、どのように言われようと俺の思いに迷いはありません。俺はルカの全てを受け入れ、全てを認めると決めています。ルカは俺の全てです。一生涯大事にしたいと心から思ったただ一人の女性です」
そうユリウスが言い切ると、驚きに満ちた父母の顔がもやの中に沈んでいき、雲散霧消した。真っ暗だった水路の排水溝から陽光が射し込み、ルカの黒髪にあたった。
***
湖面に映ったユリウスは、石のようになったルカを決して離さず、またユリウスの父母と思われる人達を前にしてもルカを大事に思っているときっぱりと言い放った。そこにいたのは、出会ってから一貫して変わらない誠実なユリウスの姿だった。
「あらあら。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうわね、全く」
フロールは優しくルカの黒髪を撫でると、にっこり笑んだ。
「これでもまだルカは何か不安なのかしら?」
ルカは無言で首を振った。何か言おうと思ったけれど胸がいっぱいで言葉が出てこない。
「ほら。何してるの。早く戻りなさいな。ユリウスが待ってるわよ」
「……うん」
ルカは湖面から足を出すと立ち上がった。その背をフロールはそっと押し出す。
「私の体を見つけたら、キスをしてね。口を伝って私は自分の体に戻るから」
「わかった」
ルカは駆け出した。小川を伝って城壁の外へと。二度とこの場所には戻らない。そんな気がした。
***
「……ユリウス…」
小さな声でルカが名を呼んだ。ルカの顔を見ると、真っ黒な瞳と目があった。
「離さないでいてくれたんだね、ユリウス」
ルカは少しぼうっとした眼差しをしている。ユリウスが幻を見たのと同じように、ルカもまた何かを見たのかもしれない。ルカの重みは、いつもの軽さに戻っていた。
「ルカ。愛してるよ、ルカ」
抱きしめるとルカはくすぐったそうな顔をして、でも嬉しそうに頬をほころばせた。
「わたしも。わたしもユリウスが好き」
その言葉に、以前のルカの好きよりももっと深く大きなものを含んでいることは間違いなかった。ユリウスの思いに、ルカの好きが追いついてきた。ユリウスは、こんな状況に関わらず目頭が熱くなった。
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