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第三章
女の希少種は貴重な存在*
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※未遂ですが少し無理矢理表現あります。苦手な方は回避して下さい。
前話のあらすじ
ルカを探して部屋に飛び込んだユリウスですが、スメーツ侯爵のもとにはルカはいなかったというくだりとなります。その後ルカをさらったと思われる男を追って、ユリウスは水路へと入っていきます。一方のルカは↓
――――――――――――――――――――――
暗い中、ひたひたと走る足音が反響している。
「んっ」
ルカは痛みに気を失っていた。途中まで意識を失うまいとしていたが、耐えきれなかった。
まだそれほど時は経っていないはずだ。殴られたお腹の痛みはちっとも収まっていない。ルカを担いだ男は、どこかを走っているようだ。足音が妙に反響している。ひとまず王宮へ連れて行かれているようではなくて、ほっとした。
男の動きが変わった。走っていたのが止まり、どこかを登っているようで、みしみしと木の軋む音がする。続いて扉を開く音。鍵の閉まる音がして、ルカを覆っていた布が取り払われた。
目が慣れるまでにしばらくかかった。それほど広くはないが、キッチンにテーブル、椅子、ベッドが整然と並んだ小綺麗な部屋だった。ルカを担いでいた男が目の前にいて、ルカは抗議の声をあげた。
「んんんっ!」
が、変わらず口に巻かれた布に阻まれた。
「取ってやるが、叫ぶなよ? 近所に怪しまれるからな。いいな?」
ルカはコクコクと頷いた。男はルカの口に巻いた布をほどいた。布が取れた途端、ルカは息を吸い込んだ。思いっきり叫んでやろうと思った。
「だっ!」
一声目でルカの口は男の大きな手のひらに覆われた。
「んんんんっ、!」
再びくぐもった声を出し、男を睨みつけた。
「叫ぶなと言ったろう。ここは王都のど真ん中なんだ。貴族街から離れているが、近隣にはたくさんの人が住んでるんだ。人に来られたら困る。頼むから静かにしてくれよ」
体の大きな希少種の男は、身を縮めて弱りきったように言った。
「勝手に連れてきたのは悪かったさ。だがな、いくらいい暮らしができるからって、性奴隷なんかしてちゃだめだ。おまえ、女だろう? すぐに妊娠しちまうぞ」
ルカは男の手を引き剥がした。
「性奴隷なんかしてない。なんか勘違いしてない?」
「違うのか? 女の希少種なんて珍しいから、リスクを冒す物好きな貴族がいるもんだとおもってつい……。まだ名乗ってなかったな。俺はハルムだ」
ハルムは、五年前に王宮から逃げ出したのだという。かれている噴水の排水口から、外へ行けることに気がついたハルムは、そこから脱走したそうだ。
今は普段は髪を茶色に染めて、人に混じって王都で職を得て働きながら生活しているという。
「目の色だけは誤魔化しようがないんだけどな。親方は限りなく黒に近い茶色だと思ってる」
親方とはハルムを雇っている大工だそうだ。王都や近郊で家を建てているという。
「じゃあどうして危険を冒してまで王宮に忍び込んだの? せっかく上手くやってるのに、見つかったら全部台無しになってたかもしれない」
ハルムの大きな体は目立つ。ハルムを知っている王宮奴隷もいるだろうに、危ない橋を渡ったものだ。
「そりゃ女の希少種がいるかもって思ったからだよ」
バッケル王国内には、ご主人様のもとから逃げ出し、ハルムのように髪を染め、人と混じって生活している希少種が他にもいるという。その仲間から、女の希少種が王都に入ったと漏れ聞き、居ても立っても居られなくなった。
そんな情報が流れたとすれば、盗賊をやっていたディックたちだろう。おかげで余計なトラブルに巻き込まれた。
ディック達のときも思ったが、女の希少種というのは珍しいのだろうか。確かに王宮では見かけなかったが、性奴隷として役に立たないからだとエメレンスは言っていたのに。
「女だからって、勝手にこんなことされてすごい迷惑。ユリウスもエメレンスも心配してるだろうし」
「おまえ、女の希少種の価値をわかってないのか? 女の希少種ってのはな、希少種が百人いて一人いるかいないかって貴重な存在なんだ」
「そんな大げさな。それだと数が合わない」
ルカのもっともな指摘にハルムはうっと詰まった。
「確かに今のは言い過ぎた。だがな、少ないってのはほんとだ。だから奴隷商は女の希少種を大事に囲って、男とやらせるんだ。そのせいで、女の希少種はめったにお目にかかれない。とくに俺たちみたいに外で隠れて暮らしてる希少種にとって、女の希少種は喉から手が出るほど欲しいんだよ」
「出さないで、気持ち悪いから」
「わかってらぁ」
なんか調子狂うなぁとハルムは頭をぽりぽり掻いた。
「とにかくな、俺はあんたとやって、子供が欲しいんだよ」
「やだよ。人に混じって暮らしてるなら、誰か娶ればいいでしょ」
そんな理由でお尻に入れられてはたまらない。
「怖くてできっかよ。産まれた子がもし黒髪黒目だったらどうする。恐ろしくて女とやろうにもやれない。溜まってんだよ」
「知らない、そんなこと。わたし帰るから」
ルカは落ちていたハルムのフードを失敬すると扉に手をかけた。その手を後ろからハルムはつかんだ。
「放してよ」
すぐさま手を振りほどこうとしたが、ルカの言を無視して、ハルムはあいた左手でルカの腰の辺りを引き寄せると首筋を舐めてきた。
「ひゃっ! 何すんの、くすぐったいし、気持ち悪いよ」
「ああ、この匂い。たまんない」
ハルムは、はぁはぁと次第に息を荒くし、ルカの耳や首筋を舐めながら扉にルカを押し付け、腰を密着させてきた。お尻に膨らみが触れている。その膨らみをハルムは擦り付けるようにルカのお尻に押し付けてくる。服を着ているから入ることはないが、気持ち悪い。
「やめてよ」
生暖かいハルムの息も、腰をぐりぐり押し付けてくるその行為も嫌だ。耐え難くなり、ルカはつかんでいるハルムの手に思い切り噛み付いた。
「いてっ! 何すんだよ」
「それはこっちだよ。気持ち悪いから放して」
「もう我慢できるわけねぇだろ。やらせろ」
ハルムはそう言うなりルカを後ろから抱きかかえ、ベッドの上に放り投げた。視界が反転し、現状を把握できたときには、ハルムがルカの上にのしかかっていた。
「ちょっと。重い。どいてよ、どいてっ! 嫌だって」
ルカはハルムの胸を押し返し、腕を振り回して叩いた。でもハルムにとってはさほどの抵抗ではなかったらしい。構わず顔を寄せてくるとうなじに顔を埋め、耳や首筋をまた舐めだした。
「はぁ、はぁ……。やっぱり同じ仲間の匂いはいいな。大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてやっからさ」
すでに気持ち悪いのに何を言っているのか。
ルカは可能な限り手足を動かしてハルムを叩いたり蹴ったりしたが、夢中になっているハルムはそんな抵抗など気にした様子もない。
耳を舐めながら、ワンピースの腰紐を解き、スカートをたくし上げて下着に手をかけてくる。
一体何が起こっているのかよくわからない。
ハルムはルカの下着を取り去ると、膝でルカの足を割り、大きく開かせると手を伸ばしてきた。
「……っ!」
ルカはその手を思い切り爪で引っ掻いた。がりっと皮膚を裂く感触があり、ハルムはばっと手を引いた。
「いって! 何しやがる!」
ハルムは傷ついた自身の手を見て頬に朱を走らせ、ルカのワンピースの胸ぐらをつかむと力任せに引き裂いた。
「やめてよっ!」
ルカは腕を突っぱねて抵抗するも、ハルムは難なくルカのワンピースを全て取り去ると、少し膨らんだとエメレンスが言っていた胸に口を寄せた。胸の先がハルムの口に含まれ、舌でなぶるように転がされる。ここまで来ると気持ち悪さも頂点で、ルカはハルムの髪の毛を思いっきり引っ張った。
「いて! んだよ、だからいてぇって。引っ張んな……。っておい」
顔を上げ、ようやくルカの顔を見たハルムが驚いたように目を見張った。
「おまえ、なんで泣いてんだ?」
「だから嫌だって言った」
「何もはじめてってわけじゃないだろ?」
ルカがハルムを睨みつけると、ハルムは、「え? まじで?」と口をあんぐり開けた。
「おいおい、ほんとかよ。……だったら悪かったよ。なんだよ、性奴隷じゃないってのは、ほんとにほんとなのかよ」
「だからそう言った」
「あー、くそっ。まじかよ」
ハルムはがばりと勢いよくルカからどくと、背を丸めて向こうを向いた。
「わりぃ。もうほんと我慢できないんだ」
ハルムは呟いて、ルカに背を向けたまま手を動かす。
「何してるの?」
背を向け手を動かすそのシルエットには既視感がある。そうだ。ユリウスだ。一度浴室を開いたとき、背を向けたユリウスがちょうどこんな感じだった。興味本位からルカはハルムを覗いた。ハルムは股間のものを片手で包んでこすっていた。
「それって何してるの?」
「うるせぇ。黙ってろ」
黙っていろと言われたが、見るなとは言われなかった。ハルムははぁはぁ言いながら、赤く大きくなったものを熱心に擦り、突然腰を跳ねさせた。と思ったら先から白くてどろっとした液体が飛んだ。
「わっ……。何それ」
ハルムは大量の白濁液を吐き出した。飛び散った液がハルムの黒い陰毛や大腿、シーツにまで垂れている。
「そこの布とってくれ」
確かに何か拭くものが必要だ。ルカはハルムの指さした布を取って渡してやった。
「射精を見るのもはじめてなのか? まぁそうだろな」
ハルムは丁寧に液を拭き取りながら、物珍しげに見ているルカに話しかけた。
「すごいね。あんなに勢いよく出るんだね。それって何?」
「はは。小水じゃないぞ。精液だ。これをおまえの腹ん中に入れたら、運が良ければ子供ができる」
「セーエキ? ふうん。そうなんだ。でも嫌だよ。絶対痛いもん。そんなのお尻にいれたら」
「尻だと?」
ハルムはまじまじとルカを見た。
ハルムが何か言おうとしたその瞬間、家の扉が吹っ飛んだ。
前話のあらすじ
ルカを探して部屋に飛び込んだユリウスですが、スメーツ侯爵のもとにはルカはいなかったというくだりとなります。その後ルカをさらったと思われる男を追って、ユリウスは水路へと入っていきます。一方のルカは↓
――――――――――――――――――――――
暗い中、ひたひたと走る足音が反響している。
「んっ」
ルカは痛みに気を失っていた。途中まで意識を失うまいとしていたが、耐えきれなかった。
まだそれほど時は経っていないはずだ。殴られたお腹の痛みはちっとも収まっていない。ルカを担いだ男は、どこかを走っているようだ。足音が妙に反響している。ひとまず王宮へ連れて行かれているようではなくて、ほっとした。
男の動きが変わった。走っていたのが止まり、どこかを登っているようで、みしみしと木の軋む音がする。続いて扉を開く音。鍵の閉まる音がして、ルカを覆っていた布が取り払われた。
目が慣れるまでにしばらくかかった。それほど広くはないが、キッチンにテーブル、椅子、ベッドが整然と並んだ小綺麗な部屋だった。ルカを担いでいた男が目の前にいて、ルカは抗議の声をあげた。
「んんんっ!」
が、変わらず口に巻かれた布に阻まれた。
「取ってやるが、叫ぶなよ? 近所に怪しまれるからな。いいな?」
ルカはコクコクと頷いた。男はルカの口に巻いた布をほどいた。布が取れた途端、ルカは息を吸い込んだ。思いっきり叫んでやろうと思った。
「だっ!」
一声目でルカの口は男の大きな手のひらに覆われた。
「んんんんっ、!」
再びくぐもった声を出し、男を睨みつけた。
「叫ぶなと言ったろう。ここは王都のど真ん中なんだ。貴族街から離れているが、近隣にはたくさんの人が住んでるんだ。人に来られたら困る。頼むから静かにしてくれよ」
体の大きな希少種の男は、身を縮めて弱りきったように言った。
「勝手に連れてきたのは悪かったさ。だがな、いくらいい暮らしができるからって、性奴隷なんかしてちゃだめだ。おまえ、女だろう? すぐに妊娠しちまうぞ」
ルカは男の手を引き剥がした。
「性奴隷なんかしてない。なんか勘違いしてない?」
「違うのか? 女の希少種なんて珍しいから、リスクを冒す物好きな貴族がいるもんだとおもってつい……。まだ名乗ってなかったな。俺はハルムだ」
ハルムは、五年前に王宮から逃げ出したのだという。かれている噴水の排水口から、外へ行けることに気がついたハルムは、そこから脱走したそうだ。
今は普段は髪を茶色に染めて、人に混じって王都で職を得て働きながら生活しているという。
「目の色だけは誤魔化しようがないんだけどな。親方は限りなく黒に近い茶色だと思ってる」
親方とはハルムを雇っている大工だそうだ。王都や近郊で家を建てているという。
「じゃあどうして危険を冒してまで王宮に忍び込んだの? せっかく上手くやってるのに、見つかったら全部台無しになってたかもしれない」
ハルムの大きな体は目立つ。ハルムを知っている王宮奴隷もいるだろうに、危ない橋を渡ったものだ。
「そりゃ女の希少種がいるかもって思ったからだよ」
バッケル王国内には、ご主人様のもとから逃げ出し、ハルムのように髪を染め、人と混じって生活している希少種が他にもいるという。その仲間から、女の希少種が王都に入ったと漏れ聞き、居ても立っても居られなくなった。
そんな情報が流れたとすれば、盗賊をやっていたディックたちだろう。おかげで余計なトラブルに巻き込まれた。
ディック達のときも思ったが、女の希少種というのは珍しいのだろうか。確かに王宮では見かけなかったが、性奴隷として役に立たないからだとエメレンスは言っていたのに。
「女だからって、勝手にこんなことされてすごい迷惑。ユリウスもエメレンスも心配してるだろうし」
「おまえ、女の希少種の価値をわかってないのか? 女の希少種ってのはな、希少種が百人いて一人いるかいないかって貴重な存在なんだ」
「そんな大げさな。それだと数が合わない」
ルカのもっともな指摘にハルムはうっと詰まった。
「確かに今のは言い過ぎた。だがな、少ないってのはほんとだ。だから奴隷商は女の希少種を大事に囲って、男とやらせるんだ。そのせいで、女の希少種はめったにお目にかかれない。とくに俺たちみたいに外で隠れて暮らしてる希少種にとって、女の希少種は喉から手が出るほど欲しいんだよ」
「出さないで、気持ち悪いから」
「わかってらぁ」
なんか調子狂うなぁとハルムは頭をぽりぽり掻いた。
「とにかくな、俺はあんたとやって、子供が欲しいんだよ」
「やだよ。人に混じって暮らしてるなら、誰か娶ればいいでしょ」
そんな理由でお尻に入れられてはたまらない。
「怖くてできっかよ。産まれた子がもし黒髪黒目だったらどうする。恐ろしくて女とやろうにもやれない。溜まってんだよ」
「知らない、そんなこと。わたし帰るから」
ルカは落ちていたハルムのフードを失敬すると扉に手をかけた。その手を後ろからハルムはつかんだ。
「放してよ」
すぐさま手を振りほどこうとしたが、ルカの言を無視して、ハルムはあいた左手でルカの腰の辺りを引き寄せると首筋を舐めてきた。
「ひゃっ! 何すんの、くすぐったいし、気持ち悪いよ」
「ああ、この匂い。たまんない」
ハルムは、はぁはぁと次第に息を荒くし、ルカの耳や首筋を舐めながら扉にルカを押し付け、腰を密着させてきた。お尻に膨らみが触れている。その膨らみをハルムは擦り付けるようにルカのお尻に押し付けてくる。服を着ているから入ることはないが、気持ち悪い。
「やめてよ」
生暖かいハルムの息も、腰をぐりぐり押し付けてくるその行為も嫌だ。耐え難くなり、ルカはつかんでいるハルムの手に思い切り噛み付いた。
「いてっ! 何すんだよ」
「それはこっちだよ。気持ち悪いから放して」
「もう我慢できるわけねぇだろ。やらせろ」
ハルムはそう言うなりルカを後ろから抱きかかえ、ベッドの上に放り投げた。視界が反転し、現状を把握できたときには、ハルムがルカの上にのしかかっていた。
「ちょっと。重い。どいてよ、どいてっ! 嫌だって」
ルカはハルムの胸を押し返し、腕を振り回して叩いた。でもハルムにとってはさほどの抵抗ではなかったらしい。構わず顔を寄せてくるとうなじに顔を埋め、耳や首筋をまた舐めだした。
「はぁ、はぁ……。やっぱり同じ仲間の匂いはいいな。大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてやっからさ」
すでに気持ち悪いのに何を言っているのか。
ルカは可能な限り手足を動かしてハルムを叩いたり蹴ったりしたが、夢中になっているハルムはそんな抵抗など気にした様子もない。
耳を舐めながら、ワンピースの腰紐を解き、スカートをたくし上げて下着に手をかけてくる。
一体何が起こっているのかよくわからない。
ハルムはルカの下着を取り去ると、膝でルカの足を割り、大きく開かせると手を伸ばしてきた。
「……っ!」
ルカはその手を思い切り爪で引っ掻いた。がりっと皮膚を裂く感触があり、ハルムはばっと手を引いた。
「いって! 何しやがる!」
ハルムは傷ついた自身の手を見て頬に朱を走らせ、ルカのワンピースの胸ぐらをつかむと力任せに引き裂いた。
「やめてよっ!」
ルカは腕を突っぱねて抵抗するも、ハルムは難なくルカのワンピースを全て取り去ると、少し膨らんだとエメレンスが言っていた胸に口を寄せた。胸の先がハルムの口に含まれ、舌でなぶるように転がされる。ここまで来ると気持ち悪さも頂点で、ルカはハルムの髪の毛を思いっきり引っ張った。
「いて! んだよ、だからいてぇって。引っ張んな……。っておい」
顔を上げ、ようやくルカの顔を見たハルムが驚いたように目を見張った。
「おまえ、なんで泣いてんだ?」
「だから嫌だって言った」
「何もはじめてってわけじゃないだろ?」
ルカがハルムを睨みつけると、ハルムは、「え? まじで?」と口をあんぐり開けた。
「おいおい、ほんとかよ。……だったら悪かったよ。なんだよ、性奴隷じゃないってのは、ほんとにほんとなのかよ」
「だからそう言った」
「あー、くそっ。まじかよ」
ハルムはがばりと勢いよくルカからどくと、背を丸めて向こうを向いた。
「わりぃ。もうほんと我慢できないんだ」
ハルムは呟いて、ルカに背を向けたまま手を動かす。
「何してるの?」
背を向け手を動かすそのシルエットには既視感がある。そうだ。ユリウスだ。一度浴室を開いたとき、背を向けたユリウスがちょうどこんな感じだった。興味本位からルカはハルムを覗いた。ハルムは股間のものを片手で包んでこすっていた。
「それって何してるの?」
「うるせぇ。黙ってろ」
黙っていろと言われたが、見るなとは言われなかった。ハルムははぁはぁ言いながら、赤く大きくなったものを熱心に擦り、突然腰を跳ねさせた。と思ったら先から白くてどろっとした液体が飛んだ。
「わっ……。何それ」
ハルムは大量の白濁液を吐き出した。飛び散った液がハルムの黒い陰毛や大腿、シーツにまで垂れている。
「そこの布とってくれ」
確かに何か拭くものが必要だ。ルカはハルムの指さした布を取って渡してやった。
「射精を見るのもはじめてなのか? まぁそうだろな」
ハルムは丁寧に液を拭き取りながら、物珍しげに見ているルカに話しかけた。
「すごいね。あんなに勢いよく出るんだね。それって何?」
「はは。小水じゃないぞ。精液だ。これをおまえの腹ん中に入れたら、運が良ければ子供ができる」
「セーエキ? ふうん。そうなんだ。でも嫌だよ。絶対痛いもん。そんなのお尻にいれたら」
「尻だと?」
ハルムはまじまじとルカを見た。
ハルムが何か言おうとしたその瞬間、家の扉が吹っ飛んだ。
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