【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~密室~

不正解

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きっと、私の態度が… 
杉崎さんに対する態度が、良くなかったのだ…

杉崎さんが言うように、私が杉崎さんをあからさまに避けているように、見えたのかもしれない…。

事実…私は確かに… あの日以来、杉崎さんと距離を取っていたように思う…。
まともに、目を合わせることをしなかった…

出張の日に、あんなにも杉崎さんと狂おしく、抱き合っておいて…
その…ほんの少し後に… 
翌日に… 事実として、拓海に…抱かれてしまった自分を…心底、恥ずかしいと思った…

杉崎さんに知られれば、どんな風に思われるか… 
 
とにかく、知られたくなかった… 

だからこそ、無意識に杉崎さんとの接触を減らし、対話を避けてしまっていたように、思う…。 
その結果が、今のこの状況だ…  
私が悪い…。

私が杉崎さんによからぬ疑惑を持たせ…心配をかけてしまった事が、この事態の発端だ…。 

自業、自得だ…。

もはや、言うしかない… 

やっぱり、杉崎さんに、嘘はつけない… 
私は意を決して、口を開く。

「… … あの日は … …」

「… うん …」

「… … あの夜は … …」

「… うん …」こくりと頷く杉崎さんの唇が、目に映る…。

「… 杉崎さんの、仰る通り… です… 私は、拓海と… 彼と… そういうことを、しました… 」

正確には違う…  した… では、ない… 
合意じゃない… された、が、正しい…。決して、積極的ではなかった… 

でも、今更…そんなことを言って、どうなるのだろう…私が拓海を受け入れてしまった事実は変わらない…。
私は、もはや、詳しく語ることをしなかった…。

「… … そう … …」小さな声が、耳に届く…。

「… はい… 」

「… そう、か …」更に、低い声が、耳に響いた…。

「… はい… 」

もはや、杉崎さんを直視することはできずに、私は視線をテーブルに落とす…。

「… … … 」それきり、杉崎さんは何も言わなくなって… 

シンとした室内で… 

次第に、わけのわからないような息苦しさが、増していく…

もしかして、駄目な対応だったのかも、しれない…。 
やはり、なんとしてでも、何事もなかったと誤魔化すべきだったのだろうか…

私は緊張しながらも、正面を向けずに下を向いたまま…杉崎さんの次の言葉を待った…。


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