【完結（続編）ほかに相手がいるのに】

～不安～

暴力

それから、二日ほど経ってからのことだ。

「あ…　　…　きたぁ…　」

私は一人、職場の女子トイレでつぶやいた…。

予定日を過ぎてもなかなか来なかった生理が、やっと来た…！

毎月、大体決まった周期で生理がくることが、私にとっての、いつもと同じ日常…

でも、そのことに…これほどまでに安堵のため息が漏れたのは、初めてのことだ…。

拓海との、あの夜…　　
あの夜から、ずっと、今日まで…　本当に…本当に、怖かった…

もしも、もしもと色々なことを想像するだけで、毎日怖くて仕方がなかった…。
でも、そのことばかりを考えていては駄目だ…
仕事も…日々の生活だって、あるのだからと…そんな風に、自分自身の感情を何とかコントロールしながら、今日まで過ごしてきた。　

　　　　赤ちゃんの誕生…

本来は、嬉しいことで、本当に喜ばしいこと…　　
小さな、命の誕生…　

だけど…　今回は…　不安しかなかった…。

あの夜に、拓海が私にした行為が、打ち消しても打ち消しても…
何度も私の頭の中に蘇り…その情景が、脳内を駆け巡り…　
そして、冷静になって考えた時に、
私はもはや、こう結論づけるよりほかなかった…。

あれはきっと、性暴力…　それに、違いない…。

恋人の間であっても…たとえ、夫婦の間であっても…

相手が同意していない性行為を強いることは、性暴力だ…。　　

たとえば、暴力をふるって相手をねじ伏せて行うような、目に見えてわかりやすい性行為だけでなく…相手がなんら同意もしていないのに、避妊をせずに無理矢理にセックスをする行為も、間違いなく性暴力だ。