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~拓海~
オールOK
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「ふうっ…」
課長との食事を済ませ、俺は歯磨きを終えてすぐに部屋には戻らずに休憩室に向かった。
部屋に戻れば、また笠村がいる…。
結局、普段はあまり見せたこともないような笑顔を浮かべ、笠村は始終ご機嫌だった。
俺は奴の質問に全く答えず、あのままセクハラを盾として防御の姿勢を貫いたわけだが、奴がにこにこと笑う意味がわからない。俺とパスタ食って嬉しいと言った意味も、もっと、わからない…。
あれからはほとんど笠村が話を俺に振ってくるのみで、俺は適当に返事をして終わったが、なんか異様に疲れた…。
あの男はなんか変だ…間違いなく、俺の中にはそんな判定が下った…。
まだ、精神的にも休憩が必要だ。
時計を見るとまだ、始業の13時まで10分少しある。
食後の珈琲でも飲んで、気分改め真面目に仕事しなきゃ、マジで今日のノルマが終わらない…。
ガコン・・・ ・・・
俺は自販機から無糖のアイスコーヒー缶を取り出し、蓋を開けて飲み始める。
「あら~ 長谷川さん! …体調はその後どう…?大丈夫…??」
「あ… は、はい… もう、大丈夫っす…。」
朝のミーティングにも顔を出していた俺より少し年上で先輩の原田さんが、立ったまま俺を見下ろしていた。
ワインレッドような色味のスカートの生地に覆われたぴっちりした腿のラインが、俺の目の前を塞ぐ。
なんとなく、見てはならないような気がして、すぐに目を逸らす俺。
タイトスカートがとてもよく似合う、出来る女、代表のような、原田まどかさん。
メイクもばっちり決まっていて、仕事も段取りが良い…そしてなによりかなりの美人だ…。
確か、別の係にこれまたスペックの高い彼氏がいるって話。
そうだ…なんとなく、あの人…あの、杉崎って奴の彼女に似てる…かも…完全に色っぽい…。
彼女は俺の方を覗き込むようにして、言葉を続ける。
「…そう…?なんだか顔色悪かったし、…実は… 会議で寝てたでしょ…?」
「え… っ …マジですか…寝て…ました…?しかも、バレてる…?」
「…バレバレよ…だって、グーグー、いびきかいてたし…ふふっ…」
原田さんの紅い唇が、やわらかな弧を描く。
「えっ …!?マジっすか… うわ~~やべ~~恥ずかし~~~!!」
まさかの発言に、俺はたまらず両手で顔を隠す。
寝てたかもしれないとは思ってはいたが、本当にいびきまでかいているとは思わなかったからだ…。
笠村も食事の時に、そのことには触れなかった。
「…な~~んてね…嘘嘘!いびきは嘘だよ~でも、こっくりこっくりしてたから寝てたのはわかった…ふふ…」
「あ……そうですか… よかった…いや、良くはねえ…か… 」
「もしかして…二日酔い…?ヤケ酒…?なんか、あった…??隣、いい…?」
彼女の明るい声に…そして矢継ぎ早の質問攻めに…勢いに飲まれるように、俺はコクリと頷いた。
ふわりと香る、香水の香り。
「んーー… ずばり、失恋…かな…?」茶目っ気たっぷりな眼をして、彼女が俺を見る。
「… うっ … ば… バレ、ました…?」あ、しまった…と思ったが、時すでに遅し…。
なぜだろう…
笠村に言われた時にはあんなにもムカついたのに、この時俺には、そんな感情は生まれなかった。
しかも、即答…。
なんで、失恋と聞かれ、そのまま素直に答えたんだと、自分自身…不思議になる。
「…やっぱ、そっか…~~じゃあさ~~気を付けた方がいいよ、長谷川さん…!」
「… は…?気を…つける…??」
「…無自覚なとこがさ、ホントかわいいね…長谷川さんのこと狙っている人が結構いるってことよ…?ふふ…」
「えっ…!?」俺を…狙う人…どこに…誰が…?
「…気を付けなよ…なんか、いきなり、ランチに誘われてたしさ…ふふふ…」
「はっ…??」ランチがなんだ…ランチがどうした…?
なんだ…何を言っているのか、意味がわからない…。
「…何その、面白過ぎる反応…ふふ…途中経過、絶対聞かせてよ…大丈夫、私口は堅いし、ちょっとやそっとのことでは驚かないし…オールOKなタイプ…!じゃ、もう行くね…お疲れ…」
「はあ… おつかれ、さまです…。」
彼女が口にした言葉…
全てを繋げれば、なんとなく繋がりそうで…
いや絶対…全ての言葉を、繋げるわけには行かない…。
俺は浮かびそうになる想像を振り切るように、残りのコーヒーを一気に飲み干した。
課長との食事を済ませ、俺は歯磨きを終えてすぐに部屋には戻らずに休憩室に向かった。
部屋に戻れば、また笠村がいる…。
結局、普段はあまり見せたこともないような笑顔を浮かべ、笠村は始終ご機嫌だった。
俺は奴の質問に全く答えず、あのままセクハラを盾として防御の姿勢を貫いたわけだが、奴がにこにこと笑う意味がわからない。俺とパスタ食って嬉しいと言った意味も、もっと、わからない…。
あれからはほとんど笠村が話を俺に振ってくるのみで、俺は適当に返事をして終わったが、なんか異様に疲れた…。
あの男はなんか変だ…間違いなく、俺の中にはそんな判定が下った…。
まだ、精神的にも休憩が必要だ。
時計を見るとまだ、始業の13時まで10分少しある。
食後の珈琲でも飲んで、気分改め真面目に仕事しなきゃ、マジで今日のノルマが終わらない…。
ガコン・・・ ・・・
俺は自販機から無糖のアイスコーヒー缶を取り出し、蓋を開けて飲み始める。
「あら~ 長谷川さん! …体調はその後どう…?大丈夫…??」
「あ… は、はい… もう、大丈夫っす…。」
朝のミーティングにも顔を出していた俺より少し年上で先輩の原田さんが、立ったまま俺を見下ろしていた。
ワインレッドような色味のスカートの生地に覆われたぴっちりした腿のラインが、俺の目の前を塞ぐ。
なんとなく、見てはならないような気がして、すぐに目を逸らす俺。
タイトスカートがとてもよく似合う、出来る女、代表のような、原田まどかさん。
メイクもばっちり決まっていて、仕事も段取りが良い…そしてなによりかなりの美人だ…。
確か、別の係にこれまたスペックの高い彼氏がいるって話。
そうだ…なんとなく、あの人…あの、杉崎って奴の彼女に似てる…かも…完全に色っぽい…。
彼女は俺の方を覗き込むようにして、言葉を続ける。
「…そう…?なんだか顔色悪かったし、…実は… 会議で寝てたでしょ…?」
「え… っ …マジですか…寝て…ました…?しかも、バレてる…?」
「…バレバレよ…だって、グーグー、いびきかいてたし…ふふっ…」
原田さんの紅い唇が、やわらかな弧を描く。
「えっ …!?マジっすか… うわ~~やべ~~恥ずかし~~~!!」
まさかの発言に、俺はたまらず両手で顔を隠す。
寝てたかもしれないとは思ってはいたが、本当にいびきまでかいているとは思わなかったからだ…。
笠村も食事の時に、そのことには触れなかった。
「…な~~んてね…嘘嘘!いびきは嘘だよ~でも、こっくりこっくりしてたから寝てたのはわかった…ふふ…」
「あ……そうですか… よかった…いや、良くはねえ…か… 」
「もしかして…二日酔い…?ヤケ酒…?なんか、あった…??隣、いい…?」
彼女の明るい声に…そして矢継ぎ早の質問攻めに…勢いに飲まれるように、俺はコクリと頷いた。
ふわりと香る、香水の香り。
「んーー… ずばり、失恋…かな…?」茶目っ気たっぷりな眼をして、彼女が俺を見る。
「… うっ … ば… バレ、ました…?」あ、しまった…と思ったが、時すでに遅し…。
なぜだろう…
笠村に言われた時にはあんなにもムカついたのに、この時俺には、そんな感情は生まれなかった。
しかも、即答…。
なんで、失恋と聞かれ、そのまま素直に答えたんだと、自分自身…不思議になる。
「…やっぱ、そっか…~~じゃあさ~~気を付けた方がいいよ、長谷川さん…!」
「… は…?気を…つける…??」
「…無自覚なとこがさ、ホントかわいいね…長谷川さんのこと狙っている人が結構いるってことよ…?ふふ…」
「えっ…!?」俺を…狙う人…どこに…誰が…?
「…気を付けなよ…なんか、いきなり、ランチに誘われてたしさ…ふふふ…」
「はっ…??」ランチがなんだ…ランチがどうした…?
なんだ…何を言っているのか、意味がわからない…。
「…何その、面白過ぎる反応…ふふ…途中経過、絶対聞かせてよ…大丈夫、私口は堅いし、ちょっとやそっとのことでは驚かないし…オールOKなタイプ…!じゃ、もう行くね…お疲れ…」
「はあ… おつかれ、さまです…。」
彼女が口にした言葉…
全てを繋げれば、なんとなく繋がりそうで…
いや絶対…全ての言葉を、繋げるわけには行かない…。
俺は浮かびそうになる想像を振り切るように、残りのコーヒーを一気に飲み干した。
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