【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~二人~

宴会

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約束をした夕方の5時半少し前に、私は宴会場へ向かった。

そっと襖を開けると、先に杉崎さんが来ていて、くじ引き用と思われる箱の中をごそごそと確認しているところだった。

「お待たせしました…」私は、こちらに背を向けて座っている杉崎さんの背中に、声をかける。

「あ…あ、ありがと。水無月さん、ごめんね、少し早くに来てもらって…」
浴衣で…湯上り姿の杉崎さん… 少し濡れたような黒髪…色香の漂う首筋が目に飛び込んできて…一瞬、眩暈がした。杉崎さんの浴衣姿は何度見ても最強だ…そう思った。

「あ…いえ、…全然。では、準備を始めましょうか…」

私たち二人は、喫茶店で話した内容には一切触れずに、黙々と作業を始めた。
課長以外の席に番号札を置き、くじの方は中身が見えないように小さく折ってたたんで箱に入れる作業…。

ビールなどの飲み物の手配と、全体の挨拶や進行などの確認をして、いよいよ15分前になった。

もう、準備は万端ですることもなく、私と杉崎さんは無言で、畳に座っていた。

「水無月さん…今日はこの前とは違うお風呂に、行ったの…?」杉崎さんが、差しさわりのない質問をしてくる。

「はい…今日ものぼせそうなので、一つだけにしました。風が気持ち良くて景色も素敵でよかったですよ…?杉崎さんは…一つ?」

「うん…俺も一つにしたよ…なんだか宴会が気になってゆっくりできそうにないから、バタバタになっちゃったけどね…やっぱり下見の日、ゆっくり入ってて良かったよ…」

「そ…う、ですか…良かったですね…」

その後、…会話も続かずどうしようかと迷う頃、課内のメンバーがやっと二人ほど、やってきた。

「水無月さん、杉崎さん…今日はお世話になりま~す!」
私と同部屋の女性だ…。
同じ部屋だったのにお互いに部屋にいなくて結局ほとんど、打ち解けていない…
その後少しずつメンバーが集まり、滞りなくくじ引きを進める。
6時には全員がきちんと集合して、課長の挨拶で宴会が始まった。

私と杉崎さん、主任と石田さんの4人は幹事として、それぞれ4~5人のテーブルに一人、配置するような形で座った。だから杉崎さんとは…端と端…
でも、その存在を消すことはできなかった…。

ずっと…眼の端に杉崎さんの姿をとらえながら…私はなんとか、幹事としての仕事を全うした。

宴会は3時間で終了し、あとは各々、カラオケに行く人、バーに行く人、喫茶店に行く人…部屋で飲み直す人…様々に別れた。

でも私は…そのどれにも、参加する気になれなかった…

それどころではない…
一人になって、もう一度考えたい…そう思って部屋に戻って間もなく、一通のラインが届いた。

杉崎さんから…だった。
一体、何が書かれているのか…

私はドキドキしながら、ラインを開いた。











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