【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~二人~

彼の連絡

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ラインを開く。

『さっきはお疲れ様、色々ありがとう、トラブルもなく無事に宴会まで終わってほっとしたよ。ところでもう少し話したいと思ってたりするんだけど…無理かな…?もう、水無月さんは寝る時間だったりする?』

時計を見るとまだ9時過ぎ…まだ、杉崎さんと話をすることは可能だ…

でも、いったいどこであのような話の続き…なんて、できるだろう…
旅館内には喫茶店など話の出来る施設はいくつかあるが、すでに宴会の後にそれぞれその場所へ課の人達が散っていて、私と杉崎さんが二人でいるところを目撃される可能性は十分にある…。

人の目に、あやしく映ってしまうことはないだろうか…。

少しの時間、返信を迷っていると、私の返信を待たずに、続けてラインが送られて来る。

『…もし、差支えなければだけど…俺の部屋…なんてどうかな?実は部屋割りのくじ引きで、俺はラッキーなことにひとり部屋になってるんだ…だから、誰にも邪魔されることはないし、部屋にいさえすれば二人でいるところを見られることもない…バーとか、カラオケとか、今はどこも社員がいそうで落ち着かないなって思って…どうかな…?』

…杉崎さんの部屋… そのキーワードだけで、ドキリとした…

以前、杉崎さんが熱を出し仕事を休んだ時…一度だけ部屋に上がったことがある…。
その時も考えてみれば、完全に個室で二人きり… でも…その時とはわけが違う…。

どうしよう… 返事に悩み、スマホを握りしめたまま…また数分が経過する…。

スーー…旅館の襖が開く。

「あっ…!水無月さん~戻ってましたか~…宴会ではお世話になりました~すごい料理、美味しかったです~いい旅館選んでくれてありがとーございまっす!!」

陽気な同部屋の女性が部屋に戻ってきた。かなり酔っているようで頬を赤くして、にこにこと笑いかける。

「あ、いえいえ、とんでもないです。」そう答えると、

「あの!私これからカラオケに参加するんです~…んでもしかしたら夜遅くなるかも…下手したら部屋に戻らず友達の部屋で寝ちゃうかもなんで! 水無月さん良かったら、ゆったり部屋使ってください~なんなら私のベッドに誰か別の友達、寝かせてもいいんで~…ほぼ90%以上、ここには戻らないです~ ではでは!」

そう言って、少し大きめのバッグに荷物を手早く詰めて、部屋を後にする。

…本当に一人になってしまった…でも、まあ…いつも通り気楽でいられる…

しばらくして3通目の杉崎さんからのラインが届いた。

『ごめん…やっぱり、俺の部屋に来てとか、ちょっと不謹慎だったよね…俺、調子に乗って何言ってんだろう…気にしないで今日はゆっくり休んで…また、戻ったらゆっくり話そう!変な誘い方してごめん!お休み』

私が返信をもたもたしたせいで、杉崎さんにそんなラインをさせてしまった…。

どうしよう
…同部屋の女性も戻らない可能性が高いなら…戻る時間を気にしなくて良い…

そして、このままもやもやした気持ちを抱えて次の機会を待つくらいなら、いっそ今日…

私はそう決意して、返信をする。

『では…すみませんけどお言葉に甘えてお邪魔します。お部屋の番号を教えてください、少しだけお時間ください。15分位して伺います』

送信完了…。

私は意を決して、宴会前に施したメイクの崩れを直しに、洗面台へ向かった。



















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