【完結 R18】ほかに相手がいるのに

～杉崎～

分析

まただ…

まさかの、これで、3度目…

また、自宅近くの居酒屋で、水無月さんらに会ってしまった…。

初めて行く琉球居酒屋…
智花が行ってみたいというので、深く考えずに決めた店だ。
うまくすれば、例の話を…
今日が難しいようなら明日にでも話さねばと思っていたのに…このタイミングでなんでまた…会うんだ…。


しかもまた、挨拶を交わすだけでは済まずに、相席…の誘い…
もう正直まっぴらだと思っていたのに、また奴が…拓海が、無遠慮に声をかけてきた。

水無月さんが困っているのは表情からしても明らかだし、俺だって…正直気が進むものではない…。

せめて智花がやんわり拒否をしてくれたら良いものを…智花は智花で何を考えているのか断るでもなく、むしろ、はい喜んでといった態度で返事をし、結局…4人で食事を囲むこととなった。

このメンバーでは三度目だが、
毎回、俺に対しての拓海の…一種、探りのような質問…それをうまく交わしながら会話するのに多少、疲れてきていた…。
今日は果たして、一体何を言われ、何を…聞かれるのだろうか…

もしかしたら、旅行の日のことにさらっと触れてくるかもしれない…。

そんな風に少し身構えながら酒をいつもより多めに煽っていたら、案の定…拓海はその日のことに触れてきた…。

　　　　やはり、器が小さい男だ…。

気になるなら、水無月さん本人に聞くなりしたらいいのに…
直接本人に聞くのが怖いのかなんなのか…奴の真意はわからないが、
こんな席で、自分の彼女の潔白を信じたいがために俺に探りを入れてくるとは…本当に回りくどくて、情けない男だ。

俺は、彼女が困って言葉を濁しながら話し出す前に、旅行の日のことを真実を織り交ぜながら淡々と説明し、その日の話をなかば強引に終了させた…。

智花も拓海の質問に便乗するかのように少し話に乗っては来たが、拓海ほど、俺や水無月さんのその日の行動を細かく詮索するような聞き方はしてこなかった…。

智花の、こういうさっぱりしたところは好感が持てる部分でもある。

それにしても…　拓海…　

俺の目の前で、まるで仲の良さをアピールするかのように水無月さんの頭を撫で…
しかもわざわざ、こっちに来るときは宿泊料がかからないとか、水無月さんの家の方が落ち着くだの、たまにはホテルで宿泊するのも気分転換になっていいなどと…こちらが聞いてもいないことをいちいち…会話に乗せてくる。

何のつもりだ…。

俺に、やんわりと…釘を刺しているつもりか…？

拓海の立場で言えば、

…俺は帰省の際に彼女の家にいつも泊っているし、たまにはホテルにも行く…
そこで激しく抱き合っている…彼女は…葉月は俺のモノだ…誰にも渡さない…

たとえばそんな風に

　　　俺に、アピールしたいのだろうか…。