【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜余韻〜

おやじ?

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「ふぅ… ご馳走様でした、美味しかったね…」

正面に座る杉崎さんが私にふわりと微笑みかける。

「…って言っても、ほとんど俺だけだね、食べてたのは… 水無月さんはチョコをちょこっとだけ…。」

「はい… でもハーブティ、すごく美味しかったです… あの、チョコをちょこっと…って…もしかして杉崎さん、それって… … ギャグ…ですか… ?」

「そう、おやじだよね…ギャグだよ… 確認されるとなんか、余計、寒いね…言った後に、なんかすごく後悔した…」
苦笑する杉崎さん。

「ふっ… ふふっ…  前から言おうと思ってましたけど、杉崎さんは絶対、おやじじゃ、ないですよ…」

「いやいや…十分おやじ…立派なオッサン、だよ…いや、立派でもないか、そのへんにいる、ただのオッサンだよ…はは」

杉崎さんは、見た目も、中身も、こんなにも魅力があるのに、いつも謙遜し過ぎる…。
杉崎さんのような紳士で素敵な人は、絶対…そのへんに、いない。

「杉崎さん、まだ30前半じゃないですか… すごく…その…カッコいい…ですし…おじさんなんて、思ったことないです。」

かっこいいなんて…杉崎さんを前にして、初めて口にした…。
たまに、目の前の相手に面と向かって、可愛いとか、かっこいいとか、褒める人がいるが、私には絶対できないと思っていたのに…

今夜の私は、やっぱりなんだかおかしい…

「え… っと、ありがとう… なんか、嬉しいけど…照れるね。 あ…っと、もう12時、過ぎてるね…遅くまでごめん。そろそろさすがに、寝ようか…ここ、片付けよう…。」

そう言って杉崎さんがゆっくりと立ち上がり、テーブルの上を綺麗に片付け始める。
残りのものを冷蔵庫にしまい、バタンと小さなドアを閉めて、杉崎さんが私を振り返る。

目が合い、ドクンと、心臓がなる。

        寝ようか…

誰と… 
杉崎さんと私が、このベッドの上で…?
一緒に、寝るの… ?  朝まで… まるで、普通の恋人同士みたいに… 

「はい…もう、寝なきゃですね… あ、のっ…私、歯磨き、してきます…」
「うん…」杉崎さんの優しい、返答。

私は杉崎さんの方を見ないようにして、

      足早に洗面台へ向かった。




















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