婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します

早乙女 純

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十八話

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 「はぁ~」

 私は自室にあるベットに体をうつ伏せになって顔を埋めて息を吐いた。ついさっきまでお母様に捕まりノートン公爵家であったことを根掘り葉掘り聞かれたのだ。ノートン公爵家ではドレスの試着で、家ではお母様の質問責めだ。私は心身ともに疲れて切っていた。

(ベルラント様はどういうおつもりなのかしら?)

 私はベルラント様の真意を計りかねていた。ベルラント様との出会いは、私とアルベルトの婚約が決まったあと、すぐのことだった。ノートン公爵家と血縁のある家が集まるパーティーで、私はお父様とお母様に連れられて、お母様のお兄様であるノートン公爵家当主フェリクス様に挨拶をしに行ったときに私とベルラント様は出会った。ベルラント様は今と変わらず無口で無表情な方であった。友達の話を聞いてお兄様が欲しいと思っていた当時の私は、初めて会う従兄弟のベルラント様が自分にお兄様のような心地がして甘えたことを覚えている。どうしてベルラント様にそのような感覚を感じたのか覚えていないが、とにかく血縁関係のあり歳の近いベルラント様に親近感を感じたのだと思う。
 それで私は目を輝かせてベルラント様に色々と質問を投げかけたのだ。しかし、ベルラント様は全く質問に答えてくれなかった。それで私が拗ねていると困ったような表情をして私の頭を撫でてくれたのだ。たぶんベルラント様は私の扱いに困ってどうしたらいいのか測りかねていたのだろう。
 それから、私たちの交流はたまに開かれるノートン家のパーティーで会うくらいだった。私は成長するにつれて身分というものや淑女を理解し始め、ベルラント様に馴れ馴れしくすることはなくなり、完全にノートン公爵家嫡男のアルベルト様として接するようになった。さらに先代ノートン公爵であったフェリクス様が御逝去されてから、そのパーティーは開かれなくなりベルラント様と会うことはめっきりなくなっていたのだ。そんな状況で今日のこれだ。私が困惑するのも頷けるだろう。

 私は枕を抱えてベットにゴロゴロしていた。

(もう~何も分からないわ! どうしたらいいの!!)

 全く何も分からない今の状況に悶々とした感情が私の心に纏わりついていた。これからどうなるのかを考えてその日を私は終えたのだった。
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