審判を覆し怪異を絶つ

ゆめめの枕

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第一章 七不思議の欠片

ひと匙の後悔

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 あわあわと俺と月島のやり取りを眺めていた沢村が、話の軌道を修正する。多少頭が浮ついている気がするが、怪異について思考する方が余計なモノを考えずに済む。沢村にしては最良の判断だ。

「それは違うだろうな。怪異が情報を攪乱しているんだろ」
「うへえ、そんなことが出来んの?」

 月島が舌を出して肩を竦める。
 自分のテリトリーに誘き寄せるための手段でもあるので、可能だろう。だが今回の情報操作は鏡の怪異のせいではないから、適当に収めておかないとな。

「それじゃあ、調べようがないじゃん。私たちはどうすれば良いの?」
「怪異は存在自体が曖昧だと言ったろ。俺達の学校に現れた鏡の怪異と、他校で現れる鏡の怪異は内容が同一でも、細かい面では微々たる変化があるだろう。再度言うが、人から人へ伝達された際に、言葉は変遷してしまう。つまり誤った情報が怪異自体に反映されてしまうんだ」
「んーと。怪談話って、怖い体験とその回避方法も一緒に語られることがよくあるよね。そこに誤った情報が反映されちゃうってことは、怖い体験だけじゃなくて、回避方法まで変わっちゃうってことなの?」
「まあ、そういうことだな。同じ轍を踏むのは中々難しいだろう」

 だがそれは俺達の考察であって、確証はない。

「出来たら、ラッキー程度?」

 沢村が慣れてきたのか、おちゃらけてきた。

「そんな感じだ。だが反映された情報が、そこまで怪異の根底を覆すことはない筈だ。細かい箇所に多少の違いがあっても、対処方法は多からず似通っている可能性だってある。鏡に纏わる怪談話を集めて選別していくところから始めるべきだって話になる」

 すると沢村が「あ、それなら」と肩の辺りで小さく挙手した。視線を行ったり来たりさせ、発言しても良いのか目で訴えてきたので話を促す。

「昼休みに図書室に行ってみたんだけど、ここの図書室には怪談話とかあまり本がないみたい。司書の先生か図書委員の子に聞こうと思ったら誰も来ないし、インターネットやほかの本屋で探した方が良いかも」
「りょうかい! 行動早えな、沢村!」

 月島が褒めると、沢村は遠慮がちに照れた。
 話は終わったな。俺はそう見切りをつけ、鞄を手に取ってから、彼らへと振り返る。

「じゃあ俺はもう帰る。お前らも好きにやれ」

 二人の返事を待つことなく教室から出ていく。後ろから「え? あ、うん。了解!」「じゃあな。気を付けて帰れよ」と呑気な声が響いた。
 ……厄介な奴らをこの実験に引き入れてしまったかもしれないな。ポジティブなのは良いことだが、能天気と莫迦は少し困る。
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