難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第二章】蓮牙山同盟

【第二十三話】修行

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 後日、俺とカシュカは村長の屋敷の庭で、修行をつけてもらうことになった。


 雲は厚かったが、雪は降っていない。


 カシュカは、ドライスから剣術の修行を付けてもらう事に張り切っているようだった。


 王国軍との戦い以来、俺の稽古とは別に、自分の稽古も怠ってはいない。
 むしろ、激しくなっているほどである。


 剣術の修行だったが、遣うのは木刀だった。


「まずは、私の前で二人が立合うのだ。それで、癖や隙などがないか見させてもらう」


 ドライスは、修行の時になると口調が変わった。


 俺の予想では、武術を教えるような仕事でもしていたのかもしれない。


 カシュカと向かい合い、構えた。


 木刀だからと、甘い考えは持たないことにした。


 ジラサとの一騎討ちを、想像する。


 束の間、お互いの動きが止まった。


 潮の満ち干きのように気が満ちて、また干いていく。


 これ以上に無いと感じる程気が満ちた瞬間、お互いが同時に動いた。


 木刀がぶつかり合い、位置が入れ替わる。


 お互いに、隙は無い。


 カシュカが踏み込んできたので、俺はあえてもっと深くに踏み込んだ。


 カシュカにとってそれが不意だったのか、僅かに木刀の筋がぶれた。


 その瞬間を見逃さず、俺は木刀を弾き、振り下ろす。


「止め」


 ドライスが言った。


 僕の木刀は、カシュカの頭上数センチの所で止まっていた。


 お互い汗をかいていることに、初めて気付いた。


「カシュカは基本に忠実で、無難な剣術を持っているようだ。だが、だからこそ相手が予想外の動きをすると太刀筋がぶれるのだ。カイトは、反射神経に優れ、身の危険を顧みない所がある。危険と分かっても、あえて懐に入り込むほどの豪胆さがお前にはあるのだな」


 自覚は無かったが、ドライスは的確なことを言っていると思った。
 どうやら、カシュカも同じことを考えているのだろう。


 それからはカシュカと俺で、別々に修行を付けてもらうようになった。


 午前はカシュカ、夕刻は俺ということになった。


 日が経つに連れ、ソランは少しづつ体調が良くなっているようだった。


 初めは布団から出ることも出来なかったのが、起き上がれるようになり、今では屋敷の庭先まで出ることも多くなった。


 武術の修行は、カシュカのものとは比べ物にならない程、厳しかった。


 向かい合って構えるが、隙があると容赦なくそこに打ち込んでくるのだ。


 俺は真剣を遣っているが、ドライスは木刀だったり、棒術、素手だったりする。


 彼は剣士ではあるものの、他の武器も相当に使いこなせるようだ。





 そして次の来訪者が現れたのは、ひと月ほど経ってからだった。
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