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【3章】攻守交代......と思いきや、ハルトのターンが終わらない
26.わかってないなぁ
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お昼です。正午のベルとともに、ハルト様がわたくしを迎えに来てくださいました。
「ハルト様、会いたかったです!」
わたくしはハルト様に飛びつきます。けれど、ハルト様はどうにも浮かない表情です。
(ああ、こんなにも影響が大きかったなんて……)
出勤中はそんな感じじゃなかったんですが、訓練中に考え込んでしまったのでしょうか? 本当に申し訳ない……と思うのですが、それと同時に、ハルト様の中でわたくしという存在がそんなにも大きくなっているんだなぁなんてことを思ってしまいました。
(いけません。ハルト様は傷ついていらっしゃるのに、不謹慎です)
……でもでも、つまりはそういうことでしょう? 嬉しいなぁとか思っちゃうのが乙女心ってものですよ。
「今日は外に食べに行きませんか? 近くにあるオススメのお店をプレヤさんに教えてもらったんです。美味しいし、気分転換に最適だし、デート感を味わえると思うよって言ってました! わたくし、ハルト様とデートがしたいです!」
「デート……ああ、行こうか」
いつもよりテンションやや低めのハルト様を引っ張って、わたくしたちは魔術師団を出ました。
到着したのは、レトロで可愛い出で立ちのお店です。家とも職場とも雰囲気がまったく違いますし、なにもかもがオシャレで可愛くて、見ているだけでテンションがあがります。ランチにはパスタにサラダ、パンにデザート、それからコーヒーがつくとのことで、これまたテンションがあがってしまいます。ランチの相手、ハルト様ですしね(超重要)!
「ハルト様、午前中の訓練はいかがでしたか?」
努めて明るく、わたくしが尋ねます。
ありがたいことに、今日はまだ出動要請が来ていません。毎日毎日火事が起こっては大変なので、ハルト様の身体が少しでも休まっていたらいいのですが。
「ああ、いつもどおりだよ。クラルテのほうはどうだった?」
微笑みながら、ハルト様が尋ねてきます。……が、やはりいつもの元気がありません。
(心が痛い)
さっきはうっかり喜んでしまいましたが、大好きな人にこんな顔をさせてしまうだなんて、とても許されることではありません。というか、わたくしがわたくし自身を許せません。あまりにも申し訳なくて、自分で自分が情けなくて、なんだか目頭が熱くなってきました。
「わたくしのほうはプレヤさんが遊びにいらっしゃいました。ハルト様の元気がないって教えていただいて……あの! ハルト様、さっきはごめんなさい。お兄様たちにお会いするってお話、きちんとお返事できなくて」
わたくしが話を切り出すと、ハルト様はほんのりと目を丸くなさいました。もしかしたら、ご自身からこの話を切り出すつもりはなかったのかもしれません。……ハルト様は優しい方だから。わたくしを気遣って、聞きたくても聞けずにいたのでしょう。
「いや、いいんだ。なにか事情があるんだろう?」
お店のテーブルは家にあるものより少し小さくて、ハルト様との距離が近く、彼は腕を伸ばしてわたくしのことを撫でてくださいました。労るようなまなざしが、笑顔が愛しくて、わたくしは静かにうなずきます。
「実はわたくし、すでにハルト様のお兄様方に会いに行ったことがありまして……」
「え? そうなのか?」
さすがに予想外だったのでしょう。ハルト様がさらに目を丸くなさいます。わたくしは思わずため息をついてしまいました。
「あの頃――今から五年ほど前の話です。当時、ハルト様は婚約を破棄されたばかりで。当然結婚なんて考えられる時期じゃなくて。直接アプローチできる状況じゃないからってことで『せめてお兄様たちにわたくしという存在をアピールしなきゃ!』とついつい気が急いてしまったのです。なんとかしてお近づきになりたいって……今思うと、完全に若気の至りというやつだったのですが」
言いながら、恥ずかしくてたまらなくなります。心臓がドキドキと鳴り響いてますし、ハルト様の顔を直視することができません。
そんな非常識な行動をするなんてと呆れられたり、嫌われたら嫌だなぁ、耐えられないなぁ。……いえ、つい最近わたくしは正式な婚約もまだだったハルト様の家に単身押しかけたばかりなんですけどね。
「ですから、もしもお兄様たちがわたくしのことを覚えていたらって思うと……怖かったんです。『こんな非常識な女にハルトを渡せない』なんて言われたらどうしようって。もちろん、わたくし自身がしでかしたことですし、悪いのは全面的にわたくしです。けれども、わたくしはハルト様と離れたくないから……」
わたくしの言葉に、ハルト様がクスリと笑う気配がしました。……もしかして、本当に呆れられてしまったのでしょうか? 怖くて顔をあげられずにいると、ハルト様はわたくしの頭をポンポンと優しく撫でてくれました。
「なんだ、そんなことか」
「そんなことって……! わたくしにとってはめちゃくちゃおおごとでしたよ!」
下手すれば婚約が流れるんじゃないかって。せっかくハッピーエンド目前だったのにって。婚約破棄されちゃったら、死んでも死にきれませんし!
「そんなこと、だよ。てっきり俺は、無意識のうちにクラルテに嫌われるようなことをしてしまったんじゃないかと……本気で心配していたんだ」
ハルト様はそう言って、本当に嬉しそうに笑っています。わたくしは思わず唇を尖らせてしまいました。
「もう! ハルト様はまだまだわたくしという人間がわかっていらっしゃいませんねぇ。わたくしがハルト様を嫌うなんてありえません。絶対絶対ありえません! ついでに言うと、もしもハルト様に嫌われてしまったそのときには、もう一度好きになってもらえるまでつきまといますので、覚悟していてくださいっ」
言いながら、わたくしはずいと身を乗り出します。
これ、仮定じゃなくて決定事項ですから。もし万が一ハルト様に婚約を破棄されたとしても、わたくしは絶対に諦めません。悪いところがあったら全部なおしますし、全力で頑張ります。元々頑固で我の強いタイプですし、これだけは譲れません。
「……俺も同じだよ。なにがあっても、クラルテのいない生活なんて考えられない」
ハルト様はそう言って、わたくしの手をギュッと握ります。たったそれだけのことなのに、胸がキュンと高鳴ってしまいました。
「クラルテが兄さんたちになにを言ったかはわからないけど、もし万が一別れろって言われても、俺はクラルテと離れる気はないよ。だから……」
「本当ですか?」
食い気味に尋ねれば、ハルト様は目を細めて笑います。
「クラルテも、まだまだ俺のことがわかってないなぁ」
そう言ってハルト様は、わたくしの指先に触れるだけのキスをします。あまりのことに、わたくしは席からずり落ちそうになってしまいました。
「ハルト様!?」
ここ、お店ですよ! 真っ昼間! 公衆の面前です!
というか、わたくしならまだしも、ハルト様がこういう場所でこういうことをするなんて、一体誰が想像できます? (わたくしには無理でしたよ!)
「なにがあっても大丈夫。クラルテのことは俺が守る。だから、安心して俺についてきて?」
ハルト様の言葉が、瞳がとても力強くて、思わず涙が込み上げます。本当に、これから先わたくしたちが離れることはないって――そう確信できたから。
「はい」
色々考えて悩むのは潔くやめましょう! わたくしはハルト様と微笑み合うのでした。
「ハルト様、会いたかったです!」
わたくしはハルト様に飛びつきます。けれど、ハルト様はどうにも浮かない表情です。
(ああ、こんなにも影響が大きかったなんて……)
出勤中はそんな感じじゃなかったんですが、訓練中に考え込んでしまったのでしょうか? 本当に申し訳ない……と思うのですが、それと同時に、ハルト様の中でわたくしという存在がそんなにも大きくなっているんだなぁなんてことを思ってしまいました。
(いけません。ハルト様は傷ついていらっしゃるのに、不謹慎です)
……でもでも、つまりはそういうことでしょう? 嬉しいなぁとか思っちゃうのが乙女心ってものですよ。
「今日は外に食べに行きませんか? 近くにあるオススメのお店をプレヤさんに教えてもらったんです。美味しいし、気分転換に最適だし、デート感を味わえると思うよって言ってました! わたくし、ハルト様とデートがしたいです!」
「デート……ああ、行こうか」
いつもよりテンションやや低めのハルト様を引っ張って、わたくしたちは魔術師団を出ました。
到着したのは、レトロで可愛い出で立ちのお店です。家とも職場とも雰囲気がまったく違いますし、なにもかもがオシャレで可愛くて、見ているだけでテンションがあがります。ランチにはパスタにサラダ、パンにデザート、それからコーヒーがつくとのことで、これまたテンションがあがってしまいます。ランチの相手、ハルト様ですしね(超重要)!
「ハルト様、午前中の訓練はいかがでしたか?」
努めて明るく、わたくしが尋ねます。
ありがたいことに、今日はまだ出動要請が来ていません。毎日毎日火事が起こっては大変なので、ハルト様の身体が少しでも休まっていたらいいのですが。
「ああ、いつもどおりだよ。クラルテのほうはどうだった?」
微笑みながら、ハルト様が尋ねてきます。……が、やはりいつもの元気がありません。
(心が痛い)
さっきはうっかり喜んでしまいましたが、大好きな人にこんな顔をさせてしまうだなんて、とても許されることではありません。というか、わたくしがわたくし自身を許せません。あまりにも申し訳なくて、自分で自分が情けなくて、なんだか目頭が熱くなってきました。
「わたくしのほうはプレヤさんが遊びにいらっしゃいました。ハルト様の元気がないって教えていただいて……あの! ハルト様、さっきはごめんなさい。お兄様たちにお会いするってお話、きちんとお返事できなくて」
わたくしが話を切り出すと、ハルト様はほんのりと目を丸くなさいました。もしかしたら、ご自身からこの話を切り出すつもりはなかったのかもしれません。……ハルト様は優しい方だから。わたくしを気遣って、聞きたくても聞けずにいたのでしょう。
「いや、いいんだ。なにか事情があるんだろう?」
お店のテーブルは家にあるものより少し小さくて、ハルト様との距離が近く、彼は腕を伸ばしてわたくしのことを撫でてくださいました。労るようなまなざしが、笑顔が愛しくて、わたくしは静かにうなずきます。
「実はわたくし、すでにハルト様のお兄様方に会いに行ったことがありまして……」
「え? そうなのか?」
さすがに予想外だったのでしょう。ハルト様がさらに目を丸くなさいます。わたくしは思わずため息をついてしまいました。
「あの頃――今から五年ほど前の話です。当時、ハルト様は婚約を破棄されたばかりで。当然結婚なんて考えられる時期じゃなくて。直接アプローチできる状況じゃないからってことで『せめてお兄様たちにわたくしという存在をアピールしなきゃ!』とついつい気が急いてしまったのです。なんとかしてお近づきになりたいって……今思うと、完全に若気の至りというやつだったのですが」
言いながら、恥ずかしくてたまらなくなります。心臓がドキドキと鳴り響いてますし、ハルト様の顔を直視することができません。
そんな非常識な行動をするなんてと呆れられたり、嫌われたら嫌だなぁ、耐えられないなぁ。……いえ、つい最近わたくしは正式な婚約もまだだったハルト様の家に単身押しかけたばかりなんですけどね。
「ですから、もしもお兄様たちがわたくしのことを覚えていたらって思うと……怖かったんです。『こんな非常識な女にハルトを渡せない』なんて言われたらどうしようって。もちろん、わたくし自身がしでかしたことですし、悪いのは全面的にわたくしです。けれども、わたくしはハルト様と離れたくないから……」
わたくしの言葉に、ハルト様がクスリと笑う気配がしました。……もしかして、本当に呆れられてしまったのでしょうか? 怖くて顔をあげられずにいると、ハルト様はわたくしの頭をポンポンと優しく撫でてくれました。
「なんだ、そんなことか」
「そんなことって……! わたくしにとってはめちゃくちゃおおごとでしたよ!」
下手すれば婚約が流れるんじゃないかって。せっかくハッピーエンド目前だったのにって。婚約破棄されちゃったら、死んでも死にきれませんし!
「そんなこと、だよ。てっきり俺は、無意識のうちにクラルテに嫌われるようなことをしてしまったんじゃないかと……本気で心配していたんだ」
ハルト様はそう言って、本当に嬉しそうに笑っています。わたくしは思わず唇を尖らせてしまいました。
「もう! ハルト様はまだまだわたくしという人間がわかっていらっしゃいませんねぇ。わたくしがハルト様を嫌うなんてありえません。絶対絶対ありえません! ついでに言うと、もしもハルト様に嫌われてしまったそのときには、もう一度好きになってもらえるまでつきまといますので、覚悟していてくださいっ」
言いながら、わたくしはずいと身を乗り出します。
これ、仮定じゃなくて決定事項ですから。もし万が一ハルト様に婚約を破棄されたとしても、わたくしは絶対に諦めません。悪いところがあったら全部なおしますし、全力で頑張ります。元々頑固で我の強いタイプですし、これだけは譲れません。
「……俺も同じだよ。なにがあっても、クラルテのいない生活なんて考えられない」
ハルト様はそう言って、わたくしの手をギュッと握ります。たったそれだけのことなのに、胸がキュンと高鳴ってしまいました。
「クラルテが兄さんたちになにを言ったかはわからないけど、もし万が一別れろって言われても、俺はクラルテと離れる気はないよ。だから……」
「本当ですか?」
食い気味に尋ねれば、ハルト様は目を細めて笑います。
「クラルテも、まだまだ俺のことがわかってないなぁ」
そう言ってハルト様は、わたくしの指先に触れるだけのキスをします。あまりのことに、わたくしは席からずり落ちそうになってしまいました。
「ハルト様!?」
ここ、お店ですよ! 真っ昼間! 公衆の面前です!
というか、わたくしならまだしも、ハルト様がこういう場所でこういうことをするなんて、一体誰が想像できます? (わたくしには無理でしたよ!)
「なにがあっても大丈夫。クラルテのことは俺が守る。だから、安心して俺についてきて?」
ハルト様の言葉が、瞳がとても力強くて、思わず涙が込み上げます。本当に、これから先わたくしたちが離れることはないって――そう確信できたから。
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