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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-19 二段階と、別物と

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‥‥‥黒き女神のスキルに関して、姿は女体化とRMPのスキルが合わさった時の姿をベースにして、第一形態の姿は構成されていた。
 だがしかし、第二形態へ移行すると、そこに今度は別のものが加わり始める。
 
 渦巻いていた黒い光が纏わりつき、不定形で実体のない状態から、形が安定して実体を持ち始める。
 ふわりと浮くような布から、防御面も固めるためか黒い鎧も纏わりつき、それに従い姿もその中に収められて、より適した形へと変貌する。

「‥‥‥黒き女神、『カオススタイル第一形態』から移行完了!!第二形態『バトルクロススタイル』!!」

 切り替わった姿は、少々姿形が小さくなったとはいえ、全ステータスは第1形態以上のものになっている。
 長かった黒髪もまとめられて動きやすく、着ていた装備も造形を変え、少しばかり露出があるけれども、頑丈さを増した黒い鎧のようなものを着こんでいる。
 
 見た目的に、例えるのであれば、魔法少女とまではいかなくとも、ちょっと鎧を付けた感じのその敵対しつつ後で光堕ちをするような女幹部っぽい感じだろう。
 うん、正直言って魔法少女の姿に関しては以前のイベントで経験しているので、変わった形になったのは内心ほっとしていたりする。

「第一形態は基本的に槍や雷撃での遠距離目の攻撃が多かったけど、こっちは、近接戦に寄る形か‥‥‥うん、都合良いな」
『ひぇっ!?』

 形態が変わり、自身の状態を確認して僕がニヤリと笑うと、何か嫌なものを感じ取ったのか悲鳴を上げる中三病。
 黒き女神の攻撃手段は何かを介しての類が多かったが、第二形態からは物理的に直接の攻撃を与えるものらしく、非常に今の状況にとって物凄くあったものになっているだろう。


「それじゃ、行くよ中三病さん、いや、ボスモンスターマグルスよ!!内部にいる人を気にせず、思いっきりやらせてもらおうか!!」
【オグガァァァア!!】
『いや、ちょっとは気にして欲しいんだがぁぁぁぁ!!』

 確実にまとめてやられると確信して中三病がそう叫ぶが、そもそもこの状況にした元凶でもあるので気にするようなこともあるまい。
 そう思いつつも、どうやらこちらの姿が変わったことに相手の方は警戒しているようですぐさま攻撃に移ろうとしたようだが、その行動は遅かった。


 だぁぁんっと勢いよく踏み出せば、鋼の大地が爆発し、砕け散る。
 瞬発力も素早さも倍増しているようで、第二形態の近接戦に寄らせた力が今、振るわれる。

「まずは動きを奪わせてもらおうか!」

 接近しながらそう叫べば、答えるように右手の鎧の形状が変化し、刃が生えそろう。
 そのまま切りつければ、相手の右腕が吹っ飛び、攻撃手段を一つ奪う。

【オグギャアアアアアアアアアア!?】
「っと、次は左!!」

 今度は左腕の方で攻撃を振るうと、今度はドリルのように形態が変化し、左肩へ大穴をあけてつらぬき、その動きを更に奪う。
 たった2回の攻撃動作だけで、マグルスの両腕は奪われ、戦闘力が半減する。
 だがしかし、それだけで終わらせるようなことはない。そもそも、本体としては首の方に憑りついているギガスマグネットだから、この攻撃が致命傷になるという訳ではない。

 けれども、憑りついている相手のダメージもしっかりフィードバックされているようで、悲鳴を上げているのは攻撃が効いているという証拠にもなるだろう。

「間髪入れずに次は足を狙おうか!!」

 近接戦に寄った形態とはいえ、遠距離攻撃手段が失われているわけではない。
 いや、むしろRMPなどのスキルが超強化されて、より強い攻撃を放つことが出来るようになっている。

「毒ガス&炎、雷撃による特性女神爆弾、威力増大版発射!!」

 その言葉と共に、物凄く混沌とした色合いの塊が放出され、マグルスの足元で爆発し、その腰から下を奪う。
 足以上のものを一気に奪われたことで姿勢を崩し、倒れ込むがこのまま容赦なく攻撃を続ける。


 基本的な武器は、第一形態時はセレアの槍を利用して作っていたものがあった。
 しかし、第二形態からはちゃんとした女神専用の武器が用意されて自動で装備されるらしく、言うが早いが出現する。

 それは非常に大きな大剣。この黒き女神の体の倍以上はありつつ、重さを感じさせず、自由に振り回せる。

 でも、ただ振り回すことはしない。これはまだ、相手を地へ固定するだけの杭に過ぎないのだから。

「どっせぇい!!」
ざぶしゅぅ!!
【オグギョォォォォォォン!?】
『ひぇぇぇぇぇぇ!?』

 倒れ込んだマグルスの胴体を貫き、地面に打ち付け固定する。
 四肢を奪われ、固定されてしまったボスモンスターには、もうなすすべはない。

 いや、あった。まだその口から放たれる恐竜のブレスが。

【オグゴォォォォォォォォ!!】

 せめてこの攻撃だけでもと、相手の抵抗する意思が見られたが…‥‥ここまでやった時点で、既に無駄な行動になっていた。
 体を回転させ、ブレスをわざと受ける。

 これが最後の攻撃のようだが、第二形態でのHPを削る事は出来ていない。

「‥‥‥そしてこれで、最後の攻撃にしておくよ。女神のこの技は、どうやら今なっている職業に影響される部分があるらしいが‥糸使いだから、こんなこともできるようだね」

 しゅるるるっと素早く糸を出すと、空中でまとまっていく。
 いくつもの糸の塊が浮かび上がり、繋がっている部分から女神の力が流れ込み、巨大な糸の拳が大量に出来上がり、その周囲を埋め尽くす。

『ま、ま、まさか…それで、ボッコボコに?』
「うん♪」
『笑顔で言う事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!』

 悟ったのだろう。このいかにも何が起こるのかわかりやすい絵面から、どうなるのかという事を。
 そしてついでに言うのであれば、ちょっと心的影響も受けるようで、この場にいるぽっけねこさんやグランプさんが中三病にこの時抱いていた思いも混ざって、全力で殴る方向へ偏った様だ。

「女神による断罪の剣…でもないな。けんじゃなくてけんだから、断罪の拳…流星群のように降り注ぐ拳で、逝ってらっしゃい」
『行ってらっしゃい、じゃない字面に悪意しかないと思うんだが!?』
「『メテオシャワーナックルズ』!!」

 相手の反論も待たずに、その拳は振り下ろされた。
 一つではなく、いくつもの巨大な真っ黒な拳が降り注ぎ、動けない相手は全身に全てを受け止め、衝撃を逃すこともできずにあっという間にフルボッコにされていく。

 拳の雨あられが降り注いだ後には、原形をとどめない惨状があるのみだった…‥‥


―――――
>マグルス、撃沈しました。
>討伐、完り、
―――――
「ぶっはしぬかとおもったぁ!!」

「「「「って、生きていたぁぁぁぁぁあぁ!?」」」」

‥‥‥訂正。崩れた肉のがれきの山から、中三病がぼんっと飛び出した。
 どうやら辛うじて、生き延びたようだけど‥‥ん?何だろう、この気配?第二形態になって敏感になっているのか、なんか今変な気配を感じたような…?
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