229 / 673
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.0-20 悪魔はしっかり、見ていたのであった
しおりを挟む
‥‥‥第二形態も解除し、残ったのはボスモンスター撃破による報酬のドロップアイテムと、ダンジョンから脱出できる転移門。
そしてがれきの山からまだ中途半端に埋まった状態で、なんとか生き延びている中三病である。
「‥‥‥あれだけの攻撃を受けて、まだ生きているのがすごいような」
「むぅ、そう言えば前に『G越え耐久』ってスキルを得たって話を聞いたかも」
「それってあれだぜ?完全にやばい危機的状況を何度も乗り越えた時に得られる可能性があるレアなスキルだったはずだぜ」
ボスモンスターごとの攻撃を受けたのに、見た目ではぴんぴんしている中三病を見て、僕等はそう口々に話し合う。
あのフルボッコな状況で、だいぶボッコボコになったかなと思っていたのだが、予想に反して案外綺麗な状態で生き延びてることに、正直感嘆の意を覚える程だろう。
「いや、そんなものがあっても普通にやばかったんだが‥‥というか、容赦なかったんだが!?ハルさん、あの女神に成っていたスキル云々は別として、攻撃がどう考えても『やっちゃうぜ☆』みたいな気軽さでえげつないほどだったんだがぁぁぁぁ!!」
「そんな気軽な感じ、やってないんだけどなぁ」
「むしろ、こんな演技が出来る時点で、まだ余裕ありそうねぇ」
「んだんだ。数多くいるプレイヤーの中でも、お前さんほど生命力がしぶといのはなかなか見ないだべさなぁ」
鬼畜ダンジョンの床を貫き、さらに不味い隠しダンジョンに落とした大元凶とは言え、ここまでやってまだ全然大丈夫そうな姿を見ると、怒りを通り越して呆れた空気が漂い、全員これ以上どうこうするような気も起きていない状態。
とりあえず今は、ぼっこぼこにして多少はスッキリしたので、これ以上争う気もない。
「さてと、とりあえず中三病さんはそのまま埋めておくとして、ドロップ品の確認でもしようか」
「「「賛成!」」」
「いや、掘り起こしてくれぇぇぇ!!」
このぐらいで済んだのだから、文句を言わないでほしい。
【ガウ?ガウガウガウガ!!】
「ん?何かあるのか?」
戦闘も終了し、全員使い魔全開状態から戻って通常の状態になっている中、ふとリンが何かに感づいたように声を上げた。
この面子の中で一番察することに定評がある彼女が警戒の声を上げるという事は、この場にまだ何かがあるのだろう。
「全員、警戒…と、なんだ!?」
「うおっと!?」
突然、グラグラと地面が揺れ始め、思わずバランスを崩しかけるもなんとか持ち直す。
地震でも起きたのかと思ったが、ここは酸の海と鋼の大地の星で、揺れ動くような地面ではない。破壊されて崩壊した部分もあるが、地盤の頑丈さなどを考えると自然の揺れではないだろう。
ならば何なのか、何かしらの外部からの要因が加わっているのかと全員が思う中、何かが掘り進む音が聞こえ‥‥揺れの正体が、すぐに姿を現した。
―――ギュイイイイイイイイイイイン、バッゴォォォォォォォォン!!
『よーし!!弟ここに、見つけたりデース!!』
巨大なドリルが壁から突き破ったかと思えば、中三病が乗っていた恐竜メカのようなものが飛び出し、そこから内部の音声が外に出される。
いや、この声って明らかに聴いたことがあるような、このメカの感じを見るとどう考えても‥
「まさか、ティラリアさん!?」
『Oh-?あ、何処かで見たことがあるプレイヤーたちがいるなと思ったら、前線攻略組の方々と、ハルさーんデースか!!お久しぶりなのデース!!』
樽抱きしめ破裂騒動の事を覚えているので、ちょっとだけ後ずさりをしてしまったが、幸いなことにすぐに飛び出してくることもないらしい。
その代わりに、今の彼女が狙っている対象が‥‥中三病の方に顔を向ければ、そこには絶望の顔色が浮かんでいた。
「げ、げ、ゲェェェェエ!?」
「の、鬼〇郎?」
「違うから!!そのつまりはないというか、何でこの最悪の姉がこの星に!?くるようなことはないと思っていたのに、そもそも足取りもつかないようにしていたのに、どうやってだよ!?」
『ふふふふふ、姉としての力デース!!たとえ火の中水の中海の中、何処かの世界だろうと何だろうと、弟がいる場所には絶対にたどりつくことが出来るデース!!あ、弟が盗んだのは完成品で、こちらはプロトタイプデースがうまく動いてよかったのデース』
「答えになってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇl!!」
搭乗している恐竜メカも動かしてシャキーンっと決めポーズを取っているようだが、中三病さんの言う通りまったく答えになっていない。
「ははは…よし、ハルさん。ここは中三病さんを置いて、自分達はさっさとダンジョンを脱出しようか」
「その方が良いだろうぜ」
「間違いなくいいわねぇ」
「この場にいて、百害あって一利なしだべしな」
「えー…まぁ、その通りか。それじゃ、中三病さん、ティラリアさん、久し振りに会ったけど、また今度会おうねー」
『Yes!今は弟を連れ戻す時間がいるので、話などはまた今度するのデース!!』
「ちょっと待てぇぇぇ!!このまま逃げる気か!!おいてかないでくれぇぇぇ!!」
そう言われましても、ちょっと埋まっている状態の中三病さんをすぐに掘り起こして運ぶのは厳しいし、この姉の前では無駄な抵抗になるだろう。
ならばいっその事、姉弟水いらずでゆっくり過ごせるように、僕等は去った方が良い。というか、さっさと逃げないと確実に巻き込まれるし、恐竜女帝と言われるような相手と争うのは、このボス戦で疲弊した僕らにとっては悪手にしかならないだろう。
そう思い、全員そろって猛ダッシュで転移門へ移り、ダンジョンの外へ脱出する。
そして最後にダンジョンの中で見えた光景は、中三病が脱出しようともがいた瞬間に、あの恐竜メカのドリルじゃない方の手でしっかりと確保されている光景なのであった‥‥‥‥
『近づいたら加速して、より早く来れたのは嬉しいのデース!!ここまで引っ張ってくれた何かには感謝なのデース!!』
「何かって何だこの姉を引きつけ、ってまさかあの磁力かよ!?あれでここまで来て…」
‥‥‥残念ながら最後まで聞えなかったが、どうやらギガスマグネットが彼らの再会に間接的ながらも一役買っていたらしい。
大変なボスではあったが、最後のこの置き土産に関しては全く予想をしていなかったのであった…‥‥
さて、中三病さんが無事に逝けるように祈りをささげて、僕等はダンジョンの外で改めて今回の収穫に関して確認しようか。
そしてがれきの山からまだ中途半端に埋まった状態で、なんとか生き延びている中三病である。
「‥‥‥あれだけの攻撃を受けて、まだ生きているのがすごいような」
「むぅ、そう言えば前に『G越え耐久』ってスキルを得たって話を聞いたかも」
「それってあれだぜ?完全にやばい危機的状況を何度も乗り越えた時に得られる可能性があるレアなスキルだったはずだぜ」
ボスモンスターごとの攻撃を受けたのに、見た目ではぴんぴんしている中三病を見て、僕等はそう口々に話し合う。
あのフルボッコな状況で、だいぶボッコボコになったかなと思っていたのだが、予想に反して案外綺麗な状態で生き延びてることに、正直感嘆の意を覚える程だろう。
「いや、そんなものがあっても普通にやばかったんだが‥‥というか、容赦なかったんだが!?ハルさん、あの女神に成っていたスキル云々は別として、攻撃がどう考えても『やっちゃうぜ☆』みたいな気軽さでえげつないほどだったんだがぁぁぁぁ!!」
「そんな気軽な感じ、やってないんだけどなぁ」
「むしろ、こんな演技が出来る時点で、まだ余裕ありそうねぇ」
「んだんだ。数多くいるプレイヤーの中でも、お前さんほど生命力がしぶといのはなかなか見ないだべさなぁ」
鬼畜ダンジョンの床を貫き、さらに不味い隠しダンジョンに落とした大元凶とは言え、ここまでやってまだ全然大丈夫そうな姿を見ると、怒りを通り越して呆れた空気が漂い、全員これ以上どうこうするような気も起きていない状態。
とりあえず今は、ぼっこぼこにして多少はスッキリしたので、これ以上争う気もない。
「さてと、とりあえず中三病さんはそのまま埋めておくとして、ドロップ品の確認でもしようか」
「「「賛成!」」」
「いや、掘り起こしてくれぇぇぇ!!」
このぐらいで済んだのだから、文句を言わないでほしい。
【ガウ?ガウガウガウガ!!】
「ん?何かあるのか?」
戦闘も終了し、全員使い魔全開状態から戻って通常の状態になっている中、ふとリンが何かに感づいたように声を上げた。
この面子の中で一番察することに定評がある彼女が警戒の声を上げるという事は、この場にまだ何かがあるのだろう。
「全員、警戒…と、なんだ!?」
「うおっと!?」
突然、グラグラと地面が揺れ始め、思わずバランスを崩しかけるもなんとか持ち直す。
地震でも起きたのかと思ったが、ここは酸の海と鋼の大地の星で、揺れ動くような地面ではない。破壊されて崩壊した部分もあるが、地盤の頑丈さなどを考えると自然の揺れではないだろう。
ならば何なのか、何かしらの外部からの要因が加わっているのかと全員が思う中、何かが掘り進む音が聞こえ‥‥揺れの正体が、すぐに姿を現した。
―――ギュイイイイイイイイイイイン、バッゴォォォォォォォォン!!
『よーし!!弟ここに、見つけたりデース!!』
巨大なドリルが壁から突き破ったかと思えば、中三病が乗っていた恐竜メカのようなものが飛び出し、そこから内部の音声が外に出される。
いや、この声って明らかに聴いたことがあるような、このメカの感じを見るとどう考えても‥
「まさか、ティラリアさん!?」
『Oh-?あ、何処かで見たことがあるプレイヤーたちがいるなと思ったら、前線攻略組の方々と、ハルさーんデースか!!お久しぶりなのデース!!』
樽抱きしめ破裂騒動の事を覚えているので、ちょっとだけ後ずさりをしてしまったが、幸いなことにすぐに飛び出してくることもないらしい。
その代わりに、今の彼女が狙っている対象が‥‥中三病の方に顔を向ければ、そこには絶望の顔色が浮かんでいた。
「げ、げ、ゲェェェェエ!?」
「の、鬼〇郎?」
「違うから!!そのつまりはないというか、何でこの最悪の姉がこの星に!?くるようなことはないと思っていたのに、そもそも足取りもつかないようにしていたのに、どうやってだよ!?」
『ふふふふふ、姉としての力デース!!たとえ火の中水の中海の中、何処かの世界だろうと何だろうと、弟がいる場所には絶対にたどりつくことが出来るデース!!あ、弟が盗んだのは完成品で、こちらはプロトタイプデースがうまく動いてよかったのデース』
「答えになってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇl!!」
搭乗している恐竜メカも動かしてシャキーンっと決めポーズを取っているようだが、中三病さんの言う通りまったく答えになっていない。
「ははは…よし、ハルさん。ここは中三病さんを置いて、自分達はさっさとダンジョンを脱出しようか」
「その方が良いだろうぜ」
「間違いなくいいわねぇ」
「この場にいて、百害あって一利なしだべしな」
「えー…まぁ、その通りか。それじゃ、中三病さん、ティラリアさん、久し振りに会ったけど、また今度会おうねー」
『Yes!今は弟を連れ戻す時間がいるので、話などはまた今度するのデース!!』
「ちょっと待てぇぇぇ!!このまま逃げる気か!!おいてかないでくれぇぇぇ!!」
そう言われましても、ちょっと埋まっている状態の中三病さんをすぐに掘り起こして運ぶのは厳しいし、この姉の前では無駄な抵抗になるだろう。
ならばいっその事、姉弟水いらずでゆっくり過ごせるように、僕等は去った方が良い。というか、さっさと逃げないと確実に巻き込まれるし、恐竜女帝と言われるような相手と争うのは、このボス戦で疲弊した僕らにとっては悪手にしかならないだろう。
そう思い、全員そろって猛ダッシュで転移門へ移り、ダンジョンの外へ脱出する。
そして最後にダンジョンの中で見えた光景は、中三病が脱出しようともがいた瞬間に、あの恐竜メカのドリルじゃない方の手でしっかりと確保されている光景なのであった‥‥‥‥
『近づいたら加速して、より早く来れたのは嬉しいのデース!!ここまで引っ張ってくれた何かには感謝なのデース!!』
「何かって何だこの姉を引きつけ、ってまさかあの磁力かよ!?あれでここまで来て…」
‥‥‥残念ながら最後まで聞えなかったが、どうやらギガスマグネットが彼らの再会に間接的ながらも一役買っていたらしい。
大変なボスではあったが、最後のこの置き土産に関しては全く予想をしていなかったのであった…‥‥
さて、中三病さんが無事に逝けるように祈りをささげて、僕等はダンジョンの外で改めて今回の収穫に関して確認しようか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,941
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる