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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-104 祭りごとは楽しみまくる人が多く

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…宇宙に漂う、自由貿易惑星『ハブルダ』では今、多くのプレイヤーたちがその星に設置されている闘技場へ多く詰めかけてきていた。
 多種多様なプレイヤーたちが、新しい防具や武器の調達、その他食料や素材の購入のために行きかう星であったが、この混雑具合はいつもよりもさらに多くなっており、惑星に停船するための場所も満員になっていた。

 そんな中で、プレイヤーたちが集う原因の場所となった闘技場の観客席もまた、ぎっちぎちのみっちみちになり、今か今かとその時を待っていると、闘技場の真ん中に穴が開いて誰かがせりあがってきた。


『あーあー、マイクテスマイクテス…良し、感度良好。観客の皆さま、お待たせいたしました。まもなく、予定されているイベントの開催時間となります』

 どうやら闘技場のシステムの中にある、競技の進行を行う司会者のようで、その声が響くと観客席はスンっとおとなしく待つように静まり返る。

『先に、今回のイベントのお知らせが遅れましたことを運営から改めて謝罪の言葉が述べられておりますので、プレイヤーの皆さまは確認を行いましょう。スクロールして下のほうに、お詫びの品が受け取れるボタンがありますので、どうぞ押してください』

『そして、いよいよ開催時間となりますが…参加されて、戦う皆さま。そして、観客席で見物される皆様に、改めて当イベントの説明を簡潔に行います』

『2時間半の制限時間…その限られた中で、皆さまは目撃することになるでしょう。あのレイドボスイベントから幾星霜の時間を経て、再びボスとして表に出てきた彼女たちの姿を』

 仰々しく礼を取りつつ、観客席の人々へ向けて説明口調になる司会者。
 ぱちんと指を鳴らすと、その後方に遭った床が二か所割れて、底が見えない穴が出現する。

『さぁ、目撃せよ!!此度の降臨を、伝説の再演を!!刮目せよ、その畏れるべき姿を!!まずその御身を見せたるのは、かつては鋼の巨人を乗りこなし、プレイヤーたちを蹂躙した…「機械神」、発進せよ!!』

 その掛け声とともに、穴の一つの底が輝き、何かが勢いよく飛び出した。

 それは一瞬だけ小さな玉のように見えつつも、追加で床からさらなる巨体が出現し、その胸元に入って一体化をして、姿を見せる。

「戦闘領域ー確認。複合型炉心正常稼働。3号機、大改良…『ネオ・巨大機械神』参上!!」

 ずぅぅんっと地響きを響かせ、現れた姿は巨大な金属の巨人。
 かつては巨大機械神3号の名を有していた巨体は、月日と共に改良がくわえられており、その性能は以前よりも飛躍的に向上している。

『アップデート前のままの姿だと、思っている人たちもいただろうか?ざ~~んねん!!レイドボスの強さは当時そのままどこから、よりパワーアップ!!勝利の美酒を味わうのは、この絶望から勝ち上がった者たちのみだ!!』

『神の名を有するからこそ、その座を守るために、ふさわしいありようを持ちつづけているので、より強敵と化した!!ならば、もう片方も同じく…顕現されるぞ!!あの漆黒の神が!!』

 言葉を言い終えると同時に、今度は爆発するような音が鳴り響き、巨大な黒い竜巻が穴から吹き上がる。
 まるで何かが身に纏って出てきているようであり、全身が出たところで黒き嵐は霧散し、その姿を大衆へ見せつける。

「…久しき戦いの場、今回、皆と会えたことは素直に喜ばしいことだ。私たちとの再戦を、それだけ望む者たちが多かったということだろうか」

 口角を上げ、美しい笑みを見せるのは、漆黒のドレスのようなものを身に纏った黒き女神。
 その姿はかつてレイドボスとして顕現した時よりも成長を果たしており、より畏怖を、威厳を、女神としてのありようを感じさせる。

「あの時より、強くなった人たちもいるだろう。なすすべもなく朽ち果てたものたちも、あの時以上に強さを得て、当時のままであれば勝利を得たのかもしれない。」

 そこでいったん区切り、黒き女神はくるっとその場を回って見渡し…ふふっと笑みを浮かべる。

「だけど…強さを得たのは何も、君たちだけじゃない。私たちもまた、宝石のように磨き上げられたんだ」

 言い終えると一瞬だけ黒く光り、次の瞬間に黒き女神の姿は変わっていた。

 舞踏会で身に付けるようなドレスから、戦闘に向いた防具が付いた攻撃的な衣装へ。
 その手には黒き女神の攻撃の代名詞であった槍のようなものが、まがまがしい雰囲気を醸し出す、力があふれ出しているような武器を手に持ち、そして掲げる。

「黒き女神、第一形態『カオススタイル混沌霊装』から第二形態『バトルクロススタイル戦闘霊装』へ切り替え完了…だけど、此度の戦いでもしも引き出すことができれば、さらに絶望させるべき姿として第三形態・・・・アビススタイル深淵霊装』をお披露目しよう。君たちが、そこまで私たちを削り上げることができればね」

 笑みを浮かべ、そう口にする黒き女神。
 どうやらこの姿でもまだまだ力を隠し持っているようで、運が良ければその第三形態を見ることができるのかと思わずプレイヤーたちは唾をのむ。

 だが、そこに至るまでには、この二柱の神を相手にしなければいけない。
 まだ姿を見せただけで、それぞれを守るものたちが呼び出され、戦うことになるのだ。

 多勢に対して、相手も容赦なく繰り出してくる手に対して、どこまで攻められるかがカギになるだろう。


 それでも、挑む者たちからは不安の顔色はあれども、諦める気持ちはない。
 彼らとて、当時よりも強くなったと自負するものや、より上位の存在へ挑むことに対しての敬意、挑むだけであれども戦いの場で刃を交わす機会を得られて、不敵な笑みを浮かべる者さえいるのだ。


『さーて!!それぞれの紹介が終わったところで、まもなくイベント開催時間!!開始の合図を言ったその瞬間から、挑むことになるよ!!それではぁぁぁぁー----、神々とのレイドボスバトルここに開幕だぁぁぁぁぁぁ!!』
「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」

 合図とともに雄たけびを上げ、プレイヤーたちはそれぞれ出撃する。
 勝てるかどうかはわからない。ただ分かっているのは、この機会を逃せばまともに相手をしてもらえる可能性が閉ざされることだけであり、この機会を存分に生かす必要があるということのみ。

 今まさに、かつて行われたレイドボスイベント時の盛り上がりが、いや、当時よりもさらに難易度が上がったとはいえ大きな盛り上がりを見せるのであった…

「先手必勝、『プラズマブラスター』放射!!」
「神槍射出!!」

ズバァァァァァァァァァァン!!
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
「「「「最初から容赦ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」


…開始早々に、大半が一気に吹き飛ばされたが、ある意味お約束の光景であった。


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