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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.0-29 ソレは見ていた
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…ソレ、はずっと見ていた。
世界の外から、他の世界を見ていく中で、そこに設けられたもう一つの別の世界を。
ふと、それに興味を抱き、ソレは少しずつ手を出していた。
ある時は、反転した存在に対して反逆の意志を授け、自らその世界から脱却するように仕向けた。
ある時は、意志なき機械に対して支配の意志を授け、自ら生み出した者たちへ牙をむくようにした。
ある時は、血に飢えた獣に対して暴虐の意志を授け、自ら逸脱した化け物へ生まれ変わるようにした。
その他にも様々なことを、ソレは密かに行った。
何故、そのような手を出していたのかは…手を出すことによって起きたことを見て、より自身の興味を引くようにしていたのかもしれない、
そして、ソレの干渉は緩やかに実行されたが…そのいずれも、うまくいくことはなかった。
わずかに干渉した後は、放置を決め込み、どうなるのかを任せるだけ具体的なものを出したわけではない。
与えた後はどうするのか、その判断にゆだねているだけで、自ら動こうとは思わなかったからだ。
…けれども、何度も何度も繰り返すうちに、ソレはさらにその世界に興味を持ち、見るだけではなく実感してみたいという欲求が出てきたことに気が付いた。
けれども、どうすればいいのかはわからない。
ソレは、世界にあってはならないもの。
だからこそ、外なる世界に存在しており、世界に触れることはない。
けれども、一度生みだされた感情を止めるということは、どのようなものであっても中々難しいものであり、ソレも例外ではない。
ならば、どうするか。
答えはすごく単純なこと。ソレ自身が動けるような肉体を、その世界に生み出して憑依すればいいだけの話。
ただし、ソレは自身の異質性をよく理解しており、ただの肉体では全て崩れてしまい、うまくいかないこともわかっていた。
何が良いのか、どうすれば良いのか。
模索を続ける中で、ソレは一つの回答を見つけた。
なんてことはない。ずっと、ソレは回答を目にしていたのだ。
あとはそれを参考にして、また別の干渉を行い、作らせればいいだけの話。
そのためには情報が足りないので、より強く知るために手を回し…そしてようやく、情報がそろった。
ただの肉体では意味がない。崩壊することが無いように、強いものでなければいけない。
精神性がなければ意味がない。肉塊を生みだしたところで、動かせるわけではない。
何も力がないのではいけない。異質な力を受け入れるには、それを耐えるだけの強い力を持たねばいけないからだ。
参考にし、干渉して組み立てさせ、もう少しで完成するだろう。
多少の犠牲が出ているのかもしれないが、ソレ自身ではないので、気にするようなことはない。
でも、もう少しの頃で、何やら邪魔が入ったようだ。
邪魔をしないでほしい。
ここで失敗すれば、難しくなるのだから。
やめろ、ここに来るな。
やめろ、ここに手を出すな。
やめろ、やめろ、ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメローーーーーーーーーーーー!!
…かつて、ここまで激しく拒絶の意志をそれが示したことがあっただろうか。
いや、無いだろう。この世界への興味を持つ以外では、意志を持つこと自体ほとんどなかった。
ゆえに、強い衝動にかられたソレはついに動き…ついに、本体が少しだけ壁を突き破ってしまった。
―――パリン
「…おや、アレが動いたのか」
…どことも知れない、謎の空間。
そこにいた彼女は…フロンは、ふとその動きに気が付いた。
普段は、一つのことを見るだけではなく、他のものも見ている彼女。
ありとあらゆるものに目を向けることで、自身の得られる情報量を増やしており、一つに視点を向け続けることはない。
けれども今回は、どうやらそういうわけにもいかない様子。
どうしたものかと考えつつも、あちらが動いてしまったのであれば、こちらも動かざるを得ないだろうと判断し、手の動きを変えていく。
外なる者の干渉は避けてほしいところ。
それでもやってきてしまったのであれば、対抗するしかあるまい。
放置し続ければ世界の混沌、最悪の場合は崩壊を招くことになるのだから…
世界の外から、他の世界を見ていく中で、そこに設けられたもう一つの別の世界を。
ふと、それに興味を抱き、ソレは少しずつ手を出していた。
ある時は、反転した存在に対して反逆の意志を授け、自らその世界から脱却するように仕向けた。
ある時は、意志なき機械に対して支配の意志を授け、自ら生み出した者たちへ牙をむくようにした。
ある時は、血に飢えた獣に対して暴虐の意志を授け、自ら逸脱した化け物へ生まれ変わるようにした。
その他にも様々なことを、ソレは密かに行った。
何故、そのような手を出していたのかは…手を出すことによって起きたことを見て、より自身の興味を引くようにしていたのかもしれない、
そして、ソレの干渉は緩やかに実行されたが…そのいずれも、うまくいくことはなかった。
わずかに干渉した後は、放置を決め込み、どうなるのかを任せるだけ具体的なものを出したわけではない。
与えた後はどうするのか、その判断にゆだねているだけで、自ら動こうとは思わなかったからだ。
…けれども、何度も何度も繰り返すうちに、ソレはさらにその世界に興味を持ち、見るだけではなく実感してみたいという欲求が出てきたことに気が付いた。
けれども、どうすればいいのかはわからない。
ソレは、世界にあってはならないもの。
だからこそ、外なる世界に存在しており、世界に触れることはない。
けれども、一度生みだされた感情を止めるということは、どのようなものであっても中々難しいものであり、ソレも例外ではない。
ならば、どうするか。
答えはすごく単純なこと。ソレ自身が動けるような肉体を、その世界に生み出して憑依すればいいだけの話。
ただし、ソレは自身の異質性をよく理解しており、ただの肉体では全て崩れてしまい、うまくいかないこともわかっていた。
何が良いのか、どうすれば良いのか。
模索を続ける中で、ソレは一つの回答を見つけた。
なんてことはない。ずっと、ソレは回答を目にしていたのだ。
あとはそれを参考にして、また別の干渉を行い、作らせればいいだけの話。
そのためには情報が足りないので、より強く知るために手を回し…そしてようやく、情報がそろった。
ただの肉体では意味がない。崩壊することが無いように、強いものでなければいけない。
精神性がなければ意味がない。肉塊を生みだしたところで、動かせるわけではない。
何も力がないのではいけない。異質な力を受け入れるには、それを耐えるだけの強い力を持たねばいけないからだ。
参考にし、干渉して組み立てさせ、もう少しで完成するだろう。
多少の犠牲が出ているのかもしれないが、ソレ自身ではないので、気にするようなことはない。
でも、もう少しの頃で、何やら邪魔が入ったようだ。
邪魔をしないでほしい。
ここで失敗すれば、難しくなるのだから。
やめろ、ここに来るな。
やめろ、ここに手を出すな。
やめろ、やめろ、ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメローーーーーーーーーーーー!!
…かつて、ここまで激しく拒絶の意志をそれが示したことがあっただろうか。
いや、無いだろう。この世界への興味を持つ以外では、意志を持つこと自体ほとんどなかった。
ゆえに、強い衝動にかられたソレはついに動き…ついに、本体が少しだけ壁を突き破ってしまった。
―――パリン
「…おや、アレが動いたのか」
…どことも知れない、謎の空間。
そこにいた彼女は…フロンは、ふとその動きに気が付いた。
普段は、一つのことを見るだけではなく、他のものも見ている彼女。
ありとあらゆるものに目を向けることで、自身の得られる情報量を増やしており、一つに視点を向け続けることはない。
けれども今回は、どうやらそういうわけにもいかない様子。
どうしたものかと考えつつも、あちらが動いてしまったのであれば、こちらも動かざるを得ないだろうと判断し、手の動きを変えていく。
外なる者の干渉は避けてほしいところ。
それでもやってきてしまったのであれば、対抗するしかあるまい。
放置し続ければ世界の混沌、最悪の場合は崩壊を招くことになるのだから…
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