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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.1-94 入り乱れ・巻き込まれ
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―――ソレらは事前に、この世界の情報を得ていた。
ここでの戦闘前に得たデータを元に、負けない自信も持っていた。
相手も馬鹿ではなく、事前に抗戦した結果をもとに、対策を立てている可能性は考慮していた。
前回は圧勝を得たとはいえ、油断する気もなかった。
…だがしかし、現実というのは必ずしも想定通りに動くことはないこともある。
《なんだ、あの艦隊は。なんだ、この光景は》
思わず、そんな声を出すのも無理は無いだろう。
量産に成功し、より数多くの味方を増やし、挑んだこの戦い。
相手がいかに対策を立てていたとはいえ、数の暴力で押し切れる確率が高かったはずだが…どうやら此度の戦は、量より質のほうが重視されたようだ。
目の前に広がるのは、統一感のない敵の艦隊。
オーソドックスな戦艦の中にちらほらと色物のようなものが混ざっており、使えるものは根こそぎかき集めてきたのかと思っていたが、どうやら根こそぎ集める中で、異質なものを集めていたらしい。
誰が想像できるだろうか。船が合体し、巨大ロボットになって襲い掛かってくる光景を。
誰が想像できるだろうか。巨大な動物の顔面が、多くの艦を喰らいつくす光景を。
誰が想像できるだろうか。無数のアステロイドを自由自在に動かし、艦にぶつけてくる岩塊の光景を。
まともな戦艦でもあっても、中にはたった一撃でこちらの大型艦を屠る者もおり、他にも何やら言いようのない靄のようなものを纏わせて飲み込む者も、布地にしか見えないのに破れることなく平然と攻撃を受けて跳ね返したり、船ではなく列車と呼ばれるものから無数のミサイルが飛んできたりと、様々な光景が飛び込んでくる。
いくつかが異常なだけで、他はまだまともそうだが…それでも、事前の想定を凌駕する者たちがいることに、驚かされるだろう。
気が付けば、数で押していたはずだったのに次々と轟沈されて、艦隊が縮小されている。
ここまで数を揃えるのにそこまで時間がかからないので痛いほどでもないが、それでもこのペースで行けば間違いなく全滅する。
ならばその前に、どうにかしたほうが良いだろう。
《---恒星圧縮砲、用意せよ》
フォォォォォォォンン!!フォォォォォォン!!
「なんだ!?」
『レーダー感知、敵艦隊後方より莫大なエネルギーの波長を計測しまシタ!!』
割と順調に殲滅を進めていく中、突然鳴り響く警報音。
ハルたちが状況を確認すると、なにやら敵艦隊の奥から迫ってくるものがあるらしい。
【エネルギー量を見ると、ちょっとした恒星レベル…いえ、このエネルギー波長はデータにありますネ】
「何?」
【以前、自由軌道をとる遊星と同じ行動をとる恒星らしきものと遭遇した時がありましたよネ。あれ、自然発生したものかと思ってましたが…どうやら違ったようデス】
「つまり…」
【今から敵、恒星射出してきマス】
表示されていた内容を読み取り、そう告げるロロ。
味方も味方でぶっ飛んだ奴らが多かったが、どうやら敵も敵でそれ相応のものを用意していたらしい。
しかも、かなりの速度で接近してくるらしく、目視できるころには回避できなくなるようだ。
『全艦へ緊急警報!!敵より反撃の手を確認!!各自、急いで回避行動を!!』
恒星を使った攻撃というのは、かなりシャレにならないだろう。
超高温の星をぶつけられたら、まともな船ならば轟沈前に融解して失われる。
そのこともあってか、すぐにこの宙域全体の魔導船に連絡が飛び交い、各自攻撃をいったん中断して相手の攻撃に備えての回避行動をとり始める。
「到達は!!」
【あと十数秒!!】
『ワープでは回避可能時間が短イ!!緊急回避行動として、亜空間潜航を行いマス!!』
ごぼごぼと音を立て、宇宙の海に沈み始めるグレイ号。
宇宙空間のどこに潜り込める場所があるのかというツッコミはさておき、別空間に潜って敵の行動をやり過ごすことにしたようだ。
「ミーちゃん、グレイ号後方部分のハッチを開けるから、そっちに入って回避行動を!!」
『わかったよ!!』
ミーちゃんの魔導列車も回避行動をとれるが、安全を求めるならそっちのほうが良いだろう。
沈み込むのが早いが、その前にミーちゃんの魔導列車がグレイ号内部に収納される。
【あと数秒!!】
遠方から光の玉の様なものが見えてきそうなところで、すぐに船全体が沈み込み、恒星を見ることはなかった。
ただ、この回避行動は最善の一手を取れただろうが…恒星を攻撃手段として扱ってくる以上、このまま迂闊に浮上してもまた同様の攻撃が来る可能性が考えられる。
「先に、相手の兵器を潰さないと駄目か」
後方支援を取っていたが、このままでは意味がない。
ならば、相手の要を徹底的に潰した方が得策だろう。
「…良し、皆、ここからは後方支援から攻撃態勢へ切り替える!!今の攻撃が何度もある可能性を考え、本艦はこれより敵艦隊の要を叩き潰すことにする!!」
【【【【了解!!】】】】
防衛に回っていたが、ここからは攻撃に移ったほうが良いだろう。
このまま後手に回っていては、同じ攻撃が来るのが目に見えてくるのならば、敵の反撃手段を全て潰すほうが良い。
攻守を転じる行動へと、移すのであった…
ここでの戦闘前に得たデータを元に、負けない自信も持っていた。
相手も馬鹿ではなく、事前に抗戦した結果をもとに、対策を立てている可能性は考慮していた。
前回は圧勝を得たとはいえ、油断する気もなかった。
…だがしかし、現実というのは必ずしも想定通りに動くことはないこともある。
《なんだ、あの艦隊は。なんだ、この光景は》
思わず、そんな声を出すのも無理は無いだろう。
量産に成功し、より数多くの味方を増やし、挑んだこの戦い。
相手がいかに対策を立てていたとはいえ、数の暴力で押し切れる確率が高かったはずだが…どうやら此度の戦は、量より質のほうが重視されたようだ。
目の前に広がるのは、統一感のない敵の艦隊。
オーソドックスな戦艦の中にちらほらと色物のようなものが混ざっており、使えるものは根こそぎかき集めてきたのかと思っていたが、どうやら根こそぎ集める中で、異質なものを集めていたらしい。
誰が想像できるだろうか。船が合体し、巨大ロボットになって襲い掛かってくる光景を。
誰が想像できるだろうか。巨大な動物の顔面が、多くの艦を喰らいつくす光景を。
誰が想像できるだろうか。無数のアステロイドを自由自在に動かし、艦にぶつけてくる岩塊の光景を。
まともな戦艦でもあっても、中にはたった一撃でこちらの大型艦を屠る者もおり、他にも何やら言いようのない靄のようなものを纏わせて飲み込む者も、布地にしか見えないのに破れることなく平然と攻撃を受けて跳ね返したり、船ではなく列車と呼ばれるものから無数のミサイルが飛んできたりと、様々な光景が飛び込んでくる。
いくつかが異常なだけで、他はまだまともそうだが…それでも、事前の想定を凌駕する者たちがいることに、驚かされるだろう。
気が付けば、数で押していたはずだったのに次々と轟沈されて、艦隊が縮小されている。
ここまで数を揃えるのにそこまで時間がかからないので痛いほどでもないが、それでもこのペースで行けば間違いなく全滅する。
ならばその前に、どうにかしたほうが良いだろう。
《---恒星圧縮砲、用意せよ》
フォォォォォォォンン!!フォォォォォォン!!
「なんだ!?」
『レーダー感知、敵艦隊後方より莫大なエネルギーの波長を計測しまシタ!!』
割と順調に殲滅を進めていく中、突然鳴り響く警報音。
ハルたちが状況を確認すると、なにやら敵艦隊の奥から迫ってくるものがあるらしい。
【エネルギー量を見ると、ちょっとした恒星レベル…いえ、このエネルギー波長はデータにありますネ】
「何?」
【以前、自由軌道をとる遊星と同じ行動をとる恒星らしきものと遭遇した時がありましたよネ。あれ、自然発生したものかと思ってましたが…どうやら違ったようデス】
「つまり…」
【今から敵、恒星射出してきマス】
表示されていた内容を読み取り、そう告げるロロ。
味方も味方でぶっ飛んだ奴らが多かったが、どうやら敵も敵でそれ相応のものを用意していたらしい。
しかも、かなりの速度で接近してくるらしく、目視できるころには回避できなくなるようだ。
『全艦へ緊急警報!!敵より反撃の手を確認!!各自、急いで回避行動を!!』
恒星を使った攻撃というのは、かなりシャレにならないだろう。
超高温の星をぶつけられたら、まともな船ならば轟沈前に融解して失われる。
そのこともあってか、すぐにこの宙域全体の魔導船に連絡が飛び交い、各自攻撃をいったん中断して相手の攻撃に備えての回避行動をとり始める。
「到達は!!」
【あと十数秒!!】
『ワープでは回避可能時間が短イ!!緊急回避行動として、亜空間潜航を行いマス!!』
ごぼごぼと音を立て、宇宙の海に沈み始めるグレイ号。
宇宙空間のどこに潜り込める場所があるのかというツッコミはさておき、別空間に潜って敵の行動をやり過ごすことにしたようだ。
「ミーちゃん、グレイ号後方部分のハッチを開けるから、そっちに入って回避行動を!!」
『わかったよ!!』
ミーちゃんの魔導列車も回避行動をとれるが、安全を求めるならそっちのほうが良いだろう。
沈み込むのが早いが、その前にミーちゃんの魔導列車がグレイ号内部に収納される。
【あと数秒!!】
遠方から光の玉の様なものが見えてきそうなところで、すぐに船全体が沈み込み、恒星を見ることはなかった。
ただ、この回避行動は最善の一手を取れただろうが…恒星を攻撃手段として扱ってくる以上、このまま迂闊に浮上してもまた同様の攻撃が来る可能性が考えられる。
「先に、相手の兵器を潰さないと駄目か」
後方支援を取っていたが、このままでは意味がない。
ならば、相手の要を徹底的に潰した方が得策だろう。
「…良し、皆、ここからは後方支援から攻撃態勢へ切り替える!!今の攻撃が何度もある可能性を考え、本艦はこれより敵艦隊の要を叩き潰すことにする!!」
【【【【了解!!】】】】
防衛に回っていたが、ここからは攻撃に移ったほうが良いだろう。
このまま後手に回っていては、同じ攻撃が来るのが目に見えてくるのならば、敵の反撃手段を全て潰すほうが良い。
攻守を転じる行動へと、移すのであった…
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