113 / 229
3章 学園中等部~
3-47 活用方法は色々と
しおりを挟む
‥‥‥地下にあるからこそ、モンスター研究所内は本来朝日が輝くことは無い。
けれども、ここで飼育されているモンスターたちの体調を考えるとある方が良いとされており‥‥‥天井付近には、外の環境に似せるために、太陽光に似た光を放つコケが生やされている。
だからこそ、地上での日の出と共に研究所にも明かりが降り注ぎ、アルスたちがいる室内にも光が届く中で…‥‥彼女は脱いでいた。
【キュル‥‥‥また脱皮。何時になったら、大人になれるのかな?】
すやすやとアルスがベッドに寝ている中で、アルスの枕状態から元の大きさになりつつ、ハクロはそうつぶやく。
何度も経験している脱皮だが、未だに成体と言う状態ではないらしい。
容姿としては大人の女性と言いたいのだが‥‥‥それでもまだ幼さがあるようで、完全に大人と言う訳でもない。
検査でも内臓の一部がまだまだ成長途上であり、完全に全部が出来上がっているわけでもないらしい。
その事は理解できているのだが…‥‥それでも、どことなくもどかしいと彼女は思うのだ。
まぁ、ぶつぶつ言っていても変わらないので、抜け殻となった皮から這い出る彼女。
元々の大きな蜘蛛の時であれば脱皮は楽ではあったが…‥‥人の姿も持つ分、やや複雑になっており、少し苦労している。
【よいしょ、よいしょっと‥‥‥にゅぽっと】
足の先までしっかりと脱げたことを確認しつつ、柔らかい身体が丈夫になるまで、少しその場で体を止める。
【足、手、体‥‥‥うん、今回は変わりない。毛は湿っているけど、すぐに乾く】
脱ぎたて故にややしっとりとしているが、大きな変化がない事を確認し終え、大丈夫な状態になるまで少し待つ。
そして、ちゃんとしたところで脱いでいた下着の紐を結び、衣服を着直し、小さくなる薬で枕に‥‥‥と思っていたところで、ふと寝ているアルスの顔を見て思いついた。
【‥‥‥そう言えば、普段、私の方が小さくなって、アルスの枕になっている。でも、アルスが小さくなったら、どんな感じかな?】
アルスの薬は大丈夫だというのは理解しているが、彼に飲ませたらどの程度になるのか。
そう思い、ちょっとばかりいたずら心が沸き上がり‥‥‥寝ているアルスの口を開いた。
こぽこぽ…‥‥ぽんっ!!
【うわぁ、アルス、小さい】
手のひらサイズになってもまだ寝ているアルスをそっと手の上に乗せて持ち上げ、ハクロはそうつぶやいた。
自分が小さくなるのとは異なり、アルスの場合は小人と言っていいような状態になっているが、こうやって手に持つのも中々新鮮な感覚である。
【ふふふ、アルス、アルス、手でいっぱい持てる】
すりすりと頬をすり、嬉しそうに言うハクロ。
そしてある程度満足したところで‥‥‥
「んっ…‥‥ふわぁぁ‥朝…‥‥か‥‥‥え?」
丁度アルスが目を覚ましたようで、ググっと背伸びをする。
そして目をぱっちりと開け、状況を察したらしい。
「‥‥‥ハクロおはよう。そして、朝から何をしてくれるんだよ」
【キュル♪手のりアルス、やって見たかったの♪】
「やってみたかったって…‥‥大体察したけどね、寝ている時にやらないでね」
【はーい】
アルスに注意されつつも、特に怖い感情もない。
元気よく答えるので、アルスの方も怒る気が失せるのであった。
‥‥‥ハクロのいたずらで、朝から小さくなっていたが‥‥‥まぁ、たまにはこんな変な朝も迎えるだろう。
とにもかくにも、元のサイズに戻る事も考えたが、時間制限があるので待つだけでもいい。
研究所内では僕の薬のことに関しても色々と知れ渡っていることもあるし、大騒ぎになるようなこともないはずだ。
そう思い、今日は小さな小人の姿のままで、過ごすことにした。薬の効き目が切れるまででいいが‥‥‥一応、ハクロに渡していた薬で6時間程度だし、昼あたりには元に戻るはずである。
「そう聞かされても、小人がいる現状は中々無いのじゃがなぁ…‥‥ある意味新鮮じゃよ」
「この姿でも、大きな不便は今のところないけどね」
朝食時、研究所の食堂にて小さくなっている僕の姿を見て、ドマドン所長がそう口にしたので適当に返答をする。
小人の姿になっても、問題は特にないし‥‥‥ハクロが運んでくれるので、移動に不便さもない。
「とは言え、この姿のままで手伝うのも無理だし、元に戻す薬がすぐに作れるけど、今日はこのまま自室で過ごしても良いかな?」
「まぁ、別に良いじゃろう。とは言え、一応安全のために施錠しておいた方が良いのじゃ」
「そうさせてもらうよ」
研究所内で万が一と言うのはあってほしくはないが、この所長がいる以上起こりうる可能性はある。
例えばモンスターが脱走しかけたり、暴れていたりするし…‥‥部屋の中に突撃されても困るので、きちんと施錠して籠ることにした。
「せっかく小さい姿だし、このままでもいろいろできるから遊ぼうか、ハクロ。チェスで勝負!」
【うん!アルスと勝負!!】
過去の転生者のおかげか、あるいはどこの世界でもそういう遊びの類は発明されるのか、チェスなどは存在している。
そして今は僕の体が小さいために、チェスの駒が等身大と言うか、某魔法学校の魔法のゲーム気分をちょっと味わえてしまう。
「でも、駒その物が動かないのは残念かもね‥‥‥動かすのも少し苦労するけど、これはこれで新鮮か」
【アルス、ちょっと待って。そのままやられたら、チェックメイトされる】
とにもかくにも、本日はこの小さい身体のままで、時間制限が来るまでハクロと遊ぶことにしたのであった‥‥‥‥
けれども、ここで飼育されているモンスターたちの体調を考えるとある方が良いとされており‥‥‥天井付近には、外の環境に似せるために、太陽光に似た光を放つコケが生やされている。
だからこそ、地上での日の出と共に研究所にも明かりが降り注ぎ、アルスたちがいる室内にも光が届く中で…‥‥彼女は脱いでいた。
【キュル‥‥‥また脱皮。何時になったら、大人になれるのかな?】
すやすやとアルスがベッドに寝ている中で、アルスの枕状態から元の大きさになりつつ、ハクロはそうつぶやく。
何度も経験している脱皮だが、未だに成体と言う状態ではないらしい。
容姿としては大人の女性と言いたいのだが‥‥‥それでもまだ幼さがあるようで、完全に大人と言う訳でもない。
検査でも内臓の一部がまだまだ成長途上であり、完全に全部が出来上がっているわけでもないらしい。
その事は理解できているのだが…‥‥それでも、どことなくもどかしいと彼女は思うのだ。
まぁ、ぶつぶつ言っていても変わらないので、抜け殻となった皮から這い出る彼女。
元々の大きな蜘蛛の時であれば脱皮は楽ではあったが…‥‥人の姿も持つ分、やや複雑になっており、少し苦労している。
【よいしょ、よいしょっと‥‥‥にゅぽっと】
足の先までしっかりと脱げたことを確認しつつ、柔らかい身体が丈夫になるまで、少しその場で体を止める。
【足、手、体‥‥‥うん、今回は変わりない。毛は湿っているけど、すぐに乾く】
脱ぎたて故にややしっとりとしているが、大きな変化がない事を確認し終え、大丈夫な状態になるまで少し待つ。
そして、ちゃんとしたところで脱いでいた下着の紐を結び、衣服を着直し、小さくなる薬で枕に‥‥‥と思っていたところで、ふと寝ているアルスの顔を見て思いついた。
【‥‥‥そう言えば、普段、私の方が小さくなって、アルスの枕になっている。でも、アルスが小さくなったら、どんな感じかな?】
アルスの薬は大丈夫だというのは理解しているが、彼に飲ませたらどの程度になるのか。
そう思い、ちょっとばかりいたずら心が沸き上がり‥‥‥寝ているアルスの口を開いた。
こぽこぽ…‥‥ぽんっ!!
【うわぁ、アルス、小さい】
手のひらサイズになってもまだ寝ているアルスをそっと手の上に乗せて持ち上げ、ハクロはそうつぶやいた。
自分が小さくなるのとは異なり、アルスの場合は小人と言っていいような状態になっているが、こうやって手に持つのも中々新鮮な感覚である。
【ふふふ、アルス、アルス、手でいっぱい持てる】
すりすりと頬をすり、嬉しそうに言うハクロ。
そしてある程度満足したところで‥‥‥
「んっ…‥‥ふわぁぁ‥朝…‥‥か‥‥‥え?」
丁度アルスが目を覚ましたようで、ググっと背伸びをする。
そして目をぱっちりと開け、状況を察したらしい。
「‥‥‥ハクロおはよう。そして、朝から何をしてくれるんだよ」
【キュル♪手のりアルス、やって見たかったの♪】
「やってみたかったって…‥‥大体察したけどね、寝ている時にやらないでね」
【はーい】
アルスに注意されつつも、特に怖い感情もない。
元気よく答えるので、アルスの方も怒る気が失せるのであった。
‥‥‥ハクロのいたずらで、朝から小さくなっていたが‥‥‥まぁ、たまにはこんな変な朝も迎えるだろう。
とにもかくにも、元のサイズに戻る事も考えたが、時間制限があるので待つだけでもいい。
研究所内では僕の薬のことに関しても色々と知れ渡っていることもあるし、大騒ぎになるようなこともないはずだ。
そう思い、今日は小さな小人の姿のままで、過ごすことにした。薬の効き目が切れるまででいいが‥‥‥一応、ハクロに渡していた薬で6時間程度だし、昼あたりには元に戻るはずである。
「そう聞かされても、小人がいる現状は中々無いのじゃがなぁ…‥‥ある意味新鮮じゃよ」
「この姿でも、大きな不便は今のところないけどね」
朝食時、研究所の食堂にて小さくなっている僕の姿を見て、ドマドン所長がそう口にしたので適当に返答をする。
小人の姿になっても、問題は特にないし‥‥‥ハクロが運んでくれるので、移動に不便さもない。
「とは言え、この姿のままで手伝うのも無理だし、元に戻す薬がすぐに作れるけど、今日はこのまま自室で過ごしても良いかな?」
「まぁ、別に良いじゃろう。とは言え、一応安全のために施錠しておいた方が良いのじゃ」
「そうさせてもらうよ」
研究所内で万が一と言うのはあってほしくはないが、この所長がいる以上起こりうる可能性はある。
例えばモンスターが脱走しかけたり、暴れていたりするし…‥‥部屋の中に突撃されても困るので、きちんと施錠して籠ることにした。
「せっかく小さい姿だし、このままでもいろいろできるから遊ぼうか、ハクロ。チェスで勝負!」
【うん!アルスと勝負!!】
過去の転生者のおかげか、あるいはどこの世界でもそういう遊びの類は発明されるのか、チェスなどは存在している。
そして今は僕の体が小さいために、チェスの駒が等身大と言うか、某魔法学校の魔法のゲーム気分をちょっと味わえてしまう。
「でも、駒その物が動かないのは残念かもね‥‥‥動かすのも少し苦労するけど、これはこれで新鮮か」
【アルス、ちょっと待って。そのままやられたら、チェックメイトされる】
とにもかくにも、本日はこの小さい身体のままで、時間制限が来るまでハクロと遊ぶことにしたのであった‥‥‥‥
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
3,630
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる