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第五話 夏祭り
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今日は夏休み最後の日曜日、そうして夏祭りの日だ。
「ハナも、明日には親が迎えに来るんだろ」
「うん」
「そうか」
荷物を片付けるハナを、涼平はじっと見る。彼女の隣には神沢さんが彼女に贈った本が置かれていた。聞くと、神沢さんが小さい頃読んで一番感動した本だという。涼平にくれたのは、涼平が好きな作家さんの新作だった。まだ出たばかりで、買えていなかったものだ。以前ぽつりと話した事を、覚えていてくれたんだろう。読みたいと思うが、この作品を読んでしまったら、どこか思い出も消えてしまう気がした。だから、まだ手をつけれていない。
外ではセミが鳴いている。時にはうるさく感じる鳴き声も、今はどこか虚ろに聞こえる。
「ちゃんと読みなよ」
ふいに、声が聞こえた。ハナだった。
「それで、神沢さんに感想送りなよ」
ハナの言葉に、涼平はハッとした。そうだ。連絡先を交換したんだった。
「でも、迷惑じゃないかな?」
「もらった物の感想伝えるのは普通なんじゃない。そっから進展があるかは、涼平の頑張り次第だけど。うざかったら適当に切るだろうし、当たって砕けなよ」
ハナの言葉は辛らつだったが、同時に的確だった。だからか、涼平は自分の悩んでいた思いがふっきれた気がした。
そうしてポツリと呟いた。
「行くか。夏祭り」
その言葉に、ハナは不思議そうに首を傾げた。
「行くって。もう詩織さんは行っちゃったよ」
「いいんだよ、お前も楽しみにしてたろ、花火」
その言葉に、ハナは目を見開く。
「一緒に行こう」
「わぁぁ、すごい人!」
ハナは興奮気味にそう声をあげた。
屋台が並び、その上には明かりが灯った提灯が並んでいる。浴衣の人も結構いて、まさしく祭りの風景だ。
「お前、こういう祭りに来るのはじめて?」
「うん、はじめて!」
ハナはそう言って、屋台を見回す。今日は赤いワンピースを身につけている。ちょこまか動く度に、ワンピースが歌うように揺れる。
「ねぇ涼平、焼きそば食べたい!」
「へいへい」
ハナはその後も、気になる屋台を見つけては声をあげた。
「涼平、金魚すくいがあるよ」
「あ、本当だ。やりたい?」
「ううん、いい」
ハナはそう言って歩く。
「俺昔さ、金魚飼ってたんだ」
「へぇ」
「金魚すくいで金魚全然すくえなくてさ、俺泣いちゃって。親父が買ってくれたの」
金魚すくいでとれず、ペットショップに行って買う。なんとも悲しい気もするが、飼うことになった金魚はとても可愛かった。
「ちっこくて、赤くてかわいかったんだ。名前も太郎ってつけて」
「へー。素朴だね」
「かな? 顔も素朴で、どこかまぬけな顔しててさ。見ると癒されたんだよな」
「まぬけ……」
ハナはそれ以上は何も言わず、無言で歩き始めた。涼平はその反応に首を傾げながら、後ろをついて歩く。
「あっねぇあれしたい!」
「ん?」
それは水風船のヨーヨーつりだった。円形の小さいプールの中にぷかぷかと、色とりどりの水風船が浮かんでいる。
「やろっやりたい!」
「ったく仕方ねぇなぁ。おじさん、一回お願いします」
「はいよっ。お嬢ちゃんどうぞ」
「有難うございます!」
ハナはフックを受け取ると、真剣な表情で風船をすくおうとする。しかし、風船は一向につれない。
「下手くそだなぁ」
そう笑うと、ハナが睨んできた。
「なによ、じゃあ涼平がやってみせてよ」
「いいよ?」
結果は、全くつれなかった。悪戦苦闘する涼平を見ては、ハナは楽しそうにケラケラ笑った。
「はー楽しかった!」
ハナの手には、水色とピンクのしましまの水風船がある。おじさんが情けでくれたものだ。たぷたぷと、静かに音をならしている。
「花火、そろそろ始まるね」
「そうだな。よし、行くぞ!」
涼平がそう言って駆け出すと、ハナは呼び止めた。
「どこ行くの、皆あっち行ってるよ」
「ふふふ、穴場があるのですよ。ついてきなさい」
涼平はどや顔でそう呼びかけた。ハナは疑問に思いながらも、その後をついていく。
そこは、少し小高い丘だった。
「ここからの眺めが最高なんだ」
「えー、本当?」
ハナは不満そうにしながらも、大人しく涼平の隣に座る。今日は晴れていて、花火も綺麗に見えそうだ。
「ちょうどいい時間だな」
「うん」
ハナはそう言ってそわそわしながら空を見ている。そのわくわく胸を躍らせている姿は、幼い時の自分そのものだ。あの頃は、目に見える何もかもが新鮮で輝いて見えた気がする。
やがて、空にぽんっと一つの丸が浮かんだ。打ち上げられてから少し遅れて、音が聞こえてくる。ハナは目を丸くした。
「本当だぁ。おっきな音がする」
その後も、円、星など、花火は形を変え次々と浮かび、やがて大輪の花が咲いた。
「わぁっすごい!」
ハナは歓喜の声をあげ、空を見る。その顔は本当に幼くて、無邪気そのものだった。涼平は知らず笑みを浮かべる。そうしてぽつりと呟いた。
「ありがとな、ハナ」
涼平の言葉に、ハナは不思議そうに顔を向ける。
「神沢さんのこと。お前がいなかったら、たぶん絶対あのままサヨナラしてた」
そう言うと、ハナはいつものようにニヤリと笑った。
「感謝しなさいよ」
「生意気」
そうして、花火はフィナーレを迎えた。大きな音をあげながら、金色の花火が連続で打ち上げられ、空いっぱいに輝く。それは、とても綺麗だ。
パラパラと音がして花火が消えていき、そうして夜空が戻った。
少しだけ、星が輝く夜空を無言で見つめる時間が流れた後、ハナに声をかけた。
「さて。帰るか」
「うん」
二人は、祭りの明かりが残る夜道を歩く。祭りの帰りの人々とすれ違いつつ、やがていつもの帰り道に辿り着いた。土手沿いの川にも、提灯の明かりがほのかにうつる。
「私こそ、ありがとう」
ふいに、ハナが口を開いた。彼女は相変わらず、水風船を大事そうに持っている。
「おかげで、楽しかった」
ハナの突然のその言葉に、涼平は戸惑いからかい気味に返した。
「なんか不気味だな。お前にそう言われると」
「失礼ね」
そう言って、二人で笑い合う。ハナの足が止まったのを、涼平は気づかない。彼女は立ち止まり、そうして涼平の背中に声をかける。
「涼平」
「んーー?」
「今度はさ、可愛い名前がいいな」
「え?なんの事」
涼平が振り返ると、そこにハナの姿はなかった。
「ハナも、明日には親が迎えに来るんだろ」
「うん」
「そうか」
荷物を片付けるハナを、涼平はじっと見る。彼女の隣には神沢さんが彼女に贈った本が置かれていた。聞くと、神沢さんが小さい頃読んで一番感動した本だという。涼平にくれたのは、涼平が好きな作家さんの新作だった。まだ出たばかりで、買えていなかったものだ。以前ぽつりと話した事を、覚えていてくれたんだろう。読みたいと思うが、この作品を読んでしまったら、どこか思い出も消えてしまう気がした。だから、まだ手をつけれていない。
外ではセミが鳴いている。時にはうるさく感じる鳴き声も、今はどこか虚ろに聞こえる。
「ちゃんと読みなよ」
ふいに、声が聞こえた。ハナだった。
「それで、神沢さんに感想送りなよ」
ハナの言葉に、涼平はハッとした。そうだ。連絡先を交換したんだった。
「でも、迷惑じゃないかな?」
「もらった物の感想伝えるのは普通なんじゃない。そっから進展があるかは、涼平の頑張り次第だけど。うざかったら適当に切るだろうし、当たって砕けなよ」
ハナの言葉は辛らつだったが、同時に的確だった。だからか、涼平は自分の悩んでいた思いがふっきれた気がした。
そうしてポツリと呟いた。
「行くか。夏祭り」
その言葉に、ハナは不思議そうに首を傾げた。
「行くって。もう詩織さんは行っちゃったよ」
「いいんだよ、お前も楽しみにしてたろ、花火」
その言葉に、ハナは目を見開く。
「一緒に行こう」
「わぁぁ、すごい人!」
ハナは興奮気味にそう声をあげた。
屋台が並び、その上には明かりが灯った提灯が並んでいる。浴衣の人も結構いて、まさしく祭りの風景だ。
「お前、こういう祭りに来るのはじめて?」
「うん、はじめて!」
ハナはそう言って、屋台を見回す。今日は赤いワンピースを身につけている。ちょこまか動く度に、ワンピースが歌うように揺れる。
「ねぇ涼平、焼きそば食べたい!」
「へいへい」
ハナはその後も、気になる屋台を見つけては声をあげた。
「涼平、金魚すくいがあるよ」
「あ、本当だ。やりたい?」
「ううん、いい」
ハナはそう言って歩く。
「俺昔さ、金魚飼ってたんだ」
「へぇ」
「金魚すくいで金魚全然すくえなくてさ、俺泣いちゃって。親父が買ってくれたの」
金魚すくいでとれず、ペットショップに行って買う。なんとも悲しい気もするが、飼うことになった金魚はとても可愛かった。
「ちっこくて、赤くてかわいかったんだ。名前も太郎ってつけて」
「へー。素朴だね」
「かな? 顔も素朴で、どこかまぬけな顔しててさ。見ると癒されたんだよな」
「まぬけ……」
ハナはそれ以上は何も言わず、無言で歩き始めた。涼平はその反応に首を傾げながら、後ろをついて歩く。
「あっねぇあれしたい!」
「ん?」
それは水風船のヨーヨーつりだった。円形の小さいプールの中にぷかぷかと、色とりどりの水風船が浮かんでいる。
「やろっやりたい!」
「ったく仕方ねぇなぁ。おじさん、一回お願いします」
「はいよっ。お嬢ちゃんどうぞ」
「有難うございます!」
ハナはフックを受け取ると、真剣な表情で風船をすくおうとする。しかし、風船は一向につれない。
「下手くそだなぁ」
そう笑うと、ハナが睨んできた。
「なによ、じゃあ涼平がやってみせてよ」
「いいよ?」
結果は、全くつれなかった。悪戦苦闘する涼平を見ては、ハナは楽しそうにケラケラ笑った。
「はー楽しかった!」
ハナの手には、水色とピンクのしましまの水風船がある。おじさんが情けでくれたものだ。たぷたぷと、静かに音をならしている。
「花火、そろそろ始まるね」
「そうだな。よし、行くぞ!」
涼平がそう言って駆け出すと、ハナは呼び止めた。
「どこ行くの、皆あっち行ってるよ」
「ふふふ、穴場があるのですよ。ついてきなさい」
涼平はどや顔でそう呼びかけた。ハナは疑問に思いながらも、その後をついていく。
そこは、少し小高い丘だった。
「ここからの眺めが最高なんだ」
「えー、本当?」
ハナは不満そうにしながらも、大人しく涼平の隣に座る。今日は晴れていて、花火も綺麗に見えそうだ。
「ちょうどいい時間だな」
「うん」
ハナはそう言ってそわそわしながら空を見ている。そのわくわく胸を躍らせている姿は、幼い時の自分そのものだ。あの頃は、目に見える何もかもが新鮮で輝いて見えた気がする。
やがて、空にぽんっと一つの丸が浮かんだ。打ち上げられてから少し遅れて、音が聞こえてくる。ハナは目を丸くした。
「本当だぁ。おっきな音がする」
その後も、円、星など、花火は形を変え次々と浮かび、やがて大輪の花が咲いた。
「わぁっすごい!」
ハナは歓喜の声をあげ、空を見る。その顔は本当に幼くて、無邪気そのものだった。涼平は知らず笑みを浮かべる。そうしてぽつりと呟いた。
「ありがとな、ハナ」
涼平の言葉に、ハナは不思議そうに顔を向ける。
「神沢さんのこと。お前がいなかったら、たぶん絶対あのままサヨナラしてた」
そう言うと、ハナはいつものようにニヤリと笑った。
「感謝しなさいよ」
「生意気」
そうして、花火はフィナーレを迎えた。大きな音をあげながら、金色の花火が連続で打ち上げられ、空いっぱいに輝く。それは、とても綺麗だ。
パラパラと音がして花火が消えていき、そうして夜空が戻った。
少しだけ、星が輝く夜空を無言で見つめる時間が流れた後、ハナに声をかけた。
「さて。帰るか」
「うん」
二人は、祭りの明かりが残る夜道を歩く。祭りの帰りの人々とすれ違いつつ、やがていつもの帰り道に辿り着いた。土手沿いの川にも、提灯の明かりがほのかにうつる。
「私こそ、ありがとう」
ふいに、ハナが口を開いた。彼女は相変わらず、水風船を大事そうに持っている。
「おかげで、楽しかった」
ハナの突然のその言葉に、涼平は戸惑いからかい気味に返した。
「なんか不気味だな。お前にそう言われると」
「失礼ね」
そう言って、二人で笑い合う。ハナの足が止まったのを、涼平は気づかない。彼女は立ち止まり、そうして涼平の背中に声をかける。
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