家から追い出されました!?

ハル

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その美男子外国人危険、だから逃げます

 金髪碧眼美男子の「気に入った・・。」発言でシンと場が静まり返った。
 私は驚いて頭が回っていないだけだけど、暴漢およびひったくり犯だろう男性の手を縛り終えていただろう男性は彼の傍で呆れた顔をして立っていた。
 しかし、その後の彼の憐れみの視線が気になる。
 それと、おそらくこの目の前の変人金髪の外人の方が立場があるんだろうけど、助けて。
 その願いは届いていないのか、と思いきや、その男性と目が合うとその視線は、諦めろ、と語っていた。

 いや、諦めたくないよ!!
 
 よく見ると、その男性の顔は日本人ぽかった。黒い髪をしているし、なんか同類の匂いがした。
 他の人達、まだ数人、ボディーガードみたいな図体の大きな人達がいたが、明らかに全員外国人だったので、
さらに彼へと視線が向くのは仕方なかった。だって、他に誰も助けてくれそうにないし。

「よそ見するの?良くないと思うけど。」

 そういえば肩を掴まれていたんだった。
 不穏な声と激痛とまではいかないが痛みを感じる程度の力で掴まれたので、顔が歪んでしまった。
 
 怖っ!!

 肩を話すように物申そうと思って金髪を見たら、顔が怖かった。小説でよく”生きた心地がしない”と表現されるけど、今、実体験していた。
 金縛りにあった私は硬直しているだけなのだが、自然と向き合う形になり、それに満足したかのように彼の方は満面の笑みを浮かべた。

 いやいや、そんな満足げにされても。というか、いつ、この肩は解放されるの!?

 私は混乱の最中にいた。今まで生きてきた中で最大のピンチに思えた。
 こんなことなら、ケチらずにホテルを探せばよかった。いや、探すまでもなく、駅前にあるビジネスホテルやラブホテル、満喫なんかはすぐに見つかっただろう。ここは、そこそこの使用者数がいる都内の駅なのだから。

「それで、来るよね?あ、今更だけど、名前なんていうの?僕はジーク・クラウド。20歳。出身はスイス。
君は?」

 勝手に自己紹介が始まった。しかも、肩は離されないどころか、どんどん、彼、ジークの顔が近づいてきた。
それに短い悲鳴を上げた。なんせ、この身長で男性は自分と同じぐらいか少し高いぐらいの人にしか会ったことがなく、それに自慢じゃないが、恋人なし=年齢なのでこんな至近距離から異性に見られたことなどなかった。
 ここで自己紹介をしたら、私は全部丸わかりじゃない。こんな身元、いや、名前と年齢は分かったけど、が分からない怪しさ満点の人に教えたくない。怖いから。私、ビビりだから。

「もしかして、警戒している?名乗ったのに警戒されるなんて、初めてだ。日本には年に1回来ているし、お店に入ると向こうから勝手に名乗ってくるのに。」
「それは、出会いを求めている人が入っている場所だからですよ。」

 ジークの独り言とも会話の続きとも分からない言葉に彼の傍で傍観していた黒髪男性が突っ込んだ。
 
 ナイス、ツッコミ!

 私は心の中で賞賛した。
 そうだよ、こんな怪しい人に進んでプライベートを暴露するなんて、そういった方面に飢えている人しかしない。
私の行動は間違っていない。
 彼のおかげでちょっとだけ自身が持てた。
 心で感謝していると当の本人がこちらにきれいなお辞儀をしてきた。

「主人が失礼しました。私はリオウ・ヒイラギと言います。」
「はあ。」

 そのお辞儀に見とれてしまい、何となく気のない返事で返してしまった。
 それにしても、苗字が日本名なんだ。この人、やっぱり日本人なんだな。
 そんな考えはバレバレだったようで、リオウはニコリと笑った。

「私の祖父が日本人だったので、日本の性なんです。私はクオーターです。」
「そ、そうですか。」

 なんで、会って5分も経っていない人にそこまでバレるんだ??

「2人で会話するなよ。リオウ、僕が今話しているんだけど?横から入ってくるなよ。マナー違反だぞ。」
「それは失礼。ですが、それを言うなら嫌がっているレディに対して無理やり迫る方がよっぽどマナー違反ではないでしょうか?ジーク様。」
「嫌がっていない、初対面だから警戒されているだけだ。」
「そうでしょうか。それなら、なおさら、肩をそれほど掴むのはいかがなものでしょう。」

 リオウの忠告にジークは、しまった、みたいな顔をしてすぐに肩を離した。
 やっと、痛みや窮屈から解放されて小さく肩を回した。

 うん、問題なし。さて、逃げようかね。

 退散経路を確認しようと横目で大通りへと抜けるたった一か所出入り口方面を確認した。
 この場所に入る時に歩いてきた道で、そこには道を塞ぐようにしてボディーガードが立っていた。すでに、退路が絶たれているように思えたが、彼らの身長を見て、そこに勝機を見出した。

 その瞬間、私、天才かも、と自画自賛した。

「レディ、その肩を掴んで済まなかった。痛くはないだろうか?」
「はい。」
「それで、先ほど僕の荷物を奪ったやつを捕まえてくれたお礼をさせてほしい。何が良いだろう。何でも言ってくれ。僕は少々経済的に余力があるから高価な物でもプレゼントできる。」

 ジークはキラキラと目を輝かせて言った。
 だが、そんなお礼、私は1ミリも嬉しくないし、心にも響かなかった。
「いえ、結構です。」
「それでは僕の気が済まない。」

 彼は私の意見を即座に却下した。
 端からこちらの意見を聞く気などなかったのだろう。
 しょうがない、とばかりに私はため息を吐いて、やれやれと、首を左右に振った。
 
 自分の演技力が怖い!!

「では、少し離れてくれますか?立ち上がりたいので。」
「え?いいよ。」

 彼は立ち上がり少しだけ距離を置いた。距離にして1メートルあるかないかだろう。
 その距離があいた瞬間、私はすでに持っていた本が入った袋の取っ手と肩掛け鞄をひっつかみ、そのまま出入り口の方に走った。

「****!!」

 背後から一瞬遅れてジークの険しい声音で私には聞き取れない言語が聞こえた。
 それに反応したボディーガード数名はさすがの一言だったが、それも予想通りだった。

 彼の中で私と同じくらいの身長の男性がいたのだ。彼に目掛けて走り、あとは馬飛びの原理で私を捕まえようとかがんだ彼の肩を支えにして飛び越え、そのまま大通りの中を抜けた。
 人が多いことに、この時は感謝した。その雑多の中に紛れ込んだことで、うまく私という人を見つからないようにできた。

「してやった!」

 すでに500メートルほどは離れただろう場所で、思わず両手を挙げて叫んでしまった。

 私、郁美の大勝利だ!!
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