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最後のお出かけ・・なのかな?
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秋の終わり、ジークはここ1か月ほど電話でフランス語?で言い合うことが多くなった。
仕事でもめているようではないようで、気がかりで彼の方を見ると彼は笑みを浮かべていた。
その電話は1か月ほど前までは2日に1回ペースだったが、今は頃合いを見計らったように彼が仕事から離れた食事時などのかかってきて、その時間も最初は10分ほどだったが、それが4倍に伸びた。
彼も疲れているようで椅子に座り込んで、まったく、と言いたげな顔をしていた。
そんな状況、気にしない方が無理な話だった。
「ごめん、うるさくて。」
「いいえ、構いませんが、何かトラブルですか?」
「ああ、いや、仕事ではないんだけど、家族がね。」
彼は曖昧にしていた。
何でも、気持ち悪いことも多々あった、素直に話していた彼が胡麻化した。
そのうえ、彼から出てきたわ―ドに心の内がざわついた。
覚悟はしていたはずだったが、実際耳にすると動揺は抑えきれないみたい。
自分で自分が情けなくなりそれ以上は訊けなかった。
彼はおそらく冬には居なくなるだろう。
彼もリオウもきっと、ここにいるのはわずかな時間だけ。優しくて暖かい生活だった。
元親から失望され続けていた、何もできない私のことを気遣ってできる仕事を任せてもくれた優しい人たちだった。
リオウはともかく、ジークは優しいとは少し違う気がするけれど。それでも、私という人間に少しでも価値を見出してくれた。それだけで、私は私を変えられた気がした。
あのデパートで会った、思い描いていた家族のような様子だった、元親と彼らの実子の姿を思い出しても目を背けず、笑っていられる自信がある。
この約3か月、ジークとリオウ、紘一と静江のおかげで、何とか彼らから離れてもやっていける気がした。
もうすぐ、17歳。まだ、未成年だけど、戸籍は一応確認して、分籍の状態になり、親の方の戸籍に彼らの実子が”長女”で登録されているらしい。
そのことはリオウが確認してくれて知ったことだった。それを知っても、
ああ、そうか。
と、ただ、納得しただけだった。
彼らにとって、すでに私は子供でも何でもないのだろう。
そこで、軽いショックは受けていてもあまり気にならなかったのはジークたちのおかげしかない。
あのまま1人だったと思うと、自分はどうなっていたのか、想像するだけでも体が震える。
ジークとリオウが実家に帰った場合のことはすでに考えていた。
それはここに来た時から少しずつだが、思い描いていたことだった。
職なしになるが働くのは、今やネットで何でもできるので、フリーランスで事務の仕事でもすればいいし、家を借りるのは後回しでも全然かまわなかった。
17歳でフリーランスだと報酬が安定しており、その証明を見せれば借りられるらしいので実績を作るために数か月は満喫にでも宿泊すればいいと考えている。
すでに、心の準備はできている、はずだった。
それなのに、実際に目の前に迫っていると分かると怯えたようになる。
「どうした?郁美。」
ジークが夕食の箸が止まっている私を心配そうに覗いた。
今、一緒に夕食を摂っているダイニングには私と彼が向かい合わせに座っており、リオウはジークがいつものごとく電話を終えて戻ったのと行き違いに電話で出て行ったきり戻らず、紘一と静江もどこかに行ったので2人だった。
2人っきりになった空間でどこか気まずい。
「何でもないです。」
私は精一杯明るい声を出していい、夕飯を再会した。
「そうだ、明日出かけよう。休みだからね。」
「急ですね。リオウさんの許可はもらっているんですか?」
「リオウの許可がなくても出かけられるんだよ。」
「そう言って、前回は許可がない状態で出かけようとしたら、速攻で連れ戻されていましたよね?」
「・・・うん、そんなこともあったね。」
アハッ
なんて、彼は可愛く笑って見せた。
しかし、内容は決してそんな笑って許せる内容ではなかった。
彼は1週間前に急にお昼を過ぎたあたりに、ドタドタと走ってリビングに入って来たかと思ったら、ソファで休憩していた私の腕を掴んで立たせた。
『紅葉狩りに行こう。』
なんて言い、私を連れだした。
そこまでは良かったが車に乗ろうとしたら、リオウがヌオッと車の下から顔を出して
『どこに行くんでしょうか?ジーク様。』
なんて、ホラーの貞子さんもびっくりな演出をしていた。
その後、驚いて固まっている間に、彼は下から出てきてジークの腕を掴んだ。
『さあ、仕事に戻りましょうか。あなたには見てもらいたいものが山ほどあるんですからね。』
彼はそう笑っていない目で見てからジークをそのまま仕事部屋に引っ張りこんでしまった。
あの演出は今思い出しても恐ろしい。ホラー映画より実体験だから何倍も怖く感じる。
「大丈夫、今度は大丈夫。あいつも許してくれるって。」
「今度はどこに行くんですか?」
「着いてからのお楽しみ。」
彼はいたずらっ子の笑みを浮かべた。
私の4つ上の男性なのに、その仕草も似あっていた。
精神年齢が幼いから?
彼を見て思わず首を傾げてしまった。
こんなお出かけの機会ももうこれが最後かもしれないと思うと、私は断る気はなかった。
そして、彼と明日の時間の約束だけした。
リオウから後で聞かされたのだが、ジークはこの時間を確保するために昨日まで鬼のように働いていたらしい。確かに、ここ最近は電話も大変そうだったが、仕事の方も根を詰めてしていた気がした。
翌日、朝10時にジークの運転で出かけた。
珍しく常識運転できちんとナビ通りに走っていた。後ろに乗っているボディーガード2人が非常識運転を披露したデパートまでの道のりの時より震えあがっているようだったけれど、気のせいだろう。
車は私が住んでいた場所ではなく、私の土地勘が全くない場所にやって来た。
パッと見の印象だけど、高層ビルばかりが立ち並ぶオフィス街ばかりで、私が住んでいた場所にあったビルより高層かもしれない。
「この辺りは初めて?」
「はい、最寄り以外は行ったことがありませんでしたし、その前住んでいた場所もあの最寄り駅から2駅ほど行った駅だったので、こんな遠くまで来たのは初めてです。」
「そうなんだ。家族で旅行は県外だった?」
「家族旅行は行ったことがないです。年に2回、お正月とお盆に、区外で田舎にある元母の実家に行くぐらいです。」
「そっか。」
彼の方から冷気が発せられた気がしたが、知らない振りをした。
後ろの2人は凍えていた。
「ところで、本当にどこへ向かっているんですか?結構走っている気がしますけど。」
「ああ、今から行くのはとあるホテルの創立記念でビュッフェに招待されたから、そこにランチとして食べに行こうと思ってね。日本では一番価格が高くて歴史が古いホテルだよ。だから、君も気に入ると思う。眺めもいいから窓側の席にしてもらったんだ。」
「そうなんですね。私こんな格好なんですけど、大丈夫ですか?」
「もちろんだよ。十分に今の君は魅力的だよ。素晴らしいドレスコードだよ。」
私は質問したことを後悔した。
まだまだ止まらない口で彼は私を褒めちぎり、私は両耳を押さえた。
聞いている自分が恥ずかしくなるからだった。
前はそんなに気にも留めずに流していたのだが、あの時、どうやって流していたのか今は分からない。
いや、あの時は1人になった現実で放心状態だったのもあったのかもしれない。
「さて、着いたよ。駐車場からそのまま上に上がるよ。」
車を駐車場に停めた彼は私の腰に手を回して連れ添った。
この体制になれてしまった自分が怖くなる。
いや、実際は慣れていないし、今も顔が赤くなるのを必死に抑えていた。
ただ、最近はリビングのソファに座ると、彼は隣に座り自然と腰に手を回したり頭を膝に乗せたりしてくるから、彼らかの接触に何となく抵抗しづらくなったんだ。たぶん。
もう、自分でもよく分からない状態だ。
ちなみに、私の身長が高いせいでヒールのある靴を履いている今、ジークとの目線はほとんど同じであり、彼との会話は顔を上げなくていいので、首を痛めることがない。
そこですか、と以前デパートに出かけた感想をそれとなく尋ねてきたリオウに素直に答えたら突っ込まれた。
どこか不味い返答だったのか、と思ったが、私には分からなかった。
ビュッフェ会場の窓の席に案内されて、一通りの説明を受けた。
180分、全てのものが食べ放題らしく、飲み物も全種類飲み放題らしい。ただ、お酒などはご注文いただいて1グラスずつ運んでくるらしい。
「どう?眺めがいいだろう?」
「確かにそうですね。曇っていなかったらもっと良かったかもしれませんが、雪が降ってもきっときれいですね。」
「雪が降ることはあまりないみたいだから、それは見せてやれないかもしれない。だけど、夏とかだったら、晴れていて景色はもっといいんだ。」
「そうですね。きっときれいですね。」
今にも空に手が届くんじゃないかと錯覚するほど空が近くに見えて車や道路が模型のように見えてしまう。
この光景は初めて見て感動した。
このテーブルに着くまでに歩いた道すがら、周囲の人たちがジークの容姿の良さに見惚れていた。
さすが、老若男女を魅了する容姿の持ち主だと感心した。
「さて、取りに行こう。また、食べながら見ているといいよ。時間はたっぷりあるんだから。」
「はい、そうですね。」
彼とともに料理が置いてあるブースに向かった。
種類豊富なメニューに目の前でシェフによって焼かれているステーキ、そして、スイーツやアイスたち。
目移りしてしまう。
それを傍から見ていたジークはおかしそうに笑っていた。
「また何回も来ればいんだから、張り切り過ぎないように。」
「そういうものなんですか?」
「そうだよ。ほら、お皿が一杯になったら戻るよ。また、追加で別メニューが出ているかもしれないから、それを見るのもビュッフェの楽しみだよ。」
「なるほど。」
ビュッフェなど、というか、外食などファミリーレストラン以外行ったことがない。
だから、彼にビュッフェの楽しみ方を教えてもらい感心した。
「「いただきます。」」
彼と2人合唱した。
そして、食べようとした時だった。
「なんで、あの席は駄目なんですか!?」
女性、まだ若さを思わせる高い声、の声が響き渡り、そこに今まで響いていた談笑は消え去った。
そこにいたのは、元親とその実子だったのだから驚いた。
仕事でもめているようではないようで、気がかりで彼の方を見ると彼は笑みを浮かべていた。
その電話は1か月ほど前までは2日に1回ペースだったが、今は頃合いを見計らったように彼が仕事から離れた食事時などのかかってきて、その時間も最初は10分ほどだったが、それが4倍に伸びた。
彼も疲れているようで椅子に座り込んで、まったく、と言いたげな顔をしていた。
そんな状況、気にしない方が無理な話だった。
「ごめん、うるさくて。」
「いいえ、構いませんが、何かトラブルですか?」
「ああ、いや、仕事ではないんだけど、家族がね。」
彼は曖昧にしていた。
何でも、気持ち悪いことも多々あった、素直に話していた彼が胡麻化した。
そのうえ、彼から出てきたわ―ドに心の内がざわついた。
覚悟はしていたはずだったが、実際耳にすると動揺は抑えきれないみたい。
自分で自分が情けなくなりそれ以上は訊けなかった。
彼はおそらく冬には居なくなるだろう。
彼もリオウもきっと、ここにいるのはわずかな時間だけ。優しくて暖かい生活だった。
元親から失望され続けていた、何もできない私のことを気遣ってできる仕事を任せてもくれた優しい人たちだった。
リオウはともかく、ジークは優しいとは少し違う気がするけれど。それでも、私という人間に少しでも価値を見出してくれた。それだけで、私は私を変えられた気がした。
あのデパートで会った、思い描いていた家族のような様子だった、元親と彼らの実子の姿を思い出しても目を背けず、笑っていられる自信がある。
この約3か月、ジークとリオウ、紘一と静江のおかげで、何とか彼らから離れてもやっていける気がした。
もうすぐ、17歳。まだ、未成年だけど、戸籍は一応確認して、分籍の状態になり、親の方の戸籍に彼らの実子が”長女”で登録されているらしい。
そのことはリオウが確認してくれて知ったことだった。それを知っても、
ああ、そうか。
と、ただ、納得しただけだった。
彼らにとって、すでに私は子供でも何でもないのだろう。
そこで、軽いショックは受けていてもあまり気にならなかったのはジークたちのおかげしかない。
あのまま1人だったと思うと、自分はどうなっていたのか、想像するだけでも体が震える。
ジークとリオウが実家に帰った場合のことはすでに考えていた。
それはここに来た時から少しずつだが、思い描いていたことだった。
職なしになるが働くのは、今やネットで何でもできるので、フリーランスで事務の仕事でもすればいいし、家を借りるのは後回しでも全然かまわなかった。
17歳でフリーランスだと報酬が安定しており、その証明を見せれば借りられるらしいので実績を作るために数か月は満喫にでも宿泊すればいいと考えている。
すでに、心の準備はできている、はずだった。
それなのに、実際に目の前に迫っていると分かると怯えたようになる。
「どうした?郁美。」
ジークが夕食の箸が止まっている私を心配そうに覗いた。
今、一緒に夕食を摂っているダイニングには私と彼が向かい合わせに座っており、リオウはジークがいつものごとく電話を終えて戻ったのと行き違いに電話で出て行ったきり戻らず、紘一と静江もどこかに行ったので2人だった。
2人っきりになった空間でどこか気まずい。
「何でもないです。」
私は精一杯明るい声を出していい、夕飯を再会した。
「そうだ、明日出かけよう。休みだからね。」
「急ですね。リオウさんの許可はもらっているんですか?」
「リオウの許可がなくても出かけられるんだよ。」
「そう言って、前回は許可がない状態で出かけようとしたら、速攻で連れ戻されていましたよね?」
「・・・うん、そんなこともあったね。」
アハッ
なんて、彼は可愛く笑って見せた。
しかし、内容は決してそんな笑って許せる内容ではなかった。
彼は1週間前に急にお昼を過ぎたあたりに、ドタドタと走ってリビングに入って来たかと思ったら、ソファで休憩していた私の腕を掴んで立たせた。
『紅葉狩りに行こう。』
なんて言い、私を連れだした。
そこまでは良かったが車に乗ろうとしたら、リオウがヌオッと車の下から顔を出して
『どこに行くんでしょうか?ジーク様。』
なんて、ホラーの貞子さんもびっくりな演出をしていた。
その後、驚いて固まっている間に、彼は下から出てきてジークの腕を掴んだ。
『さあ、仕事に戻りましょうか。あなたには見てもらいたいものが山ほどあるんですからね。』
彼はそう笑っていない目で見てからジークをそのまま仕事部屋に引っ張りこんでしまった。
あの演出は今思い出しても恐ろしい。ホラー映画より実体験だから何倍も怖く感じる。
「大丈夫、今度は大丈夫。あいつも許してくれるって。」
「今度はどこに行くんですか?」
「着いてからのお楽しみ。」
彼はいたずらっ子の笑みを浮かべた。
私の4つ上の男性なのに、その仕草も似あっていた。
精神年齢が幼いから?
彼を見て思わず首を傾げてしまった。
こんなお出かけの機会ももうこれが最後かもしれないと思うと、私は断る気はなかった。
そして、彼と明日の時間の約束だけした。
リオウから後で聞かされたのだが、ジークはこの時間を確保するために昨日まで鬼のように働いていたらしい。確かに、ここ最近は電話も大変そうだったが、仕事の方も根を詰めてしていた気がした。
翌日、朝10時にジークの運転で出かけた。
珍しく常識運転できちんとナビ通りに走っていた。後ろに乗っているボディーガード2人が非常識運転を披露したデパートまでの道のりの時より震えあがっているようだったけれど、気のせいだろう。
車は私が住んでいた場所ではなく、私の土地勘が全くない場所にやって来た。
パッと見の印象だけど、高層ビルばかりが立ち並ぶオフィス街ばかりで、私が住んでいた場所にあったビルより高層かもしれない。
「この辺りは初めて?」
「はい、最寄り以外は行ったことがありませんでしたし、その前住んでいた場所もあの最寄り駅から2駅ほど行った駅だったので、こんな遠くまで来たのは初めてです。」
「そうなんだ。家族で旅行は県外だった?」
「家族旅行は行ったことがないです。年に2回、お正月とお盆に、区外で田舎にある元母の実家に行くぐらいです。」
「そっか。」
彼の方から冷気が発せられた気がしたが、知らない振りをした。
後ろの2人は凍えていた。
「ところで、本当にどこへ向かっているんですか?結構走っている気がしますけど。」
「ああ、今から行くのはとあるホテルの創立記念でビュッフェに招待されたから、そこにランチとして食べに行こうと思ってね。日本では一番価格が高くて歴史が古いホテルだよ。だから、君も気に入ると思う。眺めもいいから窓側の席にしてもらったんだ。」
「そうなんですね。私こんな格好なんですけど、大丈夫ですか?」
「もちろんだよ。十分に今の君は魅力的だよ。素晴らしいドレスコードだよ。」
私は質問したことを後悔した。
まだまだ止まらない口で彼は私を褒めちぎり、私は両耳を押さえた。
聞いている自分が恥ずかしくなるからだった。
前はそんなに気にも留めずに流していたのだが、あの時、どうやって流していたのか今は分からない。
いや、あの時は1人になった現実で放心状態だったのもあったのかもしれない。
「さて、着いたよ。駐車場からそのまま上に上がるよ。」
車を駐車場に停めた彼は私の腰に手を回して連れ添った。
この体制になれてしまった自分が怖くなる。
いや、実際は慣れていないし、今も顔が赤くなるのを必死に抑えていた。
ただ、最近はリビングのソファに座ると、彼は隣に座り自然と腰に手を回したり頭を膝に乗せたりしてくるから、彼らかの接触に何となく抵抗しづらくなったんだ。たぶん。
もう、自分でもよく分からない状態だ。
ちなみに、私の身長が高いせいでヒールのある靴を履いている今、ジークとの目線はほとんど同じであり、彼との会話は顔を上げなくていいので、首を痛めることがない。
そこですか、と以前デパートに出かけた感想をそれとなく尋ねてきたリオウに素直に答えたら突っ込まれた。
どこか不味い返答だったのか、と思ったが、私には分からなかった。
ビュッフェ会場の窓の席に案内されて、一通りの説明を受けた。
180分、全てのものが食べ放題らしく、飲み物も全種類飲み放題らしい。ただ、お酒などはご注文いただいて1グラスずつ運んでくるらしい。
「どう?眺めがいいだろう?」
「確かにそうですね。曇っていなかったらもっと良かったかもしれませんが、雪が降ってもきっときれいですね。」
「雪が降ることはあまりないみたいだから、それは見せてやれないかもしれない。だけど、夏とかだったら、晴れていて景色はもっといいんだ。」
「そうですね。きっときれいですね。」
今にも空に手が届くんじゃないかと錯覚するほど空が近くに見えて車や道路が模型のように見えてしまう。
この光景は初めて見て感動した。
このテーブルに着くまでに歩いた道すがら、周囲の人たちがジークの容姿の良さに見惚れていた。
さすが、老若男女を魅了する容姿の持ち主だと感心した。
「さて、取りに行こう。また、食べながら見ているといいよ。時間はたっぷりあるんだから。」
「はい、そうですね。」
彼とともに料理が置いてあるブースに向かった。
種類豊富なメニューに目の前でシェフによって焼かれているステーキ、そして、スイーツやアイスたち。
目移りしてしまう。
それを傍から見ていたジークはおかしそうに笑っていた。
「また何回も来ればいんだから、張り切り過ぎないように。」
「そういうものなんですか?」
「そうだよ。ほら、お皿が一杯になったら戻るよ。また、追加で別メニューが出ているかもしれないから、それを見るのもビュッフェの楽しみだよ。」
「なるほど。」
ビュッフェなど、というか、外食などファミリーレストラン以外行ったことがない。
だから、彼にビュッフェの楽しみ方を教えてもらい感心した。
「「いただきます。」」
彼と2人合唱した。
そして、食べようとした時だった。
「なんで、あの席は駄目なんですか!?」
女性、まだ若さを思わせる高い声、の声が響き渡り、そこに今まで響いていた談笑は消え去った。
そこにいたのは、元親とその実子だったのだから驚いた。
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