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第一部
最悪の出会い 8
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その衝撃で目を開くと、私を見下ろす彼の目と合う。どこか苦しそうで、あの日見せていた嫌味なほどに余裕のある鋭い目とは全く違っていた。
視線が交わったのも束の間、その目はすぐに視界から消える。それと同時に唇が重なって。深いキスに上手く呼吸ができない。そのうちに、唇にだけ当てられていた彼の唇が、違う場所にも触れて行く。
「あ……っ、ん……」
唇が解放されて苦しかった分呼吸をすれば、吐き出されたものは鼻から抜けるような甘ったるい声だった。
こんな声、自分から出ているなんて……。
恥ずかしくてたまらないのに、声が止まらない。彼氏の唇が首筋を滑る度に身体が震える。その間にも、私の身体を包んでいる衣服を一つ一つ、開かれていく。
「み、見ないでください……っ!」
露わにされた胸を咄嗟に両手で隠した。こんな貧相な身体、この人に見られてしまうのかと思うとたまらなく恥ずかしい。
「隠すなよ」
そう言って私の手を取り、ソファに縫い付けるみたいに押さえつけた。
「やっ……」
両手の自由を奪われて、最後の抵抗をするように顔を思いっきり逸らす。入り込んだ彼の手のひらが素肌に触れて、私はまた声を上げた。骨ばった指の感触が、余計に胸を疼かせる。
「細い身体だな……」
「だから、恥ずかしい……って――」
「少し抱きしめただけで、壊しちまいそうだ……。でも、手加減してやれそうもない」
その声は、掠れていてどこか苦しそうだった。
『手加減できない』なんて言っていたのに、膨らみに触れた手のひらの動きは思っていたよりずっとゆっくりとしたもので。さっきまでの激しさが嘘のように、包み込むように、そっと触れてくる。もう片方の胸の頂に、吐息が掛かった。それに気付いた時には、もうその唇に含まれていた。
「はぁ……っ、あ――」
こんなの、知らない――。
身体が硬く強張る。それは、自分を繋ぎ止めているものを手放してしまいそうになる恐怖からなのか。連れ去られてしまいそうになるのを必死で拒むように身体に力を込める。
怖い――。
次々と押し寄せて来る身体を伝う波のような快感に、怖くなる。
「力を抜け。おまえが、辛くなる」
膨らみの頂を口に含みながら喋るから、それがまた愛撫のようになってしまう。懸命に込めていた力が抜けてしまう。
「あ……っ……ん」
その代わりに、また声が漏れる。
もうこれ以上こんな声、聞かせられない――。
いつの間にか自由になっていた自分の指を噛んだ。
「……自分の指を噛むくらいなら、俺のを噛め」
その声に目を開くと、すぐ真正面に彼の顔があった。私の指を口から引き抜き、長い指を私の唇に当てて中へと入れようとする。
「だ、ダメです。あなたの指なんて、噛め、な――」
「だったら、声を我慢するのをやめろ」
「で、でもっ……」
どこにも逃がさないというように私の身体はこの人の腕と脚で絡め取られている。目の前にある熱のこもる目が私の視線を捕らえて。どうしようもない緊張と、素肌を晒している恥ずかしさとで、ただ頭をふるふると横に振る。
「……こんなに、指、うっ血させやがって」
掴んでいた私の指を口に含んだ。私の指に生暖かい舌が滑るように触れる。その光景は、酷く淫靡で、ただ指を舐められているだけなのにまた身体が震える。私の指から唇を離すと、そのまま手のひらに指を入り込ませてぎゅっと握りしめてくれた。それはとても優しいもので、驚く。
「どうしたって、これからおまえに痛い思いをさせるんだ。何も我慢なんてしなくていい。声だって出したいだけ出していいんだ。痛い分だけ俺に噛みつけ」
真っ直ぐに伸びている眉を少し下げて、困ったような顔をしていた。
「――どれだけおまえが痛がっても、やめてやれないから」
そう言って、再び唇を私の身体へと落とした。
視線が交わったのも束の間、その目はすぐに視界から消える。それと同時に唇が重なって。深いキスに上手く呼吸ができない。そのうちに、唇にだけ当てられていた彼の唇が、違う場所にも触れて行く。
「あ……っ、ん……」
唇が解放されて苦しかった分呼吸をすれば、吐き出されたものは鼻から抜けるような甘ったるい声だった。
こんな声、自分から出ているなんて……。
恥ずかしくてたまらないのに、声が止まらない。彼氏の唇が首筋を滑る度に身体が震える。その間にも、私の身体を包んでいる衣服を一つ一つ、開かれていく。
「み、見ないでください……っ!」
露わにされた胸を咄嗟に両手で隠した。こんな貧相な身体、この人に見られてしまうのかと思うとたまらなく恥ずかしい。
「隠すなよ」
そう言って私の手を取り、ソファに縫い付けるみたいに押さえつけた。
「やっ……」
両手の自由を奪われて、最後の抵抗をするように顔を思いっきり逸らす。入り込んだ彼の手のひらが素肌に触れて、私はまた声を上げた。骨ばった指の感触が、余計に胸を疼かせる。
「細い身体だな……」
「だから、恥ずかしい……って――」
「少し抱きしめただけで、壊しちまいそうだ……。でも、手加減してやれそうもない」
その声は、掠れていてどこか苦しそうだった。
『手加減できない』なんて言っていたのに、膨らみに触れた手のひらの動きは思っていたよりずっとゆっくりとしたもので。さっきまでの激しさが嘘のように、包み込むように、そっと触れてくる。もう片方の胸の頂に、吐息が掛かった。それに気付いた時には、もうその唇に含まれていた。
「はぁ……っ、あ――」
こんなの、知らない――。
身体が硬く強張る。それは、自分を繋ぎ止めているものを手放してしまいそうになる恐怖からなのか。連れ去られてしまいそうになるのを必死で拒むように身体に力を込める。
怖い――。
次々と押し寄せて来る身体を伝う波のような快感に、怖くなる。
「力を抜け。おまえが、辛くなる」
膨らみの頂を口に含みながら喋るから、それがまた愛撫のようになってしまう。懸命に込めていた力が抜けてしまう。
「あ……っ……ん」
その代わりに、また声が漏れる。
もうこれ以上こんな声、聞かせられない――。
いつの間にか自由になっていた自分の指を噛んだ。
「……自分の指を噛むくらいなら、俺のを噛め」
その声に目を開くと、すぐ真正面に彼の顔があった。私の指を口から引き抜き、長い指を私の唇に当てて中へと入れようとする。
「だ、ダメです。あなたの指なんて、噛め、な――」
「だったら、声を我慢するのをやめろ」
「で、でもっ……」
どこにも逃がさないというように私の身体はこの人の腕と脚で絡め取られている。目の前にある熱のこもる目が私の視線を捕らえて。どうしようもない緊張と、素肌を晒している恥ずかしさとで、ただ頭をふるふると横に振る。
「……こんなに、指、うっ血させやがって」
掴んでいた私の指を口に含んだ。私の指に生暖かい舌が滑るように触れる。その光景は、酷く淫靡で、ただ指を舐められているだけなのにまた身体が震える。私の指から唇を離すと、そのまま手のひらに指を入り込ませてぎゅっと握りしめてくれた。それはとても優しいもので、驚く。
「どうしたって、これからおまえに痛い思いをさせるんだ。何も我慢なんてしなくていい。声だって出したいだけ出していいんだ。痛い分だけ俺に噛みつけ」
真っ直ぐに伸びている眉を少し下げて、困ったような顔をしていた。
「――どれだけおまえが痛がっても、やめてやれないから」
そう言って、再び唇を私の身体へと落とした。
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