11 / 196
第一部
最悪の出会い 8
その衝撃で目を開くと、私を見下ろす彼の目と合う。どこか苦しそうで、あの日見せていた嫌味なほどに余裕のある鋭い目とは全く違っていた。
視線が交わったのも束の間、その目はすぐに視界から消える。それと同時に唇が重なって。深いキスに上手く呼吸ができない。そのうちに、唇にだけ当てられていた彼の唇が、違う場所にも触れて行く。
「あ……っ、ん……」
唇が解放されて苦しかった分呼吸をすれば、吐き出されたものは鼻から抜けるような甘ったるい声だった。
こんな声、自分から出ているなんて……。
恥ずかしくてたまらないのに、声が止まらない。彼氏の唇が首筋を滑る度に身体が震える。その間にも、私の身体を包んでいる衣服を一つ一つ、開かれていく。
「み、見ないでください……っ!」
露わにされた胸を咄嗟に両手で隠した。こんな貧相な身体、この人に見られてしまうのかと思うとたまらなく恥ずかしい。
「隠すなよ」
そう言って私の手を取り、ソファに縫い付けるみたいに押さえつけた。
「やっ……」
両手の自由を奪われて、最後の抵抗をするように顔を思いっきり逸らす。入り込んだ彼の手のひらが素肌に触れて、私はまた声を上げた。骨ばった指の感触が、余計に胸を疼かせる。
「細い身体だな……」
「だから、恥ずかしい……って――」
「少し抱きしめただけで、壊しちまいそうだ……。でも、手加減してやれそうもない」
その声は、掠れていてどこか苦しそうだった。
『手加減できない』なんて言っていたのに、膨らみに触れた手のひらの動きは思っていたよりずっとゆっくりとしたもので。さっきまでの激しさが嘘のように、包み込むように、そっと触れてくる。もう片方の胸の頂に、吐息が掛かった。それに気付いた時には、もうその唇に含まれていた。
「はぁ……っ、あ――」
こんなの、知らない――。
身体が硬く強張る。それは、自分を繋ぎ止めているものを手放してしまいそうになる恐怖からなのか。連れ去られてしまいそうになるのを必死で拒むように身体に力を込める。
怖い――。
次々と押し寄せて来る身体を伝う波のような快感に、怖くなる。
「力を抜け。おまえが、辛くなる」
膨らみの頂を口に含みながら喋るから、それがまた愛撫のようになってしまう。懸命に込めていた力が抜けてしまう。
「あ……っ……ん」
その代わりに、また声が漏れる。
もうこれ以上こんな声、聞かせられない――。
いつの間にか自由になっていた自分の指を噛んだ。
「……自分の指を噛むくらいなら、俺のを噛め」
その声に目を開くと、すぐ真正面に彼の顔があった。私の指を口から引き抜き、長い指を私の唇に当てて中へと入れようとする。
「だ、ダメです。あなたの指なんて、噛め、な――」
「だったら、声を我慢するのをやめろ」
「で、でもっ……」
どこにも逃がさないというように私の身体はこの人の腕と脚で絡め取られている。目の前にある熱のこもる目が私の視線を捕らえて。どうしようもない緊張と、素肌を晒している恥ずかしさとで、ただ頭をふるふると横に振る。
「……こんなに、指、うっ血させやがって」
掴んでいた私の指を口に含んだ。私の指に生暖かい舌が滑るように触れる。その光景は、酷く淫靡で、ただ指を舐められているだけなのにまた身体が震える。私の指から唇を離すと、そのまま手のひらに指を入り込ませてぎゅっと握りしめてくれた。それはとても優しいもので、驚く。
「どうしたって、これからおまえに痛い思いをさせるんだ。何も我慢なんてしなくていい。声だって出したいだけ出していいんだ。痛い分だけ俺に噛みつけ」
真っ直ぐに伸びている眉を少し下げて、困ったような顔をしていた。
「――どれだけおまえが痛がっても、やめてやれないから」
そう言って、再び唇を私の身体へと落とした。
視線が交わったのも束の間、その目はすぐに視界から消える。それと同時に唇が重なって。深いキスに上手く呼吸ができない。そのうちに、唇にだけ当てられていた彼の唇が、違う場所にも触れて行く。
「あ……っ、ん……」
唇が解放されて苦しかった分呼吸をすれば、吐き出されたものは鼻から抜けるような甘ったるい声だった。
こんな声、自分から出ているなんて……。
恥ずかしくてたまらないのに、声が止まらない。彼氏の唇が首筋を滑る度に身体が震える。その間にも、私の身体を包んでいる衣服を一つ一つ、開かれていく。
「み、見ないでください……っ!」
露わにされた胸を咄嗟に両手で隠した。こんな貧相な身体、この人に見られてしまうのかと思うとたまらなく恥ずかしい。
「隠すなよ」
そう言って私の手を取り、ソファに縫い付けるみたいに押さえつけた。
「やっ……」
両手の自由を奪われて、最後の抵抗をするように顔を思いっきり逸らす。入り込んだ彼の手のひらが素肌に触れて、私はまた声を上げた。骨ばった指の感触が、余計に胸を疼かせる。
「細い身体だな……」
「だから、恥ずかしい……って――」
「少し抱きしめただけで、壊しちまいそうだ……。でも、手加減してやれそうもない」
その声は、掠れていてどこか苦しそうだった。
『手加減できない』なんて言っていたのに、膨らみに触れた手のひらの動きは思っていたよりずっとゆっくりとしたもので。さっきまでの激しさが嘘のように、包み込むように、そっと触れてくる。もう片方の胸の頂に、吐息が掛かった。それに気付いた時には、もうその唇に含まれていた。
「はぁ……っ、あ――」
こんなの、知らない――。
身体が硬く強張る。それは、自分を繋ぎ止めているものを手放してしまいそうになる恐怖からなのか。連れ去られてしまいそうになるのを必死で拒むように身体に力を込める。
怖い――。
次々と押し寄せて来る身体を伝う波のような快感に、怖くなる。
「力を抜け。おまえが、辛くなる」
膨らみの頂を口に含みながら喋るから、それがまた愛撫のようになってしまう。懸命に込めていた力が抜けてしまう。
「あ……っ……ん」
その代わりに、また声が漏れる。
もうこれ以上こんな声、聞かせられない――。
いつの間にか自由になっていた自分の指を噛んだ。
「……自分の指を噛むくらいなら、俺のを噛め」
その声に目を開くと、すぐ真正面に彼の顔があった。私の指を口から引き抜き、長い指を私の唇に当てて中へと入れようとする。
「だ、ダメです。あなたの指なんて、噛め、な――」
「だったら、声を我慢するのをやめろ」
「で、でもっ……」
どこにも逃がさないというように私の身体はこの人の腕と脚で絡め取られている。目の前にある熱のこもる目が私の視線を捕らえて。どうしようもない緊張と、素肌を晒している恥ずかしさとで、ただ頭をふるふると横に振る。
「……こんなに、指、うっ血させやがって」
掴んでいた私の指を口に含んだ。私の指に生暖かい舌が滑るように触れる。その光景は、酷く淫靡で、ただ指を舐められているだけなのにまた身体が震える。私の指から唇を離すと、そのまま手のひらに指を入り込ませてぎゅっと握りしめてくれた。それはとても優しいもので、驚く。
「どうしたって、これからおまえに痛い思いをさせるんだ。何も我慢なんてしなくていい。声だって出したいだけ出していいんだ。痛い分だけ俺に噛みつけ」
真っ直ぐに伸びている眉を少し下げて、困ったような顔をしていた。
「――どれだけおまえが痛がっても、やめてやれないから」
そう言って、再び唇を私の身体へと落とした。
あなたにおすすめの小説
私と彼の八年間〜八年間付き合った大好きな人に別れを告げます〜
桜百合
恋愛
葵は高校の頃から八年間付き合っている俊の態度の変化に苦しんでいた。先の見えない俊との付き合いに疲れ果てた葵は、同棲していた家を出て彼と別れる決心をする。
長年付き合った彼女をおざなりにした結果、失って初めてその大切さに気づくお話。
※本編完結済、不定期に番外編投稿中
ムーンライトノベルズでも「私と彼の八年間」というタイトルで掲載中です。
(2023/10、日間総合ランキングで1位になりました)
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
(第一章完結)ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。