BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第118話 幻のブザービーター

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ブーッ!!!











第4Q 残り2.5秒

舟栄    73
星垓    74










両チームの選手が最後の1プレイをプレイしに出てくる。














星垓・新城はフリースローラインへ。











残りの4人は、自陣で待機。








逆転の芽を断つためだ。













星垓メンバーが勝利を確信する中、











唐沢、そして涼真は異変に気付く。












涼真「霧谷さんが…」









唐沢「フリースローレーンに並んでない…」










フリースローレーンには基本、リバウンドを確保するためにフロントコート勢の3人が並ぶ。











だが舟栄は、永島・岩倉・本庄の3人が並んでいる。










涼真「そうか…」
(そうだよな、あの人霧谷さんが諦める訳ねえよな)










審判「ツーショット!」










新城、審判からボールを受け、フリースローを構える。





















ビッ!




新城のいつものフォーム。
























スパッ!















第4Q 残り2.5秒

舟栄    73
星垓    75













星垓メンバー「「よーし!!」」


















審判「ワンショット!!」















新城、フリースローを構える。
















新城、わざとリング手前を狙い短めに放る。














ガン!!












慎太郎「よし!」











新城(作戦通り!)










-先程のタイムアウト-









唐沢「ではもう何も言いません。集中だけ切らさないように」







その直後。









新城「1投目は普通に打つけど、2投目は外すからな」








真田「でも2投決めて3点差なら全然良くないすか?」







新城「いや、スローインだと相手に陣形を作る時間を与えちまう。リバウンドだったら相手に考える時間を限りなく与えずに済むからな」






髙木「その分、ブザビでスリーっていう事故も有り得るが、ハーフコートで捕まえれば可能性は低いだろ」






神崎「そもそも相手が戦意無くしててそこまでしてこない可能性もありますけどね」







慎太郎「ブザーが鳴るまではベストを尽くしましょう。新城さんの案で勝ちますよ」











-バシッ!








争う相手のいないリバウンドを永島が取る。











ダッ!!








霧谷、センターライン付近へ走る。














永島「霧谷!!!」













永島、即霧谷へパス。













涼真「!!」









涼真、いち早く霧谷のシュートをブロックせんと跳ぶ。










ダム!!!








霧谷、ドリブルで涼真をかわす。














ブーッ!!!!





ビッ!!












霧谷、センターサークルからのスリーポイント。

















まだ、負けたくねえ。










俺はこいつらと一緒に優勝するって決めたんだ…!

























霧谷「届けぇぇええええ!!!!」
























誰もが行方を追ったそのボールが…















































































ザシュッ!!!!!!



















「うわああああああ!!!!!」












「決まったあああああ!!!!」

















舟栄メンバーが霧谷に駆け寄る。
















そして、まさに飛びつかんとした時…






















…………






















コートが静まり返っている。

















審判、「セーフ」のようなジェスチャー。



















審判「ノーカウント!!」



















「えっ…」































「えええええええええええ!?」



















霧谷のスリーポイントは、時間外の判定。

















霧谷「…」
(北条がマークに来た時か…ドリブルでかわしてシュートを打つ間に…残り時間が…)




















星垓、一瞬劇的な逆転負けかと思われたがタイムアップに救われた。












星垓メンバー「「「ぃよっしゃあああああああ!!!!!」」」








「勝ったあああああああ!!!!!!」















星垓ベンチから選手達が飛び出す。










コートのメンバーと勝利を分かち合う。












髙木「涼真、よく霧谷の狙いを見切って止めたな」








涼真「…止めてないっすよ」







髙木「は?」








涼真「あと1秒あったら…うちが負けてました」









ポン





髙木、涼真の背中を叩く。










髙木「確かにな。でもうちの勝ちだ。納得いかなくてもな。
負けた相手の事を想うなら…次も勝つことだ」









涼真「…はい…!」































舟栄メンバーは、星垓の歓喜の輪を見ている。








本庄は呆然と立ち尽くしている。














永島は倒れ込み、床に突っ伏している。
その身体は、震えていた。











近藤はその場で座りこんでいる。








岩倉は腰に手を当て、天を仰ぐ。












霧谷は…シュートを打った後のままの右手を掲げながら固まっていた。




















やがて、霧谷がメンバーを振り返り口を開く。














霧谷「ごめん!ミスった!」
















メンバー、その言葉で皆ゆっくりと霧谷の元へ。










近藤「バカヤロー!どこがミスだよ!」






本庄「俺、あんなすげえシュート初めて見たんすけど」





永島「お前を責める奴なんて誰もいねえよ。現にカウントされてれば…勝ってたんだからな」






岩倉「さ、整列だ!お前ら!最後まで胸を張れ!」












その顔には涙の筋が見える。













涙を流しながらも舟栄メンバー5人は整列した。












歓喜の輪の中にいた星垓のメンバーもやや遅れて整列する。



















審判「スコア通り!星垓!」








「「「あ(りがとうございま)したっ!!!!!」」」












両チーム、コートを開けつつ健闘を讃え合う。













パチパチパチパチパチパチ!!!!







死闘を繰り広げた両チームに、会場全てから惜しみない拍手が送られた。










新城「これで1勝1敗…またやろう、岩倉」





岩倉「次は同じようにはいかねえ。秋か冬かわかんねえけど、次は絶対ぜってー負けねえ」






新城「次までにうちも強くなっておくよ」












慎太郎「近藤さん、ありがとうございました」







近藤「全中の時に東裁大相模の試合は見てたけど…一段と良いガードになってんな、中山」








慎太郎「目標は日本一のガードっすから」










近藤「日本一か。2番ポジションも入れればおそらく次の北陵の堂林が文句なしにナンバーワンだけど…ポイントガードでナンバーワンなら多分…候補は何人かいるけどインハイではどいつも…お前らも相手もまだまだ勝ち進まなきゃ当たれないな」








慎太郎「1人は知ってますよ、柴田の藤川。U-16アンダーシックスティーンで実際マッチアップもしましたから」






近藤「他には…洛阪にいる塚森に土波日大の山浦、2年の代だと愛和の市河か博多第一の大塚あたりかな」







慎太郎「…立ちはだかった相手は全部倒します」



近藤「そうこなくっちゃな!」




















永島「たまんねえな、前回は個人で負けて試合には勝って…今回は両方負けて…」






髙木「何言ってんだ、手抜くゆとりなんて微塵もなかったよ。
霧谷ってエースがいるからみんな影に隠れてるけど…舟栄は本当ならスタメン全員がすげえプレイヤーだもんな」







永島「なんだかなぁ…勝った相手に言われてもな」







髙木「っと、悪い」







永島「またやろうぜ。今度はもっとキツく当たって根を上げさしてやるよ」





髙木「勘弁してくれ」










本庄「あーあ、敗者復活戦とかないかなぁ」





神崎「何言ってんだ…」






本庄「もっと先輩達とインターハイでバスケしてえのにな…って」





神崎「勝ったのはうちだ。その権利は俺達のもんだ」





本庄「…秋や冬は同じようにはいかねえよ?もちろん来年も」




神崎「ああ」
















霧谷「…」





涼真「…」




霧谷「強くなったな、北条」



涼真「…悔しくて仕方ないっす」



霧谷「そうか…あんだけ点取って試合にも勝ったのにな」




涼真「あと1秒あったら負けてましたよ」




霧谷「それでも勝利の女神はお前らの味方をした。お前達が上回ったんだ」



涼真「…」




霧谷「全国制覇の夢、託したぜ」






涼真「…はい!!」


















試合終了

舟栄    73
星垓    75














両チームが引きあげる中、第2試合の日南学園、北陵の選手がアップを始める。













堂林「…」
(霧谷が消えたか…)









堂林、それだけで特に気にするでもなく淡々とアップする。
















-舟栄のロッカールーム-





佐藤「…ベスト16って結果は不本意かもしれないが…よく戦った。最後の最後までわからない、いい勝負だった。
負けて何を…と思うかもしれないがお前達は今日、勝ち残ってもおかしくなかった。俺はそう思っている」







舟栄メンバー「「…」」









佐藤「よし、帰り支度だ。身体のケアはしとけよ」








舟栄メンバー「「「はい」」」









佐藤監督、一足先にロッカールームを出る。











岩倉「…終わっちまったな、夏」







永島「なんかあっという間だったよなぁ…」







近藤「なかなかインターハイ、上位まで行かせてもらえねえな」
※一昨年はベスト16、昨年はベスト8、今年はベスト16









永島「あーあ、負けちまったな」










霧谷「ああ。今日の所はな」











岩倉「?」











霧谷「まだ国体もウィンターカップもある。まだ高校バスケは終わりじゃねえ。俺は諦めねえぜ?全国制覇」









近藤「ハッ!」



近藤、思わず笑ってしまう。










近藤「うちのエースはもうそんな先を見据えてんのか」









岩倉「ま、いつまでもウジウジしてるより良いじゃねえか」









永島「今度は霧谷の足引っ張らねえようにしねえとな…帰ったら即、特訓だ」














舟栄メンバーは、次なる戦いを見据え始めた。

















千葉県代表・舟栄高校、ベスト16敗退。




















-星垓のロッカールーム-










神崎「はあっ…はぁ…疲れて立てねえ」








髙木「今日は確かに一段としんどかったな」










新城「勝って嬉しいはずだが…明日も更に強敵と当たると思うとな」








涼真「…」










唐沢「疲れてる所申し訳ないんですがみなさん…」












ガチャッ!!











「すみません、話聞かせてもらってもいいですか?」



「日本スポーツ新聞の者です!U-16アンダーシックスティーンの北条くん中山くんとU-18アンダーエイティーンの髙木くんに話聞きたいんだけど…」










記者がロッカールーム外にごった返している。











唐沢「すみません、ベスト8までくると取材もあったりと…断ったんですけどね」












新城「…こりゃしばらく帰れそうにねえな」
















神奈川代表・星垓高校、ベスト8進出!


















-その頃、コートでは

























ブーッ!















審判「始めます!」
















日南学園(ユニフォーム黒)

G  #7   島津 幹太  3年 176㎝
G  #4   東 雅人   3年 181㎝
F  #6   平井 剛   3年 186㎝
F  #8   原田 伸二  3年 188㎝
C  #5  セック・ンバイ・プーイエ 3年 201㎝


北陵(ユニフォーム白)

G  #5   三上 直哉  3年 184㎝
G/F  #6   堂林 和樹  3年 189㎝
F  #4   筒井 辰也  3年 193㎝
C/F  #10   劉 子轩   3年 203㎝
C  #15  伊達 裕之  1年 211㎝








山下「第1会場の第1試合も終わったんで結果持ってきました」








村上「うむ」








試合終了

紅泉    82
京洋    91












村上「順当に京洋か」








山下「紅泉は怪我人が大会中だけで3人出てしまったのが響きましたね」








村上「そいつは無念だったろうな…冬の逆襲を狙ってるだろうな」








山下「向こうの第2試合も面白くなりそうですよ」







村上「全国屈指の高さを持つ湘洋大付属と、全国屈指の機動力と粘り強さで戦う屋代工業、伝統校同士の対決か」







山下「伝統校同士ならこっちもですけどね」






村上「確かにな」





山下「湘洋大付属も大きかったけど…北陵はそれ以上…」










村上「日本一のサイズを持つチーム、それが北陵だ。スタメン平均身長は全校中ダントツの196㎝。
日南学園もスタメン平均身長が186.4㎝と決して小さい訳でもないんだがな…」




山下「セネガルからの留学生、プーイエ君が普通のサイズに見えるんですが…」

















インターハイ3回戦

















優勝候補の一角、北陵がベールを脱ぐ。













……To be continued
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