Another world currency

haya

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召喚

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「よっしゃー!」

 1Kのアパートで俺、明日野 悠士は年甲斐もなく叫んでいた。
 仕事から帰って来た俺は郵便受けに入っていた通知書を開封していた。
 通知書に書かれていたのは俺の名前と合格の文字。先日受けた簿記試験の結果だった。
 簿記は企業で帳簿を付けるのに必要なスキルで就職活動する学生にも人気の資格だ。34歳で工場勤務の俺は体力にも衰え感じてきたので事務職もできるよう受験していた。


「さてと無事に合格したし、今日は飲むかなー。明日は仕事も休みだしね。」


 近くのコンビニへ買いに行く為、スマホだけ持って家を出る。最近は会計もスマホで出来るから便利な世の中になったもんだ。


※※※※※

「♪~」


 コンビニでビールとレンジで温めてもらった夕飯の弁当を買い、鼻歌まじりで家へと向かう。


「許して!もう止めてよ!!」


 気分良く歩いていたが、尋常じゃない叫びが歩いている先の公園から聞こえてきたので中を覗いてみると、一人の少年が大男に殴られていた。


「痛い! 和哉君もう許して!」

「うるせー!! テメーがちゃんと見張ってねーからタバコがセンコーに見つかって停学くらっちまったじゃねぇか!」


 そう良いながら和哉と呼ばれた男は再度殴りつける。


「うわぁ・・・ イジメの現場に出くわしちゃったかなぁ・・・」


 俺は見つからないように草むらの中から様子を伺っていた。
 止めてあげたいけど、殴ってきたら絶対に大男に勝てないだろうなぁと悩んでいた。
 何故なら俺は体格も良くなければ殴り合いのケンカもした事が無かったからだ。


「おい、カズヤ。もうその辺にしとけ。自殺でもされたら面倒だ。それにタバコはお前のせいでもあるしな。」

「そうよ、そうよ! それよりテツヤ~。今から私の部屋に行かない~? 今日は親が帰って来ないんだ~♪」


 声が聞こえてきた方を見るとベンチにカップルぽい二人が座っていた。男はイケメンで女は可愛いギャルみたいな感じだった。リア充爆発すればいいのに。


「ちっ、テツが言うんじゃしょうがねぇ・・・ じゃあ、後2・3発殴って終わりにするかー。」

「顔はもう止めておけよ。傷が目立つとバレるからな。」


 どうやら和哉はまた殴るみたいだ。男の子はすっかり顔中が涙だらけて怯えている。しょうがない、気乗りしないが見てしまった以上は助けるかぁ。俺は勇気を振り絞って彼等の方に行った。


「おい!何やっているんだ!」


 俺が声を上げると4人がこちらを向く。


「あん? 誰だテメー。」


 和哉は俺を睨みつけてくる。正直チビりそうだ。


「可哀想じゃないか。暴力はよくないぞ」

「キャハ。あのオッサン、足が震えてやんの。ウケる~♪」

 「おいおい。折角なけなしの勇気を振り絞って来たんだろ。可哀想だから言ってやるなよ。」


 くっ、オッサン呼ばわりとイケメンとギャルにバカにされて心が折れてしまいそうだ。だって俺のメンタルは豆腐のように柔らかいんだからね。


「ハッ、丁度良い。殴り足りなかったところだからオッサンもボコってやるよ!」


 和哉は少年の側を離れこちらに近づいてくる。
 少年を助ける目的は達成できたが、俺が殴られるのは良くない。痛いのは嫌だもんね。


「暴力はいかんぞ、暴力は!」

「へっ、うっせーよ。」


 和哉との距離が手が届きそうな距離に近づくと、急に和哉とベンチに座っていた二人の足元にまるで魔方陣みたいな物が光を放って現れる。


「な、なんだコレ!? あ、足が動かねぇ!」


 和哉は何とか光の中から抜け出そうとするが、まったく動かない。


「おい、高司! オレの手を引っ張れ!」

「う、うん!」


 高司と呼ばれた男の子は和哉の手を引っ張れるが結果はまったく変わらない。そればかりか和哉の体はどんどん魔方陣の中に沈みこむ。
 

「オイ!もっと力入れて引っ張れ!」

「ダ、ダメ・・・ もう限界・・・お、お願いします。」

「え?」


 一人では無理だと判断したのか近くで呆然としていた俺の手を掴む。油断していた俺は力が入っておらず一緒に光の中に吸い込まれていく。


「え!? ちょ、嘘だろ!?」


 俺達は魔方陣の中に完全に吸い込まれた。視界が自分の体すら見えない白一色に染まる。


『おかえり』


 そんな時、ひどくなつかしい声が聞こえた気がした。
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