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悪魔の借入
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「やっちまったー。」
奴隷商の館から出て路地裏に入り俺は頭を抱える。
「その場の雰囲気に流されるのは本当に悪いクセだよなぁ。」
しかし言ってしまったものはしょうがない。俺は『アレ』に目を通す。
【悪魔の借入】・・・契約されし次元の精霊を召喚する。この世界の理を持つ貨幣をレベル×1000枚まで借りる事ができる。1週間に1度、借りた金額の30%を【財布】に入れて返済する。計4回で返済。返せない場合は死亡する。消費MPは精霊を召喚中毎秒2。
これは使う事がないと思ったが、所持金が足りないので使わざるをえない状況だ。
「えぇい! 覚悟を決めるか! 【悪魔の借入】《デビルローン》!!」
右手を前に広げ呪文を唱えると、手の先に黒い粒子が集まり出す。
それらは徐々に大きくなり30cmくらいの大きさになったところで一瞬黒く輝く。
「ヨォ、やっと会えたな『今代の恋金術士』。」
黒い輝きが収まり出て来たのは高さがコウモリの様な翼に尖った尻尾と耳、体は3頭身で全長30cmくらいの大きさ、眠たそうなタレ目をした可愛い悪魔だった。
「あ、悪魔?」
「バカ言うナヨ。 こんな可愛い悪魔がいるもんカ。 れっきとした精霊ダ。」
「それはすまなかった。俺は悠士。精霊の名前は何て言うんだ?」
「好きに呼んでくれてイイゼ。 今までのヤツラは好きに呼んでいたからナ。」
「そう言われてもなぁ。じゃあ、悪魔っぽいからデビちゃんだ!」
俺がそう言うとデビちゃんは眠たそうなタレ目をカッと開いた。自分でもセンスが無いと分かるが気に障ったのだろうか?
「い、嫌だった?」
俺は恐る恐るデビちゃんに聞いてみた。
「イヤ・・・。 別にキライじゃナイゼ。ただそう呼ばれるのは『千年ぶり』だなと思ってナ。」
なんだ。俺の他にもネーミングセンスが悪いヤツがいて安心したぜ。
「そうか~。それなら良かった。それよりさっき『今代の恋金術士』って呼んでたけど、俺の他に恋金術士はいないのか?」
「そうダゼ。恋金術士は勇者の次にレアな職業ダ。千年前に勇者と初代が現れて、それ以降は百年に1人出てくるくらいダ。ユウジは『十一代目』になるナ。」
道理で誰も恋金術士を知らない訳だ。文献にも載ってないと王城の大臣が言ってたし、とてもレアな職業だったんだな。
「色々と聞きたい事があるだろうが、今のオマエの力じゃ長い時間オレを留まらせる事が出来ないダロ? 用件は何ダ?」
「あぁ、そうだった! 実は金貨105枚程を借りたいんだ。」
話をしていて危うく本来の用件を忘れるところだった。恋金術士については、また今度聞く機会もあるだろう。
「ワカッタ。 ヨシ! オマエの【財布】に金貨を入れておいたゼ。」
「え!もう? 【財布】を呼び出していないのにどうやって?」
「オレは次元を操る精霊だからナ。 これくらいは朝飯前ダ。」
「それは凄いね。助かったよ。」
「それよりくれぐれも返済は忘れずにナ。これは『契約』でもあるからナ。」
「ん? 勿論だよ! 俺も死にたくないからね!」
返済出来ないと死ぬみたいだし、必ず忘れないようにしなくては。
「ソウカ。ではオレは戻るとするヨ。また会おうゼ。願わくばオマエが最後であると期待してイル。」
そう言ってデビちゃんは黒い粒子となって消えていった。良く分からない事を言っていたけど、また今度聞けばいいか。今は支払いが先だ。そう思って俺は奴隷商の館に戻っていった。
館の門番に通してもらい、中のホールに行くとドルトは既に俺を待っていた。
「思っていたより早いお帰りでしたね。正直、実は払えなくて戻って来ない可能性も考えておりましたよ。」
「それは心配させてすまないな。細かくて悪いが金貨130枚分だ。」
【財布】を呼び出して全財産をドルトに渡す。
「はい、確かに頂きました。それでは地下に行きましょう。」
貨幣を数え終えたドルトは俺を先導して地下へと歩いていった。
地下の牢屋に行くと、ドルトは彼女達を牢屋から出し、俺の前に並ばせる。
「奴隷の主従関係を変更します。現在は私が主なので、奴隷の首輪に手を当てて下さい。」
そう言われて俺は獣人の子に付いた首輪を触る。ドルトが呪文を唱えると首輪は少し光り、俺は手にチクっと痛みが走る。
それで完了したらしく、続けてハーフエルフの子にも同じ事をして手続きは完了した。
「これで奴隷の譲渡は完了しました。以後、貴方の強い意思で発した命令には逆らえませんので躾にお使い下さい。」
ドルトは近くにいた護衛らしき者達に彼女達の手枷や足枷を外すように指示して身軽にさせる。
「お兄さ・・・ご主人。買ってくれてありがとう! ボクの名前はキナ。白狼族の誇りにかけて一生懸命頑張ります!」
「ご主人様。この度はありがとうございます。私の名前はリエルです。私も頑張らせていただきます。」
二人とも頭を下げながら礼を述べてきた。
「悠士だ。俺は冒険者としてまだ駆け出しだから二人の力を頼りにしてるよ。とりあえずコレを半分こにして飲んでくれ。」
見るからに衰弱していた二人にポーションを渡し、半分づつ飲ませた。 多少はマシになったのだろう、顔に血色が戻ってきた。
俺はドルトに別れを済ませて二人を連れて館を後にした。
「(うーん・・・先ずは服からかな・・・)」
宿に戻る途中、後ろを歩く二人をチラ見しながら考える。
二人は奴隷商にいた時のボロを1枚着ているだけで足も裸足だった。
「(とりあえず、宿屋の向かいにある服屋で揃えますか。)」
そう考えて二人と一緒に服屋へと向かった。
服屋に着くと、店員の女性を捕まえる。年頃の女の子の服をオッサンが選ぶ訳にもいかないしね。
「すみません彼女達に合う下着と服を2着づつ、あと靴を一足下さい。全部安い中古でお願いします。」
コーディネートは店員さんに任せて店の中で待たせてもらう。
暫くするといかにも村人みたいな服装で二人が出てくる。
「ご主人、お待たせー!」
「ご主人様、お待たせしました。」
「二人ともお帰り。良く似合っているよ。」
二人は先程まで明らかに奴隷ぽかったが、すっかり見違えていた。靴もサイズの合う皮靴を履いていた。
「さっきまで着ていたのは着るのに厳しいと思うので、こちらで処分を致しますね。問題なければお会計をお願いしても良いですか?」
女性店員が俺に確認してくる。
「はい、問題ありません。おいくらですか?」
「金貨3枚になります。」
「分かりました・・・あっ!?」
すっかり忘れていた。彼女達を奴隷商から買うのに全財産使っていたんだった。
「すみません! ちょっと待ってて下さい! 二人ともここで待ってて。」
俺は急いで服屋を出て、脇道に入る。
【悪魔の借入】を再び唱え、デビちゃんを召喚して金貨5枚だけ貸して欲しいと告げた。
「ご利用は計画的にナ・・・」
デビちゃんに悲しく言われながら支払いへと戻るのだった。
奴隷商の館から出て路地裏に入り俺は頭を抱える。
「その場の雰囲気に流されるのは本当に悪いクセだよなぁ。」
しかし言ってしまったものはしょうがない。俺は『アレ』に目を通す。
【悪魔の借入】・・・契約されし次元の精霊を召喚する。この世界の理を持つ貨幣をレベル×1000枚まで借りる事ができる。1週間に1度、借りた金額の30%を【財布】に入れて返済する。計4回で返済。返せない場合は死亡する。消費MPは精霊を召喚中毎秒2。
これは使う事がないと思ったが、所持金が足りないので使わざるをえない状況だ。
「えぇい! 覚悟を決めるか! 【悪魔の借入】《デビルローン》!!」
右手を前に広げ呪文を唱えると、手の先に黒い粒子が集まり出す。
それらは徐々に大きくなり30cmくらいの大きさになったところで一瞬黒く輝く。
「ヨォ、やっと会えたな『今代の恋金術士』。」
黒い輝きが収まり出て来たのは高さがコウモリの様な翼に尖った尻尾と耳、体は3頭身で全長30cmくらいの大きさ、眠たそうなタレ目をした可愛い悪魔だった。
「あ、悪魔?」
「バカ言うナヨ。 こんな可愛い悪魔がいるもんカ。 れっきとした精霊ダ。」
「それはすまなかった。俺は悠士。精霊の名前は何て言うんだ?」
「好きに呼んでくれてイイゼ。 今までのヤツラは好きに呼んでいたからナ。」
「そう言われてもなぁ。じゃあ、悪魔っぽいからデビちゃんだ!」
俺がそう言うとデビちゃんは眠たそうなタレ目をカッと開いた。自分でもセンスが無いと分かるが気に障ったのだろうか?
「い、嫌だった?」
俺は恐る恐るデビちゃんに聞いてみた。
「イヤ・・・。 別にキライじゃナイゼ。ただそう呼ばれるのは『千年ぶり』だなと思ってナ。」
なんだ。俺の他にもネーミングセンスが悪いヤツがいて安心したぜ。
「そうか~。それなら良かった。それよりさっき『今代の恋金術士』って呼んでたけど、俺の他に恋金術士はいないのか?」
「そうダゼ。恋金術士は勇者の次にレアな職業ダ。千年前に勇者と初代が現れて、それ以降は百年に1人出てくるくらいダ。ユウジは『十一代目』になるナ。」
道理で誰も恋金術士を知らない訳だ。文献にも載ってないと王城の大臣が言ってたし、とてもレアな職業だったんだな。
「色々と聞きたい事があるだろうが、今のオマエの力じゃ長い時間オレを留まらせる事が出来ないダロ? 用件は何ダ?」
「あぁ、そうだった! 実は金貨105枚程を借りたいんだ。」
話をしていて危うく本来の用件を忘れるところだった。恋金術士については、また今度聞く機会もあるだろう。
「ワカッタ。 ヨシ! オマエの【財布】に金貨を入れておいたゼ。」
「え!もう? 【財布】を呼び出していないのにどうやって?」
「オレは次元を操る精霊だからナ。 これくらいは朝飯前ダ。」
「それは凄いね。助かったよ。」
「それよりくれぐれも返済は忘れずにナ。これは『契約』でもあるからナ。」
「ん? 勿論だよ! 俺も死にたくないからね!」
返済出来ないと死ぬみたいだし、必ず忘れないようにしなくては。
「ソウカ。ではオレは戻るとするヨ。また会おうゼ。願わくばオマエが最後であると期待してイル。」
そう言ってデビちゃんは黒い粒子となって消えていった。良く分からない事を言っていたけど、また今度聞けばいいか。今は支払いが先だ。そう思って俺は奴隷商の館に戻っていった。
館の門番に通してもらい、中のホールに行くとドルトは既に俺を待っていた。
「思っていたより早いお帰りでしたね。正直、実は払えなくて戻って来ない可能性も考えておりましたよ。」
「それは心配させてすまないな。細かくて悪いが金貨130枚分だ。」
【財布】を呼び出して全財産をドルトに渡す。
「はい、確かに頂きました。それでは地下に行きましょう。」
貨幣を数え終えたドルトは俺を先導して地下へと歩いていった。
地下の牢屋に行くと、ドルトは彼女達を牢屋から出し、俺の前に並ばせる。
「奴隷の主従関係を変更します。現在は私が主なので、奴隷の首輪に手を当てて下さい。」
そう言われて俺は獣人の子に付いた首輪を触る。ドルトが呪文を唱えると首輪は少し光り、俺は手にチクっと痛みが走る。
それで完了したらしく、続けてハーフエルフの子にも同じ事をして手続きは完了した。
「これで奴隷の譲渡は完了しました。以後、貴方の強い意思で発した命令には逆らえませんので躾にお使い下さい。」
ドルトは近くにいた護衛らしき者達に彼女達の手枷や足枷を外すように指示して身軽にさせる。
「お兄さ・・・ご主人。買ってくれてありがとう! ボクの名前はキナ。白狼族の誇りにかけて一生懸命頑張ります!」
「ご主人様。この度はありがとうございます。私の名前はリエルです。私も頑張らせていただきます。」
二人とも頭を下げながら礼を述べてきた。
「悠士だ。俺は冒険者としてまだ駆け出しだから二人の力を頼りにしてるよ。とりあえずコレを半分こにして飲んでくれ。」
見るからに衰弱していた二人にポーションを渡し、半分づつ飲ませた。 多少はマシになったのだろう、顔に血色が戻ってきた。
俺はドルトに別れを済ませて二人を連れて館を後にした。
「(うーん・・・先ずは服からかな・・・)」
宿に戻る途中、後ろを歩く二人をチラ見しながら考える。
二人は奴隷商にいた時のボロを1枚着ているだけで足も裸足だった。
「(とりあえず、宿屋の向かいにある服屋で揃えますか。)」
そう考えて二人と一緒に服屋へと向かった。
服屋に着くと、店員の女性を捕まえる。年頃の女の子の服をオッサンが選ぶ訳にもいかないしね。
「すみません彼女達に合う下着と服を2着づつ、あと靴を一足下さい。全部安い中古でお願いします。」
コーディネートは店員さんに任せて店の中で待たせてもらう。
暫くするといかにも村人みたいな服装で二人が出てくる。
「ご主人、お待たせー!」
「ご主人様、お待たせしました。」
「二人ともお帰り。良く似合っているよ。」
二人は先程まで明らかに奴隷ぽかったが、すっかり見違えていた。靴もサイズの合う皮靴を履いていた。
「さっきまで着ていたのは着るのに厳しいと思うので、こちらで処分を致しますね。問題なければお会計をお願いしても良いですか?」
女性店員が俺に確認してくる。
「はい、問題ありません。おいくらですか?」
「金貨3枚になります。」
「分かりました・・・あっ!?」
すっかり忘れていた。彼女達を奴隷商から買うのに全財産使っていたんだった。
「すみません! ちょっと待ってて下さい! 二人ともここで待ってて。」
俺は急いで服屋を出て、脇道に入る。
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