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haya

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ゴブリン

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「さてと、倒したのは良いけどどうしようかな・・・」

 
 目の前に横たわる3匹のフォレストウルフを見て考える。
 まぁ、実際には倒したのは二人だけどね。
 フォレストウルフは大型犬より一回りの大きいので運ぶには苦労しそうだ。


「ご主人様、フォレストウルフの毛皮は丈夫で重宝されますし、牙や魔石も売れますから持ち帰るのが良いと思いますよ。」


「ご主人、一応【解体】のスキルがあるから普通より上手に解体できるけど、水場も無いしレベルも低いから本職の人よりかは品質が落ちると思うの。高く売りたいなら、このまま運ぶのが良いと思う。」

「うーん。やっぱそうなるよね。よし! 1人1匹づつ運ぶとしよう。」


 俺がそう言うと二人はフォレストウルフを担ぎ始めた。俺は籠を背負っていたので籠をランドセルアーマーのように装着した。ランドセルアーマーとは男なら経験した人も多いだろうが、普通は小学生がランドセルを背中に背負うところを前に装着して鎧のように使う事だ。多少のダメージは無効化できるので遊びに使ってた人もいるのではないだろうか。そんな小学生時代を思い出しながらフォレストウルフの前足を掴んで背負った。
 そして俺はまた森に入る事なく、来た道を引き返し始めた。


 結論から言うとフォレストウルフの運搬は最悪だった。暑い・痒い・臭いの三重苦だ。
 まず暑いだ。毛皮が丈夫なのは良いけど良すぎて背負っていると夏にコートを着ているかのようだった。
 次に痒いだ。犬とかの毛にはノミやダニが付着している事が多いが、森に住んでいるフォレストウルフはとにかくソレらが多かった。お陰で俺もあちこち噛まれている。
 最後に臭いだ。犬なんかは普通は飼っているとニオイがキツくなってきてシャンプーをするが野良である魔物がシャンプーをするわけがなかった。そのせいで口呼吸ばっかりする羽目になっている。


「ご主人~・・・」


 キナが弱々しく呼ぶ。獣人である彼女は余計に辛そうだ。


「ああ、分かってる。もうちょいで王都に着くから着いたら風呂に行って美味しい物でも食べよう。だから頑張ってくれ。」


 そう言うと食欲旺盛なキナは目に光が戻り、元気に歩き始めた。



※※※※※

 ギルドに戻るとすぐに買い取りしてもらう。フォレストウルフは良い値段が付いて1匹金貨2枚、今日の買い取りは道中で採取した物を含め、全部で金貨8枚になった。借金返済は1週間で約36枚、日当たりにすると1日約5枚だからノルマは達成したので今日はもう食事を取って休む事にした。


 翌日、俺達は再びクロナの森へと向かった。今回は魔物に襲われずに森の中まで入る事ができた。
  森の中は魔素が豊富なのかシイヤ草が沢山生えており、籠の中がどんどん埋まる。


「いや~。大漁だな。 おっ! あそこにもあるぞ!」


 目の前に見えるシイヤ草を採取しようと歩き始めた瞬間、


「ご主人、危ない!!」

「え? ぐほっ!?」


 キナにいきなり蹴られ派手に転ぶ。


「いてて・・・急にどうし・・・」

 
 そこまで言いかけた時に、さっきまでいた場所、ちょうど俺の頭があった場所に矢が飛んで来た。矢はそのまま近くの木に吸い込まれるように刺さった。


「ご主人様、ゴブリンです! すぐ木を盾にして隠れて下さい!」


 リエルに言われるまま木を盾にして隠れる。
 他の二人もそれぞれ近くの木に隠れる。
 矢の飛んで来た方向を見ると、ボロ布を腰に着けた身長1m程の緑色をした亜人がいた。あれがゴブリンか・・・


「キノ、数は分かるか?」

「えっと、数は5匹だよ。4匹が弓を持ってるみたい。近付くのは危険かも。」


 そんなやり取りをしている間も隠れている木に次々と矢が刺さる。


「弓で牽制して近付いているみたい。ゴブリンにしては頭を使ってるな~。」


 生憎、ゴブリンの弓を防ぐような立派な盾も無ければ全身を包みこむフルプレートの鎧も無い。戦力的に一番役に立たない俺が囮になって、その隙に二人で撃破してもらうのが妥当かもしれないな。


「二人とも聞いてくれ! 俺がフォレストウルフの死体を盾代わりに使って突撃するから、その隙に左右から攻撃してくれ。」


 俺は二人に作戦を伝えた。


「いいえ、ご主人様。私が1人でやります。」


 落ち着いた声でリエルが俺に言う。


「リエル!? 相手は4匹も弓がいる。1匹を弓で倒す間に他のヤツに射られてしまうぞ!?」

「わ・た・し・が・や・り・ま・す!」

「ア、ハイ。オネガイシマス・・・」


 リエルの怒ったような強い口調に思わず了解してしまう。
 リエルは木を背にして手に持っていた弓を地面に置いて、祈りを捧げるかのように両手を握った。


「『我と契約せし風の精霊よ、我が呼び掛けに応え姿を現したまえ、顕現せよシルフ!!』」


 リエルが詠唱みたいなものを唱えると四方八方から風が集まり次第に人の形を作っていく。
 風はすぐに収まり薄黄緑色をした30cmくらいの可愛い小人が出てきた。


 「シルフ、お願い! あそこにいるゴブリンを倒して!」


 リエルが言うとシルフは無言の笑顔で敬礼した。ヤダナニアレ、めちゃくちゃ可愛いですけど・・・デビちゃんと交換してくれないかな? まぁ、デビちゃんも可愛いと言えば可愛いんだけどねぇ。
 そしてシルフはゴブリンに向かって飛んで行く。ゴブリンはシルフに矢を放つが見えない壁があるかのように矢は弾かれる。シルフはゴブリンまで到着すると、そのまま停止せずゴブリンに体当たりをして胸を貫いて倒し、残りの4匹も同じように倒した。まるで1発のホーミング弾のようだった。
 仕事を終えたシルフはリエルの前に戻ってきた。


「ありがとうシルフ。また宜しくね。」


 リエルの手の上にいたシルフは無言の笑顔で頷き、バイバイと手を振ると次第に姿が消えていった。


「凄いなリエル! 今のは精霊魔法か?」

「はい、私が唯一使える魔法です。燃費が悪いのでいざって時にしか使えませんが・・・」


 リエルは少し照れながら話す。


「とにかく助かったよ。ありがとう。ところでコレどうしようか?」


 目の前にはゴブリンの死体が5体。とてもじゃないが持ち帰るのは無理だ。使える素材があればそれだけ持ち帰るべきだろうか?


「ご主人様、魔物がどうやってできるか知ってますか?」

「え? そう言えば知らないなぁ・・・」

「魔物は魔素の濃い場所で魔素が集まり形になり自然に生まれます。それとは別に私達と同じように繁殖でも増えます。」

「へぇー。そうなんだ~。」

「ゴブリンやオークは私達のような女性を捕まえて繁殖の苗床とします。したがって女の敵です!」

「お、おう・・・」


 リエルの話しに段々熱が入る。


「なので奴らはこのように駆除しなければなりません! この死体はここに置いておきます。そうすれば、いずれフォレストウルフのような魔物が食べ、そして繁殖し、ウルフ達がゴブリンの駆除するからです!」

「そ、そっか~。でも、せっかく倒したのに何も持ち帰らないのは勿体な・・・」

「ゴシュジンサマ?」


 とても低いトーンで言いながらリエルが俺を睨む。


「(怖っ!ナニコレ? ちょー怖いんですけど!?) そ、そうだね! 倒したのはリエルだし、リエルの言うとおりにするよ!」

「分かって頂けて何よりです。」


 リエルの提案(脅迫?)を飲むとリエルは満面の笑みをした。
 
その後、血の臭いに釣られて来たフォレストウルフを倒して再び三重苦を味わいながら街に戻った。
 なんだかとても疲れた日だったので宿に着いたらすぐに休んだ。
 とりあえずリエルは怒らせてはいけないと教訓にするのだった。 
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