21 / 71
21 皇帝陛下謁見
初めて、メイドにお風呂に入れてもらった。
気恥ずかしい。けれど、こんなに気持ちがいいなんて、知らなかった。
「頭の怪我がありますので」という言葉に、甘えたのだ。
確かに、自分では頭の怪我は見えない。
説得されて、「それならお願いします」となった。
暑い季節なので、少しひんやりする水浴びのようなお風呂だった。
シャワーで、シャボンは流れて、気持ちがいいのだ。
お風呂に入ったとき、お腹を見れば、お腹に痣ができていた。
「お腹を蹴るなど、悪質です」とメイドは怒っていた。
わたしの代わりに怒ってくれて、嬉しかった。
水浴びのようなお風呂に入ると、今度は体を拭いた後、バスローブに着替えて、肌の手入れと髪を梳かし、髪を乾かしてくれた。
ドゥオーモ王国のシャンプーとは違うのか、洗い上がりがサラサラしている。
シャンプーの後に、髪がしっとりするようにトリートメントされて、見違えるように綺麗になった。
お化粧は、口の端に傷があるので、しない方がいいと言われたので、肌を整えただけだ。
けれど、見違えるように綺麗になった。
よく寝たお陰で、目の下にあった隈はなくなり、顔色がよくなった。
お化粧で隠さなくても、素肌のままで美しいなんて、今までなかったことだ。
よくよく考えれば、わたしはまだ16歳だ。
どうして化粧を始めたのかを思い出した。
ペリオドス様に、目の下の隈がみっともないと指摘されたからだ。
隈がなくなった今、化粧などせずとも美しかった。
紅を少しさしてもらい、メイドは満足した顔をした。
ドレスは、持ってきたうちで一番綺麗なドレスを着た。
地味かもしれないが、わたしが持っている中で、一番、綺麗な物だ。
それを身につけて、靴を履くと、出掛ける準備はできた。
まるで、着替えるのを待っていたように、クラクシオン様が部屋に迎えに来た。
「綺麗になったね」
「お待たせしました」
よく見ると、クラクシオン様の髪色とわたしの髪色は同じでした。
今までくすんで見えていたのですが、帝国のシャンプーで洗ってもらったら、髪色が明るくなりました。
瞳の色もよく似ているので、なんだかお兄さんのように感じます。
「では、参ろうか」
「はい」
今日はガーゼを外しています。
殴られた頬は、痣になり、唇の端に傷もありますが、ガーゼを張るより目立ちません。
「父は、マリアナに会うのを楽しみにしている」
「記憶がなくても、許していただけますか?」
「戻ってきたことが嬉しいのだ。そう心配するな。過去の記憶がないのは、マリアナの責任ではない。自分を責めてはいけないよ」
「はい」
クラクシオン様は、わたしの手を繋いでくださる。
胸がドキドキします。
「頬が赤くなったね」
「手を繋がれたのは、二度目ですが、とても緊張してしまいます」
「誰とも手も繋がなかったのか?」
「はい、わたしに触れる方はいませんでした。クラクシオン様が視察に来られたときに、初めて、わたしに触れてくださいました」
「そうか、寂しかったね」
「はい、とても。でも、今はクラクシオン様がいらっしゃいます」
「もう、寂しい想いはさせない」
「ありがとうございます」
「そこは、ありがとうでいいんだよ」
「はい」
宮殿の中を進んで行きます。
宮殿はとても広く、わたしが宿泊しているエリアと別棟のような気がします。外には出ていませんが、長い廊下が続き、階段も上がったり下りたりします。
「敵の侵入を防げる建物になっているのだ。皇帝が住んでいるエリアは、宮殿の奥にあたる」
「毎日、生活をするのは、大変そうですわ」
「客人が来たときは、今、宿泊しているエリアに住んでもらう。そのうち、部屋の引っ越しをしてもらう。客人が帰ったらね」
「お客様をもてなすお部屋でしたのね」
「ペリオドス王太子とジュリアン殿が、どんな動きをするのか、分からないから。部屋は離してあるが、乗り込んでくる可能性がある状態では、下手したら皇帝陛下相手に馬鹿な真似をする可能性がある。そうなったら、ドゥオーモ王国の存続すら危険になる」
「配慮いただきまして、ありがとうございます」
「マリアナの部屋は24時間体制で、護られている。メイドも腕の立つ者が付いている。どうか安心して欲しい」
「腕の立つメイドですか?凄いわ。実は、わたしも腕が立ちますのよ。うっかりペリオドス王太子をやっつけたこともありますの。自尊心の塊のようなお方なので、それ以来は、手加減しておりますの」
「それは、今度、手合わせをしてもらいたいな」
「本気でぶつかっても、宜しければ、是非、お願いします」
「もちろんだよ。俺もかなり強い。本気でぶつかってきても、倒されたりしない。怪我が治ったら、是非、相手になって欲しい」
わたしは微笑んだ。
なんて頼もしいのでしょう。
ペリオドス様相手では、手加減しなくてはならなかったのに、本気でぶつかってもいいと仰っていただいて、安心していられます。
手合わせが楽しみになってきました。
「さあ、ここからは皇帝が仕事をするエリアだ。生活エリアは、もう少し先になる」
「本当に広いわ。ドゥオーモ王国の宮殿の5倍くらいはありそうです」
「帝国には他国からの客人も多い。警備も他国とは比べものにならない」
「はい」
「マリアナのように誘拐されてしまう場合もある」
「……はい」
クラクシオン様は一つの扉の前で足を止めた。
そこには、鎧を着た騎士が二人立っている。
「ここだ」
クラクシオン様は扉をノックして、「クラクシオンです」と名乗った。
「入れ」
深く低い声がした。
「失礼します」
クラクシオン様は扉を開けて、その中に、わたしを伴って入っていく。
扉の中には、大勢の人がいた。
クラクシオン様と同じくらいの年齢の殿方が四人と女性が二人、年配の男性と女性が。
年配の男性が皇帝陛下だろうか。
「マリアナを連れてきました」
「ご苦労」
「マリアナ、よく無事で戻ってきた。私が皇帝陛下のタイルテンスだ。隣にいるのが妻のフライ。こちらに来なさい」
「はい」
わたしは、クラクシオン様を見上げた。
頷かれたので、皇帝陛下の前に進んで、最上級のお辞儀をする。
「顔を上げなさい」
「はい」
「記憶がないと聞いた。迎えに行くのが遅くなってすまないことをした。マリアナの父上は、長く探し求めていたが、病に倒れて、亡くなってしまった。会わせてやれなくて、申し訳なかった」
「皇帝陛下、心遣い感謝致します。5歳の頃からドゥオーモ王国の王宮におりました。王宮の部屋から外には出てはいけないと、ずっと言われておりました。記憶がなかったので、母国が分からなかったのです」
「よく生き延びた。辛いことが有ったのだな、体が癒えるまで、まずは休むように」
「ありがとうございます」
「ここにいるのは、クラクシオンの弟妹達だ。クラクシオンは第一皇子で皇太子だ。髪が長いのが、第二皇子、モレークラ。第三皇子はメルーリオ。瞳の色が緑だ。第一皇女のシリピリー。第二皇女のアメリアだ」
皇帝陛下が紹介すると、一人ずつ、礼をする。
その度に、わたしも礼をする。
最後に一人だけ残っている。
誰だろう?
「最後に残っておる者は、マリアナの兄である。今、18歳だ。名はアルギュロス。父亡き今は、プロートニク公爵家の嫡男として公爵家を継いでいる。
「兄様?」
「マリアナ、よく生きていた。父上が人生を賭けて探していたが、連れ戻せなかった。父上は最後まで、マリアナを救い出そうとしていた。ドゥオーモ王国の王家に捕らわれていることまでは調べたのだが、倒れられた」
わたしは何も思い出せずに、片手で額を押さえる。
「すみません。何も思い出せないんです」
「アルギュロス、マリアナを責めては駄目だよ。マリアナは記憶を失っている。11年、思い出せなかったのだ。思い出すのは難しいかもしれぬ。新たな関係を作っていく事を考えた方がいい」
「ですが、父上が不憫です。マリアナのために、人生を――――」
「止めなさい」
皇帝陛下が声を上げた。
わたしの為に人生を投げ出してしまったのだろう。
それでも、わたしは何も思い出せない。
「ごめんなさい。すみません。申し訳ございません、どうかお許しください」
考えつく謝罪を並べたが、許されるはずもない。
わたしは床に跪き、兄と呼ばれたアルギュロス様に頭を下げた。
涙がポロポロ流れた。
皆は、わたしを知っているのに、わたしはクラクシオン様しか分からない。
クラクシオン様の事も、まだ最近の事しか分からない。
全て忘れてしまったのだ。
謝っても、許されることではない。
亡き父様は、わたしを探さなければ、今も生きていたかもしれない。
「マリアナ、自分を責めては駄目だ。泣かなくてもいい。謝らなくてもいい」
皇帝陛下が席を立ち、わたしの元に来て、背中を撫でてくれる。
「ここの暮らしに、少しずつ慣れていこうな」
「父上、ここは、私が代わります。マリアナ、一度にすまなかった。一生、記憶が戻らなくても、誰も文句は言わない。挨拶も終わった。さあ、部屋に戻ろう」
わたしは頷いた。
クラクシオン様が腕を引いてくれる。
ゆっくり立ち上がり、皆さんに深く頭を下げ、兄と呼ばれたアルギュロス様にも改めて頭を下げた。
気恥ずかしい。けれど、こんなに気持ちがいいなんて、知らなかった。
「頭の怪我がありますので」という言葉に、甘えたのだ。
確かに、自分では頭の怪我は見えない。
説得されて、「それならお願いします」となった。
暑い季節なので、少しひんやりする水浴びのようなお風呂だった。
シャワーで、シャボンは流れて、気持ちがいいのだ。
お風呂に入ったとき、お腹を見れば、お腹に痣ができていた。
「お腹を蹴るなど、悪質です」とメイドは怒っていた。
わたしの代わりに怒ってくれて、嬉しかった。
水浴びのようなお風呂に入ると、今度は体を拭いた後、バスローブに着替えて、肌の手入れと髪を梳かし、髪を乾かしてくれた。
ドゥオーモ王国のシャンプーとは違うのか、洗い上がりがサラサラしている。
シャンプーの後に、髪がしっとりするようにトリートメントされて、見違えるように綺麗になった。
お化粧は、口の端に傷があるので、しない方がいいと言われたので、肌を整えただけだ。
けれど、見違えるように綺麗になった。
よく寝たお陰で、目の下にあった隈はなくなり、顔色がよくなった。
お化粧で隠さなくても、素肌のままで美しいなんて、今までなかったことだ。
よくよく考えれば、わたしはまだ16歳だ。
どうして化粧を始めたのかを思い出した。
ペリオドス様に、目の下の隈がみっともないと指摘されたからだ。
隈がなくなった今、化粧などせずとも美しかった。
紅を少しさしてもらい、メイドは満足した顔をした。
ドレスは、持ってきたうちで一番綺麗なドレスを着た。
地味かもしれないが、わたしが持っている中で、一番、綺麗な物だ。
それを身につけて、靴を履くと、出掛ける準備はできた。
まるで、着替えるのを待っていたように、クラクシオン様が部屋に迎えに来た。
「綺麗になったね」
「お待たせしました」
よく見ると、クラクシオン様の髪色とわたしの髪色は同じでした。
今までくすんで見えていたのですが、帝国のシャンプーで洗ってもらったら、髪色が明るくなりました。
瞳の色もよく似ているので、なんだかお兄さんのように感じます。
「では、参ろうか」
「はい」
今日はガーゼを外しています。
殴られた頬は、痣になり、唇の端に傷もありますが、ガーゼを張るより目立ちません。
「父は、マリアナに会うのを楽しみにしている」
「記憶がなくても、許していただけますか?」
「戻ってきたことが嬉しいのだ。そう心配するな。過去の記憶がないのは、マリアナの責任ではない。自分を責めてはいけないよ」
「はい」
クラクシオン様は、わたしの手を繋いでくださる。
胸がドキドキします。
「頬が赤くなったね」
「手を繋がれたのは、二度目ですが、とても緊張してしまいます」
「誰とも手も繋がなかったのか?」
「はい、わたしに触れる方はいませんでした。クラクシオン様が視察に来られたときに、初めて、わたしに触れてくださいました」
「そうか、寂しかったね」
「はい、とても。でも、今はクラクシオン様がいらっしゃいます」
「もう、寂しい想いはさせない」
「ありがとうございます」
「そこは、ありがとうでいいんだよ」
「はい」
宮殿の中を進んで行きます。
宮殿はとても広く、わたしが宿泊しているエリアと別棟のような気がします。外には出ていませんが、長い廊下が続き、階段も上がったり下りたりします。
「敵の侵入を防げる建物になっているのだ。皇帝が住んでいるエリアは、宮殿の奥にあたる」
「毎日、生活をするのは、大変そうですわ」
「客人が来たときは、今、宿泊しているエリアに住んでもらう。そのうち、部屋の引っ越しをしてもらう。客人が帰ったらね」
「お客様をもてなすお部屋でしたのね」
「ペリオドス王太子とジュリアン殿が、どんな動きをするのか、分からないから。部屋は離してあるが、乗り込んでくる可能性がある状態では、下手したら皇帝陛下相手に馬鹿な真似をする可能性がある。そうなったら、ドゥオーモ王国の存続すら危険になる」
「配慮いただきまして、ありがとうございます」
「マリアナの部屋は24時間体制で、護られている。メイドも腕の立つ者が付いている。どうか安心して欲しい」
「腕の立つメイドですか?凄いわ。実は、わたしも腕が立ちますのよ。うっかりペリオドス王太子をやっつけたこともありますの。自尊心の塊のようなお方なので、それ以来は、手加減しておりますの」
「それは、今度、手合わせをしてもらいたいな」
「本気でぶつかっても、宜しければ、是非、お願いします」
「もちろんだよ。俺もかなり強い。本気でぶつかってきても、倒されたりしない。怪我が治ったら、是非、相手になって欲しい」
わたしは微笑んだ。
なんて頼もしいのでしょう。
ペリオドス様相手では、手加減しなくてはならなかったのに、本気でぶつかってもいいと仰っていただいて、安心していられます。
手合わせが楽しみになってきました。
「さあ、ここからは皇帝が仕事をするエリアだ。生活エリアは、もう少し先になる」
「本当に広いわ。ドゥオーモ王国の宮殿の5倍くらいはありそうです」
「帝国には他国からの客人も多い。警備も他国とは比べものにならない」
「はい」
「マリアナのように誘拐されてしまう場合もある」
「……はい」
クラクシオン様は一つの扉の前で足を止めた。
そこには、鎧を着た騎士が二人立っている。
「ここだ」
クラクシオン様は扉をノックして、「クラクシオンです」と名乗った。
「入れ」
深く低い声がした。
「失礼します」
クラクシオン様は扉を開けて、その中に、わたしを伴って入っていく。
扉の中には、大勢の人がいた。
クラクシオン様と同じくらいの年齢の殿方が四人と女性が二人、年配の男性と女性が。
年配の男性が皇帝陛下だろうか。
「マリアナを連れてきました」
「ご苦労」
「マリアナ、よく無事で戻ってきた。私が皇帝陛下のタイルテンスだ。隣にいるのが妻のフライ。こちらに来なさい」
「はい」
わたしは、クラクシオン様を見上げた。
頷かれたので、皇帝陛下の前に進んで、最上級のお辞儀をする。
「顔を上げなさい」
「はい」
「記憶がないと聞いた。迎えに行くのが遅くなってすまないことをした。マリアナの父上は、長く探し求めていたが、病に倒れて、亡くなってしまった。会わせてやれなくて、申し訳なかった」
「皇帝陛下、心遣い感謝致します。5歳の頃からドゥオーモ王国の王宮におりました。王宮の部屋から外には出てはいけないと、ずっと言われておりました。記憶がなかったので、母国が分からなかったのです」
「よく生き延びた。辛いことが有ったのだな、体が癒えるまで、まずは休むように」
「ありがとうございます」
「ここにいるのは、クラクシオンの弟妹達だ。クラクシオンは第一皇子で皇太子だ。髪が長いのが、第二皇子、モレークラ。第三皇子はメルーリオ。瞳の色が緑だ。第一皇女のシリピリー。第二皇女のアメリアだ」
皇帝陛下が紹介すると、一人ずつ、礼をする。
その度に、わたしも礼をする。
最後に一人だけ残っている。
誰だろう?
「最後に残っておる者は、マリアナの兄である。今、18歳だ。名はアルギュロス。父亡き今は、プロートニク公爵家の嫡男として公爵家を継いでいる。
「兄様?」
「マリアナ、よく生きていた。父上が人生を賭けて探していたが、連れ戻せなかった。父上は最後まで、マリアナを救い出そうとしていた。ドゥオーモ王国の王家に捕らわれていることまでは調べたのだが、倒れられた」
わたしは何も思い出せずに、片手で額を押さえる。
「すみません。何も思い出せないんです」
「アルギュロス、マリアナを責めては駄目だよ。マリアナは記憶を失っている。11年、思い出せなかったのだ。思い出すのは難しいかもしれぬ。新たな関係を作っていく事を考えた方がいい」
「ですが、父上が不憫です。マリアナのために、人生を――――」
「止めなさい」
皇帝陛下が声を上げた。
わたしの為に人生を投げ出してしまったのだろう。
それでも、わたしは何も思い出せない。
「ごめんなさい。すみません。申し訳ございません、どうかお許しください」
考えつく謝罪を並べたが、許されるはずもない。
わたしは床に跪き、兄と呼ばれたアルギュロス様に頭を下げた。
涙がポロポロ流れた。
皆は、わたしを知っているのに、わたしはクラクシオン様しか分からない。
クラクシオン様の事も、まだ最近の事しか分からない。
全て忘れてしまったのだ。
謝っても、許されることではない。
亡き父様は、わたしを探さなければ、今も生きていたかもしれない。
「マリアナ、自分を責めては駄目だ。泣かなくてもいい。謝らなくてもいい」
皇帝陛下が席を立ち、わたしの元に来て、背中を撫でてくれる。
「ここの暮らしに、少しずつ慣れていこうな」
「父上、ここは、私が代わります。マリアナ、一度にすまなかった。一生、記憶が戻らなくても、誰も文句は言わない。挨拶も終わった。さあ、部屋に戻ろう」
わたしは頷いた。
クラクシオン様が腕を引いてくれる。
ゆっくり立ち上がり、皆さんに深く頭を下げ、兄と呼ばれたアルギュロス様にも改めて頭を下げた。
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
愛を知った私は、もう二度と跪きません
阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。
家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。
「呪われた男にでも喰われてこい」
そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。
彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。
その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。
「エカテリーナ様、どうかお助けを!」
かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。
王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました
明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。
十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。
一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
【優秀賞受賞】賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~【完結】
Tubling
恋愛
無事完結しました^^
読んでくださった皆様に感謝です!
この度、こちらの作品がアルファポリス第19回恋愛小説大賞にて「優秀賞」を受賞いたしました!
ありがとうございます!!<(_ _)>
ルシェンテ王国の末の王女カタリナは、姉たちから凄惨な嫌がらせをされる日々に王女とは名ばかりの惨めな生活を送っていた。
両親は自分に無関心、兄にも煙たがられ、いっそ透明人間になれたらと思う日々。
そんな中、隣国ジグマリン王国の建国祭に国賓として訪れた際、「鬼神」と恐れられている騎士公爵レブランドと出会う。
しかし鬼とは程遠い公爵の素顔に触れたカタリナは、彼に惹かれていく。
やがて想い人から縁談の話が舞い込み、夢見心地で嫁いでいったカタリナを待っていたのは悲しい現実で…?
旦那様の為に邸を去ったけれど、お腹には天使が――――
息子の為に生きよう。
そう決意して生活する私と息子のもとへ、あの人がやってくるなんて。
再会した彼には絶対に帰らないと伝えたはずなのに、2人とも連れて帰ると言ってきかないんですけど?
私が邪魔者だったはずなのに、なんだか彼の態度がおかしくて…
愛された事のない王女がただ一つの宝物(息子)を授かり、愛し愛される喜びを知るロマンスファンタジーです。
●近世ヨーロッパ風ですが空想のお話です。史実ではありませんので近世ヨーロッパはこうだというこだわりがある方はブラウザバックをお願いします。
●本編は10万字ほどで完結予定。
●最初こそシリアスですが、だんだんとほのぼのになっていきます^^
●最後はハッピーエンドです。
【奨励賞】初恋のその先で、私は母になる
妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。
王宮で12年働き、気づけば28歳。
恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。
優しく守ろうとする彼。
けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。
揺れる想いの中で、彼女が選んだのは――
自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。
これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。
※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。