氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

本編

137

　エドワルドは、時間帯はバラバラだが、数日置きにエヴァンス侯爵邸へと訪れ、リラとの逢瀬を楽しみ、夕食に呼ばれ、時折ジーンと酒を呑みながら、今後の事を話し合う。

　さすがに裏で、害虫駆除をしまくっていたから、ほぼ排除出来たと言って良いだろう。

　馬鹿な貴族側の被害の大きな重い制裁の者達は、家族諸とも貴族籍の剥奪と、財産の没収、罪人として何とか生かされている者達から、被害の小さい軽い制裁の者達は、多額の罰金や、本人のみが罪人扱いで、家を勘当もしくは家督放棄、男なら僻地の砦勤務で根性の叩き直し等の王都追放、未婚の女であれば辺境の低位の貴族に嫁がされ王都追放になるか、僻地の修道院に平民として入れられるかで、既婚の場合は夫の領地で幽閉か、離縁された後に実家の領地の修道院に行くか、僻地の修道院に行くかのどれかである。

　因みに王都追放は人により、年数も区々まちまちだが、王都に戻って来れたとしても、社交界に出よう物なら、罪人として囁かれ、悪意ある視線に晒され、王都に来なければ良かったと後悔する事は分かり切っているので、生涯王都に現れない者も多いだろう。

　稀に過去の王都の生活が忘れられずに、返り咲こうとする頭の軽いお馬鹿もいるが、そんな者達は、王都に来てから自分の考えが甘過ぎた事を嫌でも思い知る事になるだろう。何せ彼等は王族相手に喧嘩を売ったような物だ。国が滅びない限り、返り咲く事なんて、無理な事だ。

　今の所、目立つ敵は全て殲滅していったので、今後は様子見と、結婚後に双方どちらかの愛人の座に付こうとする輩や、リラの後釜、殺害を企てる者達の殲滅に力を入れる。

　とは言え、現在で出来る駆除は全て終了したから、エドワルドとジーンに、時間の余裕も出来てくる。

　シーズンオフに入る前に、大方片付いた事は、エドワルドにとっても有り難い。

(これで確実に、リラと一緒にエヴァンス領に行くと言う願いが叶えられるし、時間的に余裕も出来るから、リラの元に毎日でも通う事が出来る!!あの可愛いリラと、短時間でも毎日会えるのなら、これ程嬉しい事は無い！)

　エドワルドはジーンに、出来れば毎晩、仕事終わりの夜にもリラを訪問させて欲しいと願い出て、溺愛っぷりを見せられたジーンは、まぁ、相手はあのリラだからなとシスコン思考で納得し、それなら夕食はエヴァンス邸でする事を条件に、エドワルドの訪問を了承する。

　そして、仕事が一段落付いたから、これからは出来るだけ、毎晩リラに会いに来るよとリラに告げるエドワルドだった。