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超合金ロボ
炎の人
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「御免!」
正直なところ、切腹という行為を知らなかったら危なかった。
僕の掴んだ刃先は、それほどまでに本気であると告げている。
「ぐうっ……は な せ……」
彼女の瞳は涙で歪んでいた。
「何を馬鹿なことを……、侍ですか貴女は!」
「こうするしかないだろう……、役立たずとそしられ、武人としても女としても認められない私など、存在すること自体が無意味なのだから……」
「役立たずなんて言ってないでしょ。それに……貴女は女性としても、その……綺麗です」
「き れ……、では、同行をお許しいただけるのですね!」
少しはにかんだその笑顔に、僕は否定の言葉を告げることが出来なかった。
「僕は、あいつを泥の中から引きずり出すことに集中しますから、あなたの事を守る訳にはいきません」
「当然です。私がエイジ殿を守るために来たのですから」
「それと、あなたの能力を教えておいてください」
「ジョブは剣士で属性は火になります。
一応ゴールドクラスですから、近接だけでなく中距離でも戦えます。
召喚術で呼び出せるのはサラマンダーと……その……イフリートも……」
そう言うとシェラさんは顔を真っ赤にして俯いた。
「?」
「ご存じ……ないのですか?」
「えっ?」
「その……最高位の精霊を呼び出すことが出来るのは……その……」
「はい?」
「……しょじょの……」
急にボソボソ声になったので、最後の部分は聞き取れなかったが……処女?
シェラさんは耳まで赤くなっている。
なにこの生き物!可愛すぎるよね!
それに、魔法剣士だよね。召喚術まで使えるって凄くない?
普通のパーティーメンバーとして考えると一級品の戦力だよね。
ビジュアル的には申し分ないし、こんな局面でなければ大歓迎だよね。
「……あと、屋外で必要なことは一通りできますが、その、一般的な家事は、得意ではありません」
「いえ、その情報は要りませんから」
大まかな打ち合わせをして湿地に入る。
通路になっている板の上を歩くと、触手が飛び出してくる。
太さ10cmの触手を掴んで重力制御を発動すると、手元で千切れてしまった。
「くそっ、意外と脆いな……」
「触手の粘液は大丈夫なのですか?
触れると金属がボロボロになると聞いたのですが」
「ええ、この鎧は耐性がありますからね。
普通の刀だと切っただけでボロボロになるって聞いてます」
「そうですか。
すみません、ちょっと試したいので次の触手は私にやらせてください」
「いいですけど、刀は一本だけですよね?」
「ええ、」
言い終わらないうちに次の触手が出現した。
「……エン……」
一言の呟きと、抜刀からの横薙ぎ一閃。流れるような動きをみせる刀身は青白い炎を纏っていた。
すぐに引っ込む触手と、地表に残された触手の切れ端。
微かに髪を焼いたような匂いが漂っている。
当のシェラさんは、刀身をじっと見つめ大丈夫みたいだと呟いた。
「シェラさん、今のは?」
「刀に炎の魔法を付与しただけです。
抜刀時に発動できるよう、集中しておく必要はありますし、多少温度を高くしてやらないといけませんけど」
「お見事です。
熱で焼き切るイメージですね」
「はい。これなら魔力の消費も少ないですし、何時間でもいけますよ」
「ふう……
先ほどは失礼しました。
あらためてお願いします。僕と一緒に来てください」
「えっ……あの……その……喜んで」
えっ?なんで頬が赤くなってるの?
正直なところ、切腹という行為を知らなかったら危なかった。
僕の掴んだ刃先は、それほどまでに本気であると告げている。
「ぐうっ……は な せ……」
彼女の瞳は涙で歪んでいた。
「何を馬鹿なことを……、侍ですか貴女は!」
「こうするしかないだろう……、役立たずとそしられ、武人としても女としても認められない私など、存在すること自体が無意味なのだから……」
「役立たずなんて言ってないでしょ。それに……貴女は女性としても、その……綺麗です」
「き れ……、では、同行をお許しいただけるのですね!」
少しはにかんだその笑顔に、僕は否定の言葉を告げることが出来なかった。
「僕は、あいつを泥の中から引きずり出すことに集中しますから、あなたの事を守る訳にはいきません」
「当然です。私がエイジ殿を守るために来たのですから」
「それと、あなたの能力を教えておいてください」
「ジョブは剣士で属性は火になります。
一応ゴールドクラスですから、近接だけでなく中距離でも戦えます。
召喚術で呼び出せるのはサラマンダーと……その……イフリートも……」
そう言うとシェラさんは顔を真っ赤にして俯いた。
「?」
「ご存じ……ないのですか?」
「えっ?」
「その……最高位の精霊を呼び出すことが出来るのは……その……」
「はい?」
「……しょじょの……」
急にボソボソ声になったので、最後の部分は聞き取れなかったが……処女?
シェラさんは耳まで赤くなっている。
なにこの生き物!可愛すぎるよね!
それに、魔法剣士だよね。召喚術まで使えるって凄くない?
普通のパーティーメンバーとして考えると一級品の戦力だよね。
ビジュアル的には申し分ないし、こんな局面でなければ大歓迎だよね。
「……あと、屋外で必要なことは一通りできますが、その、一般的な家事は、得意ではありません」
「いえ、その情報は要りませんから」
大まかな打ち合わせをして湿地に入る。
通路になっている板の上を歩くと、触手が飛び出してくる。
太さ10cmの触手を掴んで重力制御を発動すると、手元で千切れてしまった。
「くそっ、意外と脆いな……」
「触手の粘液は大丈夫なのですか?
触れると金属がボロボロになると聞いたのですが」
「ええ、この鎧は耐性がありますからね。
普通の刀だと切っただけでボロボロになるって聞いてます」
「そうですか。
すみません、ちょっと試したいので次の触手は私にやらせてください」
「いいですけど、刀は一本だけですよね?」
「ええ、」
言い終わらないうちに次の触手が出現した。
「……エン……」
一言の呟きと、抜刀からの横薙ぎ一閃。流れるような動きをみせる刀身は青白い炎を纏っていた。
すぐに引っ込む触手と、地表に残された触手の切れ端。
微かに髪を焼いたような匂いが漂っている。
当のシェラさんは、刀身をじっと見つめ大丈夫みたいだと呟いた。
「シェラさん、今のは?」
「刀に炎の魔法を付与しただけです。
抜刀時に発動できるよう、集中しておく必要はありますし、多少温度を高くしてやらないといけませんけど」
「お見事です。
熱で焼き切るイメージですね」
「はい。これなら魔力の消費も少ないですし、何時間でもいけますよ」
「ふう……
先ほどは失礼しました。
あらためてお願いします。僕と一緒に来てください」
「えっ……あの……その……喜んで」
えっ?なんで頬が赤くなってるの?
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