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第5章★閑話★
【月楽園・出張小話2】※2023.07.31まで
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※月楽園からの出張小話です。未登場もいるため、混乱するかもしれません。
読まなくても話が繋がるので大丈夫です。
※2023.07末までの公開です。
洸「菫ちゃん菫ちゃん、那由他が変なんだよ」
菫「えっ、割といつもそうじゃない?」
洸「おい、可愛い顔してひでーこと言うな」
菫「褒め言葉なのに。あの子が普通になったら面白みがなくなっちゃう」
洸「何ていうか……ちょっと歪んでるんだよな、思考が」
菫「思考?」
大輔「……そういえばこの前」
洸「うおびっくりした! いたのかよ大輔。菫ちゃんだけかと思った!」
大輔「いちゃ悪いかよ」
洸「悪くないけど……何か最近書斎に入り浸ってない?」
大輔「オレだって読書好きだから、おのずとここにいる時間は増える。で、この前道で那由他くんが歩いてるの見つけて、後ろから声をかけようとしたんだけど、さらに前方にいちゃついてるカップルが歩いてたんだよ」
洸「ふんふん」
大輔「それを冷めた目で見ながらボソッと『他人の迷惑も顧みない、ただの害虫共だな』って呟いてるの聞いてすげーびっくりした」
洸「あいつ月影署に入ったの一番最近だから、先輩の俺たちにかなり気を遣って話してるけど、同級生との会話聞くとわりと男っぽい話し方するぜ」
大輔「男っぽいってレベルじゃねえよ、あれは」
菫「洸くんの言う歪んでるっていうのは?」
洸「あーうん。この前常盤前課長の結婚式あったじゃん。その結婚式行った帰りに那由他とリビングでちょっと一緒になったんだけど、あいつ結婚願望がないんだよ」
菫「人によってはそういう考えの方もいるのでは……? 歪んでるってほどでは……」
洸「まあいまどきって感じだよな。だけどあいつに至っては『結婚願望はないが結婚はする』っていうニュアンスで言ったんだよ」
大輔「世間体かな?」
洸「俺もそう思って聞き返したんだけど、違うって。結婚自体はそれほど重要ではなくて、その先にあることのために伴侶を得なければならないらしい。意味わかんねえよな」
菫「曖昧ですけど、考えられるのは子供ですかね」
洸「多分。子孫を残さなければならないって感じのニュアンスだった」
大輔「じゃあきっと両親やじいちゃんばあちゃんのためや少子化の日本や世界や地球を思ってのことなんだろ」
菫「そんな適当に……」
洸「どこの金持ちだよ。時代錯誤もいいとこだろ。あいつの父親は普通の会社員だし母親はパートしてるって言ってたぜ。金持ちや土地持ちな感じではないけどな」
大輔「別にいいじゃねえか、那由他くんなりの考えがあるんだろ」
洸 「何かあいつ人とちょっと違うところあるからなー。分厚い眼鏡に前髪ボサボサで、部屋に籠って実験ばかりしてる重度のオタクだし」
大輔「オタクが悪いってわけじゃねえだろ。偏見持つなバカ」
洸「バカ!? お前頭良いからって俺のことバカにすんなよ、勉強バカ!」
大輔「勉強バカってなんだよ。お前が偏見持つからいけないんだろうが」
洸「はいはい、オタクを馬鹿にしたように言って悪かったよ。お前もオタクだもんな、勉強オタク!」
大輔「ふざけんなよチャラ男」
洸「チャラ男だって立派に人権あるんじゃねーのかよ! チャラ男バカにすんじゃねー」
菫「うーん、那由他くん、自分のことをしっかり出来れば周囲は別に関係ないっていうスタンスかと思ってた。意外とご家族のことを考えているんですね」
洸「おい、止めるか狼狽えるかしろよ。ぶれねえな、お前は」
大輔「マイペース過ぎる、相変わらず」
菫「わたし今那由他くんのことで頭がいっぱいだから……」
洸「え、何かフラれた気分なんだけど……」
大輔「まあ頭の良い子だから、自分のDNAを残したいって意味で言ってるのかもしれねえぞ。才女と結婚する野望とかあるのかもな」
菫「水ヶ丘先輩、それ絶対適当に言ってるでしょ……」
洸「なんだ、自分の遺伝子残したいだけなら、結婚しなくてもいいじゃん」
大輔「ん? どういうことだ……」
洸「結婚せず、ハーレム作ったらどうだ? 今日は誰々と、今日は誰々と。何なら同時でもいいしな、精力あれば。ははは」
菫「なにそれ」
洸「ぶっ……頬を両手で挟むな!」
菫「那由他くんより、洸くんの方がよっぽど変人ですよ」
洸「何で! どこがだよ。日本古来にはな、側室制度というものがあってだな……」
大輔「洸。ドン引きだ……オレも菫ちゃんも……」
洸「那由他なんて月影署ツートップのイケメンなんだから、やりようによってはどんな女の子も引っ掛かるだろ」
菫「わたし洸くんの顔が良ければ何でも許されるみたいな考えイヤ」
洸「おっと、超美人に言われちまったよ。菫ちゃんには言われたくねーな」
大輔「生きてて得することの方が多いだろ?」
菫(やだな、何か矛先がこっちにきた……)
菫「得するしないはわかりませんが、人を見る目というか、麻痺しないように気を付けてはいます。甘言はまず信用しない。あとわたし顔が良い男の口説きは疑ってかかります」
洸「那由他より歪んでそうなのがここにいた」
大輔「へー、じゃあ面食いではないんだ?」
菫「面食いではないと……思います。やっぱり優しくて誠実な人がいいかな、あなたみたいな」
大輔「うっ……この小悪魔……」
洸「大ちゃん美人に耐性ないんだから、すぐ好きになられちまうぞ」
菫「あら、それは光栄ですね」
大輔「……もしオレが君を好きだって言ったら、嬉しい? 嫌?」
菫「もちろん、嬉しいですよ」
大輔「そうか……オレはイケメンではないんだな……」
洸「あははは!」
菫「うーん、わたし変なこと言っちゃったな……」
大輔「那由他くんに口説かれたら、どう思う?」
菫(なんかグイグイくるな……)
洸「ああ、いい質問だな。那由他超美少年だから信用しない?」
菫「那由他くんがまずわたしを口説く画が浮かばないんですけれど……」
洸「確かに……あいつヘタレだからな」
大輔「でも、小学校のときは眼鏡かけてなかったらしいし、この前お姉さんが言ってたが、バレンタインのチョコレートは段ボールに入りきれないくらいもらって、送迎してたらしいぜ」
菫(バレンタイン? チョコレートをもらう?)
洸「うわあドン引き。ホワイトデーが大変そうだな」
菫(……ホワイトデー? どうしよう、わからない単語が出てきた……)
大輔「君もそうだけど、あんまりモテすぎると歪んじゃうのかな」
洸「じゃあ那由他が菫ちゃんに告白してきたと仮定したら?」
菫「……さすがに口説かれたら真剣に考えると思います。わたし那由他くんの一途で学者肌なところ好きなんですよね。優しいし。顔はカッコいいけど、女性に対して誠実そうだし」
大輔「え、そうなの!?」
菫「なんでそんなに驚いてるんですか……」
洸「やっぱりイケメンだからか。なんだかんだ言って女はなぁ。なあ大ちゃん?」
菫「だって、イケメンでも那由他くんは誠実でしょ。例えばわたしと付き合っていて、他の女性に言い寄られても、きちんと断るかわたしを振ってから次に行きそうですし」
大輔「性格でOKってことか?」
菫「はい」
洸「じゃあ俺は無理ってことか」
菫「洸くんはね……移り気ですし。友達なら楽しくて大好きですけど、大体洸くんわたしのことタイプじゃないでしょ」
洸「いやいや、めっちゃタイプだよ!……まあ俺も菫ちゃんに告白する気はねえから安心しろよ」
大輔「安心……?」
☆終わり☆
読まなくても話が繋がるので大丈夫です。
※2023.07末までの公開です。
洸「菫ちゃん菫ちゃん、那由他が変なんだよ」
菫「えっ、割といつもそうじゃない?」
洸「おい、可愛い顔してひでーこと言うな」
菫「褒め言葉なのに。あの子が普通になったら面白みがなくなっちゃう」
洸「何ていうか……ちょっと歪んでるんだよな、思考が」
菫「思考?」
大輔「……そういえばこの前」
洸「うおびっくりした! いたのかよ大輔。菫ちゃんだけかと思った!」
大輔「いちゃ悪いかよ」
洸「悪くないけど……何か最近書斎に入り浸ってない?」
大輔「オレだって読書好きだから、おのずとここにいる時間は増える。で、この前道で那由他くんが歩いてるの見つけて、後ろから声をかけようとしたんだけど、さらに前方にいちゃついてるカップルが歩いてたんだよ」
洸「ふんふん」
大輔「それを冷めた目で見ながらボソッと『他人の迷惑も顧みない、ただの害虫共だな』って呟いてるの聞いてすげーびっくりした」
洸「あいつ月影署に入ったの一番最近だから、先輩の俺たちにかなり気を遣って話してるけど、同級生との会話聞くとわりと男っぽい話し方するぜ」
大輔「男っぽいってレベルじゃねえよ、あれは」
菫「洸くんの言う歪んでるっていうのは?」
洸「あーうん。この前常盤前課長の結婚式あったじゃん。その結婚式行った帰りに那由他とリビングでちょっと一緒になったんだけど、あいつ結婚願望がないんだよ」
菫「人によってはそういう考えの方もいるのでは……? 歪んでるってほどでは……」
洸「まあいまどきって感じだよな。だけどあいつに至っては『結婚願望はないが結婚はする』っていうニュアンスで言ったんだよ」
大輔「世間体かな?」
洸「俺もそう思って聞き返したんだけど、違うって。結婚自体はそれほど重要ではなくて、その先にあることのために伴侶を得なければならないらしい。意味わかんねえよな」
菫「曖昧ですけど、考えられるのは子供ですかね」
洸「多分。子孫を残さなければならないって感じのニュアンスだった」
大輔「じゃあきっと両親やじいちゃんばあちゃんのためや少子化の日本や世界や地球を思ってのことなんだろ」
菫「そんな適当に……」
洸「どこの金持ちだよ。時代錯誤もいいとこだろ。あいつの父親は普通の会社員だし母親はパートしてるって言ってたぜ。金持ちや土地持ちな感じではないけどな」
大輔「別にいいじゃねえか、那由他くんなりの考えがあるんだろ」
洸 「何かあいつ人とちょっと違うところあるからなー。分厚い眼鏡に前髪ボサボサで、部屋に籠って実験ばかりしてる重度のオタクだし」
大輔「オタクが悪いってわけじゃねえだろ。偏見持つなバカ」
洸「バカ!? お前頭良いからって俺のことバカにすんなよ、勉強バカ!」
大輔「勉強バカってなんだよ。お前が偏見持つからいけないんだろうが」
洸「はいはい、オタクを馬鹿にしたように言って悪かったよ。お前もオタクだもんな、勉強オタク!」
大輔「ふざけんなよチャラ男」
洸「チャラ男だって立派に人権あるんじゃねーのかよ! チャラ男バカにすんじゃねー」
菫「うーん、那由他くん、自分のことをしっかり出来れば周囲は別に関係ないっていうスタンスかと思ってた。意外とご家族のことを考えているんですね」
洸「おい、止めるか狼狽えるかしろよ。ぶれねえな、お前は」
大輔「マイペース過ぎる、相変わらず」
菫「わたし今那由他くんのことで頭がいっぱいだから……」
洸「え、何かフラれた気分なんだけど……」
大輔「まあ頭の良い子だから、自分のDNAを残したいって意味で言ってるのかもしれねえぞ。才女と結婚する野望とかあるのかもな」
菫「水ヶ丘先輩、それ絶対適当に言ってるでしょ……」
洸「なんだ、自分の遺伝子残したいだけなら、結婚しなくてもいいじゃん」
大輔「ん? どういうことだ……」
洸「結婚せず、ハーレム作ったらどうだ? 今日は誰々と、今日は誰々と。何なら同時でもいいしな、精力あれば。ははは」
菫「なにそれ」
洸「ぶっ……頬を両手で挟むな!」
菫「那由他くんより、洸くんの方がよっぽど変人ですよ」
洸「何で! どこがだよ。日本古来にはな、側室制度というものがあってだな……」
大輔「洸。ドン引きだ……オレも菫ちゃんも……」
洸「那由他なんて月影署ツートップのイケメンなんだから、やりようによってはどんな女の子も引っ掛かるだろ」
菫「わたし洸くんの顔が良ければ何でも許されるみたいな考えイヤ」
洸「おっと、超美人に言われちまったよ。菫ちゃんには言われたくねーな」
大輔「生きてて得することの方が多いだろ?」
菫(やだな、何か矛先がこっちにきた……)
菫「得するしないはわかりませんが、人を見る目というか、麻痺しないように気を付けてはいます。甘言はまず信用しない。あとわたし顔が良い男の口説きは疑ってかかります」
洸「那由他より歪んでそうなのがここにいた」
大輔「へー、じゃあ面食いではないんだ?」
菫「面食いではないと……思います。やっぱり優しくて誠実な人がいいかな、あなたみたいな」
大輔「うっ……この小悪魔……」
洸「大ちゃん美人に耐性ないんだから、すぐ好きになられちまうぞ」
菫「あら、それは光栄ですね」
大輔「……もしオレが君を好きだって言ったら、嬉しい? 嫌?」
菫「もちろん、嬉しいですよ」
大輔「そうか……オレはイケメンではないんだな……」
洸「あははは!」
菫「うーん、わたし変なこと言っちゃったな……」
大輔「那由他くんに口説かれたら、どう思う?」
菫(なんかグイグイくるな……)
洸「ああ、いい質問だな。那由他超美少年だから信用しない?」
菫「那由他くんがまずわたしを口説く画が浮かばないんですけれど……」
洸「確かに……あいつヘタレだからな」
大輔「でも、小学校のときは眼鏡かけてなかったらしいし、この前お姉さんが言ってたが、バレンタインのチョコレートは段ボールに入りきれないくらいもらって、送迎してたらしいぜ」
菫(バレンタイン? チョコレートをもらう?)
洸「うわあドン引き。ホワイトデーが大変そうだな」
菫(……ホワイトデー? どうしよう、わからない単語が出てきた……)
大輔「君もそうだけど、あんまりモテすぎると歪んじゃうのかな」
洸「じゃあ那由他が菫ちゃんに告白してきたと仮定したら?」
菫「……さすがに口説かれたら真剣に考えると思います。わたし那由他くんの一途で学者肌なところ好きなんですよね。優しいし。顔はカッコいいけど、女性に対して誠実そうだし」
大輔「え、そうなの!?」
菫「なんでそんなに驚いてるんですか……」
洸「やっぱりイケメンだからか。なんだかんだ言って女はなぁ。なあ大ちゃん?」
菫「だって、イケメンでも那由他くんは誠実でしょ。例えばわたしと付き合っていて、他の女性に言い寄られても、きちんと断るかわたしを振ってから次に行きそうですし」
大輔「性格でOKってことか?」
菫「はい」
洸「じゃあ俺は無理ってことか」
菫「洸くんはね……移り気ですし。友達なら楽しくて大好きですけど、大体洸くんわたしのことタイプじゃないでしょ」
洸「いやいや、めっちゃタイプだよ!……まあ俺も菫ちゃんに告白する気はねえから安心しろよ」
大輔「安心……?」
☆終わり☆
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