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2章 お茶会
4 友達……?
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昨日アヴァドニア公爵家で行われたお茶会のお誘いが来た時もそうでした。
お父様はアヴァドニア公爵家の印章を見た途端、顔が青ざめ身体が震え出してしまいました。
知っての通り手紙の内容はお茶会を開催するというもので、間違っても私達親子を裁くといったような物騒な内容などが書かれている筈がないのですが、やはりあまりに身分違いで日常とかけ離れた存在の方から届く手紙という物はそれだけの影響力を持つようです。
手紙を読み終えたお父様は私の両肩を強く掴んで決死の表情で内容を告げると、まるでこれから決闘でもするみたいに興奮してしまいはっきり言って普通ではありませんでした。
そんな強い影響力を放つ手紙がお父様ではなく、私宛に届くのは今回が初めての事なので私の胸は否が応にも高鳴ります。
なるほど、
こうして高位な方からお手紙を頂くと、確かに胸が高鳴り妙に浮き足だってしまって落ち着きません。
お父様がああなるのも頷けます。
そんな、必死に冷静を装う私の気持ちも知らずに目の前のアンナといえば爽やかな可愛らしい笑みを浮かべて、
「お友達からですかー?」
と、無邪気な事を口にしています。
しかしそれも仕方のない事でしょう。一般的な平民であるアンナはポーンドット家の印章は知っていても、他の高位な貴族達の印章なんて知る筈ないですから。
それにしても、友達ですか。アンナはなかなか難しいところに触れてきましたね。
ニルヴァーナ公爵家令嬢、ベアトリック・イーンゴット様。
年齢は私より二つ年上の十七歳。燃え上がる炎のような赤い髪にグッと力のこもった目元、すらりとした細身でいて高い位置から下される眼差しはまるで獲物を狙うかのように鋭い。
そんな風に言ってしまうとまるで悪口を言っているようなので、決して口には出せませんがあの方に抱く素直な印象はそんな感じで、私以外にもそう思っている方は少なからずいる筈です。
といっても、別に嫌いなわけではなくただ少し苦手なタイプというかなんというか……。いざ目の前に立つと萎縮してしまって、私は空気そのものと化してしまうんです。
それにあの方は他の人物を悪く言う事があって、いつか私がそのターゲットになるのではないかと思うと心配で心配で仕方がないのです。
そんなベアトリック様からお手紙を頂くなんていったい何事でしょう。
もし紙面に『次のターゲットはお前だ!』なんて書かれていたら私は間違いなくその場で心臓が破裂して死んでしまう事でしょう。
ああ、ダメですね。
そんな事が書いてある筈ないのに、悪い方に悪い方に物事を考えてしまいます。
今の私はあの時のお父様と同じ顔をしているのでしょうか? アンナに変なところを見られたくはないので、必死に頑張って冷静を装ってはいますが限界が近いようです。
早くアンナを遠ざけないと……。
「ありがとうアンナ、ご苦労様。私のゆ……友人からのお手紙みたいね。もう下がっていいわ。ありがとうアンナご苦労様、ね」
そんな私の言葉に違和感でも感じたのかアンナは訝しげな表情で私を見ながら小首を傾げました。
「どうか……した?」
「いえ……なんだか気分でも悪いのかなーって、少し気になっただけです」
「少し眠かったからそう見えちゃったのかもしれないわね。でも大丈夫」
「そうですか。お疲れならしっかりと休憩をとってくださいよ? あ、確かリラックスさせてくれるハーブティーがあったので後でお持ちしますね」
「ええ。お願いねアンナ」
愛らしい笑顔を見せ、ぎこちなくお辞儀をしたアンナは仕事に戻っていきました。
私は閉められた部屋のドアを少しだけ見つめて決心をし、踵を返して机へと向かいました。
お父様はアヴァドニア公爵家の印章を見た途端、顔が青ざめ身体が震え出してしまいました。
知っての通り手紙の内容はお茶会を開催するというもので、間違っても私達親子を裁くといったような物騒な内容などが書かれている筈がないのですが、やはりあまりに身分違いで日常とかけ離れた存在の方から届く手紙という物はそれだけの影響力を持つようです。
手紙を読み終えたお父様は私の両肩を強く掴んで決死の表情で内容を告げると、まるでこれから決闘でもするみたいに興奮してしまいはっきり言って普通ではありませんでした。
そんな強い影響力を放つ手紙がお父様ではなく、私宛に届くのは今回が初めての事なので私の胸は否が応にも高鳴ります。
なるほど、
こうして高位な方からお手紙を頂くと、確かに胸が高鳴り妙に浮き足だってしまって落ち着きません。
お父様がああなるのも頷けます。
そんな、必死に冷静を装う私の気持ちも知らずに目の前のアンナといえば爽やかな可愛らしい笑みを浮かべて、
「お友達からですかー?」
と、無邪気な事を口にしています。
しかしそれも仕方のない事でしょう。一般的な平民であるアンナはポーンドット家の印章は知っていても、他の高位な貴族達の印章なんて知る筈ないですから。
それにしても、友達ですか。アンナはなかなか難しいところに触れてきましたね。
ニルヴァーナ公爵家令嬢、ベアトリック・イーンゴット様。
年齢は私より二つ年上の十七歳。燃え上がる炎のような赤い髪にグッと力のこもった目元、すらりとした細身でいて高い位置から下される眼差しはまるで獲物を狙うかのように鋭い。
そんな風に言ってしまうとまるで悪口を言っているようなので、決して口には出せませんがあの方に抱く素直な印象はそんな感じで、私以外にもそう思っている方は少なからずいる筈です。
といっても、別に嫌いなわけではなくただ少し苦手なタイプというかなんというか……。いざ目の前に立つと萎縮してしまって、私は空気そのものと化してしまうんです。
それにあの方は他の人物を悪く言う事があって、いつか私がそのターゲットになるのではないかと思うと心配で心配で仕方がないのです。
そんなベアトリック様からお手紙を頂くなんていったい何事でしょう。
もし紙面に『次のターゲットはお前だ!』なんて書かれていたら私は間違いなくその場で心臓が破裂して死んでしまう事でしょう。
ああ、ダメですね。
そんな事が書いてある筈ないのに、悪い方に悪い方に物事を考えてしまいます。
今の私はあの時のお父様と同じ顔をしているのでしょうか? アンナに変なところを見られたくはないので、必死に頑張って冷静を装ってはいますが限界が近いようです。
早くアンナを遠ざけないと……。
「ありがとうアンナ、ご苦労様。私のゆ……友人からのお手紙みたいね。もう下がっていいわ。ありがとうアンナご苦労様、ね」
そんな私の言葉に違和感でも感じたのかアンナは訝しげな表情で私を見ながら小首を傾げました。
「どうか……した?」
「いえ……なんだか気分でも悪いのかなーって、少し気になっただけです」
「少し眠かったからそう見えちゃったのかもしれないわね。でも大丈夫」
「そうですか。お疲れならしっかりと休憩をとってくださいよ? あ、確かリラックスさせてくれるハーブティーがあったので後でお持ちしますね」
「ええ。お願いねアンナ」
愛らしい笑顔を見せ、ぎこちなくお辞儀をしたアンナは仕事に戻っていきました。
私は閉められた部屋のドアを少しだけ見つめて決心をし、踵を返して机へと向かいました。
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