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ひとりかくれんぼ 前編
午後3時。
ついに「ひとりかくれんぼ」が始まった。
始まるや否や、浩一は、スマートフォンのカメラの録画ボタンをオンにした。
それからぬいぐるみに対して「最初の鬼は浩一だから」と3回唱える。
次に、浴室に行き、用意した風呂桶にそーっとぬいぐるみを沈めた。
ここからが本番だ。
浩一は部屋中の電気をすべて消し、窓を開けた。
そして、テレビを未放送局の砂嵐画面にした。
部屋中は真っ暗になり、「ザー」というテレビの音だけが部屋中に鳴り響く。
浩一はまず、目を閉じて10秒数えた。
この時点で胸の鼓動が速い速度で波打っている。
心臓の「ドクッ ドクッ」という音が聞こえる。
それぐらい緊張しているのだろうか。
スマートフォンとカッターナイフを持ちながら、ゆっくりと浴室へと向かう。
その時点で、部屋のどこかに何かがいるような気配を感じた。
浴室に着いた、が真っ暗だ。
何も見えない。
目を凝らすと風呂桶に沈んでいるぬいぐるみが見える。
浩一は浴室にあるぬいぐるみを風呂桶から取り出した。
「いちぽん見つけた」
ぬいぐるみに向かってそう言うと、持っていたカッターナイフでぬいぐるみのお腹の辺りを刺す。
その瞬間、部屋のどこかで「パチッ」という音が聞こえた。
まるで、怪奇現象の予兆を知らせるかのように。
浩一は一瞬、「ビクッ」としたが、このようなラップ音は慣れっこだ。
「次はいちぽんが鬼だから。」
そう唱えると浴室を出てクローゼットの方を向かう。
その時、首筋をなにか冷たいものが触れたような気がした。
「うわっ!」
驚きのあまりスマートフォンを落としてしまう。
これがひとりかくれんぼで起こる怪異なのだろうか。
でも、似たような経験を昔もしたことがあったな。
浩一はスマートフォンを拾い、塩水の置いてあるクローゼットへ向かう。
真っ暗だったが、スマートフォンの明かりが少し灯っている状況であったのでクローゼットの場所はすぐに見つけることができた。
クローゼットの扉を開き、ゆっくりとその扉を閉める。
すぐ近くでは「ザー」というテレビの音が静寂をかき消すように鳴り響いていた。
「確かこのあとどうするんだったっけな......」
浩一はスマートフォンのメモを見るために画面を開く、すると――。
画面が割れている。
さっき落とした時だろうか。
しかし、画面が割れるぐらいの強い衝撃を加えてはいないはずだ。
「なんなんだよ一体.......」
愛用していたスマートフォンの画面が割れたことにイライラを覚えたが、それをかき消すような異変が周りでは起こっていた。
ものすごく風が強くなっているのだ。
それも、尋常じゃないほどに。
先程まで、そよ風一つ吹いていなかったのにどういうことなのだろうか。
ガタガタガタガタガタガタ!
その時、部屋中の窓が勢いよく振動する。
まるで何者かが揺らしているかのようだ。
「どういうことなんだよ......」
先程までとは打って変わり、急な不安感がこみ上げてくる。
体の震えが止まらない。
今は夏だというのに寒気までしてくる。
すぐに、終わらせてしまおう――。
そう思いながら、口に塩水を含み、クローゼットの扉を力強く押す。
しかし、いくら押してもクローゼットの扉は開かない。
ガン、ガン、ガン
何度も扉を押すが、何者かが押さえているかのように強く閉まっている。
いくら強く押しても扉が開くことはなかった。
「なんで、なんでだよ.......!」
もともとある不安に加え、閉じ込められた事による恐怖が混ざり合い、それが浩一の中で徐々に大きくなっていた。
心拍数は高まり、どうすればいいかわからないという感情が渦巻いている。
その時だった。
ドン!
ドン!
ドン!
いきなり外からクローゼットの扉を強く叩くような音が聞こえてくる。
浩一は思わず、口に含んだ塩水を飲み込んでしまった。
「げほっ! げほっ!」
思わずむせてしまう。
どういうことだ。
ここまで露骨に怪奇現象が起こるなんて。
一体どうすればいいんだ。
胸の鼓動は強く波打ち、心身ともにパニックのような状態になっていた。
とにかく、このクローゼットから無理やり出て「ひとりかくれんぼ」を終わらせるしかない。
そう思った浩一は力強くクローゼットの扉を叩いた。
だが、扉が開く気配はない。
ドン!
ドン!
今度は思い切り扉を蹴ってみる。
バン!
バン!
金属音が響くが、一向に開く気配はない。
どうすればいいんだ。
どうすればこの「儀式」を終わらせられるんだ。
ついに「ひとりかくれんぼ」が始まった。
始まるや否や、浩一は、スマートフォンのカメラの録画ボタンをオンにした。
それからぬいぐるみに対して「最初の鬼は浩一だから」と3回唱える。
次に、浴室に行き、用意した風呂桶にそーっとぬいぐるみを沈めた。
ここからが本番だ。
浩一は部屋中の電気をすべて消し、窓を開けた。
そして、テレビを未放送局の砂嵐画面にした。
部屋中は真っ暗になり、「ザー」というテレビの音だけが部屋中に鳴り響く。
浩一はまず、目を閉じて10秒数えた。
この時点で胸の鼓動が速い速度で波打っている。
心臓の「ドクッ ドクッ」という音が聞こえる。
それぐらい緊張しているのだろうか。
スマートフォンとカッターナイフを持ちながら、ゆっくりと浴室へと向かう。
その時点で、部屋のどこかに何かがいるような気配を感じた。
浴室に着いた、が真っ暗だ。
何も見えない。
目を凝らすと風呂桶に沈んでいるぬいぐるみが見える。
浩一は浴室にあるぬいぐるみを風呂桶から取り出した。
「いちぽん見つけた」
ぬいぐるみに向かってそう言うと、持っていたカッターナイフでぬいぐるみのお腹の辺りを刺す。
その瞬間、部屋のどこかで「パチッ」という音が聞こえた。
まるで、怪奇現象の予兆を知らせるかのように。
浩一は一瞬、「ビクッ」としたが、このようなラップ音は慣れっこだ。
「次はいちぽんが鬼だから。」
そう唱えると浴室を出てクローゼットの方を向かう。
その時、首筋をなにか冷たいものが触れたような気がした。
「うわっ!」
驚きのあまりスマートフォンを落としてしまう。
これがひとりかくれんぼで起こる怪異なのだろうか。
でも、似たような経験を昔もしたことがあったな。
浩一はスマートフォンを拾い、塩水の置いてあるクローゼットへ向かう。
真っ暗だったが、スマートフォンの明かりが少し灯っている状況であったのでクローゼットの場所はすぐに見つけることができた。
クローゼットの扉を開き、ゆっくりとその扉を閉める。
すぐ近くでは「ザー」というテレビの音が静寂をかき消すように鳴り響いていた。
「確かこのあとどうするんだったっけな......」
浩一はスマートフォンのメモを見るために画面を開く、すると――。
画面が割れている。
さっき落とした時だろうか。
しかし、画面が割れるぐらいの強い衝撃を加えてはいないはずだ。
「なんなんだよ一体.......」
愛用していたスマートフォンの画面が割れたことにイライラを覚えたが、それをかき消すような異変が周りでは起こっていた。
ものすごく風が強くなっているのだ。
それも、尋常じゃないほどに。
先程まで、そよ風一つ吹いていなかったのにどういうことなのだろうか。
ガタガタガタガタガタガタ!
その時、部屋中の窓が勢いよく振動する。
まるで何者かが揺らしているかのようだ。
「どういうことなんだよ......」
先程までとは打って変わり、急な不安感がこみ上げてくる。
体の震えが止まらない。
今は夏だというのに寒気までしてくる。
すぐに、終わらせてしまおう――。
そう思いながら、口に塩水を含み、クローゼットの扉を力強く押す。
しかし、いくら押してもクローゼットの扉は開かない。
ガン、ガン、ガン
何度も扉を押すが、何者かが押さえているかのように強く閉まっている。
いくら強く押しても扉が開くことはなかった。
「なんで、なんでだよ.......!」
もともとある不安に加え、閉じ込められた事による恐怖が混ざり合い、それが浩一の中で徐々に大きくなっていた。
心拍数は高まり、どうすればいいかわからないという感情が渦巻いている。
その時だった。
ドン!
ドン!
ドン!
いきなり外からクローゼットの扉を強く叩くような音が聞こえてくる。
浩一は思わず、口に含んだ塩水を飲み込んでしまった。
「げほっ! げほっ!」
思わずむせてしまう。
どういうことだ。
ここまで露骨に怪奇現象が起こるなんて。
一体どうすればいいんだ。
胸の鼓動は強く波打ち、心身ともにパニックのような状態になっていた。
とにかく、このクローゼットから無理やり出て「ひとりかくれんぼ」を終わらせるしかない。
そう思った浩一は力強くクローゼットの扉を叩いた。
だが、扉が開く気配はない。
ドン!
ドン!
今度は思い切り扉を蹴ってみる。
バン!
バン!
金属音が響くが、一向に開く気配はない。
どうすればいいんだ。
どうすればこの「儀式」を終わらせられるんだ。
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