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第7話 幸せのぬくもりの中で…
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私の突然の問いに驚いた様子のモートン様。
けどすぐに冷静な顔に戻り、ソファから立ち上がった。
机の引き出しから書類の入った封筒を手に、ソファに座っている私の横に戻ってきた。
「この書類を見てくれないか?」
「あ、はい」
渡された封筒を開け、中に入っている書類を見ると驚いた。
私が実家でどのような扱いを受けて来たかが、事細かく記載されていたからだ。
母と結婚する前から父には愛妾とその子供がいた事。
母と私は離れに追い出されていた事。
そして、離れでの生活の悲惨さが克明に書かれていた。
…私が街に出ている事は書かれていない。
誰も知る訳ないものね。
「まず、最初に謝らせて欲しい。君に黙って君の身上を調べた事、申し訳なかった。実は結婚式で指輪の交換をする時、君の手がひどく荒れていた事に気が付いたんだ。そこで君の境遇が気になって調べさせた。君の手は使用人のように荒れていて、伯爵家のご令嬢として過ごしていたのならありえない事だと思ったんだ」
「…っ」
私は左の甲を覆うように右の手で握り締めた。
隠しきれるはずもないのに。
指輪の交換の時に彼が一瞬戸惑ったのは、私の荒れた手を見たからなのね…
何だか急に恥ずかしくなった。
そんな私の様子を見て、モートン様がそっと私の手を取り、甲にキスをした。
「隠す事はない。君が一生懸命生きてきた証だ。よくひとりで義母上を守ってきたな」
「!」
な…んで会って間もないあなたがそんな優しい言葉をかけて下さるのですか?
優しさを求めた父からは何も与えられなかった。
身も心も弱かった母にはやすらぎを求める事もできず、ただひとり耐えるしかなかった。
なのになぜあなたは…
「リサーリア…」
「…っ…うっ…」
実家で過ごした日々が走馬灯のように駆け巡り、堰を切ったように涙が溢れだした。
つらかった
悲しかった
怖かった
守ってもらえるはずの父から見捨てられ、母は私が守らなければならなかった。
あの広い屋敷の中で、私たちを助けてくる者は誰もいなかった
だから母が亡くなり追い出されるように嫁いだこの場所で、あなたに出会える幸せがあるなんて思いもしなかった。
私はあなたの胸の中で子供のように泣きじゃくった…
◇◇◇◇
「………………も、申し訳ありませんっっ」
どれだけ泣いたか分からないけれど、涙も枯れ始めるとだんだん冷静になってきて、あわててモートン様から離れたのが数秒前。
気が付くと、モートン様のシャツの胸元がぐっしょり濡れていた。
「今すぐ着替えをっ」
「いい、大丈夫だから」
慌てて立ち上がる私の腕を掴まえるモートン様。
「それよりまだ話があるのだ。よいか?」
「…はい」
私はモートン様の隣に座り直した。
モートン様は私の右手の甲にご自分の手を重ねて話し始めた。
「最初の君の質問に答えるよ。僕は君と本当の夫婦になりたいと思っている。だから愛妾を持つ気など全くない」
「…本当ですか?」
「ああ。この結婚は確かに家同士の利益のための婚姻でもあるが、君とは良い夫婦関係を築いていけると思っている。そして僕は夫として君を決して裏切りはしないと誓うよ」
『決して裏切りはしないと誓うよ』
誓いに意味などないと思っていた。
そんな不確かな約束など信じられないと。
けど…モートン様。あなたの事は信じたい…
「モートン様…」
「モートンでいい」
この夜、私たちは夫婦になった。
そして私は生まれて初めて、幸せの中で深い眠りについた、
1年後に彼から裏切られる事など夢にも思わずに…
けどすぐに冷静な顔に戻り、ソファから立ち上がった。
机の引き出しから書類の入った封筒を手に、ソファに座っている私の横に戻ってきた。
「この書類を見てくれないか?」
「あ、はい」
渡された封筒を開け、中に入っている書類を見ると驚いた。
私が実家でどのような扱いを受けて来たかが、事細かく記載されていたからだ。
母と結婚する前から父には愛妾とその子供がいた事。
母と私は離れに追い出されていた事。
そして、離れでの生活の悲惨さが克明に書かれていた。
…私が街に出ている事は書かれていない。
誰も知る訳ないものね。
「まず、最初に謝らせて欲しい。君に黙って君の身上を調べた事、申し訳なかった。実は結婚式で指輪の交換をする時、君の手がひどく荒れていた事に気が付いたんだ。そこで君の境遇が気になって調べさせた。君の手は使用人のように荒れていて、伯爵家のご令嬢として過ごしていたのならありえない事だと思ったんだ」
「…っ」
私は左の甲を覆うように右の手で握り締めた。
隠しきれるはずもないのに。
指輪の交換の時に彼が一瞬戸惑ったのは、私の荒れた手を見たからなのね…
何だか急に恥ずかしくなった。
そんな私の様子を見て、モートン様がそっと私の手を取り、甲にキスをした。
「隠す事はない。君が一生懸命生きてきた証だ。よくひとりで義母上を守ってきたな」
「!」
な…んで会って間もないあなたがそんな優しい言葉をかけて下さるのですか?
優しさを求めた父からは何も与えられなかった。
身も心も弱かった母にはやすらぎを求める事もできず、ただひとり耐えるしかなかった。
なのになぜあなたは…
「リサーリア…」
「…っ…うっ…」
実家で過ごした日々が走馬灯のように駆け巡り、堰を切ったように涙が溢れだした。
つらかった
悲しかった
怖かった
守ってもらえるはずの父から見捨てられ、母は私が守らなければならなかった。
あの広い屋敷の中で、私たちを助けてくる者は誰もいなかった
だから母が亡くなり追い出されるように嫁いだこの場所で、あなたに出会える幸せがあるなんて思いもしなかった。
私はあなたの胸の中で子供のように泣きじゃくった…
◇◇◇◇
「………………も、申し訳ありませんっっ」
どれだけ泣いたか分からないけれど、涙も枯れ始めるとだんだん冷静になってきて、あわててモートン様から離れたのが数秒前。
気が付くと、モートン様のシャツの胸元がぐっしょり濡れていた。
「今すぐ着替えをっ」
「いい、大丈夫だから」
慌てて立ち上がる私の腕を掴まえるモートン様。
「それよりまだ話があるのだ。よいか?」
「…はい」
私はモートン様の隣に座り直した。
モートン様は私の右手の甲にご自分の手を重ねて話し始めた。
「最初の君の質問に答えるよ。僕は君と本当の夫婦になりたいと思っている。だから愛妾を持つ気など全くない」
「…本当ですか?」
「ああ。この結婚は確かに家同士の利益のための婚姻でもあるが、君とは良い夫婦関係を築いていけると思っている。そして僕は夫として君を決して裏切りはしないと誓うよ」
『決して裏切りはしないと誓うよ』
誓いに意味などないと思っていた。
そんな不確かな約束など信じられないと。
けど…モートン様。あなたの事は信じたい…
「モートン様…」
「モートンでいい」
この夜、私たちは夫婦になった。
そして私は生まれて初めて、幸せの中で深い眠りについた、
1年後に彼から裏切られる事など夢にも思わずに…
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