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ネイディーンの女王

戴冠式の夜

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ベッドに寝かされて。
海瑠はあっという間に裸に剥かれてしまった。


『香油』
手を差し出したオーランドに、リッターが大きな瓶を渡したのを見て。

海瑠はぎょっとした。
香油の瓶のサイズが前回の倍以上大きくなっていたのだった。お徳用サイズだろうか?

え、そんなに使うの? とちょっとどころではなく引いたが。

オーランドはそのサイズを特に気にした様子もなく。
香油を手に取り、あたためている。


◆◇◆


海瑠が未だ男だとバレないのは、その女装の完璧さもあるが。
使用人ではなく、兄弟王子とその2人の騎士が全て女王の身の回りの世話を引き受けているからである。護衛という名目だ。

自分たち以外には女王の肌を見せたくない、との王子たちの発言もあり。
女王は、それほど王子らにとって大切な存在なのだと、微笑ましく受け取られている。


『兄上が先のほうが楽かと。慣らすのは私が』
『ああ、わかった』
クリシュナが頷いた。

のサイズが、兄よりも弟の方が大きいためだが。
クリシュナは、大きさについてのコンプレックスはないのだろうか。
コンプレックスを刺激されっぱなしの海瑠は他人事ながら、そんな余計な心配をしていた。


兄弟の息の合った連携プレイで、海瑠の官能が高められ。
受け入れ可能なまでに慣らされていく。

無口なわりに、口淫はクリシュナが。指の技巧はオーランドのほうが上で。
特に違和感もなく、拓かされていく。

オーランドは海瑠の蕩けた身体を後ろから抱き。
膝裏に手をかけ、足を大きく開かせた。

海瑠は、これから訪れるであろう快楽の予感に、薄い胸を震わせた。


『さあ、どうぞ兄上』
オーランドの指で、くぱあ、と紅い肉襞が見えるほどひらかれたそこに、クリシュナの怒張が差し込まれた。


ぐぷん!
一気に奥まで突き入れられて。

「……っは、あ、ああっ、」
海瑠はクリシュナの腹を汚し、背を反らせ、高い声で鳴いた。

『く、……締まる……』
射精の際の締め付けで、クリシュナはその端整な顔立ちを歪ませた。
その壮絶なまでの色気に、海瑠の鼓動が上がった。


天蓋ベッドがきしむほど、激しく抜き差しをされて。

「ん、……は、あ、ナカ、硬いの、当たって……る、」
海瑠は男の官能を刺激する甘い声で鳴き、白い背をしならせた。

オーランドの腕にしがみつきながら、クリシュナに貫かれる。


一人を選ばず、兄弟から愛されることに背徳感がないこともないが。
もはや、これが当たり前のように思えた。


◆◇◆


海瑠は手を伸ばし、下衣からオーランドの怒張を引っ張り出した。
反り返った巨大なそれに、唇を寄せる。

『!?』
あまりに淫靡な光景に、弟王子の怒張が爆発した。

白濁を吐き出してもなお、は大きかった。


「クリシュナのも、ここに、」
出して、と。

白い指先が、自分の腹を撫で。官能に潤んだ瞳で見て。
兄王子の寵愛をいやらしくねだった。

直後、海瑠の中で、兄王子も果てた。


海瑠はクリシュナの胸にすがりつき、オーランドに白い尻を向け、腰を上げてみせた。
精と香油で溢れる孔を、自らひらいてみせる。

「なあ、はやく……っ、ここ、おまえので、埋めてくれよ」

『ああ……カイル、今すぐに、参ります』
腰を掴まれ。
海瑠の腕ほどもあろう怒張が、くぷくぷと飲み込まれてゆく。


限界まで拡げられた襞に指を這わせ。
『……ぜんぶ、入りましたよ?』

「ん……っ、」
オーランドの吐息のような囁きに、海瑠はぞくぞくと身体を震わせた。

愛らしい唇が悦びに笑みの形を作ると。
クリシュナはその唇に貪りつき、オーランドはたまらず腰を振りたくった。


夜はまだまだ長い。


◆◇◆


前回の反省を踏まえたか、寝込むほどにはされなかった。

それを少々物足りなく感じるのは、わがままというものだろうか。
自分の考えに、海瑠は苦笑した。


シーツにくるまれたまま、クリシュナの手によって浴室まで運ばれて。
オーランドに髪を、クリシュナに身体を洗わせているこの状況。

二人の騎士は、浴室前で護衛である。
自分が本物の女だったら、使用人の手を借りられるし、王子たちにこんな手間かけさせないで済んだのかも、と少々申し訳なく思った。

海瑠をぐったりさせたのが、当の本人たちのせいだとしても。


「髪、けっこう伸びたなあ」

海瑠は前髪を摘んだ。
どうせ公演ではヅラだしいいか、と。しばらく美容院へ行く金をケチったため、黒く艶のある髪は、肩を覆う長さまで伸びている。

『そのまま伸ばしてはいかがです? 私が結いますよ』

そういうオーランドは凝った三つ編みで、濡れないよう長い髪をまとめ上げていた。
自分で結ったらしい。器用である。


クリシュナの膝に乗せられて、広い湯船に浸かっている。
兄王子はクールな見た目の割りに、スキンシップ過多であった。

厚い胸板に背を預け、逞しい腕に支えられ、ゆったりと温泉を味わう。
海底火山からの恵みである乳青色の湯は、心地好く海瑠の身体を芯まで温めてくれた。


「いい湯だな。……てか、良い国だよなあ、ここ」

温泉は出るわ、農作物は豊富だわ、海産物も獲れるし自然は豊かだし。
天国じゃね? と海瑠は思った。

『ありがとうございます。しかし、これでもまだ元通りにはなっていないのですよ』
オーランドは苦笑した。

30年前に襲われた災禍。魔族の襲撃によって減った人口。それに加え、15年の間、子供が生まれなかった。

その影響により、かなり復興が遅れた。
城周辺の町や村は、復興が進んでいるほうだが。

海瑠が落ちてきた、というか舞い降りてきた花畑も、元は民家があったのが更地になったものだった。


◆◇◆


『それでも、我がネイディーンはまだましなほうで、激戦地であったエリノアでは、一時、人口が三分の一にまで減ったといいます。女神の加護が途切れる前に、大急ぎで子作りをしたので何とか持ち直した、という話ですが……』

最大最強の騎士団を誇る武力のあったエリノアは、魔族の襲撃に抵抗し、集中的に狙われることになったという。
女神の加護が、その眠りによって、これより15年の間失われる、という情報は、エリノアの国使により通達されたというが。

誰も信じなかったのだ。実際にそうなるまでは。

30年前、エリノアがその情報をどこから得たのか、皆不思議に思っていたが。
今までは無かった、魔族の襲撃によってその可能性に気付いたのではないか、という話だ。


戴冠式のパーティに来てくれたあの国王は、そんな苦難を乗り越えてきたのか。
そんな風には見えなかったなあ、とエリノア国王の穏やかな笑みを海瑠は思い返した。

暗黒だった時期から開け、新しい世代である15歳の王子たちは、復興の象徴ともいえる。
国民の支持が高いのも頷ける話だった。


「ん? ってことは、若いのは最高で15歳、ってこと?」

この世界では、孕んだその日に子が生まれるという。
つまり、この世界には、16~29歳の人間は存在しない、ということになる。


「じゃあリッターもナイジェルも30歳以上なの!?」

ナイジェルが同い年で、リッターはひとつ年上だった。まさかの同世代。
てっきり年下かと思っていた。


十代の娘に見える海瑠が言うのもなんだが。
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