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9 毒薬

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「明日、俺の従者が迎えに来る 短い間だったがお世話になった」

卵事件から数日後、夕食の席で突然王子がそう告げた。

よしっ。ようやくこのときが来た。俺は心のなかでガッツポーズする。
白雪姫は凶暴だし、毒りんごは出てこないし、姫は眠りにつくこともなかったハチャメチャな白雪姫ストーリーだったが、物語は確実に終盤に近づいているようだ。
王子様、お城へのお土産絶対忘れないでくださいね。










その夜、俺達7色の小人は姫の部屋に集められた。

姫が手を差し出すとミドリが小瓶を手渡す。なんだあれ。

「これちゃんと効果あるんでしょうね」

「は、はい、もちろんです ちゃんと毒りんごの木から抽出したエキスです」

ど、毒?!

「いい?お前たち 私は今夜王子の部屋に行くから絶対に邪魔をしないこと わかったわね?」

「な、なんのために…」
ピンクが怯えながら質問する。
そうだ。彼女は王子を毒殺しようとしているのだろうか。

「あら?そんなこともわからないの?頭が悪いわね 既成事実を作りに行くのよ」


「既成事実…?」


「そうよ 王子が城に帰る前に関係を持つの これは媚薬よ」

なるほど、毒も少量ならそういった薬になると聞いたことがある。この森にあって手軽に取れる毒なんて毒りんごの木ぐらいしかないもんな。

「私が彼の子を妊娠すればこの国の姫になれるわ」


ストーリー上姫と王子は結ばれるのだから余計なことをしないでほしい。まぁでも念には念をってやつか。王子も妊娠した姫を森に置き去りにするなんてことないだろうしな。

姫はひとしきり高笑いした後
「黄色いの、お前この薬を王子に飲ませてきなさい」

え。

なんと俺に毒を盛ってくるよう命じたのだ。

「役立たずなんだからこんな時ぐらいは仕事しなさいよ 効果が出てきたら私を呼びに来て頂戴」

な、なんで俺が…。

「その他は解散!」


俺は小瓶を渡されると部屋を追い出された。
まじか…。ど、どうしよう…。
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