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11 別の人と寝る
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最後にヴィルと寝てから数日が経過した。
その間俺は夜遊びを全くしていない。また偶然にも彼と街で出くわすのが嫌だったからだ。
会いたくないわけじゃない。むしろ…いや、やめよう。
でも、そろそろ大丈夫かな。五日間もずっとあそこで毎日待ってるなんてことはないだろう…。
その日はとても天気がよく綺麗な星空が広がっていた。だから久しぶりに夜遊びに出かけることにした。
植え込みからこっそり様子を伺ったが、いつもの噴水の広場にやはり彼の姿はなかった。
ふぅ、よかった。
さあ今日は誰にしようか。全てを忘れさせてくれる人なら誰でもいい。手頃な人を探しキョロキョロあたりを見回していると、突如声をかけられた。
「君いくら?」
振り向くとそこには髭面でふくよかな男性が立っていた。清潔感のない服はよれよれで髪はボサボサ、男は値踏みするようにこちらを見た。
「お金は求めてません。今夜寝るところがあれば…」
「え?タダでしてくれるの?」
なんとなく面倒臭そうだけどこの人でいいか。
「ホテル代だしてくれますか?」
「もちろん。じゃあいこう」
そういって男は俺の手を引いた。
毛深く太い腕だった。手先の爪はところどころ割れている。手首を掴む力も強いし歩くスピードも速い。
…。俺は誰と比べているんだ?
ふと美しく綺麗で優しい男の姿が頭をよぎった。
だめだ。だめだ。
彼は俺には美しすぎるのだから。俺みたいな奴隷とは釣り合わない。
男が連れてきたのは民家のような宿だった。この辺はあまり治安が良くないのが少し気がかりだったが宿があるだけまし。道にはゴミが散乱しており、猫やカラスの死骸もよく見かけた。
普通宿ってこんなだよな。ヴィルがいつも連れて行ってくれるところがやっぱり豪華すぎるんだ。
俺は遠くの空を見つめた。今日は本当に星空が綺麗だ。
「ほらここだ。入れ。可愛い顔してるし優しくしてやるよ」
男はそういって俺の肩を抱こうとした。可愛い顔は余計だ。
その時。
パシッ。
男の手が何者かによって振り払われた。
「ってぇなんだてめぇ?!」
振り返ると、いつのまにか俺の後ろにはヴィルが立っていた。
「えっ…?!な、なんでここに」
美しい男はこちらを非難するように睨みつけている。
「君を公園で見つけてから、おかしいと思って跡をつけてみたんだ。ライアこの人は誰?説明してくれるかな」
「えっと…ヴィルには関係ない」
「関係あるよ。恋人に内緒でこんな汚いおじさんと寝ようとしてたんだから」
声色からして多分結構怒っている…。
「は?汚いだって?!なんなんだよてめぇ!!」
「ライア帰るよ」
そういってさっと俺を横抱きにすると踵を返した。
「ちょっとまって…降ろして」
「なんで私とは会ってくれないのにあんなやつと…」
「え?」
ヴィルがボソリと何かを呟いたけどうまく聞き取れなかった。
しばらく暗い道を歩くと彼は尋ねた。
「ライアはいつもこんなことしてるの?」
「…」
俺は首を横に振る。
「いや…ヴィルとしかしてないよ…」
だってなぜか毎回必ず現れるから。
「本当に?」
「うん…」
「なら確かめてもいいかな?」
その間俺は夜遊びを全くしていない。また偶然にも彼と街で出くわすのが嫌だったからだ。
会いたくないわけじゃない。むしろ…いや、やめよう。
でも、そろそろ大丈夫かな。五日間もずっとあそこで毎日待ってるなんてことはないだろう…。
その日はとても天気がよく綺麗な星空が広がっていた。だから久しぶりに夜遊びに出かけることにした。
植え込みからこっそり様子を伺ったが、いつもの噴水の広場にやはり彼の姿はなかった。
ふぅ、よかった。
さあ今日は誰にしようか。全てを忘れさせてくれる人なら誰でもいい。手頃な人を探しキョロキョロあたりを見回していると、突如声をかけられた。
「君いくら?」
振り向くとそこには髭面でふくよかな男性が立っていた。清潔感のない服はよれよれで髪はボサボサ、男は値踏みするようにこちらを見た。
「お金は求めてません。今夜寝るところがあれば…」
「え?タダでしてくれるの?」
なんとなく面倒臭そうだけどこの人でいいか。
「ホテル代だしてくれますか?」
「もちろん。じゃあいこう」
そういって男は俺の手を引いた。
毛深く太い腕だった。手先の爪はところどころ割れている。手首を掴む力も強いし歩くスピードも速い。
…。俺は誰と比べているんだ?
ふと美しく綺麗で優しい男の姿が頭をよぎった。
だめだ。だめだ。
彼は俺には美しすぎるのだから。俺みたいな奴隷とは釣り合わない。
男が連れてきたのは民家のような宿だった。この辺はあまり治安が良くないのが少し気がかりだったが宿があるだけまし。道にはゴミが散乱しており、猫やカラスの死骸もよく見かけた。
普通宿ってこんなだよな。ヴィルがいつも連れて行ってくれるところがやっぱり豪華すぎるんだ。
俺は遠くの空を見つめた。今日は本当に星空が綺麗だ。
「ほらここだ。入れ。可愛い顔してるし優しくしてやるよ」
男はそういって俺の肩を抱こうとした。可愛い顔は余計だ。
その時。
パシッ。
男の手が何者かによって振り払われた。
「ってぇなんだてめぇ?!」
振り返ると、いつのまにか俺の後ろにはヴィルが立っていた。
「えっ…?!な、なんでここに」
美しい男はこちらを非難するように睨みつけている。
「君を公園で見つけてから、おかしいと思って跡をつけてみたんだ。ライアこの人は誰?説明してくれるかな」
「えっと…ヴィルには関係ない」
「関係あるよ。恋人に内緒でこんな汚いおじさんと寝ようとしてたんだから」
声色からして多分結構怒っている…。
「は?汚いだって?!なんなんだよてめぇ!!」
「ライア帰るよ」
そういってさっと俺を横抱きにすると踵を返した。
「ちょっとまって…降ろして」
「なんで私とは会ってくれないのにあんなやつと…」
「え?」
ヴィルがボソリと何かを呟いたけどうまく聞き取れなかった。
しばらく暗い道を歩くと彼は尋ねた。
「ライアはいつもこんなことしてるの?」
「…」
俺は首を横に振る。
「いや…ヴィルとしかしてないよ…」
だってなぜか毎回必ず現れるから。
「本当に?」
「うん…」
「なら確かめてもいいかな?」
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