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第29話 ロリコン疑惑
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ロングホームルームという名の席替えが終わると丁度チャイムが鳴り響く。
6限の授業が担任だったので、帰りのホームルームはなし。そのまま、「じゃお疲れ」と紫藤先生は言い残して解散となった。
教室内では部活に行く組が颯爽と教室を行ってしまった。隣の席の夏目さんも、その後ろの沢村も我先に教室を出て行った。流石は運動部。
残った生徒は少なく、数人で固まって喋っている者や、運動部連中と違って、ノロノロと出て行く者の姿がある。
クラスメイトはこちらには注目していない。
「優乃」
今日は優美ちゃんの家庭教師の日だ。良かったら一緒に帰ろうか誘うために、俺は振り返り優乃へと話しかける。
「あっれぇ?」
しかし、優乃の姿はなかった。
ふと教室のドアを見てみると、長い髪を靡かせて教室を出て行っている姿が見えた。
はやっ。いつもあんなに早かったっけ。
彼女に追いつこうと席を立った瞬間に思い出す。
「日直だ」
思い出したら俺はそのまま席に座り、日誌を取り出した。
日誌を書くのも提出するのもは大した時間ではない。だけど、それをしていたら優乃には追いつけないだろう。
まぁ良いか。
ワンチャン、一緒の帰り道で汚名返上といきたかったが、汚名返上は家庭教師が終わった後でにでもしよう。
そういきこんで、2日続けて日誌を紫藤先生のところへと運んだ。
♢
ピンポーン。
慣れた手つきで東堂家のモニター付きのチャイムを押した。モニターからの反応はないが、代わりに玄関の扉が開かれる。
ひょこっと顔を出したのはツインテールの女の子──ではなく、髪を下ろした東堂優美ちゃんだった。
「京太お兄ちゃん。いらっしゃい♪」
優乃ほどの長さではないが、綺麗な髪と着ているワンピースがマッチしており、いつもの小学生みたいな雰囲気から一歩成長したかのような雰囲気を醸し出している。
芸能人の主人公枠の子役にいそうなほど。同い年だったら間違いなく一目惚れしていただろう可憐さがある。
「優美ちゃん。今日はもしかして出かけるの?」
「え? なんで?」
「あまりにもオシャレしてるから都会にでも出かけるのかと思って」
褒めると嬉しそうにその場で1回転する。
ふわりと、柔らかくワンピースのスカートが靡いた。
「京太お兄ちゃん。どう? 似合うかな?」
「めちゃくちゃ似合ってるよ。すごく可愛い。都会歩いたら芸能界にスカウトされるんじゃない?」
少しオーバーかもしれないが、素直に褒めると無邪気な笑顔で俺の腕に抱きついてくる。
小学生でも、女子特有の柔らかさを感じ取れた。
「ゆうみね、今日は京太お兄ちゃんが来るからオシャレ頑張ったんだ」
「そうだったんだ。とても嬉しいよ」
言いながら優美ちゃんの頭を撫でてあげると、ふにゃっと顔が可愛く歪んだ。
「なら、俺もオシャレして来れば良かったな」
漏らすように言ったこちらの声に首を横に振ってくれる。
「京太お兄ちゃんの制服姿はかっこいいから、今のままで十分オシャレだよ。あ、でもでも、この前見た私服もかっこ良かったよ。うう……ゆうみ的にはどっちがかっこいいかなんて決められないけど、どっちの京太お兄ちゃんもかっこいい」
「お、おぅふ。ありがとう」
なんともストレートに褒めてくれるので、普通に照れてしまう。
「ねぇ京太お兄ちゃん。このまま本当にお出かけしようよ」
「うーん。お母さんの許可がおりたらね」
「ええー。お母さん絶対ダメって言うよ」
「わかんないぞー? 電話してみる?」
聞くと優美ちゃんは、ブンブンブンブンブンブンと激しく首を横に振る。
「やめなよ。酔うぞ」
この辺は本当に姉妹だなと思ってしまう。
「仕事中にそんな電話したら、晩御飯が全部ピーマンになるから絶対だめ」
なるほど。前科ありか。全部ピーマンはきついな。
「ねぇねぇ。内緒でお出かけしようよぉ。ね? ね?」
まるで駄々をこねる恋人みたいに俺の腕を振ってくる。
その可愛さに頷きかけてしまうが、なんとか耐えて言ってのける。
「お母さんにバレたらピーマンだけじゃ済まないかもだぞ?」
言うと優美ちゃんは顔を青くした後、視線を伏せた。
「それは……。困る……」
「ま、また今度日を決めてお出かけしよう」
軽く言ってやると、青い顔はすぐに元に戻った。
「良いの? ゆうみとお出かけしてくれるの?」
「もちろん。俺も優美ちゃんとお出かけしたいし」
そう言ってやると、先ほどよりも強く腕に抱きついてくる。
「やった! 京太お兄ちゃん大好き♡」
小学生といえどこんな綺麗な女の子に大好きと言われると照れてしまう。
もしかして、俺ってロリコンなのか……?
そんな葛藤抱きながらも、優美ちゃんに抱きつかれながら東堂家のリビングへと足を踏み入れた。
「あ……」
自然と声が漏れてしまう。
リビングのダイニングテーブルには優乃が座っていた。
自分の家なのだから優乃が座っていて当然なのだが、彼女はこちらを睨みつけてくる。
「ぅぅぅ……。クラスメイトの次は妹まで……」
ぶつぶつと呟きながら睨んできている。
やばいな。
痛い発言する奴が妹に抱きついている、ロリコンイタイタ野郎の称号を与えられる前に、なんとか誤解を解かなければ。
6限の授業が担任だったので、帰りのホームルームはなし。そのまま、「じゃお疲れ」と紫藤先生は言い残して解散となった。
教室内では部活に行く組が颯爽と教室を行ってしまった。隣の席の夏目さんも、その後ろの沢村も我先に教室を出て行った。流石は運動部。
残った生徒は少なく、数人で固まって喋っている者や、運動部連中と違って、ノロノロと出て行く者の姿がある。
クラスメイトはこちらには注目していない。
「優乃」
今日は優美ちゃんの家庭教師の日だ。良かったら一緒に帰ろうか誘うために、俺は振り返り優乃へと話しかける。
「あっれぇ?」
しかし、優乃の姿はなかった。
ふと教室のドアを見てみると、長い髪を靡かせて教室を出て行っている姿が見えた。
はやっ。いつもあんなに早かったっけ。
彼女に追いつこうと席を立った瞬間に思い出す。
「日直だ」
思い出したら俺はそのまま席に座り、日誌を取り出した。
日誌を書くのも提出するのもは大した時間ではない。だけど、それをしていたら優乃には追いつけないだろう。
まぁ良いか。
ワンチャン、一緒の帰り道で汚名返上といきたかったが、汚名返上は家庭教師が終わった後でにでもしよう。
そういきこんで、2日続けて日誌を紫藤先生のところへと運んだ。
♢
ピンポーン。
慣れた手つきで東堂家のモニター付きのチャイムを押した。モニターからの反応はないが、代わりに玄関の扉が開かれる。
ひょこっと顔を出したのはツインテールの女の子──ではなく、髪を下ろした東堂優美ちゃんだった。
「京太お兄ちゃん。いらっしゃい♪」
優乃ほどの長さではないが、綺麗な髪と着ているワンピースがマッチしており、いつもの小学生みたいな雰囲気から一歩成長したかのような雰囲気を醸し出している。
芸能人の主人公枠の子役にいそうなほど。同い年だったら間違いなく一目惚れしていただろう可憐さがある。
「優美ちゃん。今日はもしかして出かけるの?」
「え? なんで?」
「あまりにもオシャレしてるから都会にでも出かけるのかと思って」
褒めると嬉しそうにその場で1回転する。
ふわりと、柔らかくワンピースのスカートが靡いた。
「京太お兄ちゃん。どう? 似合うかな?」
「めちゃくちゃ似合ってるよ。すごく可愛い。都会歩いたら芸能界にスカウトされるんじゃない?」
少しオーバーかもしれないが、素直に褒めると無邪気な笑顔で俺の腕に抱きついてくる。
小学生でも、女子特有の柔らかさを感じ取れた。
「ゆうみね、今日は京太お兄ちゃんが来るからオシャレ頑張ったんだ」
「そうだったんだ。とても嬉しいよ」
言いながら優美ちゃんの頭を撫でてあげると、ふにゃっと顔が可愛く歪んだ。
「なら、俺もオシャレして来れば良かったな」
漏らすように言ったこちらの声に首を横に振ってくれる。
「京太お兄ちゃんの制服姿はかっこいいから、今のままで十分オシャレだよ。あ、でもでも、この前見た私服もかっこ良かったよ。うう……ゆうみ的にはどっちがかっこいいかなんて決められないけど、どっちの京太お兄ちゃんもかっこいい」
「お、おぅふ。ありがとう」
なんともストレートに褒めてくれるので、普通に照れてしまう。
「ねぇ京太お兄ちゃん。このまま本当にお出かけしようよ」
「うーん。お母さんの許可がおりたらね」
「ええー。お母さん絶対ダメって言うよ」
「わかんないぞー? 電話してみる?」
聞くと優美ちゃんは、ブンブンブンブンブンブンと激しく首を横に振る。
「やめなよ。酔うぞ」
この辺は本当に姉妹だなと思ってしまう。
「仕事中にそんな電話したら、晩御飯が全部ピーマンになるから絶対だめ」
なるほど。前科ありか。全部ピーマンはきついな。
「ねぇねぇ。内緒でお出かけしようよぉ。ね? ね?」
まるで駄々をこねる恋人みたいに俺の腕を振ってくる。
その可愛さに頷きかけてしまうが、なんとか耐えて言ってのける。
「お母さんにバレたらピーマンだけじゃ済まないかもだぞ?」
言うと優美ちゃんは顔を青くした後、視線を伏せた。
「それは……。困る……」
「ま、また今度日を決めてお出かけしよう」
軽く言ってやると、青い顔はすぐに元に戻った。
「良いの? ゆうみとお出かけしてくれるの?」
「もちろん。俺も優美ちゃんとお出かけしたいし」
そう言ってやると、先ほどよりも強く腕に抱きついてくる。
「やった! 京太お兄ちゃん大好き♡」
小学生といえどこんな綺麗な女の子に大好きと言われると照れてしまう。
もしかして、俺ってロリコンなのか……?
そんな葛藤抱きながらも、優美ちゃんに抱きつかれながら東堂家のリビングへと足を踏み入れた。
「あ……」
自然と声が漏れてしまう。
リビングのダイニングテーブルには優乃が座っていた。
自分の家なのだから優乃が座っていて当然なのだが、彼女はこちらを睨みつけてくる。
「ぅぅぅ……。クラスメイトの次は妹まで……」
ぶつぶつと呟きながら睨んできている。
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