32 / 61
第32話 脅しの条件
しおりを挟む
雫さんと優美ちゃんは早めのお風呂タイム。
雫さんは雨に打たれてしまい、冷えた体を温めないといけない。ついでに優美ちゃんをお風呂に入れるという段取り。
美魔女とロリの風呂。その間に入ることができたのなら、更なる性癖ブレイクとなり、もはや神の領域へと達するやも知れぬ。
「京太くん?」
「しゅわっと!」
俺は人様の家のリビングで、とんでもに妄想を繰り広げてしまっていた。
とんでもない妄想の最中に話しかけてきたのは、美魔女から生まれし、ロリの姉君である高嶺の花のバカである。
こいつ、本当に顔だけは綺麗だな。
「どうかしました? なんだか様子が変ですけど」
「大丈夫、大丈夫」
1番一緒に入りたいのは優乃とだけど。なんて素直に言えたら本物の変態だな。
「えっと……」
優乃が髪の毛をいじりながら、もじもじとしていた。
「きょ、今日は泊まるの、ですか?」
「えっと……」
ぽりぽりと頬をかき、雫さんが俺の母さんに連絡していたのを思い返す。
2人が仲の良い関係ってのは知っていた。
実際に自分の母親と電話をする喋り方を見て、改めて仲が良いのだと実感できたな。
親同士の了承は得ている。
外は嵐。
泊めていただけるならありがたい。
というか、もう泊まる流れになっている。
「優乃が嫌なら帰るけど」
「嫌ではありません。ありませんが……」
語尾を濁されてしまう。
嫌ではないが、なんだろうか。
やはり痛い奴だと思われているからか。
さっきの、わけわからん恰好の発言も、俺に気を使ってのことだったのかもしれない。誤解はまだ解けていないということか。
「あのさ、優乃」
「は、はひ」
名前を呼ぶと、ビクッとなり背筋を伸ばす。
「今日、学校で俺のこと睨んでただろ?」
「え!?」
なんとも言えない声を出されてしまう。
「いや、その、気持ちはわからなくないけど……」
「き、きき、気持ち!? 気持ちって!? 気持ち!?」
動揺した様子で、ゆでたこみたいに赤くなっている。
「わかる。わかるけど……。俺が痛い奴ってことはわかるんだけどさ」
「痛い!? ……へ? 痛い?」
優乃は間抜けな声を出していた。
「公園での発言が痛いってのはわかるけどさ。その……。あれは本気というか。だから許して欲しい。いや、許して欲しいとかじゃないか。なんていうのか」
うーん、と悩むが上手い表現が出なかった。
「痛い。公園? ああ……。なるほど……」
ポンと優乃は手を叩いていた。
「とにかくだ。痛い発言だったろうが、あの言葉は本気だから。それだけはわかって欲しい」
素直な気持ちを伝えると、優乃は顔を近づけてくる。
高校生離れした表情で見つめてくる。
俺の瞳は彼女の美しい顔で埋め尽くされた。
「意外と鈍感なんですね」
なんだか大人っぽい余裕の笑み。
「……っ!?」
セリフではなく、表情に当てられて、声にならない声が出てしまった。
「そうですか。そうですか」
「な、なにを1人で納得してんだよ」
「いえ。なんでもー」
くそっ。変態バカやろーなのに、上から目線ですげームカつく。
「確かに、あの発言は痛かったですね。すごく痛かった。ものすごく痛い。あたたたた」
「ぐっ」
ボディブローをもらったかのような言葉のパンチが溝内に入る。
「夜の公園。2人っきりのバイト終わり。そして放たれる痛々しい中二発言」
「ちょ、まっ!」
「これは、もはやあれがあれで、あいたたのあれですなー」
「くっ……。殺せ……」
「はっふうううん」
なぜか優乃が悶絶していた。
自分の体を抱きしめて、クネクネしている。なんで、クネクネしているのかはわからない。
「ま、まだ殺しません……。まだ、殺しませんよぉ……じゅる」
「まじで変質者やん」
「おっと」
じゅっ! と出たよだれを腕で拭い、彼女は改めて言ってくる。
「こ、これ以上痛い発言をいじられたくなければ」
こいつ、脅そうとしてる。俺を脅そうとしている。
こいつは脅すの好きだな。ばかなのにSなのか。
「今日の料理当番をしてください!」
「はい?」
全く予想だにしていない答えを言ってくる。
「料理?」
「はい! 晩御飯を作ってください。本気でお願いします!」
脅していた優乃が、頭を下げてお願いしてくる。
「どゆこと?」
「あ、いえ。その……。我が家の晩御飯は基本的に総菜か、テイクアウトのご飯なのですよ」
「あ、そうなのね」
「今日、お母さんは手に袋を持っていなかった。帰りにどこも寄っていないというわけです。こんな嵐です。流石のわたしもスーパーや店に寄ってとは言いません」
「じゃあ、雫さんの料理を食べれば良いんじゃない?」
「生ごみを増やすのは環境にも悪いですよね?」
この言葉で、雫さんの料理の腕が伺える。
「自分の母親の料理をそこまで言うか?」
「自他共に認めるまずさです。お母さんはまだ気が付いているだけマシです」
「そ、そうなんだ」
「京太くんのお弁当は世界一でした」
「オーバーな」
「だからお願いします。優美を助けるとおもって晩御飯を作ってください!」
すげー必死だな、おい。そんなに雫さんの料理を食べたくないか。
そこまで酷い料理なら、逆に食べてみたいかも。
「わかった。冷蔵庫の中、開けても良いか?」
「はい! よろしくお願いします!」
雫さんは雨に打たれてしまい、冷えた体を温めないといけない。ついでに優美ちゃんをお風呂に入れるという段取り。
美魔女とロリの風呂。その間に入ることができたのなら、更なる性癖ブレイクとなり、もはや神の領域へと達するやも知れぬ。
「京太くん?」
「しゅわっと!」
俺は人様の家のリビングで、とんでもに妄想を繰り広げてしまっていた。
とんでもない妄想の最中に話しかけてきたのは、美魔女から生まれし、ロリの姉君である高嶺の花のバカである。
こいつ、本当に顔だけは綺麗だな。
「どうかしました? なんだか様子が変ですけど」
「大丈夫、大丈夫」
1番一緒に入りたいのは優乃とだけど。なんて素直に言えたら本物の変態だな。
「えっと……」
優乃が髪の毛をいじりながら、もじもじとしていた。
「きょ、今日は泊まるの、ですか?」
「えっと……」
ぽりぽりと頬をかき、雫さんが俺の母さんに連絡していたのを思い返す。
2人が仲の良い関係ってのは知っていた。
実際に自分の母親と電話をする喋り方を見て、改めて仲が良いのだと実感できたな。
親同士の了承は得ている。
外は嵐。
泊めていただけるならありがたい。
というか、もう泊まる流れになっている。
「優乃が嫌なら帰るけど」
「嫌ではありません。ありませんが……」
語尾を濁されてしまう。
嫌ではないが、なんだろうか。
やはり痛い奴だと思われているからか。
さっきの、わけわからん恰好の発言も、俺に気を使ってのことだったのかもしれない。誤解はまだ解けていないということか。
「あのさ、優乃」
「は、はひ」
名前を呼ぶと、ビクッとなり背筋を伸ばす。
「今日、学校で俺のこと睨んでただろ?」
「え!?」
なんとも言えない声を出されてしまう。
「いや、その、気持ちはわからなくないけど……」
「き、きき、気持ち!? 気持ちって!? 気持ち!?」
動揺した様子で、ゆでたこみたいに赤くなっている。
「わかる。わかるけど……。俺が痛い奴ってことはわかるんだけどさ」
「痛い!? ……へ? 痛い?」
優乃は間抜けな声を出していた。
「公園での発言が痛いってのはわかるけどさ。その……。あれは本気というか。だから許して欲しい。いや、許して欲しいとかじゃないか。なんていうのか」
うーん、と悩むが上手い表現が出なかった。
「痛い。公園? ああ……。なるほど……」
ポンと優乃は手を叩いていた。
「とにかくだ。痛い発言だったろうが、あの言葉は本気だから。それだけはわかって欲しい」
素直な気持ちを伝えると、優乃は顔を近づけてくる。
高校生離れした表情で見つめてくる。
俺の瞳は彼女の美しい顔で埋め尽くされた。
「意外と鈍感なんですね」
なんだか大人っぽい余裕の笑み。
「……っ!?」
セリフではなく、表情に当てられて、声にならない声が出てしまった。
「そうですか。そうですか」
「な、なにを1人で納得してんだよ」
「いえ。なんでもー」
くそっ。変態バカやろーなのに、上から目線ですげームカつく。
「確かに、あの発言は痛かったですね。すごく痛かった。ものすごく痛い。あたたたた」
「ぐっ」
ボディブローをもらったかのような言葉のパンチが溝内に入る。
「夜の公園。2人っきりのバイト終わり。そして放たれる痛々しい中二発言」
「ちょ、まっ!」
「これは、もはやあれがあれで、あいたたのあれですなー」
「くっ……。殺せ……」
「はっふうううん」
なぜか優乃が悶絶していた。
自分の体を抱きしめて、クネクネしている。なんで、クネクネしているのかはわからない。
「ま、まだ殺しません……。まだ、殺しませんよぉ……じゅる」
「まじで変質者やん」
「おっと」
じゅっ! と出たよだれを腕で拭い、彼女は改めて言ってくる。
「こ、これ以上痛い発言をいじられたくなければ」
こいつ、脅そうとしてる。俺を脅そうとしている。
こいつは脅すの好きだな。ばかなのにSなのか。
「今日の料理当番をしてください!」
「はい?」
全く予想だにしていない答えを言ってくる。
「料理?」
「はい! 晩御飯を作ってください。本気でお願いします!」
脅していた優乃が、頭を下げてお願いしてくる。
「どゆこと?」
「あ、いえ。その……。我が家の晩御飯は基本的に総菜か、テイクアウトのご飯なのですよ」
「あ、そうなのね」
「今日、お母さんは手に袋を持っていなかった。帰りにどこも寄っていないというわけです。こんな嵐です。流石のわたしもスーパーや店に寄ってとは言いません」
「じゃあ、雫さんの料理を食べれば良いんじゃない?」
「生ごみを増やすのは環境にも悪いですよね?」
この言葉で、雫さんの料理の腕が伺える。
「自分の母親の料理をそこまで言うか?」
「自他共に認めるまずさです。お母さんはまだ気が付いているだけマシです」
「そ、そうなんだ」
「京太くんのお弁当は世界一でした」
「オーバーな」
「だからお願いします。優美を助けるとおもって晩御飯を作ってください!」
すげー必死だな、おい。そんなに雫さんの料理を食べたくないか。
そこまで酷い料理なら、逆に食べてみたいかも。
「わかった。冷蔵庫の中、開けても良いか?」
「はい! よろしくお願いします!」
17
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。
久野真一
青春
羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。
そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。
彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―
「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。
幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、
ある意味ラブレターのような代物で―
彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。
全三話構成です。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる