貧乳シンデレラは、貧乳を理由に婚約破棄されましたが、元婚約者には未来の可能性が見えていませんでした。

しおしお

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13話王子の婚約宣言がもたらした衝撃

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2-3-1 王子の婚約宣言がもたらした衝撃

レオナードがシンディの手を取った――
その瞬間の熱は、屋敷の中だけに収まらなかった。

翌日、王都は早朝から騒然となった。

「殿下が……!?」
「胸の大きさではなく“心”で婚約者を選ぶと……?」
「胸差別は間違いだと、あの場で言い切ったって本当か!?」

街中の噂話は、一晩にして王宮前の石畳まで広がった。

胸の大小で人生が決まる国。
その価値観が、ただ一人の王子の宣言によって揺らぎ始めたのだ。

噂は真っ先に、貴族たちへ伝わった。

貴族男性たちは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。

「なんてことを……!」
「胸で選ばない? そんな馬鹿な……女の価値とは胸の豊かさ――」

だが、その真逆の反応を示したのが、
彼らに押さえつけられてきた貴族女性たちだった。

「胸じゃなくて……心を?」
「そんな令嬢が選ばれるなんて……初めて……!」
「殿下が言ってくださった……! あの胸至上主義を……否定してくださった……!」

女性たちの目には、涙がにじんでいた。

胸が小さいから嘲られ、
胸が大きいから道具のように扱われる――

そんな歪んだ価値観に苦しんできた女性たちにとって、
王子の言葉は“救い”だったのだ。

王宮の女官たちまでがざわついていた。

「殿下が選ばれた令嬢は……胸が小さいのだとか」
「つまり……胸の話をするのは失礼、ということよね……」
「ええ……素晴らしいわ。時代が変わるのかもしれない」

そしてその騒ぎは、
“胸を武器に生きてきた”人々にとっては悪夢でもあった。

フラット侯爵家では、朝からメイドたちがひそひそ声を交わす。

「聞いた? 侯爵令嬢シンディ様が……!」
「胸が小さいことを理由に、あんなに虐げられてきたのに……!」
「殿下が“心の美しさ”で選んだと公言なさったのよ……!」

屋敷中に広まるその噂は、
メリッサとアンジェリカにとって、
冷たい刃物のように胸へ刺さっていく。

メリッサは震える声で呟いた。

「何よ……どうして……
 なんで胸が小さいあの子が……国の象徴のように語られるのよ……!」

アンジェリカも目を赤くしながら叫ぶ。

「胸こそ価値って……母様がいつも言っていたのに……
 それを信じて……努力してきたのに……!」

しかし、その声を聞いた屋敷の使用人たちは
もはや同情すら浮かべなくなっていた。

「胸で誰かを侮辱するのは間違いだったのだわ」
「シンディ様は……いつも優しかったもの」
「殿下がお選びになるのも当然です……」

屋敷の空気は完全に逆転していた。

そして――午前中、決定的な出来事が起きる。

王宮から公式な使者がフラット侯爵家へ訪れたのだ。

門前には見物人が集まり、ざわつきが広がる。

「まさか……!」
「公式文書? 何が書いてあるの……?」

使者は厳かな声で宣言した。

「レオナード殿下は――
 フラット侯爵令嬢、シンディ・フラットを
 正式に“婚約候補”として扱うことを宣言される!」

屋敷の外も中も、同時に悲鳴のような歓声が起きた。

使用人たちは思わず涙ぐみ、
メリッサはその場に崩れ落ち、
アンジェリカは震える声で呟いた。

「……どうして……
 胸が……胸が……何にもならないなんて……
 そんなの……そんなの嘘よ……!」

一方でシンディは、
その騒ぎの中心にいるにもかかわらず、
ただ静かに胸を押さえていた。

(……夢みたい……
 胸の大きさで苦しんできた私が……
 どうして、こんなことに……)

しかしその瞬間、
王子の言葉が彼女の脳裏によみがえる。

“胸の大きさではなく……
 君の心に惹かれたのだ”

胸が小さい――
その一点だけで人生を否定され続けた少女にとって、
その言葉は世界を変える魔法そのものだった。

王子の宣言は、
国家の価値観を揺るがすほどの波紋を生み、
同時にシンディ自身の運命を大きく引き寄せる。

胸差別の国に、
小さな革命が起ころうとしていた――。

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