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135 交流を図る
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「わー、『外』の人?」
中性的な見た目の子どものような見た目を持つドリアードは、好奇心旺盛な瞳で俺を見上げた。
異邦の民たちは、異邦や異邦周辺じゃない場所のことを『外』と表現することがある。
俺は頷いた。
「あ、はい。辺境伯領フーリァンから来ました。サフィール魔法工房のロッド・アーヴェリスといいます」
子どものようだが、見た目では判断できないので丁寧に言った。
「魔法工房のロッド!」
ドリアードが叫ぶと、ほかのドリアード族の人たちが次々に集まってくる。
「『外』からのお客さん!」
「ロッド?」
「こっち来なよ! 一緒に日向ぼっこする?」
ドリアードは水と太陽の光さえあればとりあえずは死なないらしく、よく日向ぼっこをする。そして精霊樹がモンスター除けになっているらしい。
平和的でのんびりとした種族で、俺は安心した。すごい戦闘民族みたいなのが出てきたらどうしようかと思った。
「えっと、じつは、珍しいキノコを育てたくて、原木を探しに来ました」
「こんなところまで!?」
「無駄じゃない?」
「あきらめた方が楽な時ってあるよ?」
ぐうの音も出ねえ。でも俺もキノコの栽培に興味があるし、ぜひ育ててみたい。俺は食い下がる。
「ラルトリア・トロンボーン茸っていう外国産のキノコなんですが」
言いながら、俺はサフィさんから借りてきた種駒をドリアードの人たちに見せた。
「知ってる?」
「知らなーい」
「貸して」
ドリアードの一人が、種駒をじっと観察しながら、
「どういうキノコかによって、最適な木も違ってくると思うけど……適した木がこの辺にあるかどうかはわかんないよ。何に使うの?」
「薬膳料理です」
「おくすり!?」
「そうですね。魔法薬術師なので」
「魔法薬術師!」
わー! わー! わー!
珍しい物を見て喜んでいるような感じでもてはやされた。
なんだろう、とても和む。
「ならさ、異邦の薬草とか興味ある?」
「それはとてもあります!」
「教えてあげる! このへんに生えてるやつで! いつも怪我とか風邪とかに使ってるやつ!」
「本当ですか!?」
「みんな詳しいよ」
思わぬ収穫だった。
異邦はいまだに謎がおおく、モンスターの生態や植物なども解明されていない部分が多い。
俺のポーションの改良に使える薬草があるかもしれない。
案内してくれるドリアードに手を引かれたとき、
「――やあ、久しぶり、ドリアードさんたち」
後ろから来客があった。
黒い髪の人間の男だった。俺よりも一回り以上年を取っている。
微笑すると、生えている無精ひげが歪んだようにつり上がった。
中性的な見た目の子どものような見た目を持つドリアードは、好奇心旺盛な瞳で俺を見上げた。
異邦の民たちは、異邦や異邦周辺じゃない場所のことを『外』と表現することがある。
俺は頷いた。
「あ、はい。辺境伯領フーリァンから来ました。サフィール魔法工房のロッド・アーヴェリスといいます」
子どものようだが、見た目では判断できないので丁寧に言った。
「魔法工房のロッド!」
ドリアードが叫ぶと、ほかのドリアード族の人たちが次々に集まってくる。
「『外』からのお客さん!」
「ロッド?」
「こっち来なよ! 一緒に日向ぼっこする?」
ドリアードは水と太陽の光さえあればとりあえずは死なないらしく、よく日向ぼっこをする。そして精霊樹がモンスター除けになっているらしい。
平和的でのんびりとした種族で、俺は安心した。すごい戦闘民族みたいなのが出てきたらどうしようかと思った。
「えっと、じつは、珍しいキノコを育てたくて、原木を探しに来ました」
「こんなところまで!?」
「無駄じゃない?」
「あきらめた方が楽な時ってあるよ?」
ぐうの音も出ねえ。でも俺もキノコの栽培に興味があるし、ぜひ育ててみたい。俺は食い下がる。
「ラルトリア・トロンボーン茸っていう外国産のキノコなんですが」
言いながら、俺はサフィさんから借りてきた種駒をドリアードの人たちに見せた。
「知ってる?」
「知らなーい」
「貸して」
ドリアードの一人が、種駒をじっと観察しながら、
「どういうキノコかによって、最適な木も違ってくると思うけど……適した木がこの辺にあるかどうかはわかんないよ。何に使うの?」
「薬膳料理です」
「おくすり!?」
「そうですね。魔法薬術師なので」
「魔法薬術師!」
わー! わー! わー!
珍しい物を見て喜んでいるような感じでもてはやされた。
なんだろう、とても和む。
「ならさ、異邦の薬草とか興味ある?」
「それはとてもあります!」
「教えてあげる! このへんに生えてるやつで! いつも怪我とか風邪とかに使ってるやつ!」
「本当ですか!?」
「みんな詳しいよ」
思わぬ収穫だった。
異邦はいまだに謎がおおく、モンスターの生態や植物なども解明されていない部分が多い。
俺のポーションの改良に使える薬草があるかもしれない。
案内してくれるドリアードに手を引かれたとき、
「――やあ、久しぶり、ドリアードさんたち」
後ろから来客があった。
黒い髪の人間の男だった。俺よりも一回り以上年を取っている。
微笑すると、生えている無精ひげが歪んだようにつり上がった。
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