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第431話 衝撃の事実

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「そもそもこのゲートはどういう理屈で成り立っているのですか?」
「それだけが僕たちにも分らないんだ。ニコラも本で見てこのゲートを組み立てはしたけれど、その理屈はどこにも書いて無かったと言っていた。例えば君のように同じ次元の時空だけを移動するならばこの世界の魔力だけで事足りるだろう。けれど違う次元というか星に移動するとなると、このゲートにしてもだけれど理屈が分らない」

 そう言ってアンソニーは大きなため息を落として鳥居を見上げた。何かを運ぶのに莫大なエネルギーが必要だったのは理解出来るが、その理屈が未だに分らない。

「もしかしたら……この技術が観測者によるものだとすれば、ある仮説は立てる事が出来るけれどね」
「分かるのかい?」
「いや、細かくは僕も専門分野じゃないから分からないけれど、ゲートをくぐることでいわゆる素粒子に一度戻してるのかなって。そして出口で組み立てる。いわゆる本物のワープって奴だね」
「わーぷ……?」
「そう。この世界で言えば妖精列車だよ。乗り場から妖精たちの魔力を借りて目的地に一瞬で移動する。これは近距離だけどワープなんだ。それを説明するとしたら、列車に乗った人を一度素粒子に戻し、目的地でもう一度全く同じように組み立てたって事になるんだよ。それを転移妖精たちは簡単にやってのけるってだけ。でもそれをするには相当な魔力が必要になる。だから妖精列車が出来る前は転移装置はとても高額だった」
「……なるほど。移動距離が長くなればなるほど、必要な力が強くなると言う事ですか」
「うん。ましてや星間の移動だよ? そりゃ妖精王ぐらいじゃないと……ああ、なるほど。そっか、こうすればいいのか……」

 突然何かを思いついたノアは徐に手帳を取り出して何かを書き付け始めた。そんなノアを見て一同は首を傾げているが、しばらくしてノアは何事も無かったかのように続きを話し出そうとする。

「ちょっと待ってください! 何か思いついたんですか!?」
「え? いや、可能性を思いついただけだよ。まだ確信が無いから言わないけど」
「そういう言い方が一番気になるんですよ!」
「う~ん、じゃあ忘れて」

 肩を掴んで前後に揺さぶってくるアランにノアがニコッと笑うと、アランはそのまま黙り込んで諦めた。ノアのこの笑顔の意味を仲間たちはもう知っているからだ。

「とにかく、やっぱりこのゲートはあちらの技術の応用なんじゃないかな。そしてこれをニコラさんに作らせたのは、やっぱり観測者だよ」
「そうか……是非会ってみたいね、その観測者とやらに僕も」

 知らぬ間に助けてくれていたのかと思うと、最後に感謝ぐらいは自分で伝えたい。

 アンソニーがそんな事を言うと、ノアはキョトンとして言った。

「じゃあ一緒に会いに行く?」
「え?」
「ちょっと待っててね」
「……?」

 それだけ言ってノアはスマホを取り出して押入れの中に入っていった。

 しばらくして戻ってきたノアは、一枚のメモと紙袋を持ってニコッと笑って言う。

「それじゃあ行こっか! 皆で観測者の所に」
「はぁ!?」

 思わず声を上げたアランと無言のシャル。そして何が何だか全く分らないとでも言いたげなアンソニーとカールは、有無を言う間もなくノアにがっちりと服の裾を掴まれたのだった。
 
 
 
「ふぉぉぉぉ! なんじゃここ~!」

 アリスはレックスが開けたドアから中を覗き込んで感嘆の声をあげた。

 部屋だと言うからてっきりラピスラズリが沢山置いてある部屋だとばかり思っていたが、どうやらそうでは無かったようだ。

 入った所は確かに部屋っぽく丸く加工されているが、そこから縦横無尽に奥に向かって道が伸びている。

「ちょっと、入り口で止まんないでよ、ってユーゴ? どしたの?」

 アリスを無理やり押して中に入ろうとしたリアンの腕を後ろからユーゴが掴んだ。驚いて振り返ると、ユーゴはリアンよりもはるかに驚いた顔をしている。

「待ってぇ、な~んにも見えないんだけどぉ?」
「は?」
「いや、アリスちゃんが壁に吸い込まれていったようにしか見えないんだってぇ」
「……マジで?」
「マジだよぉ! えぇ~! これって、そういう事ぉ~?」

 珍しく焦ったような顔で言うユーゴにリアンが無言で頷いた。何だかその目が責められているようで辛い。

「残念だよ、ユーゴ。僕、あんたの事仲間だと思ってたんだけどな……」
「いやいや! ちょっと待ってよぉ! だってラピスラズリなんでしょぉ? そんなの宝石だよぉ! あと今、色々物入りなんだもん! 仕方ないでしょぉ!?」

 泣きそうなユーゴを見てそれまで真顔だったリアンが、堪えきれないとでも言うように噴き出した。

「冗談だってば! あんたはこの戦争が終わったらプロポーズして結婚すんだもんね。そりゃちょっとでも結婚資金の足しになりそうな物には目がくらむって! まぁ石探しは僕たちがしてくるからあんたはここで見張っててよ」
「えぇ~! 何かごめん~! はぁ……隊長ぉ、俺の代わりにしっかり見てきてくださいねぇ。写真とかも撮ってきてくださいねぇ」
「……」

 ユーゴに泣きつかれたルーイは無言で固まっていた。何故なら、ルーイにも見えないからだ。

 そんなルーイの反応にリアンがピクリと眉を動かした。

「え、あんたもまさか見えないの? あんたは誰と結婚すんの!?」
「イ……イヴリン……と」
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