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第565話 可哀想なリアン
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一方テントに残されたジャスミンはすぐさまノエルと連絡を取った。
「ノエル、今少しいいかしら?」
『うん、大丈夫。どうかした?』
「あのね、あなた達の所にはまだ連絡がいってないと思うんだけれど、アメリアが消えたそうなの」
『消えた? アメリアが? 坑道に閉じ込めてきたって父さまが言ってたのに、どうやって?』
「それがね、分からないそうなの。ただ言えるのは、妖精王や観測者でさえも追えないんですって。でもね、地上は今大変な事になってる。ルイス王はアメリアの事は一旦後回しにすると決断したわ」
ジャスミンの言葉にノエルが黙り込んだ。そんなノエルにジャスミンは言う。
「それで私達、ここからどうにか出来ないかって話しをしていたんだけど、もしかしたらチャップマン商会の新商品、ラジコンが役に立つんじゃないかって話になったのよ」
『ラジコン? ああ、あのローズが操縦してたやつ?』
「ええ。あれをね、父さま達は既に量産してたの。そしてそれは全てチャップマン商会の倉庫の中にある。それをね、出来ればこちらに送ってほしいのよ」
『それは構わないけど、場所はすぐに分かる? どこの倉庫を回ればいいの?』
「回る必要はないわ。まだ出荷前で一箇所にまとめられているから。ただ……地上はさっきも言ったように人形で溢れかえってる。危ないと思うようならこの話は聞き流してくれていいわ」
『なるほどね。分かった。地下から倉庫に向かってみるよ。様子を見てまた連絡する。それで構わない?』
「もちろんよ! ありがとう、ノエル。気をつけてね」
『うん。また連絡する。それじゃあ』
「ええ、待ってるわ。それじゃあまた」
スマホを切ったジャスミンはふぅ、と胸を撫で下ろして胸のペンダントを握りしめて呟いた。
「母さま、ノエル達がチャップマン倉庫に向かいます。どうか守ってやってください」
ジャスミンにとって母のライラは尊敬すべき人物だ。絵は驚くほど上手いしいつだって温厚であの神経質なリアンの相手も難なくこなす。何よりもライラの機転はいつも素晴らしい。ライラが居なければきっと失敗した作戦もあったはずだ。
そんなライラにこちらに来る前にもらったお守りはこのペンダントだった。「何かあったらこのペンダントを握りしめてお願い事を言うと、きっと叶うわ」そう言ってライラはジャスミンとローズの首にこのペンダントをかけて送り出してくれたのだ。
「母さまの事だからこのペンダントも細工済みだよね~」
「ふふ! そうね。きっと聞こえたと思うわ。だから大丈夫。きっと上手くいくわ。でも、相変わらず父さまだけ何も知らないのよ」
「母さまは父さまを気遣ってるのに、父さまはいっつも後で知ってお腹痛くなるんだよね~父さま可哀想~」
ケタケタと笑う二人は、母ライラのやることなどもう全てお見通しだと言わんばかりに笑った。
「ノエル、今少しいいかしら?」
『うん、大丈夫。どうかした?』
「あのね、あなた達の所にはまだ連絡がいってないと思うんだけれど、アメリアが消えたそうなの」
『消えた? アメリアが? 坑道に閉じ込めてきたって父さまが言ってたのに、どうやって?』
「それがね、分からないそうなの。ただ言えるのは、妖精王や観測者でさえも追えないんですって。でもね、地上は今大変な事になってる。ルイス王はアメリアの事は一旦後回しにすると決断したわ」
ジャスミンの言葉にノエルが黙り込んだ。そんなノエルにジャスミンは言う。
「それで私達、ここからどうにか出来ないかって話しをしていたんだけど、もしかしたらチャップマン商会の新商品、ラジコンが役に立つんじゃないかって話になったのよ」
『ラジコン? ああ、あのローズが操縦してたやつ?』
「ええ。あれをね、父さま達は既に量産してたの。そしてそれは全てチャップマン商会の倉庫の中にある。それをね、出来ればこちらに送ってほしいのよ」
『それは構わないけど、場所はすぐに分かる? どこの倉庫を回ればいいの?』
「回る必要はないわ。まだ出荷前で一箇所にまとめられているから。ただ……地上はさっきも言ったように人形で溢れかえってる。危ないと思うようならこの話は聞き流してくれていいわ」
『なるほどね。分かった。地下から倉庫に向かってみるよ。様子を見てまた連絡する。それで構わない?』
「もちろんよ! ありがとう、ノエル。気をつけてね」
『うん。また連絡する。それじゃあ』
「ええ、待ってるわ。それじゃあまた」
スマホを切ったジャスミンはふぅ、と胸を撫で下ろして胸のペンダントを握りしめて呟いた。
「母さま、ノエル達がチャップマン倉庫に向かいます。どうか守ってやってください」
ジャスミンにとって母のライラは尊敬すべき人物だ。絵は驚くほど上手いしいつだって温厚であの神経質なリアンの相手も難なくこなす。何よりもライラの機転はいつも素晴らしい。ライラが居なければきっと失敗した作戦もあったはずだ。
そんなライラにこちらに来る前にもらったお守りはこのペンダントだった。「何かあったらこのペンダントを握りしめてお願い事を言うと、きっと叶うわ」そう言ってライラはジャスミンとローズの首にこのペンダントをかけて送り出してくれたのだ。
「母さまの事だからこのペンダントも細工済みだよね~」
「ふふ! そうね。きっと聞こえたと思うわ。だから大丈夫。きっと上手くいくわ。でも、相変わらず父さまだけ何も知らないのよ」
「母さまは父さまを気遣ってるのに、父さまはいっつも後で知ってお腹痛くなるんだよね~父さま可哀想~」
ケタケタと笑う二人は、母ライラのやることなどもう全てお見通しだと言わんばかりに笑った。
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