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剣
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凄まじいスピードの剣技を固唾を飲んで見守る。
結界の剣は瞬く間に炎を吸収し、そこには初めから炎なんて存在していなかったんじゃないかと思う程だ。
軽やかに剣を扱うアレクに、つい見とれてしまった。
きっと幼い頃から、剣の腕を磨いてきたんだろう。その動きには無駄がなく、洗練されていてとても美しい。
はっきり言ってカッコいい!
フィンさんはアレクの早すぎる動きについて行けず、初動が遅れた。
呪文を唱えなんとか炎を出現させたフィンさんだけど、アレクはそれよりも素早く駆け、剣を叩き込む。
即座に炎は消え去り、アレクは剣をフィンさんの首にあてがった。
「フィン、これ以上まだ続ける気?」
「くっ!アレク、俺がお前なんかに負けるはずがないんだ」
負けを認めたくないフィンさんは、悔しさを滲ませ視線を逸した。
「···お前、一生寝てろ」
アレクはふっと笑いながら呟き、一太刀浴びせた。
剣とは言っても刃があるわけではない。
フィンさんはもんどり打って倒れ、気絶してしまった。
アレクは屈んで、フィンさんの身体の様子を確認し、「命に別条はないな」と言って立ち上がった。
アレクは何かホッとしたように暫くフィンさんを眺めて、結界で作った剣を消し去った。
私はアレクの側に駆け寄った。
アレクが無事なのを見てホッとしたら、一気に体の力が抜けてしまい、ぺたりと床に座り込んだ。
今まで凄く緊張していたんだなあと思う。一連の事件が終わった事で、張り詰めていた糸がぷっつりと切れてしまったようだ。
「ティア!」
「アレク、私は平気よ。ちょっと気が抜けちゃっただけだから」
私の声にアレクは安心するけど、身体の異常がないかチェックされた。
「ティア、もう少し待ってて」
「うん、ごめんね」
「さっさとコイツを縛ってしまうから」
そう言うとアレクは、時計塔二階にあるロープを持ってきた。
そして逃げられないように、それはヤリ過ぎなのではと思うほどぐるぐる巻きにした。
忘れていたけど、フィンさんは私の【媚薬】をポケットに入れていたんだっけ。
急いで回収して、【媚薬】についてアレクに話をしないといけなかったんだ。
フィンさんのポケットから、ゴソゴソと【媚薬】の小瓶を取り出し手のひらに載せる。
「ティア、それは何?」
キラキラとピンク色に輝く液体入りの小瓶をアレクに差出しながら、私は答えた。
「これは【媚薬】よ」
アレクは目を見開き、小瓶を受け取った。
「···この小瓶が【媚薬】?!」
「この【媚薬】について、私はアレクに言っておかなければならない事があるの。十二時の約束の事もあるし、落ちついて話せるところで話しましょう」
アレクは頷きながら、【媚薬】の小瓶を目の前に掲げて見ていた。
結界の剣は瞬く間に炎を吸収し、そこには初めから炎なんて存在していなかったんじゃないかと思う程だ。
軽やかに剣を扱うアレクに、つい見とれてしまった。
きっと幼い頃から、剣の腕を磨いてきたんだろう。その動きには無駄がなく、洗練されていてとても美しい。
はっきり言ってカッコいい!
フィンさんはアレクの早すぎる動きについて行けず、初動が遅れた。
呪文を唱えなんとか炎を出現させたフィンさんだけど、アレクはそれよりも素早く駆け、剣を叩き込む。
即座に炎は消え去り、アレクは剣をフィンさんの首にあてがった。
「フィン、これ以上まだ続ける気?」
「くっ!アレク、俺がお前なんかに負けるはずがないんだ」
負けを認めたくないフィンさんは、悔しさを滲ませ視線を逸した。
「···お前、一生寝てろ」
アレクはふっと笑いながら呟き、一太刀浴びせた。
剣とは言っても刃があるわけではない。
フィンさんはもんどり打って倒れ、気絶してしまった。
アレクは屈んで、フィンさんの身体の様子を確認し、「命に別条はないな」と言って立ち上がった。
アレクは何かホッとしたように暫くフィンさんを眺めて、結界で作った剣を消し去った。
私はアレクの側に駆け寄った。
アレクが無事なのを見てホッとしたら、一気に体の力が抜けてしまい、ぺたりと床に座り込んだ。
今まで凄く緊張していたんだなあと思う。一連の事件が終わった事で、張り詰めていた糸がぷっつりと切れてしまったようだ。
「ティア!」
「アレク、私は平気よ。ちょっと気が抜けちゃっただけだから」
私の声にアレクは安心するけど、身体の異常がないかチェックされた。
「ティア、もう少し待ってて」
「うん、ごめんね」
「さっさとコイツを縛ってしまうから」
そう言うとアレクは、時計塔二階にあるロープを持ってきた。
そして逃げられないように、それはヤリ過ぎなのではと思うほどぐるぐる巻きにした。
忘れていたけど、フィンさんは私の【媚薬】をポケットに入れていたんだっけ。
急いで回収して、【媚薬】についてアレクに話をしないといけなかったんだ。
フィンさんのポケットから、ゴソゴソと【媚薬】の小瓶を取り出し手のひらに載せる。
「ティア、それは何?」
キラキラとピンク色に輝く液体入りの小瓶をアレクに差出しながら、私は答えた。
「これは【媚薬】よ」
アレクは目を見開き、小瓶を受け取った。
「···この小瓶が【媚薬】?!」
「この【媚薬】について、私はアレクに言っておかなければならない事があるの。十二時の約束の事もあるし、落ちついて話せるところで話しましょう」
アレクは頷きながら、【媚薬】の小瓶を目の前に掲げて見ていた。
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