94 / 104
第二章
91.もっ君の顔
しおりを挟む
慣れてる?!
ちょっと気だるげな雰囲気で物怖じせず青野に対峙しているその雰囲気が、段々と手たれなそれに見えてきた。この雰囲気……只者じゃねぇ。。
「もっ君……チミはどんな修羅場を経験してきたんだ」
「ぶふっ!もっ君?!もっ君ってなに?!こいつのあだ名?!」
「小鳥遊先輩に付けられたんすよ……」
「ぐははははは!!マジかよ。柴ぁ!お前のセンスどうなってんの?昭和?
てかお前、それでいいの?」
「よくねぇっすよ!キラキラネームも嫌だったけど、これもまた微妙…」
「はぁ?!そこまで言う事ねぇだろ?————そんな悪い?」
「う…あ、いや…ま、まぁ、ちょーっと個性的か、なぁ?…なぁ?!」
「そ、そっすね。てか、最初もっとひでぇ名前で呼びそうになってましたよね?」
じとりとした目で見られてヤバいと冷や汗が出る。
「うへぇ?!」
「マジか。どんな名前?」
「ボサ……」
「わぁぁーーー!ごめんてぇ!!!!ていうか、聞こえてた?!聞こえてたのか?!」
「俺、耳いいんで」
「ボサ…?うはははははは!!!見たまま?ひでぇな、それもう悪口じゃねぇか。しかもそれ途中だろ。本当はなんて呼んでたんだ?ん?」
「……ボサお」
「「「「ぶふぅ!!」」」」
いつの間にかこちらの話を聞いていた大我たちも噴き出した。他の面々は笑っているけど、大我だけは笑いを堪えて震えているのが分かる。
そんなに悪い?いや、悪口だよな…すまんな、ボサおよ。でも心の中だけで呼んでいたから許してくれ。言われた本人も一緒になって笑ってるから怒ってないのかな。
ボサおいい奴だな…。
「はーっ、おもろ。ボサおねぇ…言い得て妙だな。てかお前、ちゃんとしたら美形だろ?」
青野がそう言いながらボサおのボサである前髪をちょいと脇にずらすと、その顔(かんばせ)が露わになって俺らは息を飲んだ。それをやった青野本人すらも息を飲んだのが分かる。
「う…お、まさかここまでとは思わなかったぜ」
「木蓮ってば…こんなに美人さんだったんだねぇ。どうして隠してるの?勿体ないよ?」
「うん…この顔を隠すのは勿体ない。目も悪くなんぜ?」
「いいんすよ!俺は!これで!!」
ボサおはシュババ!と慌てて髪の毛を元に戻してボサボサにした。
「まぁ、お前の好きにすりゃいいけどよ。ボサお…ボサ…なんか、まりもみてぇだな。まりもって呼ぶか!その方が可愛くね?語呂の感覚のみだけどよ」
青野がそう言うと、ボサおが鋭く息を飲んだ音が聞こえた。
「そ、それはやめて下さい…す」
「ど、どした?もっ君、顔色悪いよ?」
「いえ、別に……俺、トイレ行ってくる…す」
「あ!待って!僕も一緒に行くよ!」
足早にその場を去ったボサおを、チヨちゃんが慌てて追いかけていった。
「なんか知らんけど、地雷だったみたいだなぁ」
「おう…なんか、悪ぃことしたな。ボサおよりいいと思ったんだけどよ」
「お前もお前で微妙なネーミングセンスなんじゃね?ケケケ!」
さっきバカにされたから意趣返しもあって、ボサおには悪いけどちょっとだけ愉快な気持ちになって笑うと頬っぺたを抓られてギリギリされた……すぐに大我が剝がしてくれたけど。暴力はんたーい!
「いはい…ひろい…」
「躾は飼い主の義務だからな」
「誰が飼い主や、誰が!!!そして俺は犬じゃぇ!」
「あー、これこれ!この無意味なラリーがたまんねぇのよ」
「もういいや、こいつめんどくさ!大我行こうぜー」
「樹、頬っぺたが赤くなってる…大丈夫か?」
「うん」
「おーおーおー、目の前でいちゃつくなや」
心配そうな顔した大我が俺の頬っぺたを優しくさすさすしてくれる。仲間はずれにされた青野が吠えてるけど、無視だむし……ハッ!
「青野…アホ野…お前はたった今からアホ野じゃ!ばか!」
「アホなのかバカなのかハッキリしろ!この駄犬!そんで、高校生にもなって閃いた!ってキラキラした目で言うな!バカ可愛いだろうが!なぁ、志々尾!」
「う…そ、そうだな。樹は…バカ可愛いな」
「大我までっっっ!!!!———ハッ!悪寒っっ!!!!」
「ひーーーーーーーめーーーーーーーー♡」
悪寒を感じた途端に、後ろからドン!と衝撃がきて抱きつかれた。
「どふぅ!げほっ。て、てめぇ…半径100メートル以内に入るな!変態っ!!!」
「あぁぁ~♡姫ぇぇえ♡久しぶりだね?相変わらず可愛いね♡ん~~…姫の匂いだ…久々すぎて勃つわ」
「ぎゃわーーーーーーー!!!!!!マジで勃ってる!!!押し付けるな!バカ!!!」
「やだーーーー…ぐえぇ」
「「樹(チビ)から離れろ」」
「うわぉ!番犬が増えてるっっ!!!———青野って、そんなんだったっけ?」
「ひぃぃ…た、助かった…ありがと、大我」
「牧、お前なんでここにいる」
「えぇ~?だって、俺は聖上の学生だよ?そりゃいるでしょう」
「お前はここに用がある課じゃないだろうが。それに———学祭が終わるまではお前は立ち入り禁止区画のはずだ。」
えぇぇ!?そんな事になってるの?
「だぁぁぁってぇぇぇ!姫が聖上に来てるんだよ??愛しい姫に会いたいじゃん!」
「俺は会いたくねぇけどな」
「そんなぁ!」
「ほら、そう言ってんだからよ、さっさと行けよ」
「青野まで冷たいっっ!!!!」
俺とアホ野でシッシ、と手で払う仕草をするとオーバーリアクションでウソ泣きしながら崩れ落ちた。こいつって、いちいち劇場型だよな。
「姫に会いたくて来たってのもあるけど、情報提供もあって来たんだよ。うちのさぁ、主がねぇ、ちょーっとよからぬ動きしてるんだよね。俺は俺でやれる事をやるけどさ、姫の旦那たちと獅子尾にも気を付けてもらおうと思ってね」
「宝生が?分かった、情報提供感謝する。樹は俺らが守る」
「あの姫さんも懲りねぇな。俺も加勢するぜ、あいつは前からやり方が気に入らねぇんだよな。———牧、てめぇなんであいつについてんだよ」
「ん~…まぁ、うちも色々あんだよねぇ。そう簡単には切れないって事だよ」
「ハッ、腰抜けが!」
「青野君は青いねぇ~……青野だけにっ♪」
「やんぞコラ」
「あ~怖いこわいっ!」
「牧~…それはないわ。マジないわ。寒いわそれ。変態なうえに寒いとかないわ~」
「姫ボロクソ言うね?!」
「「「あ……」」」
「あ?————あだだだだだだ!!」
ちょっと気だるげな雰囲気で物怖じせず青野に対峙しているその雰囲気が、段々と手たれなそれに見えてきた。この雰囲気……只者じゃねぇ。。
「もっ君……チミはどんな修羅場を経験してきたんだ」
「ぶふっ!もっ君?!もっ君ってなに?!こいつのあだ名?!」
「小鳥遊先輩に付けられたんすよ……」
「ぐははははは!!マジかよ。柴ぁ!お前のセンスどうなってんの?昭和?
てかお前、それでいいの?」
「よくねぇっすよ!キラキラネームも嫌だったけど、これもまた微妙…」
「はぁ?!そこまで言う事ねぇだろ?————そんな悪い?」
「う…あ、いや…ま、まぁ、ちょーっと個性的か、なぁ?…なぁ?!」
「そ、そっすね。てか、最初もっとひでぇ名前で呼びそうになってましたよね?」
じとりとした目で見られてヤバいと冷や汗が出る。
「うへぇ?!」
「マジか。どんな名前?」
「ボサ……」
「わぁぁーーー!ごめんてぇ!!!!ていうか、聞こえてた?!聞こえてたのか?!」
「俺、耳いいんで」
「ボサ…?うはははははは!!!見たまま?ひでぇな、それもう悪口じゃねぇか。しかもそれ途中だろ。本当はなんて呼んでたんだ?ん?」
「……ボサお」
「「「「ぶふぅ!!」」」」
いつの間にかこちらの話を聞いていた大我たちも噴き出した。他の面々は笑っているけど、大我だけは笑いを堪えて震えているのが分かる。
そんなに悪い?いや、悪口だよな…すまんな、ボサおよ。でも心の中だけで呼んでいたから許してくれ。言われた本人も一緒になって笑ってるから怒ってないのかな。
ボサおいい奴だな…。
「はーっ、おもろ。ボサおねぇ…言い得て妙だな。てかお前、ちゃんとしたら美形だろ?」
青野がそう言いながらボサおのボサである前髪をちょいと脇にずらすと、その顔(かんばせ)が露わになって俺らは息を飲んだ。それをやった青野本人すらも息を飲んだのが分かる。
「う…お、まさかここまでとは思わなかったぜ」
「木蓮ってば…こんなに美人さんだったんだねぇ。どうして隠してるの?勿体ないよ?」
「うん…この顔を隠すのは勿体ない。目も悪くなんぜ?」
「いいんすよ!俺は!これで!!」
ボサおはシュババ!と慌てて髪の毛を元に戻してボサボサにした。
「まぁ、お前の好きにすりゃいいけどよ。ボサお…ボサ…なんか、まりもみてぇだな。まりもって呼ぶか!その方が可愛くね?語呂の感覚のみだけどよ」
青野がそう言うと、ボサおが鋭く息を飲んだ音が聞こえた。
「そ、それはやめて下さい…す」
「ど、どした?もっ君、顔色悪いよ?」
「いえ、別に……俺、トイレ行ってくる…す」
「あ!待って!僕も一緒に行くよ!」
足早にその場を去ったボサおを、チヨちゃんが慌てて追いかけていった。
「なんか知らんけど、地雷だったみたいだなぁ」
「おう…なんか、悪ぃことしたな。ボサおよりいいと思ったんだけどよ」
「お前もお前で微妙なネーミングセンスなんじゃね?ケケケ!」
さっきバカにされたから意趣返しもあって、ボサおには悪いけどちょっとだけ愉快な気持ちになって笑うと頬っぺたを抓られてギリギリされた……すぐに大我が剝がしてくれたけど。暴力はんたーい!
「いはい…ひろい…」
「躾は飼い主の義務だからな」
「誰が飼い主や、誰が!!!そして俺は犬じゃぇ!」
「あー、これこれ!この無意味なラリーがたまんねぇのよ」
「もういいや、こいつめんどくさ!大我行こうぜー」
「樹、頬っぺたが赤くなってる…大丈夫か?」
「うん」
「おーおーおー、目の前でいちゃつくなや」
心配そうな顔した大我が俺の頬っぺたを優しくさすさすしてくれる。仲間はずれにされた青野が吠えてるけど、無視だむし……ハッ!
「青野…アホ野…お前はたった今からアホ野じゃ!ばか!」
「アホなのかバカなのかハッキリしろ!この駄犬!そんで、高校生にもなって閃いた!ってキラキラした目で言うな!バカ可愛いだろうが!なぁ、志々尾!」
「う…そ、そうだな。樹は…バカ可愛いな」
「大我までっっっ!!!!———ハッ!悪寒っっ!!!!」
「ひーーーーーーーめーーーーーーーー♡」
悪寒を感じた途端に、後ろからドン!と衝撃がきて抱きつかれた。
「どふぅ!げほっ。て、てめぇ…半径100メートル以内に入るな!変態っ!!!」
「あぁぁ~♡姫ぇぇえ♡久しぶりだね?相変わらず可愛いね♡ん~~…姫の匂いだ…久々すぎて勃つわ」
「ぎゃわーーーーーーー!!!!!!マジで勃ってる!!!押し付けるな!バカ!!!」
「やだーーーー…ぐえぇ」
「「樹(チビ)から離れろ」」
「うわぉ!番犬が増えてるっっ!!!———青野って、そんなんだったっけ?」
「ひぃぃ…た、助かった…ありがと、大我」
「牧、お前なんでここにいる」
「えぇ~?だって、俺は聖上の学生だよ?そりゃいるでしょう」
「お前はここに用がある課じゃないだろうが。それに———学祭が終わるまではお前は立ち入り禁止区画のはずだ。」
えぇぇ!?そんな事になってるの?
「だぁぁぁってぇぇぇ!姫が聖上に来てるんだよ??愛しい姫に会いたいじゃん!」
「俺は会いたくねぇけどな」
「そんなぁ!」
「ほら、そう言ってんだからよ、さっさと行けよ」
「青野まで冷たいっっ!!!!」
俺とアホ野でシッシ、と手で払う仕草をするとオーバーリアクションでウソ泣きしながら崩れ落ちた。こいつって、いちいち劇場型だよな。
「姫に会いたくて来たってのもあるけど、情報提供もあって来たんだよ。うちのさぁ、主がねぇ、ちょーっとよからぬ動きしてるんだよね。俺は俺でやれる事をやるけどさ、姫の旦那たちと獅子尾にも気を付けてもらおうと思ってね」
「宝生が?分かった、情報提供感謝する。樹は俺らが守る」
「あの姫さんも懲りねぇな。俺も加勢するぜ、あいつは前からやり方が気に入らねぇんだよな。———牧、てめぇなんであいつについてんだよ」
「ん~…まぁ、うちも色々あんだよねぇ。そう簡単には切れないって事だよ」
「ハッ、腰抜けが!」
「青野君は青いねぇ~……青野だけにっ♪」
「やんぞコラ」
「あ~怖いこわいっ!」
「牧~…それはないわ。マジないわ。寒いわそれ。変態なうえに寒いとかないわ~」
「姫ボロクソ言うね?!」
「「「あ……」」」
「あ?————あだだだだだだ!!」
31
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる