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第1章

第1話、◆通学路◆

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 この子は誰だろう?

 幼い女の子が立っていた。身に付けた黒のワンピースは肩口から袖までが真っ白で、襟元などに可愛らしいフリルが多様されている。
 しかし少女を背後から照らす眩い光のため、顔が口元しか見えない。

「——そうです」

 その子が何かを話したあと、突然抱きついてきたためそのまま押し倒されてしまう。
 そして俺に跨がると、少女らしからぬ妖艶な笑みを浮かべ——

「いただきます、の前に、洗脳しちゃわないとですね」

少女の右腕の肘から先が、閃光に包まれる。

「えぃ」

そして掌底を打つようにして俺の頭目掛けて腕を伸ばして来た。
すると警戒していた俺の思考が、ゆっくりととき解されていく。
そこでズボンとボクサーパンツがずり下げられた。

「いつ見ても美味しそうな、立派なおちんちんです」

恥じらいながらも顔を寄せてきた少女は味わうようにちょこんと出した舌で俺の肉棒を舐め上げたあと、その小さな口を一生懸命に広げて俺の肉棒をカプリと咥えこむ。そして上下運動が始まった。
少女は美味しそうにジュポジュポ鳴らしながら、手慣れた手つきで俺の竿も扱いていく。

きっ、気持ち良い。まるで俺の弱いところを知っているかのような手つき。でもされてばかりじゃ駄目だ。

そこでワンピースをめくり上げ少女の股間に目をやれば、可愛らしいパンティのクロッチ部分にしっとりと染みが出来ていた。手を伸ばしぐっしょりと濡れていたパンティの中に、おへその方からすっと手を突っ込む。
すると小さな花びらから溢れ出す液体で、指先がねちゃりと湿り気を帯びた。

「濡れ濡れだね」
「はっ、恥ずかしいです」

中指の腹を使って円を描くようにして、花びらをくちゃくちゃにかき混ぜていく。そして潤う人差し指と中指の指先で皮を被っている陰核を、皮ごとこねくり回していく。
すると少女は吐息を漏らしながら、口と両手で俺の肉棒を扱く速度を加速させ始めた。
中指と薬指を小さな膣の中に侵入させ曲げると、少女の上下運動に負けないよう手マンを開始させる。
そして暫くズチュズチュとGスポットに刺激を与えていると、少女はビクビクと震える。しかし口の動きを止めようとしない。そこで俺も、限界を、迎える。
射精感と共にドピュドピュと盛大に、少女の口内へ吐き出される白濁液。

「ああうぐっ! 」

 ——あれ?

 首を左右に振って状況確認をする。
 上体を起こした俺は、自室のベッドにいた。

 ……夢か。
 安堵すると同時に、今見た夢の内容が思い出せなくなっていく事に気がつく。
 いまの、どんな夢だったかな?

 まっいーか。
 今の俺はそれどころじゃないしね。

 ベットから下りると、大きく伸びをする。
 外では先程からスズメがチュンチュンとさえずっている音が。

 よし、快晴に恵まれた一日の始まりだ。
 遅れないように用意しないとだ!

 そんなこんなで、自宅から出た俺は住宅街を歩いている。学校の前まで運行する市営バスの停留所へ向かっているわけなんだけど、……急に緊張してきてしまっていたりする。
 変な夢は見たけど、昨日の事は夢じゃないよね?

 そこで斜め前方の電信柱の陰から、可愛らしくぴょこんっと陰が飛び出た。

「——やぁユウト、今日もいい天気だね」

 そう言って姿を現したのは、紺のブレザーにミニスカートという装いで、ボーイッシュという言葉が似合う元気な笑顔に大きな瞳の女の子である。
 ちなみに肩にかかるかかからないかだった髪の毛は、今ではその豊満な胸にまで伸びている。

「あぁ、おはよう」

「あれ、ユウト? 髪の毛の色、少し落ちてきてるよ? 」

「えっ、ほんと? また染めないと、だね」

 俺は純日本人である。
 しかし生まれつきの白髪であるため、幼い頃からずっと母親に髪を黒く染めてもらっていた。
 また肌の色も人とは違い褐色であるがため、前髪を伸ばし俯向いたり、大きめの制服を着る事により少しでも人目につかないように工夫をしていたりもする。
 そして俺には物心がついた頃から一緒に遊び、地毛が白髪である秘密を知っている親友が一人いる。
 その子はご近所さんで幼馴染みという、この五条橋ごじょうばし家の長女、真琴まことの事なんだけど……。

 ——いつからだろう?

 昔は男女関係なく外で走り回って遊んでいたんだけど、すらりとした身体は気がつくと出るところは出、その、今ではかなりエッチな身体になっていると思う。

 それに先ほどから甘い、良い香りが風にのり微かに届いてきている。
 シャンプーかボディーソープの香りなのかな?

 真琴に対しドキドキしていると、彼女は俺との距離を一歩縮め、上体を屈める事により上目遣いでこちらを覗いてきた。

「キミは良く眠れたかな? ……ボクはと言うとね、実は一睡も出来ていないんだ」

 そう微笑むと、その柔らかそうな下唇に人差し指を押し当て、続ける。

「嬉しくてね」

 俺はそんな真琴の事を、今では完全に女の子として見ていて、……いつからかは分からないけど、気がつけば大好きになっていた。

 しかし昨日の出来事が、夢とか妄想とかじゃないようで良かったです。
 と言うのも昨日の放課後、俺は真琴から校舎裏へ呼びだされていた。


 ——人気のない場所に女子と二人きりで会うのもなんだか恥ずかしいのに、その相手の女の子は真琴だ。

 変な態度をとって嫌われないよう、俺が妄想しているような事は何も起こらないと、何度も自身に言い聞かせる。
 そしていつもと同じように接するよう、心を落ち着かせるためにも深呼吸を果てしなくする。
 そうして待ち合わせ場所のクスノキの下へ向かったのだけど、……まだ真琴は来ていなかった。


 ◆


 今からの事を思うと、恥ずかしすぎて息をするのも苦しくなる。だから深呼吸をしに待ち合わせ場所から少し移動していた。
 そして呼吸を整え気合を入れると、校舎裏に人知れず鎮座する巨木であり、ユウトとの待ち合わせ場所であるクスノキの下へ向かおうとしてたのだけど——

 ユウトだ!
 その姿を見て心臓がドキリと高鳴る。そしてボクは思わず体育倉庫の陰に隠れてしまった。

 どうしよう、本人を前にしたら脚に力が入らない。
 手も微かに震えてる。
 ……でもこのままじゃダメなんだ! だから思いきって勇気を出して——

 ボクが一歩を踏み出そうとした時、ちょうどユウトがこちらに振り返った。

 ダメだよ、やっぱりダメだよ!
 だってこれから告白をしてユウトに断られたら、ボクは一生立ち直れない気がするから。

 とそこで遠くの校舎の陰から、幼い頃からの親友の由香の姿が。
 由香は身体の全部を使ってなにやらジェスチャーを始める。
 どうやら『早く行け! 』と急かしているようで、さらに口パクで『奪わられちゃうよ! 』と言っているのが分かった。

 早くしないと他の子から奪われてしまうよ。
 その言葉は少し前から由香に言われ続けられており、また胸が締め付けられる言葉でもあった。

 ユウトは人気がある。その可愛らしい容姿も理由の一つなんだと思うけど、一番の理由は男女分け隔てなく優しいところ。
 困ってる人が気がつけば、ユウトに助けられてたって話はよく聞く話。
 そしてその時の何気ない笑顔に好感を抱く女子が後を絶たない。

 でも由香曰く、みんなはボクとユウトが親密な関係であると勘違いしていたようで、そこから一歩を踏み出してくる女子が今までいなかったらしい。
 でも最近、男子から流れて来た情報でボクたちが付き合ってない事実が女子全体へと知れ渡った。
 そのためユウトを気にしていた女子たちが、少し前から不穏な動きを見せ、今ではいつユウトに告白をするかわからない状態にまでなっているらしい。
 そういうわけでボクはこのところ毎日、由香から早く告白をして付き合ってしまいなさいと言われ続けていた。

 だからボクは、とても恥ずかしかったけど、思いきってユウトを映画に誘ってみた。でもその日はグループ法人老々会ろうろうかいのボランティア活動で街へゴミ拾いに行くらしく断られてしまう。
 ユウトは優しい。だからボクが傷つかないよう、やんわり断ったのかもしれない。
 その事を由香に伝えたら怒られた。そんな事で諦めちゃうの、と。

 だから再チャレンジ、今度は用事があっても大丈夫なよう、想いだけでも伝えようとラブレターを渡してみた。
 そしたらあろうことか、ユウトはその場でラブレターの封を開け手紙を取り出そうとした。
 慌てたボクは、ラブレターを奪い取るとその場を逃げ出した。そしてボクはまた失敗した事で落ち込み、部屋に閉じこもってしまう。
 すると部屋まで来てくれた由香に、また怒られてしまった。みんながいる教室で渡してどうすんのよ、と。
 だってなにげに渡した方が緊張しないし、みんなの前で渡すから怪しまれないよう茶封筒が良いと思ったんだ。
 すると、茶封筒渡してどうすんのよ、とまた怒られた。

 という事で3度目の正直、今からボクは由香監修の元、ベタベタ展開、校舎裏に呼び出して直接告白をする事になってしまっていた。

 と二の足を踏んで回想をしていると、不意にユウトがこちらに背中を向けた。そしてスタスタと歩き始めてしまう。
 あわわと慌てふためく中、校舎の陰から完全に飛び出した由香が顔を真っ赤にしながら高速ジェスチャーをしているのが目に入った。

 し、心臓が本当に口から飛び出しそう。
 でも勇気を振り絞らないと!

「ゃ、やあユウト! 」

 ボクは由香の後押しがあったおかげで一歩を踏み出せていた。
 でもボクは、ユウトを前に顔から湯気が出てるのじゃないかなというぐらい真っ赤になってしまっていた。
 だからそんな恥ずかしい顔を少しでも隠すよう俯きかげんにすると、震えが止まらない手を隠すために慌てて後ろ手に組んだのだった。

 ◆

 真琴がいない。
 そこで待ち合わせ場所を間違えたのかなと思った俺は、まだ真琴がいるかもと教室に戻ろうとしていた。
 すると真琴が現れた。顔を真っ赤にして息をきらしているため、ここまで走って来たようだ。

「やあユウト、待たせてごめんね」

「いや、俺もさっき来たところだから。
 それより用事ってなに? 」

「その、実はね……」

 そこで後ろ手に組んでもじもじしていた真琴が顔を上げた。彼女はその瞳に涙を溜め、触れれば壊れそうな顔で見上げるようにして笑顔を見せる。
 そのキュンとくる姿に、思わず鼓動が早くなってしまう。
 そして——

「ボク、……ユウトの事が大好きです」

「……え? 」

 今のってもしかして、……愛の告白?

 一拍いっぱくの間心臓が停止し、その後に特大の鼓動を奏で始める。
 頬っぺたをつねってみた。
 痛い、夢じゃない!
 それに目の前では後ろ手に組んで俯き加減の真琴が、太ももを摺り合わせながら恥ずかしそうに俺の方を見つめてきている。

「おっ、俺も真琴の事が、——好きです! 」

 咄嗟に出た告白返し!
 そして俺は口を止めず、ずっと好きだった事、またその想いを言えばこの親友と言う関係も壊れてしまいそうで臆病になってしまっていた事を、きちんと伝わるように一生懸命に頭を回転させて話した。

 するとまだこちらが話している最中だったのだけど——

 ふらりと近づいてきた真琴に突然抱きしめられた。

 熱を帯びた柔らかな真琴の身体が、棒立ちになってしまっている俺の身体にギュッと押し当てられる。

「やっとボクの想いが伝わったみたいだね。
 ……キミは気づいてなかったみたいだけど、何度もアプローチしてたんだからね」

 今、どう言う事になっているのか、頭が理解をした時には、心臓の音がばくばくと爆音を鳴り響かせ完全に手に負えない状態になっていた。
 とても恥ずかしかったけど、でも真琴の心臓も俺と同じくらいばくばく鳴っている事に気付き、なんだか嬉しかった。

 そこで抱きしめてきている真琴が、恥ずかしそうに俯きながら瞳をそっと閉じた。
 そして軽く顎を上げると口元を微かにふるわせながら、ほんの少し、ほんの少しずつだけど確実に俺の方へ、真琴の顔が近づいてくる。

 ——これってもしかして!?

「まっ、待って真琴、そそそれは、まだ早すぎると思う!
 俺たちはいま、そう、いま付き合いだしたばかりだし! 」

 すると瞳を見開いた真琴はキョトンとした表情になり、暫くすると再度両の瞳を閉じ眉間にシワを寄せ逡巡してみせたのち、その大きな瞳を開いて八重歯を覗かせた。

「そうだね、わかったよ。
 ボクも少し気持ちが高ぶってしまってて、……たしかに急ぎすぎたかなと思う」

 真琴との距離を保つべく、彼女の両肩に手を置いているのだけど、くの字に曲がってしまっているのでまだ抱き締められたままである。
 そのため真琴の顔は目と鼻の先と、息がかかる程のとても近い場所に。

「お互いに初めてだからね。それと最後までするのもまたの機会にするね」

「えっ、最後までするつもりだったの!? 」

「そうだよ、ボクらは相思相愛の関係だからね。
 年も高校二年生と、初めてを経験していてもおかしくない年齢でもある。
 しかも互いの気持ちも確認し合ったんだから、そうなるのは至極当然の成り行き、……じゃないかな? 」

「いや、でも、俺は真琴の事を大切に思ってるし、その、まだ心の準備が……」

「その気持ちは嬉しいな。
 でもボクはずっとキミを見てきたし、そうなる事をずっと願ってきた。
 ……でも無理矢理は良くないよね。
 一人は寂しいけど、今回はしょうがない。
 なんてったって告白出来ただけでなく、キミの気持ちも知れたわけだからボクは満足する事にしたよ」

 そう言うと身体は離れたが、代わりに手を握られる。
 肩もそうだったけど、か細い手もとても柔らかい。そしてただ単に握っているのではなく、指を絡めての、いわゆる恋人繋ぎだ。

「でもできたら、……このままで帰りたいかな」

 下校時間帯が過ぎたとはいえ、部活の生徒はまだ練習に明け暮れてるし、ホームルームが長引いたクラスの生徒たちはちょうど遅い帰宅を始める時間帯である。

 手をつなぐのは嬉しいけど、やはり恥ずかしさが勝ち、抗議の意味を少しだけ込め真琴を見やると、彼女はどこか妖艶な笑みを浮かべて見せた。
 そしてその艶やかな唇が開く。

「ボク達の関係、付き合っている事をみんなに知らせるんだ。
 キミはそう言うのに鈍いから全く気付いてないみたいだけど、その可愛い外見や仕草、そしてみんなに優しいため、狙ってる女子は大勢いるんだよ」

 そこで一旦言葉を区切った。
 そしてもじもじしながら、上目遣いで見つめてくる。

「ダメかな?
 ……本当は、こうして繋がっていないと、ボクは得た幸福を失う不安で押し潰されそうなんだ。でもキミが嫌なら、諦めるけど……」


 こうして空が夕焼けに染まる中、終始ドキドキしながら真琴と手を繋いで帰る事になった。
 でもそのまま知らない大人達に混じりバスに乗るのは恥ずかしすぎたし、当初の他の生徒達に見せつけるという目的から逸脱していたので、学校前のバス停に着く頃には手を離して貰い、その日はそのまま帰路へと着いた。

 ◆

 それから終始笑顔であるボクは、家に帰り着くと早速由香に電話で報告をしていた。

「——大好きって伝えたら、ユウトも好きですって」

 すると電話口の由香がバタバタ言わせながらキャーキャー悲鳴を上げる。

「マコ、おめでとう! ついにやったね! 」

「うん、ありがと! これも全部、由香のおかげだよ! 」

「……ユズレアの苺抹茶パンケーキに、マカロンパフェだね」

「アイアイサー」

「んで、その後はなに話してたの?
 なんか抱き合ってるように見えたんですけど? 」

「えーと、キスを迫ったら断られたから、エッチをするのも諦めるねって言ったよ」

 すると今度は『ガタッ』と大きな物音が電話口から聞こえてきた。
 それからボクは、由香から延々説教をくらってしまい、朝方まで今後の作戦会議を開く羽目になってしまったのであった。

 うぅぅ、他の子に奪われたらいけないって、ボクも必死だったんだよー。
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