6 / 7
6
しおりを挟む
ファウストは初夜の前に消えてしまった花嫁を探して城中を歩き回った。
参列席にこっそり呼んでいた愛弟子の少年の滞在する部屋のドアを叩く。
加減も出来ずに、ドアは音を立てて弾け飛んだ。
「レニウム……ダメだった。行ってしまった……結局、レアーナは俺を愛していなかったのかもしれない」
魔王となる宿命だった少年は、眠い目をこすり、真っ黒な髪を掻きまわす。
「ファウスト様、僕の呪いを甘くみないでいただけませんか。一度目の時も、僕はちゃんと『心からの愛』と指定して呪いをかけました。レアーナ様に丸め込まれたのですよ、あなたは」
「え? は? じゃぁ……最初の時の口付けは……」
「愛が無くても解けるくらいだったら、僕は魔王になんてなりませんよ。そういう強力なやつです」
「しかし、あんなキスで……」
「どんなキスでも、それで解けたのなら、本物です」
ファウストの目に歓喜が宿る。大気の精霊が刺激されて、少し姿を現すぐらいの強力な喜びが辺りに満ちる。
「ファウスト様、魔女に謀られたようですね」
ファウストは聞き終わる前に走り出していた。
魔獣が魔女を追いかける。
追いかけて追いかけて、愛を乞う。
朝日が昇るまでに。
朝日が昇った後も。
end
参列席にこっそり呼んでいた愛弟子の少年の滞在する部屋のドアを叩く。
加減も出来ずに、ドアは音を立てて弾け飛んだ。
「レニウム……ダメだった。行ってしまった……結局、レアーナは俺を愛していなかったのかもしれない」
魔王となる宿命だった少年は、眠い目をこすり、真っ黒な髪を掻きまわす。
「ファウスト様、僕の呪いを甘くみないでいただけませんか。一度目の時も、僕はちゃんと『心からの愛』と指定して呪いをかけました。レアーナ様に丸め込まれたのですよ、あなたは」
「え? は? じゃぁ……最初の時の口付けは……」
「愛が無くても解けるくらいだったら、僕は魔王になんてなりませんよ。そういう強力なやつです」
「しかし、あんなキスで……」
「どんなキスでも、それで解けたのなら、本物です」
ファウストの目に歓喜が宿る。大気の精霊が刺激されて、少し姿を現すぐらいの強力な喜びが辺りに満ちる。
「ファウスト様、魔女に謀られたようですね」
ファウストは聞き終わる前に走り出していた。
魔獣が魔女を追いかける。
追いかけて追いかけて、愛を乞う。
朝日が昇るまでに。
朝日が昇った後も。
end
6
あなたにおすすめの小説
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
最近のよくある乙女ゲームの結末
叶 望
恋愛
なぜか行うことすべてが裏目に出てしまい呪われているのではないかと王妃に相談する。実はこの世界は乙女ゲームの世界だが、ヒロイン以外はその事を知らない。
※小説家になろうにも投稿しています
【完結】その令嬢は号泣しただけ~泣き虫令嬢に悪役は無理でした~
春風由実
恋愛
お城の庭園で大泣きしてしまった十二歳の私。
かつての記憶を取り戻し、自分が物語の序盤で早々に退場する悪しき公爵令嬢であることを思い出します。
私は目立たず密やかに穏やかに、そして出来るだけ長く生きたいのです。
それにこんなに泣き虫だから、王太子殿下の婚約者だなんて重たい役目は無理、無理、無理。
だから早々に逃げ出そうと決めていたのに。
どうして目の前にこの方が座っているのでしょうか?
※本編十七話、番外編四話の短いお話です。
※こちらはさっと完結します。(2022.11.8完結)
※カクヨムにも掲載しています。
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる