心からの口付けで解ける呪いって、なんだ、この野郎!

砂山一座

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 ファウストは初夜の前に消えてしまった花嫁を探して城中を歩き回った。
 参列席にこっそり呼んでいた愛弟子の少年の滞在する部屋のドアを叩く。
 加減も出来ずに、ドアは音を立てて弾け飛んだ。

「レニウム……ダメだった。行ってしまった……結局、レアーナは俺を愛していなかったのかもしれない」

 魔王となる宿命だった少年は、眠い目をこすり、真っ黒な髪を掻きまわす。

「ファウスト様、僕の呪いを甘くみないでいただけませんか。一度目の時も、僕はちゃんと『心からの愛』と指定して呪いをかけました。レアーナ様に丸め込まれたのですよ、あなたは」

「え?  は? じゃぁ……最初の時の口付けは……」
「愛が無くても解けるくらいだったら、僕は魔王になんてなりませんよ。そういう強力なやつです」

「しかし、あんなキスで……」

「どんなキスでも、それで解けたのなら、本物です」

 ファウストの目に歓喜が宿る。大気の精霊が刺激されて、少し姿を現すぐらいの強力な喜びが辺りに満ちる。

「ファウスト様、魔女に謀られたようですね」

 ファウストは聞き終わる前に走り出していた。

 魔獣が魔女を追いかける。
 追いかけて追いかけて、愛を乞う。

 朝日が昇るまでに。
 朝日が昇った後も。



end


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