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あれからすぐに担当さんが来て、打ち合わせになった。
実のある打ち合わせができたのか、正直自信がない。
才谷先生……海里さんは、あれからも本当に行動すべてが可愛くて、イラストもたくさん褒めてくれた。
とても楽しい時間だった。
それは、本当。
……でも、ずっと蒼の影がチラチラして、それが気になって……。
海里さんが何か話すたびに、それは蒼も知ってるのかな?とか、その登場人物は蒼がイメージなんじゃあ?とか考えてしまう。
いちいち考えるな!
うざい!!
予定の時間になり、二人と別れるとじわじわ嫌な考えが浮かんでは消える。
「奏くん、またね!今度は蒼と三人で会おう~」
別れ際の海里さんの笑顔にちゃんと笑い返せてたかな……
まだ明るい晴天の下、とぼとぼと帰路に着く。
この胸のモヤモヤは何だろう……。
二人が思っていたよりも仲が良かったことがショックだった?
海里さんが自分と違って理想的なΩだったから?
……いっそ嫌えたら楽だったのに、海里さんは本当に良い人で、負の感情を持つのは自分のせいだ。
いつまでこの呪縛に付きまとわれるのか……。
いつの間にか、もうマンションに着いていた。
玄関に蒼の靴がある。
忙しいのに、また来てる……。
「カナー、お帰りー」
「あぁ」
ぶっきらぼうに返事をする。
「打ち合わせどうだった?久しぶりに知らない奴と会ったけど、大丈夫?」
「別に、ふつー」
嘘だ。
「海里はどうだったー?」
「何で呼び捨て?年上だろ!」
あ、ちょっとキツく言いすぎた……。
「歳聞いた?詐欺だよね。でも、あんまり年上な感じもしないし、付き合いも長くなってくると、ね。向こうもそれがいいみたいだよ。あんなでも大先生だから、僕みたいなのじゃないと気軽に話せないんじゃない?」
「あんなのって失礼だろ!」
「ごめーん。で?海里は好きな感じ?やだった?」
「……すごく、可愛かった……」
「……ちょっと、その感想は妬けるなー。人たらしだからなー、海里」
お前もな!!
心の中で毒づく。
「映画の舞台あいさつに海里も来るよ?カナも来る??」
「行かねーよ」
「えー!まぁ、映画館心配だしね。配信もするから、それは見てねー」
「見ねーよ」
蒼が笑いながら「えー」と言うと、突然抱きついてきた。
「ちょっ……何……」
「……うん。他のαの匂いはしない。いい子」
艶然と微笑む。
俺はカッとなって、蒼の首もとのシャツを掴み至近距離で睨んだ。
「関係ないだろ!ガキ扱いするな!!」
「十分、大人の扱いしてる」
蒼はそのまま噛みつくように唇を寄せた。
避けようとした俺の後頭部を左手で押さえ、深く口付けた。
「……んっっんむっ」
頭を振ろうとしても許されず、抵抗しようと緩んだ時に舌まで入れてきた。
歯列をなぞられ、上顎を触れるか触れないかの加減で舌先が辿る。
身体は震え、上手く呼吸もできず、掴んでいたシャツにすがり付くようになる。
やっと、手が緩められたが、突き飛ばす力が出ず、その場にへたりこむ。
「関係ないなんて言わないで」
呼吸が整わない。
罵倒してやりたいのに。
「カナ、好きだよ。愛してる」
いつもの呪いの言葉。
「……ご飯食べよ?今日は時間なくて簡単な物になっちゃった~」
明るいトーンでテーブルに向かう蒼。
いつもの笑顔。
あぁ……
お前が俺の運命だったら良かったのに……
実のある打ち合わせができたのか、正直自信がない。
才谷先生……海里さんは、あれからも本当に行動すべてが可愛くて、イラストもたくさん褒めてくれた。
とても楽しい時間だった。
それは、本当。
……でも、ずっと蒼の影がチラチラして、それが気になって……。
海里さんが何か話すたびに、それは蒼も知ってるのかな?とか、その登場人物は蒼がイメージなんじゃあ?とか考えてしまう。
いちいち考えるな!
うざい!!
予定の時間になり、二人と別れるとじわじわ嫌な考えが浮かんでは消える。
「奏くん、またね!今度は蒼と三人で会おう~」
別れ際の海里さんの笑顔にちゃんと笑い返せてたかな……
まだ明るい晴天の下、とぼとぼと帰路に着く。
この胸のモヤモヤは何だろう……。
二人が思っていたよりも仲が良かったことがショックだった?
海里さんが自分と違って理想的なΩだったから?
……いっそ嫌えたら楽だったのに、海里さんは本当に良い人で、負の感情を持つのは自分のせいだ。
いつまでこの呪縛に付きまとわれるのか……。
いつの間にか、もうマンションに着いていた。
玄関に蒼の靴がある。
忙しいのに、また来てる……。
「カナー、お帰りー」
「あぁ」
ぶっきらぼうに返事をする。
「打ち合わせどうだった?久しぶりに知らない奴と会ったけど、大丈夫?」
「別に、ふつー」
嘘だ。
「海里はどうだったー?」
「何で呼び捨て?年上だろ!」
あ、ちょっとキツく言いすぎた……。
「歳聞いた?詐欺だよね。でも、あんまり年上な感じもしないし、付き合いも長くなってくると、ね。向こうもそれがいいみたいだよ。あんなでも大先生だから、僕みたいなのじゃないと気軽に話せないんじゃない?」
「あんなのって失礼だろ!」
「ごめーん。で?海里は好きな感じ?やだった?」
「……すごく、可愛かった……」
「……ちょっと、その感想は妬けるなー。人たらしだからなー、海里」
お前もな!!
心の中で毒づく。
「映画の舞台あいさつに海里も来るよ?カナも来る??」
「行かねーよ」
「えー!まぁ、映画館心配だしね。配信もするから、それは見てねー」
「見ねーよ」
蒼が笑いながら「えー」と言うと、突然抱きついてきた。
「ちょっ……何……」
「……うん。他のαの匂いはしない。いい子」
艶然と微笑む。
俺はカッとなって、蒼の首もとのシャツを掴み至近距離で睨んだ。
「関係ないだろ!ガキ扱いするな!!」
「十分、大人の扱いしてる」
蒼はそのまま噛みつくように唇を寄せた。
避けようとした俺の後頭部を左手で押さえ、深く口付けた。
「……んっっんむっ」
頭を振ろうとしても許されず、抵抗しようと緩んだ時に舌まで入れてきた。
歯列をなぞられ、上顎を触れるか触れないかの加減で舌先が辿る。
身体は震え、上手く呼吸もできず、掴んでいたシャツにすがり付くようになる。
やっと、手が緩められたが、突き飛ばす力が出ず、その場にへたりこむ。
「関係ないなんて言わないで」
呼吸が整わない。
罵倒してやりたいのに。
「カナ、好きだよ。愛してる」
いつもの呪いの言葉。
「……ご飯食べよ?今日は時間なくて簡単な物になっちゃった~」
明るいトーンでテーブルに向かう蒼。
いつもの笑顔。
あぁ……
お前が俺の運命だったら良かったのに……
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